2021/04/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に黒須さんが現れました。
■黒須 > (貧民地区はいつも通り雲がかかり、雨が降りそうなどんよりとした空気だった。
外はどこも荒れていて、汚れて居た。
人生の最下位、失敗者の集う夢も希望のない街であった。)
「・・・。」
(そんな町のとあるひとつの家、黒須の事務所でのこと。
彼は普段通り眠っていた。
狐の様なふわふわとしたしっぽを垂らし、犬らしいピンとした耳を表に出しながら、顔に帽子を被り眠っていた。
今日は客も来ないために平和だと思い、昼寝をして過ごそうとソファでくつろいでいるのだ。)
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」から黒須さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にゲーゲン・アングリフさんが現れました。
■ゲーゲン・アングリフ > 「ありがとうございました」
最後の客を見送り、一礼をした男は。
ふぅっ、と短く息を吐き、店内の片付けに入る。
ここは貧民地区、裏路地にあるとある酒場。
珍しく数人の客があったものの、基本的には流行らない店である。
「さて、これで一息……」
まだまだ閉店時間、というわけではないが。
客が途切れたため、少し気を抜く男。
店内の片づけを終え、カウンター内に戻ると。
イスに座り、のんびりと次の客を待つ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にティーラさんが現れました。
■ティーラ > 依頼で足を踏み入れた貧民地区。
余りこの辺りは詳しくはないが少し散策しておこうと裏路地を歩けば一軒の酒場を見つけ。
こんな場所に珍しいと興味を持つとそのまま足を踏み入れ。
「今……やってます?」
足を踏み入れ店内を覗き込めば客の姿はなくカウンター内に店員と思われる男性が一人だけ。
もしかしてもう店は終わっている?そんな事を考えると確認するように声をかけて。
■ゲーゲン・アングリフ > 「ん……」
ドアの開く音に、男は店の入り口に視線向ける。
そこには、あまり貧民地区には似つかわしくない。
かわいらしい、という印象の少女。
男は、相手の問いに笑顔を浮かべ。
「はい。もちろん。
お好きな席へどうぞ」
そう言い、イスから立ち上がり。
コップに冷えた水を用意する。
「お客様……お食事で?
それとも、依頼の受注ですか?」
相手の容姿や服装から、素性を読み解くことができなかったため。
男は、確認のためにそう尋ねる。
……この店では本当に稀有なことではあるが。
一応、酒場だけではなく、冒険者の宿としての営業もしているため。念のため、であった。
■ティーラ > 声を掛ければお好きな席にという男性に軽く頭を下げ。
どの席にしようかと見まわし、折角なのでカウンターの隅の席を選んで腰を下ろす。
そして冷えた水が用意されるとコップを手にして一口。
「気になって覗いたんだけど……軽食…あります?
…ここ、仕事も受けれるの?」
男性の言葉に軽い食事があればそれをお願いしたい事を伝え。
依頼と聞くとここはギルドも兼ねているのかと驚き、もう一度店内を見まわし。
「どういう依頼…あるかも教えて欲しい」
食事はとるが依頼は内容次第、どういうのがあるのかと先に訪ねて。
■ゲーゲン・アングリフ > 相手がカウンター席に座れば、男は水を差し出す。
そのまま、接客モードに入る男。
相手からの注文を聞けば、笑顔のままうなずき。
「軽食で。かしこまりました。
ハハハ、見てのとおりの寂れた店ですが。
一応、ギルドから依頼が回ってくることもございますよ」
がさごそと準備をし、慣れた手つきで調理を始める。
クエストボード自体は無いが、一応、依頼書もしっかりとあるため。
男は、ふむ、と頷きながら。相手に料理を差し出す。
皿に乗せた、パンで野菜を挟んだ物と、暖かいスープだ。
「今ですと……。薬草採取に、鉱石採掘。
後は、低級妖魔の討伐に、浮気調査に、飼っていた猫の捜索……。
それと、とある貴族の素行調査、といったところですかね」
依頼書を見つつ、そう言う男は。その内容に、にへら、と苦笑して相手を見て。
『あまり魅力的な依頼ではなく、申し訳ありません』などと、頭を下げる。
