2021/03/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > その声は、屋根の上にまで届いていた。
そう、今日も今日とて、屋根伝いの散歩。
そんな散歩の途中、そうした声が聞こえれば、興味が向かない訳がない。
…己がその相手であれば、特に、とも言えよう。

まぁ、そこに居る少女からすれば。
野次馬第一号、である訳なのだが。

とん、とん、と元居た屋根から、低い屋根、低い屋根と移動をし。
すとん、と少女と酔っ払い達の側へと降り立つ人影。
ぱっと見れば、それが人間で無い事は、すぐに分かるだろう。
着物と言う異国風の衣裳、狐の耳に、複数の尾を持つ少女の姿なのだから。

アルシェ > 「あー、もー……聞く耳持たないって、こういう感じなのかなぁ……」

先程とは違って乱暴な手つきで、こちらへと掴みかかってくる酔っ払いの手を掻い潜り。
そのまま通り抜けようとしたのだけれど、二人組のもうひとりが道を塞ぐように立ちはだかる。
喧嘩とか暴力沙汰とかは、あまり好みではないために、狭い路地で立ち往生したところに振り返った酔っ払いがまたしても襲い掛かってくる。

今にも飛び掛かろうとした酔っ払いの目の前に、突然に小柄な人影が現れる。
それは構えようとしていた少女の目にもはっきりと映る。
ただその影がどう見ても上から降ってきたように見えて、ぽかんとしてしまい。

「へ…? 空から、女の子? が降ってきた…?」

変わった衣装に身を包んだ少女。
ふさふさの尻尾をいくつも靡かせた姿は、幻か何かと言われた方が納得がいくもので。

タマモ > 言ってしまえば、少女と酔っ払いのやりとり、その声はしっかりと聞こえていた。
が、少女の言葉と、ぱっと見た状況から、何と無く状況を察すれば。
その興味は当然、少女に向く訳だ。

「いやいや、降って来た、と言うよりは?
降りて来た、が正しい表現じゃぞ?
ほれ、そこにもあそこにも、飛び降りれる場所はたんとあるじゃろう?」

違う違う、と手を振りながら、少女の言葉に答えつつも。
間に入った感じになってしまった為、こちらに飛び掛るようになった酔っ払いの一人。
するりと伸びる手が、その相手の腕を掴めば、くるん、と器用に捻り。
勢いをそのまま利用し、少女の横をすり抜かすようにして、挟んでいたもう一人の酔っ払いへと軽く投げ飛ばす。
流れるような動きだ、まるで相手が勝手に吹っ飛んだように見えるだろう。

「………さて、すまんが、妾はこの女子が気になってしまってのぅ?
妾に、気前良く譲ってくれんか?
でないと…今度は、頭から壁に突っ込むかもしれんが、どうする?」

くるりと振り返り、何事もなかったかのように酔っ払いへと伝えれば。
ぽかん、としている少女、その肩へと手を伸ばし抱き寄せてみようとするのだ。

アルシェ > どうやら言葉は通じるらしい。
こちらの独り言に反応して、律儀に訂正を入れてきた相手。
飛び降りれる場所と言われて、そこから上を見上げてもあるのは屋根くらいのもので。

「……普通は、屋根から飛び降りたら怪我すると思うんだけど。」

ぽつりと、そう零す。
けれど酔っ払いにとっては、誰がどこからやって来たかなど些末なことだったらしい。
飛び掛かった勢いをそのままに、というか途中で軌道修正することもできずに突っ込んでいく。
あわや衝突するという事態に、「あっ」と声を上げそうになるけれど。

「え…? おぉ? 飛んでちゃっ…た??」

投げ飛ばしたように見えたけれど、少女が力を込めたようには見えない。
どうやら相手の勢いを利用したらしいとは察するものの。
自分では逸らすだけで精いっぱいだろう。

「ん? えと? あれ…?
 ワタシノタメニアラソワナイデ、とか言えばいいの……かな?」

切れの良い技に感嘆していると、不意に身体を抱き寄せられる。
背丈だけなら自分とそう変わらない少女がいつの間にかすぐ隣に立っていて。
男たちが何やら捨て台詞を置き土産にして、あたふたと駆けていくのを見送ることになる。
何故だか景品のような扱いになっている自身の立場に首を傾げてから。

「助けてくれて、ありがとう…?」

さっきのは言葉の綾ってやつだよね?と、未だに自信を抱き寄せたままの少女に向かって、自信なさげなお礼を口にして。

タマモ > 「………」

己の言葉に、上を見上げ、屋根を確認する少女。
そして続く言葉に、己も上を見上げ、改めて少女へと視線を戻す。

「…気にしたら、負けじゃぞ?」

そして、向けた言葉がこれである。
勝ったとか負けたとか、そんな問題でも無い気がするが。

とりあえず、次に視線を酔っ払い達へと向けて。
狙い通り、投げ飛ばしたのを確認すれば。
少女も何か言っているようだが、酔っ払い達も何か言い、駆けて行ってしまう。
その姿が消えるまで、のんびりと眺めながらも。
その手はしっかりと、少女の肩を抱いたままなのである。

