2021/04/25 のログ
シルニア > 「ぜんぜんっ、全然平気に見えないのですよぅ...」

私に心配をかけまいとしてくれているのだろうか。弱々しくても優しい彼女の言葉を首を振って否定する。
起き上がろうとする彼女に手を伸ばせば、やはり、彼女はよろめいた。

「ほ、ほらっ!無理しちゃだめなのです。」

差し伸べた手を彼女の背中に回して、ゆっくりと上半身だけ起き上がらせて。
彼女の姿勢が安定すれば、転がっていた彼女のスタッフを拾い上げて、彼女の傍に。
彼女の魔法の流派は分からないけれど、魔法の行使に必要なのかもしれないから。

ティアフェル > 「えー……変だなぁ…ちょー元気よー…?」

 空元気も甚だしいが、やはり声にまだ力は戻らないままにそう告げて、へら、と笑おうとした顔は不器用に歪んでしまい。
 無理、とあからさまな様子に軽い叱咤が飛び、えへへ、と誤魔化し笑い。

 起き上がるのを手助けしてくれる小さいが優しい手に支えられて、スタッフを拾ってもらうと、ありがとうと、やはり歪み気味ながら柔らかに綻んで。

「よーし、じゃ、ま。さくっと……」

 何でもないことのように強がりを続けたまま、痛みはお陰様でかなり引いたので痛みに集中できないということもなく、スタッフを握り己に翳すと詠唱を紡ぎ出し、淀みなく唱え終わると、ぼわりと産まれる暖色の光。
 夜を照らす淡いそれに全身を包みこませると、一瞬ほんのり発光したかのように見えた全身から、腫れが収まり、傷口が塞がり、赤みが消え――、

「ふうっ、復・活……!
 という訳で、ありがとうぅぅー! しーちゃーん! マイエンジェール! 
 今日もKAWAII~! 全ティアが萌えた~!」

 腫れて薄くしか開いてなかった瞼がぱっちりと開き、回復とともに、傍らの彼女へと己よりさらに小柄な身体を両腕を回してぎゅむ、と抱き締めた上、そんなたわ言を。

シルニア > 淡い光に包まれる彼女をやはり心配そうに見詰めて。
夜を照らす淡い光に場違いな美しさを感じて、また治療の魔法を間近で見ることが殆ど無かったゆえに、その様子に見入ってしまう。

「はぇー...これは凄──み゛にゃああぁぁぁっ!?」

あっという間に重症状態の彼女がほぼ万全にまで回復。その様子に感嘆の声をあげ...る事はできず、不意打ちの強い抱擁に驚き悲鳴をあげてしまうのだった。

数秒後、その興奮も止み冷静になれば、私も彼女の背に手を回して

「...うぅ、よかったです。ティアさん〜〜...死んじゃったかと思ったですよぉ...」

ぐすん、と鼻を鳴らして、彼女の胸に顔を埋める。

ティアフェル >  一応は専業回復術師の端くれ。多少弱っていても自己回復くらいはどうにかこうにか。彼女が感心してくれる暇もなく――即座抱き着きにかかる程に衣服はぼろっちいままだしまだ髪は乱れてはいるが、からだはすっかり完全回復して。

「うぅぅ~ん。にゃあゆうとる……あざといまでにキュート……」

 半ば絶叫めいた声を挙げられたが……微塵も意に介しません。むしろ萌えである、と認識して、ぎゅーと抱き締め、頬ずり。
 仔猫をかわいがるような態で。

「あ、あ、あのね、しーちゃんのお蔭でこのとーり、生存しましたの、で……ごめんね、ごめんね、心配かけちゃって……本当にありがとうね」

 鼻を鳴らして胸に埋まる小さな顔に保護欲が刺激されて、胸がきゅーんと騒ぐ。むぎゅ、とまた強い抱擁。
 かわいい、持って帰ってしまいたい…とかわいいものをみるとうっかり連れて帰りたくなる習性があることを近年知った女は萌え尽くしそう、と悶えて、よしよしよし、と背中をさすって頭を撫でて。良い子だのう…と心底和んだ。
 揮われた暴力などもう何でもないことのように気持ち的なものも癒されてしまい。