■ティーラ > 「それでお願い。
そうかも知れないけど……騒がしいよりは落ち着けるから、私は好きかも。
意外……回ってくるんですか」
調理ができるまでの間は時間が出来、男性が調理をする様子を眺めるが手慣れた姿に感心し。
貧民地区の路地裏の酒場にもギルドの依頼が回ってくるのを初めて知ったと驚いた顔をみせ。
そうして料理が差し出されると、美味しそうと呟き野菜が挟まれたパンを手にして口を付け。
「魅力的な依頼は危険なのが多いから……それに魅力ない依頼も大事だと思います。
誰も受けないのでしたら……薬草採取、それを受けますよ」
苦笑し、頭を下げる男性を見つめては静かに告げ。
パンを置きスープに口を付け、美味しさに頬をほころばせて。
■ゲーゲン・アングリフ > 「そう言っていただけると、救われますね。
立地のせいなのか、どうにも。毎日この有様で。
えぇ。あぶれたような仕事や、誰もやらないような面倒な仕事が」
ふふっ、と笑いつつ。男はそうしゃべりつつ、調理を進めていく。
流行らない店であると自覚はしつつも、やはり現状をさびしくは思っているらしく。
好き、と言ってもらえたことを本当にうれしく思っているらしい。
「ありがとうございます。お客様の言葉には、本当に救われますね。
かしこまりました。では、こちらが依頼書になります。
詳細は記載してありますので」
優しさすら感じる相手の言葉に、男は頭を下げ。
綺麗に丸めた依頼書を相手に向かって差し出す。
同時に、依頼受託に対しての前払い分の報酬の入った袋も相手に渡し。
「……ふむ」
そこで、男は一度そう短くつぶやき。
カウンターの中で、何かを探し始める。
小さな戸を開けて、あれ? とつぶやいたり。
棚を覗いて、あったあった、などとつぶやいたりしつつ。
■ティーラ > 「立地は仕方ないと思いますよ。
この辺りは危ないですし……余りこれませんから、静かに飲みたいとか…重宝しそう。
薬草採取や鉱石調査……新人向きだと思いますけど、受けないんですね」
やっぱり皆派手で目立つ依頼がいいのかとそんな事を考え。
もし貧民地区ではなく平民地区にあれば隠れた名店になりそうだと残念そうに思い。
場所が場所だけに頻繁には来れないがまた来たい店に思えて。
「私は思ったことを言っただけだから…お礼を言われるほどでもないです。
……確かに、これなら直ぐに集めれると思います」
男性が頭を下げると首を左右に振ってみせ。
丸められた依頼書を受け取ると早速中を確認、これならば直ぐに集める事が出来るとみて。
同時に前払いの報酬を受け取れば、成功報酬でなくていいのかと男性を見てしまい。
「……どうかしました…?」
男性が小さく呟き何かを探し始めれば、依頼で大事な事があったのか。
そう思いなんだろとカウンター内を覗き込もうと身を乗り出して。
■ゲーゲン・アングリフ > 「そうですねぇ。
やっぱり、依頼よりは、静かに酒を、っていうお客様が多いですね。
新人冒険者さんたちは、もっと、目立つお店で依頼を受けますから」
そもそも、人が来ないのであれば依頼も受ける人がいないのである。
だが、だからこそ。静かな店、という環境は提供できる、と。
男もそこだけは微妙に自慢に思っており。
「いえ、お客様からのお褒めの言葉などは。
やはり、大変ありがたいものですよ」
相手からの言葉に、男は再度頭を下げる。
そのまま、相手からの視線に気づけば。
『その依頼は、前払いと成功報酬で、半分ずつの報酬なんですよ』と説明しつつ。
「いえいえ、少々お待ちください」
自身の行いに対し、声をかけてくる相手に優しい声色で返答し。
男は、そのままガサゴソと何かを探し続け……。
そうして、ようやっと落ち着けば。相手に向かって、皿に乗った小さなケーキを差し出す。
「実は、最近デザートメニューの開発に着手しておりまして。
よろしければ、ご意見などいただきたいのですが……」
そう言いながら、相手に向かって笑みを浮かべる男。
差し出したケーキは、純白のクリームに、イチゴの乗っている。
お手本のようなケーキであった。
■ティーラ > 男性の言葉にそういうお客がやはり多いのかと納得し。
新人ならここに来るのが先ず一苦労、中堅が受けるような依頼でない物も多いから残るのかと。
静かに時間と食事を楽しみたいときはまた来ようと決めて。
「そういうもの……?
