2021/08/23 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > 王都マグメール、貧民地区。
入り組んだ裏路地、その中でも人気の疎らな辺りか。
そうは言っても、通り慣れた者であれば、近道とかにもなるのだろう。
それ以外にも、誰かしら、何かあって通ったりもするだろうか?
ともあれ、そんな場所に少女は居た。

「………まぁ、こんな場所まで、追って来る者なんぞ、そう居るまいて。
来ていても、撒くなりすれば、良いんじゃしのぅ?」

その手にあるのは、幾つかのビー玉。
それを手の平の上で、指で弄りながら、そう呟いた。
今日も今日とて、気紛れの散歩、だったのだが。
その途中、いずれ己を捕縛しよう、そう狙っていた冒険者と出会ってしまったのだ。

一応、この界隈では良くも悪くも、金色の悪魔と、そんな名が通っている。
もちろん、かなりの賞金を掛けられて、だ。
大体、なぜそうした賞金が高いのか?
考えれば、強いからとか、捕え難いからとか、それくらいの理由だし。
その内の前者とも、分かっているはずだ。
それなのに、己を捕らえようとする冒険者は、今だちらほらと存在する。
まったく、困ったものだ。

ともあれ、そんな連中に追われ。
…正しくは、わざと追わせ、この入り組んだ裏路地で撒いた。
まぁ、その相手が楽しめそうならば、別の楽しみもあったのだろうが…
そうした相手ではなかった、と言う事だ。

「さて、ここに来たからには、何かしたい訳じゃが…
どうしたものか、じゃろうなぁ」

ふむ、と軽く思案しながら、のんびりと周囲を見渡す。
場所が場所だが、とりあえず…そんな感じだ。

タマモ > 手元で弄るビー玉、これらにはすべて、己の妖力が込められている。
ただの硝子玉、そう思えば、痛い目を見るだろう。
もっとも、魔力と言うものは感じられないのだ、見た目も感じも、おかしな点はない。
そこを見過ごすのは、仕方無い事だろう。

実際、今日の相手を撒いた時に使ったのは、これだ。
的確に、相手の足元へと転がし、バランスを崩させる。
追うのがやっとなのに、そんな事になれば、逃してしまうのは当然ち言うもの。

「まぁ、最近の連中と言うのは、大した相手も居らんみたいじゃからのぅ。
もう少し、弄ぶに値する、骨のある者は居らんものか…」

それ以外にも、このビー玉には、使い方はある。
だが、そこまでする相手が、居ないのだ。
はふん、軽く溜息を一つ。

とりあえず、のんびりと歩きながら考える。
人気のない裏路地、はてさて、誰か来るものだろうか?、と。

タマモ > 結局のところ、誰かと会う事もなく。
少女は、その場を後にする。
まぁ、他の誰かからすれば、それは良かったのかもしれないが。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にグリセルダさんが現れました。
グリセルダ > さほど稼げなかったために、昨晩の宿は貧民地区の安宿だった。
隣の部屋には娼婦が連れ込まれていたらしく、朝方まで賑やかで、
寝不足の頭をやれやれと振りながら、溜め息交じりに宿を出た、そのとき。

――――――目の前を横切る、大柄な人影。
褐色の肌、白金の髪、冷えた眼差しの、男。

「待っ、――――――――」

反射的に追い駆けていた、声を掛けるのももどかしく、
母の繰り言に聞いていたと同じ特徴を持つ、その男の後を。

父親だとは限らない、むしろ他人の確率の方がずっと高い。
けれどまるで、鼻先に餌をぶら下げられた馬のようだと頭の片隅で呆れながら、
馴染みのない街、馴染みの無い、あまり治安が良いとは言えない通りを、
見ず知らずの男の背ばかりを見つめ、ひたすらに追う。
宿を取った場所より、ずっと物騒な界隈に近づいているとも気づかず、
音もなく降り出した雨が、ローブの肩や裾を濡らし始めるのも構わずに。

グリセルダ > まわりも見えず一心に、追い駆けていった先の出来事は。

慌て者の小娘と、その少し先を歩く男だけが知ることかと――――――――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からグリセルダさんが去りました。