シルニア > 彼女の胸元に顔を埋めたまま、ちら、と僅かに顔を上げて、上目遣いで。

「ううん、すぐに来れなくてごめんなさい、なのです...ティアさん、酷い目に遭ったことは無くならないですから...」

そう、控えめに言って、再び顔を埋める。
ミレーだと知られてしまうから言えないけれど、本当はもっと早く駆け付ける事も出来たかもなのに、なんて言葉を飲み込んで、代わりに一筋、涙が零れた。

「ほんとーに完治なのです?悪い所があるならお医者に...それと、魔力ポーションもあるです。使うです?」

彼女のことだからきっと完治していなくても隠すだろうな、と。それを念押すかのよつにしかめっ面で彼女の無事を再三確認してみたり。

ティアフェル > 「いや、そんな、しーちゃんが謝ることでは欠片もないから……っ。
 わ、わたし、ほんとに、ほんとーに大丈夫なの! むしろもう慣れっこ…みたいな……?
 今度は一時不能の術と云わず永久不能の術を体得しようかなって思いくらいしかないよっ?
 あの、だから……泣かないで……、ごめん、ね……」

 泣かせてしまった、自分がうっかり巻き込まれた事態のせいで。罪悪感が襲って来て眉を下げる。透明な一筋の雫が彼女の頬に伝うと差し込む月明りがほの蒼くそれを煌めかせて、飾りのようにきれいに映るが申し訳なさとそれ以上に優しい気持ちが嬉しくて、胸がぱんぱんになったような心地にさらにぎゅ、と抱き締め。

「ほんとーに完治なのです! ヒーラーはもう医者みたいなもんだから……ありがとう……今日はもう術を使わないと思うから大丈夫だよー。ご親切に本当にありがとうね。
 すごい、元気、なった!」

 マジで大丈夫!とガッツポーズすらしてみて、にっと笑みを向ける。無理しいな人と認識されてしまったらしい。
 しかつめらしいその小さな顔もまた逆にかわいらしくて。
 ほんわか見惚れて。目を三の形状に細めた。

シルニア > 「あぅ、え、えっと、安心したら涙が出ちゃって。えへへ、です。
はぇ...?不能...?術?護身術でしようか、新しい課題があるのはいい事なのですっ!」

私も大丈夫だよ、と元気なところを見せるために話題を変えよう。

と、逸らした先の話題は...。
その意味も知らず、今度私にもその術を教えて欲しいのですっ!なんて無邪気に笑ってみたり。

「...ふぅ。じゃあティアさんのその言葉信じるです。
ととと、こんな場所で立ち話してても危ないですし、移動しないですかっ?平民地区のギルド近くとか、ティアさんのおうち?おやど?とか。
ティアさんのお色直しも必要でしょうしっ」

なんて、土埃の付いた彼女の髪を擽って、移動を提案してみて。

ティアフェル > 「そんな全部持ってかれそうなことさらっと云われたら、姉さんグラっと来るよ……や、やめて眩しい、君が眩しい……ッ。
 うん、あのね。勃起不全を起こすんだよー」

 そう彼女の顔が眩しくて真面に見れないというように思わず目の上に手を翳していたが。
 不能がいまいち伝わりかたが甘い気がして。はっきりと補足すると人差し指を立てて晴れやかなまでににっこりと。
 教えてあげよう、君にも必要な奥儀だ!と大きく肯いたが……純心な少女の耳に放り込んでいい話題でもない。