ここ、平民地区にあったら繁盛すると思いますよ」
男性の言葉にお客も来やすいし居心地がいいだろうと思い。
それだけに貧民地区の裏路地にある事が残念。
そして疑問に気が付いたのか男性の言葉に納得して。
少々待つようにと言われればそれ以上は聞いたりはせずに身を引き。
軽食を口にしては時々に男性の方へと視線を向け。
そろそろ食べ終わるという頃になり、お皿に乗ったケーキが差し出されて首を傾げ。
「色々とやってるんですね。
私でいいなら……頂きます」
純白のクリームにイチゴの乗ったケーキと言えばこれ、というお手本のようなケーキ。
最初は少し観察するように見てからフォークを手にして一口。
軽食を食べた後のせいなのか少し甘みが少ない?と思いはするが美味しく。
男性に美味しいと伝えれば一口二口と食べ進めて。
■ゲーゲン・アングリフ > 「ハハハハハ、本当にありがとうございます。
う~ん……移転するお金があったら、平民地区に、というのもアリですかねぇ」
現状の稼ぎでは、なかなか難しい、と考えつつ。
相手からの言葉に、なるほど、とうなずく男。
店の立地が問題なら、別の場所に行くのも手か、と。
その指摘に心底驚いた様ですらあった。
「えぇ。こぅ、一応。
お客さんを呼び込もう、という思いはありますので」
相手の指摘には、困ったような笑顔になるものの。
相手がケーキを試食してくれるのを見て、一安心、といった様子になる男。
そうして、美味しい、と言われれば。それまで以上に、満面の笑みを浮かべ。
「あぁよかった。なにせ、ケーキなんて作りなれてないもので」
そう言いつつ、男は何気ない仕草で葉巻を取り出し、吸い始める。
完全に手癖、といった様子であり。男自身、吸ったことに気づいてから。
「……っ。あ、も、申し訳ありません」
と謝罪する始末であった。
■ティーラ > 「ここは良いお店だと…私は思うけど。
場所的に来るのが……少し大変ですから」
もし移転をするなら場所は聞いておきたい所。
ただ実際は移転するかどうかもわからないので聞くの悪いと思い口にはせず。
驚いた様子を面白そうに見るだけで。
「呼び込みには…いいと思いますよ。
でも……食べに来るのが…」
自分はまた食べたいと思う味。
きっと話が広まればお客は増えるだろうが、やはり来るのが大変という事をまた口にして。
それでも美味しいのは本当で満面の笑みを浮かべる男性を時折に見ては食べ進めて。
「初めてでこれなら…凄いですよ。
大丈夫です……慣れてますから」
慣れた様子で葉巻を吸いだす姿も特に気にしないで軽食とケーキを食べ終え。
最後にと水を口にしていると突然に謝られて何がと判らず。
それが葉巻の事と判れば大丈夫ですと小さく笑みを見せて。
■ゲーゲン・アングリフ > 「そのお言葉だけで、明日以降の仕事もがんばれますよ。
そうですね。それは、私もそう思ってます」
せめて貧民地区でも、大通りに面していれば、と思う男。
もしも移転することができるのであれば、立ち寄りやすい場所にしよう、と。
少し、真剣に考えるのであった。
「ただ、この店に来るお客様が。
ケーキを求めるか、というと疑問ですがね」
ハハハ、と苦笑する男の表情には、ちょっとだけ悲哀があった。
だが、相手がケーキを食べ進めてくれるのを見れば。
嬉しそうに、満足そうに頷く男である。
「ありがとうございます。
……本当に、申し訳ないです。
どうにも。辞められませんで」
相手の許す言葉に、深く頭を下げつつ。
男は、葉巻を吸い、煙が相手のほうへと向かわないようにする。
「他に、ご注文などございますか?
