2021/04/06 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 廃屋街の一角、人通りも少ないこの場所はいつもならば静かなものだが
今日は少しばかりにぎやかだ。
一軒の廃屋の窓枠を突き破り、窓ガラスが割れて、男が一人道端に投げ出された。
顔面に痣を作り、口の中を切っているのか血を流している男は
情けない悲鳴を上げて、よろよろと逃げていく。
窓が敗れると、その廃屋からは壁にぶつかる音、怒号、打音、そして女の悲鳴が
街路に漏れ出してきた。
しばらくすると、ひときわ大きな男がドアをぶち破って外に転がり出る。
さらに一呼吸おくと、数人の男がぼろぼろになりながらもそのドアから逃げていく。
大男を引っ張りながら。
「こんなもんか」
その廃屋の中に残ったのはフードをかぶった冒険者と、衣服の乱れた女一人だけ。
今回は依頼というわけではない。
たまたまだ。貧民地区のとある娘がかどわかしにあったという。
ギルドに頼んでいたら間に合わないということで、おせっかいながら首を突っ込んだわけだ。
■ブレイド > 女に毛布をかぶせると、さっさと帰れと促す。
頭を下げて駆け足で漁っていく女を見届ければ
ふぅっと、ため息。
似合わないことをしているものだ。
強化付与を施してしまえば、このあたりのごろつき程度は束になったところで敵はない。
とは言え疲れはするし、囲まれてしまえば無傷というわけにもいかない。
顔面と腹にいいのを食らってしまった。
頬が少し腫れているかも知れない。少なくとも口の中は切ってしまっているようで
血の味がする。
「はー、つかれた…」
素手での大立ち回りなど久しぶりで、流石に慣れない喧嘩に疲労の色が濃い。
そのまま廃屋の床に座り込んでしまう。
■ブレイド > 殴った拳だって当然のように痛い。
全く無駄に硬い骨をしやがって。
ヒリヒリと痛む手をブラブラと振ってから、ゆっくりと立ち上がる。
ドアが壊れてしまったこの家で一休みというわけにもいかない。
場当たり的な誘拐、大して高くない統制、恐らくマフィアや奴隷商の組合とは無関係な
それこそカネに困った貧民が集まって行った程度の犯行だろうし
報復はないとは思うが、戸締まりも出来ない場所に長居はしたくない。
ふらりと街路にでれば、さてどうするか。
大事を取って平民地区まで行って宿でもとっておくか?
とりあえず人通りの多い通りへと足を向ける。