「信じる者は救われる……。
 あ、うん、そうね、じゃ……下宿先だけど、うちに遊びに来る?
 冒険者ギルドの近くなの」

 確かに髪はぐちゃぐちゃ。衣服はところどころ裂けて汚れている。髪を擽る小さな手にふく、と擽ったそうに笑っては乱れた髪を辛うじて繋ぎ留めるリボンを解いて項で一本に束ねつつ、ようやくしっかり立ち上がり。

シルニア > 「ふむむ、勃起不全...ぼっき...〜〜〜っ!!」

やはり意味のあまり掴めない彼女の説明をオウム返ししていると、とうとうその意味が分かってしまい、ぼんっ、と顔を赤くさせて口元を抑える。
聞かなかった事にしておこう...。

「んっ、行く行くですっ!」

立ち上がろうとする彼女の事はやはり少し心配で、思わず擦り寄ってしまうけれど、もう何ともないらしい。
軽く身だしなみを整える彼女に倣って、私も土埃の付いたローブのスカート部分をぽんぽん、とはたく。

ティアフェル > 「男子が聞くと恐れおののく萎え萎えの秘技だよ」

 知っていればこの女には近づきたくねえ、と思わせる威力すら秘めている。お陰様で悪い虫除けになり過ぎて……何一つよって来ない副作用まで。

「よーし、じゃ決定ー。
 わたしのことを心配してくれるのねっ。じゃあほら、お手々をつなごうお手々をッ」

 すり寄る所作が母性本能を搔き乱していく。こんな子に心配かけてわたしは悪い女、とおかしな陶酔に浸りつつ、手をつなげばちょっとは安心、なんてなんの根拠もないことを云いだして手を差しだし、貧民地区から平民地区の下宿までお一人様ご案内。

シルニア > 「...っ」

聞かなかった事にしたお話の続きが語られ、私は顔を赤くしたまま口を引き結んで。
ティアさんって結構恐ろしい?
恐る恐る、といった様子で彼女の顔をチラと見た。

「んっ、はいですっ!」

なんて、差し出した手を掴めばぷにゅ、と妙に柔らかい感触が手袋越しに伝わるだろう。
そんなことはいざ知らず、友人の家に遊びに行ける興奮でスキップしながら彼女の横について進む

ティアフェル > 「乙女でいるのも苦労するよねー」

 にこにこ、と彼女にはごく親し気に笑い掛けながらも……乙女はそんなことしない、という事実はガン無視だ。
 チラ見されて、しーちゃんには影響ないから大丈夫よ~とゆるぅく手を振り。

「小さくって柔らかぁい。女の子の手だぁ。えへへ、しーちゃんがくれるならとっておきのお菓子とお茶と……あ、そーだ、遅いから泊ってく?」

 まんまと女の子を連れ込む(※友達が遊びにくるだけです)ことに成功した。にまにま上機嫌でお手々つなぐと柔らかい。過剰に柔らかい低反発な彼女の手。でも女の子の手ってこんなだったかな~とそういうことにして、幸い途中でそれ以上は絡まれることなく、やがて貧民地区から平民地区へ移行してゆき。

シルニア > 「わ、お茶もお菓子も楽しみですっ。でも食べ過ぎないようにしないとぉ...前の喫茶店の時のように後悔するのです...」

ずん、とあの日の後のことを思い出して、同じ過ちを繰り返さまいと決意。
今日は我慢するのです。

「え、お泊まりも良いのですか?ちょうどお宿の契約切れてたので助かるのです。
あっ、え、えっと、お邪魔じゃ無ければ、ですよう?」

続く提案に表情を輝かせ。友達の家にお泊まりなんて、いつ以来か。楽しい夜になりそうだな、なんて考える私は、就寝時には帽子を脱いだりしなくてはいけない事など忘れていて.. 。

ティアフェル >  という訳で話はまとまった。

 純真な少女を一名、自宅へお連れすることが適えば、こっちこっちーと手を引いてそのまま冒険者ギルド近くに立つ三階建ての下宿屋へと舞台は移るのであった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシルニアさんが去りました。