あるいは……お飲み物か。雑談だけでも大丈夫ですが」
相手が軽食とケーキを食べ終えたのを見て。
男は、そう尋ねる。
その問いは、あまり商売っ気のない問いかけであった。
■ティーラ > 「また…この辺りに来るときは寄りますね。
もし場所が変わるときは……教えてください…」
男性の言葉を聞くとまた来ようと思え、何時かは判らないがまた来ると告げ。
結局は移転をすることが決まれば教えてくださいと言ってしまい。
「……偶にはいるかも、しれませんよ?
でも……お客は男の人、多いですよね…」
悲哀を見せる男性の顔に視線を少しだけそらせてしまい。
きっと場所的に客の層は男だろうと、そういうのが甘みを果たして求めるかは未知数。
男性の努力が実ればいいとこっそりと祈って。
「誰にでも…そういうのはありますから。
気にしないで…吸ってください」
本当に気にしなくていいのだが煙が来ないように気を使われ。
なんだか少し申し訳ない気持ちになってしまい。
「……ケーキでお腹いっぱい…ですし……。
何か面白い話とか…あります?」
追加の注文を考えるが浮かばず、そして何か話そうにも出会ったばかりでは話題も浮かばず。
何かこの辺りで面白い話があれば聞いてみたいというように告げて。
■ゲーゲン・アングリフ > 「是非。お待ちしております。
はい。その時は間違いなくお伝えいたしますよ」
再度の来店、という言葉に男は嬉しそうに笑いつつ。
もしも移転することが決まったら、必ず伝えます、と。
どうにも、店を評価してもらえたのが嬉しいらしく。
喜びを隠し切れないでいる。
「そうですねぇ。だといいんですが。
……ウチにくるお客さんのほとんどが男性で。
しかも、酒を飲むのが大好きなんですよね」
さすがに、酒のツマミにケーキを頼む物好きはいない。
そして、飲んで最後の締めにケーキを頼む男も、なかなか珍しい。
なので、男はどうにも悲しそうな表情であった。
「ははは……やはり、お客様が男性ばかりなので。
ついつい、といいますか」
言い訳じみたことを言いつつ。男は、葉巻を味わっていく。
そのまま、相手の言葉を聞けば、ふむ、と考え込むようにし。
「そうですねぇ……。
面白い、というとなかなか難しいですが。
お客様は、可愛らしいので。
やはり、貧民地区にいらっしゃる際は気をつけたほうがよろしいでしょうね」
などと、普通のアドバイスをして……。
「ただ、やはり貧民地区には、なかなか面白い店も多いですね。
レアなマジックアイテムを扱う店や、一風変わった宿。
あとは、珍妙な生物を見た、なんていう噂もありますし」
その上で、貧民地区で聞いた噂などについて語る男。
相手の食後の皿などを手に取り、片づけをしつつ。
冒険者が喜びそうな話を思い出そうとしていく。
■ティーラ > 穴場の店を見つければまた来たいと思うのは当然だという考え。
もし移転するとしても場所が教えてもらえるなら来る楽しみも増え。
ほとんど決まった範囲で決まった店しか回らない身としては新しい場所を見つけれたことに満足して。
「お酒を飲む人は……甘いより…辛いですよね?