「うむ、争う…と言う程でも、無かったがのぅ?
もっとも、助けずとも、切り抜けられたのではないか?
まぁ、妾は妾で、お主に興味が湧いたから、丁度良かった訳じゃがな?」

首を傾げ、己へと問うように礼を。
そんな少女を見詰めながら、ずぃっ、と顔を寄せ、こう伝えるのだ。

「で、何をしておったか知らんが、一緒して良いかのぅ?
これも何かの縁、と言うものじゃ」

アルシェ > 相手が同性の、自分とさほど年も変わらないような相手であれば、
しかもそれが助けてくれた恩人ともなれば、多少のスキンシップにも何かを言うこともない。
とりあえずは這う這うの体で逃げて行った男たちを「お酒も程々にしといたほうが良いよー」と見送って。

「どうだろ……?
 ふたりだけならやっつけるのは問題なかったと思うけど。」

問題があるとすれば仲間を呼ばれることとと、狭い路地での立ち回りと言ったところ。
スピード重視の少女としては、広い場所での方が戦いやすい。
確認するように尋ねられると、うーんと指先を頬に添えて予測してみる。

「飛び道具とか使われると厄介だったかな。
 私としても、さっきの投げ技には興味があるんだけど、何に興味を持たれたのかは気にしたら負けな案件だったり?」

何がどう丁度よかったのか。
その辺りもきっと気にしたらダメなのだろう。
細かいことは、気にしない方向でと切り替えると、ここにやって来た目的を告げる。

「うん、この辺りに美味しいって評判の穴場のお店があるって噂で聞いたんだけど。」

知ってる? と、逆に尋ね返し。

タマモ > どちらにせよ、素面でない相手だったのだ。
性別もあるが、己の方がマシ、とも思えるものだろう。
…いや、もっと深く探れば、本当にそうかは微妙かもしれないが。

己の問いに対する、少女の答えを聞けば。
ふむ、と軽く頷いた。
確かに、この狭い場所では、力の差があるとちと辛いか。
素早い動きも、制限が掛かってしまうのだから。
後、飛び道具も、確かに厄介やもしれんな…とか何とか、己も思案し。

「うん?…投げ技…あぁ、あれは柔術の技じゃな、そう大した技ではないのじゃ。
それに関しては、普通に分かるものと思うがのぅ…
女子一人で、ここで何をしていたか、とか。
聞こえた声の主が、どんな相手か気になった、とかな?」

ひらひらとまた手を振りながら、投げ技に関しては、さらりと答える。
そして、後者はどうとも答えようがあったが、普通に答えておいた。
心の中で、どんな相手か分かったので、そこにも興味が湧いた、と付け加えて。

「あー…いや、それはあれじゃ。
普通に知られておらんから、穴場、と言うんじゃろう?
さすがに、妾も細かい事は知らんのぅ…
しかし、美味いと評判のある店ならば、妾も味わってみたいものじゃ。
ならば、共に探してみるか?
そう言った店ならば、そう人が行き交う場所にはあるまい」

その店にも、確かに興味はあるが。
それとは別の、あらぬ考えも頭に浮かんでいるが、それは秘密だ。
少女がそれに賛同し、共に探しに行こう、との話の流れになるならば。
とりあえず、少女を連れ立ち、移動をしようと。

アルシェ > 「じゅーじゅつ? 変わった名前の技なんだね。
 ああいうことができると、幅が広がりそうかなーって。」

攻撃を逸らすだけでなく、その勢いを利用してしまう。
それができれば続くカウンターに繋げずとも、それ自体がカウンターに成り得る。
戦闘面に関して興味津々といった様子で、頷き返し。

「んー……分からなくはないけど。
 だからって屋根から降ってくるかなぁ……」

確かに同じ状況に出くわしたなら、ちらりと覗くくらいは、自分もするかもしれない。
けれども、そこに飛び込んでいくかと言われたら、首を傾げるほかない。

「そーなんだよね。
 詳しい場所を知ってる人がいなくて、困ってたんだよ。
 いいよ。美味しいご飯は、ひとりよりもみんなで食べたほうが良いからね。」

残念ながら、そう簡単には穴場への手掛かりは得られない。
とはいえ、そのくらいで美味しいご飯への情熱が消えるはずもなし。
同行を申し出てきた相手には、実に欲望に忠実な理由で、あっさりと許可を出して。