家族連れや……女の人は……」
場所的に来ない、もしくは来ても酒を飲むとすぐに判るがつい口にして。
男性の努力は実りそうにないと思うと視線を伏せてしまい。
「酒場……普通はそうですから。
私は大丈夫……ですよ」
おかしな薬が混じっているわけではないただの葉巻。
ものにもよるがいい香りがする物もあるのでどうぞと告げて。
「この辺りは…依頼以外で来る理由はここだけです。
なので気を付けてくるようにします」
不用意にうろうろとして襲われたくはないと頷いて。
「そういう場所や話……あるんですね。
マジックアイテムはそれほど……ですけど、動物は気になります」
お皿を下げながらの話、珍妙な生物に興味を示してマジックアイテムはそれほど。
冒険者をしてはいるがそのあたりの考え方は女の子としてが強く。
どういうのですかと食いついていき。
■ゲーゲン・アングリフ > 「そうなりますね。それか、塩味の強いものですとか。
……そういったお客様たちは、ほとんど来ないですねー」
店の営業を初めて以来、家族で、という客は皆無。
女性客に関しても、冒険者が来るのが少しだけ、という有様。
なので、やはりケーキに関しては、あまり努力の方向性が正しいとも思えない様子だ。
「そうですね。
ただ、私も歳が歳ですから。
辞めようとも思うんですがね」
習慣付いていると、なかなか、と。
男は、苦笑を増やしつつ、男は相手との会話を楽しんでいく。
「ははは、本当に。
お客様のお言葉は嬉しいものばかりですね」
貧民地区に来る理由として、自分の店が並ぶのであれば。
光栄の極みである、と。男は何度も頭を下げる。
「なにせ、入り組んでいますし。
平民地区や浮遊地区よりも、『色々な人』が訪れますから。
動物ですか。そうですね……。
小さくて、もふもふとした毛に覆われたすばしっこい丸い影、ですとか。
後は、新種の魔物なのではないか、と言われている不定形の影ですとか?
それこそ、可愛らしいものから、ちょっと怖そうなものまで。
色々と目撃されているようですね」
実際、男が見たわけではないが。
路地裏で人を襲った動物がいる、という噂から。
やたらに可愛いが、逃げ足の速い動物の噂まで。
そういった噂は、貧民地区だと事欠かない。
■ティーラ > 男性の話を聞くとやはり酒の当てとなればそういう物が好まれる。
女性も冒険者となれば酒やそういう物を頼むだろうと。
折角の美味しいケーキも頼む人が居なければと悲しくなり。
「でも……好きなら無理に辞めなくてもいいと…思います。
だって…楽しみなんでしょう?」
習慣を無理に辞めたり楽しみがなくなると老けると聞く。
苦笑をする男性の年齢は判らないが楽しみは大事にした方がいいとアドバイスをして。
「そうだったら……いいですけど…」
こう何度も頭を下げられると照れてしまい。
熱を持った頬を隠すように視線を下げて。
「通りは良いですけど……裏路地は迷路になってますから。
いろんな人……聞かない方がいい人も…来てそう。
そんなに色々……?来ていれば見れそう、だから楽しみが…増えました」
危険な動物は別として可愛い物には興味を示し。
依頼とこの店以外は用はなかったが……ほかにも興味を持つものを知ってしまうと聞き入ってしまう。
■ゲーゲン・アングリフ > 「そうでしょうかね。でも、そうですね。
まぁ、辞めるとしても、無理なく辞めるとしましょうか」
意図して辞めるのではなく、自然と辞める方向性で考えつつ。
男は、相手の言葉に、照れたような笑みを見せる。
「あまり、ウチのお客様だと。
お褒めの言葉はいただけないので。
お褒めいただけると、励みになります」
正直に、嬉しい、ということを伝える男。
相手が視線を下げるのを、おや? と思いつつ。
「本当ですね。裏路地は私もあまり立ち入らないようにはしていますが。
実際、この店も裏路地ですしねぇ。
ふふっ、危険な動物にはお気をつけくださいね?」
危険な動物、には。危険な人物も含まれている。
貧民地区を活動の拠点としている、危険な人物も多い。
なので、そこは念を押しておきつつ。
看板動物的なものを飼うと客足も伸びるかなぁ、とか考える。
■ティーラ > 「無理をしたら……代わりに何かって聞きます。
ですから…無理なくできないなら、続ける方がいいです」
葉巻をやめてお酒が増えたなどになれば本末転倒。
照れたような笑みを見せる男性に気長にというように告げて。
「酒場ですし……仕方ないです。
そうですか……だったよかった…」
男性の言葉に真っ直ぐに見れなくなるほどに顔が熱く感じ。
火照った顔を冷やしたく、うつむいたままお冷を願いして。
「私も……偶々来て見つけましたから。
他の用のない路地には……入りません…。
ここは危険なのが…多すぎです…」
寧ろ動物よりも人間の方が危険な王都。
そちらを心配して、帰り道は何処を抜けようと考え始めて。
■ゲーゲン・アングリフ > 「あぁ、そういう話もよく聞きますねぇ……。
う~ん。そうなると、本当に無理しないほうがいいでしょうか」
相手の指摘に、うむむ、と首を傾げる男。
確かに、葉巻の代わりで、貧民地区で流行っている別の物、なんてことになったら。
後々大変そうであるからして。
「そうなんですよね。
でもまぁ、来ていただけてるだけでもありがたいのではありますが。
お客様のようにお褒めの言葉を下さる方は。本当に、かけがえないです」
どこまでもまっすぐに感謝する男であったが。
相手の注文に、再度冷えた水を差し出し。
「ふふっ、ではその偶然に感謝ですね。
日によって危険度も変わるでしょうが。
危険な香りがする時は、貧民地区そのものに寄らないほうが無難でしょうね」
う~ん、とうなりつつ。男は相手の様子から、ふむ、と声漏らし。
「お帰りの際は、店を出てすぐ右側に向かうといいですよ。
あまり時間がかからないで大通りに出ることができますので」
相手の姿などを考えると、少し心配になったので。
男は、そう一言添えておく。
■ティーラ > 「おすすめは……何か趣味か…運動がいいらしい…です」
首を傾げる男性に聞いた話をそのまま伝え。
葉巻の代わりに何を選択するかは男性が選ぶことなので強く押したりはせずに。
「でも……今のケーキなら…平民地区でそれで商売、出来ると思います。
私は気に入ったので…また食べに来ます。
……褒めても何も出ません」
真っすぐな感謝に何も出ないと小さく返し。
冷えた水が差し出されると勢いよく飲んで火照りを冷まして。
「本当に偶然に来ましたから…。
それは判るので大丈夫です……なので…頻繁には来れないです」
もし一番危険な時に足を踏み入れれば結果は一つ。
共有品にされるか奴隷にされてしまうか、そんな禄でもない先なので近寄る事はしないと。
「そっちが近道…ですか?
助かります、来た道を戻ると時間がかかりますから」
男性に教わったルートが正しいかはまだわからない。
しかしこの人なら騙しはしないだろうと信じてお礼を口にして頭を下げて。
■ゲーゲン・アングリフ > 「趣味か運動、ですか……。
ふむ、そうなると。少し、冒険者の真似事でもしてみましょうか」
一応、店に溜まっている依頼で誰も手をつけないものは。
この男がたまに処理していくこともあるのだが。
それも、もしかしたらちょっといい運動くらいにはなるかもしれない、と。
「本当ですか?
それなら、一安心ですかね。
ふふっ。なら、ケーキは準備しておきますよ」
相手の言葉に、心底嬉しそうにする男。
褒めても、と言われても。素直に感謝しているだけですよ、と。
なにか、からかうような雰囲気も漂わせて伝えなおす男。
「逆に言うと、偶然でもないとたどり着けない場所なんですよねぇ。
えぇ。貧民地区には頻繁に来ないのが一番です」
この場所には、さまざまなお宝もあるが。
その分危険も盛りだくさんである。
なので、ここに頻繁に来るようになるというのは。
あまり、推奨されることではない。
「近道でもありますし、安全な道でもあります。
まぁ、比較的、ではありますが。
お客様みたいに、良い人には、安全に帰っていただきたいですから」
食器の片づけを終え、男は葉巻を金属の皿に押し付け、消す。
そのまま、相手に向かって視線を向け。
「そういえば、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
と。ここで、相手の名を尋ねるということを。
思い出したように、そう口にした。
■ティーラ > 「真似事?だったら……タイミングが合えば、手伝えるかもしれないです」
酒場の店員に真似事は言え冒険者が出来るとは…失礼ながら思わず。
もしタイミングが合えば手伝いますと告げて。
「つまらない嘘は言いません、平民地区にないのが残念です。
…来れない時が多いですし、来た時にあればで…大丈夫せすから」
揶揄うような空気を感じながらに男性に素直に答え。
ケーキは着た時にあればいいと静かに返して。
「それだけ……運がよかったみたいです。
依頼と…ここに以外は来ないと思うので大丈夫ですよ」
貧民地区で本格的に何かを出来る腕がるとは思ってはいない。
色々とあるだろうがそれよりも身の安全が第一、最低限以外は来ない予定だと男性を安心させようと告げて。
「地元の人が言うなら安心できそう。
あなた……いい人です」
安全に帰っていただきたいという言葉にこの人は良い人だと笑みを見せ。
食器が片付き、男性が葉巻を消せばカウンターにこれぐらいかなという代金を置いて席を立ち。
「名前……?ティーラです」
思い出したというような男性の言葉につい反射的に答えてしまい。
■ゲーゲン・アングリフ > 「そんな。ご迷惑をおかけするわけには……。
ですが、正直、助かりますね……」
相手からの提案には、恐れ多い、というような様子になるが。
男自身、そこまでとてつもなく強いわけでもないので。
手助けは、とても助かる、と言い。
「ふふっ、嬉しいです。
いえいえ。準備するの自体は楽なので」
基本的に、暇な店ですから、と。
自虐的なことを言いつつ。いつしか。
相手を見る瞳は、かすかに心配そうなものになっていた。
「そうですね。あぁ、そうだ。
もしも厄介ごとに巻き込まれたら、ウチの店に逃げ込んでください」
一応、貧民地区は長いので。
トラブルから匿うくらいはできますよ、と。
男はそう言って、相手の言葉に、少しは安心したように。
「ははは。そうでしょうかね?
でも、えぇ。信頼していただけるのも、嬉しいです」
いい人、と言われれば、照れたように笑いつつ。
相手から受け取った代金を確認し、お釣りを返す。
この店で提供している食事や飲み物などは、やはり貧民地区のみせということもあり。
そこまで高くは無い、というかぶっちゃけかなり安いし。
デザートは、試食を頼んだものなので、代金を受け取るつもりもなかった。
「ティーラさんですか。私はゲーゲンと申します。
ぜひとも。ウチの店を贔屓にしていただけると、嬉しいです」
相手の名を聞けば、男も名乗り。
深々と一礼をして、相手に対して来店の感謝を伝える。
■ティーラ > 「依頼があるなら…受けるのが冒険者です。
それに……一人より、二人の方が早く安全です」
男性の強さは判らないが、きっと残っている依頼を処理しようとしているのだと思い。
もし何かあれば店がなくなってしまうと思う、それなら手伝おうと考えて。
「それでも…いつ来るかわかりませんから。
無駄になったらもったいない…です」
暇でも来ないともったいない、なのであるときでと少しだけこれは念を押して。
「もしそうなったら……そうします。
お礼は……大した事できませんけど……」
厄介事を持ち込んでしまう事になるが男性の言葉にその時は甘える事として。
ただお礼は大したことは出来ないと先に告げて置き。
「私はそう思いましたから。
それだけで……いいんですか?」
照れたように笑う男性に自分はそう感じましたと伝え。
思っていたよりも安い事に驚き、でも値引きをされた様子もないのでそのままお釣りを受け取って。
「ゲーゲンさんですね。覚えておきます。
また……来ますよ。では今日は失礼します。美味しかったです」
深々と一礼をする男性に小さく笑いを零して微笑み。
また来ますと小さく告げるとドアを開けて去っていき…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からティーラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からゲーゲン・アングリフさんが去りました。