「うーん、それだと路地裏の方かなぁ……?
 こっちって、お店とかありそうにないんだけど……」

ただでさえ灯りの少ない貧民地区
その路地裏ともなれば、真っ暗闇ともいえるほど。
そこはつまりはお店などあるはずはないのだけれど。
かといって、他には宛てもなければ虱潰し以外には探しようもなく。
肩を抱かれたままだったかどうかはさておき、少女二人が連れだって暗がりに姿を消していき―――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアルシェさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/女郎屋の地下室」にビョルンさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/女郎屋の地下室」にアイリースさんが現れました。
ビョルン > 女の体は滑車と上半身にかけた縄で吊り、丁度そのつま先が床につくかつかないかの高さに調整を加えている。
腿への平手は、音を高く上げさせたが力加減はしていない。
痛みに身じろげば縄が女の体へきつく食い込むだろう。

痛がる声を聞けばくつくつと、低く嗤う。

アイリース > 「あうぅぅぅ……」

相手によって吊り上げられ。
しかも、視界を奪われたまま。
さらには、平手を貰う始末。
さすがにこれには、思わず涙声になってしまう。
というか、この人。なんか凄い楽しんでない……?

「あ、あのぉ~。
 ホント、何で私こんな目に遭ってるんでしょうかね~……」

思わずそう改めて問うてしまう。
微妙につま先がつく、という高さで釣られているせいで。
うまく動くことも出来ないのだが。
っていうか、そもそも縛られているのだから、動く、っていうことはできないのだが。

ビョルン > 「ふぅん」

相手の背後にぴったりと体を沿わせて立ったまま、その耳朶を擽るように耳元へ声をかける。

「まだ全然余裕だな。
 それともこういうのじゃ響かないって訳」

腿へと紅くつけた手形を満足そうにそっと撫でて手を離す。

「体の柔らかさには自信ある? なんて聞いても『お手柔らかに』しか、言わないか、お前は」

板間へついた女のつま先を片方手に取る。
肌に縄目を遺したいと、ふと頭を過ぎりその膝裏へ新しい縄をかける。

長襦袢の裾を乱したまま、その縄も滑車へと吊り上げて固定する。
片足を高く上げての一本立ちになる。

しばらくはその姿、離れて見詰める。

アイリース > 「いやいやいや!
 十分に痛いですし!?
 っていうか、そもそもこの状況が怖いですし!?」

相手の指摘する声に、私は思いっきり文句を言う。
そもそも、例えば敵に捕まった場合。
一応は身に着けている技術で脱出したり抵抗したりすることはできる。
だが、今回はなにせ自分の主君兼気になっている異性相手なので。
そういったことはできない。その上で、完全に身動きできない状況、というのは。
そりゃあ恐怖がわきあがってくるわけで。

「そ、そりゃあ自信はありますけど。
 そこまで卓越してるわけでは……。
 きゃっ……!?」

相手の問いかけには素直に答えるが。
瞬間、相手によってさらに姿勢を変えられてしまう。
さすがに、状況などが見えない状態では。
普段の訓練や仕事以上に、体勢に対する疲労が増えてしまい。

「あ、あの~!?
 これ、何が目的なんですかー!?」

思わず、大きくなってきた恐怖と疲労から。
再度そんなことを問うてしまうのであった。

ビョルン > 「女ってのは最後まできゃあきゃあ喚きながら息絶えてくもんなのかい」

己には、まだまだ無駄口を叩く余裕があると見えた。
そうしてつま先立ち開脚吊りの姿勢が決まればその出来栄えにはとりあえず満足して頷く。

と、ともにくしゅんと、控えめなくしゃみがひとつ口をつく。

「風呂上がりに冷やしちゃいけない、ってね」

女の耳元へ顔寄せて一言

「待ってろ、」

と発しては階段を上り。

アイリース > 「……それは人それぞれ、状況次第ですよ……。
 っていうか、喚かれたくなかったらせめて説明をしてください……」

あくまでも説明もせず。淡々としている相手に対して。
さらに文句を重ねてしまう。
この相手は、時々どうにも読みにくい部分がある。
まぁ……基本的に、本当の意味で無意味なことはしない人だとは思うので。
これも、なんらかの意味はあるんだろうけれども……。
でも、痛いのと怖いのは勘弁してほしい……。

そうして、さらに足をも吊られてしまえば。
同時に、なんだかくしゃみが聞こえて。

「……え、ま、待ってろって。
 ここで一人でですか!?」

なんか、またとんでもないことを言われた。
そのまま、気配が遠ざかる。
え……本当に放置ですか? いやいや、ちょっとちょっと……!

ビョルン > 本当に暫くの放置である。
階段を上がり切れば台所へ向かう。

竈の残り火に炭を足し、牛乳を温める。

暫くかかるだろう。
女は何を思うだろうか。

アイリース > 「……」

相手が階段を上がるのが、気配と足音でわかった。

「……」

もどってこない雰囲気。どれだけ放置する気なのかは不明だけど。
ちょっと身動きしてみようか、と考えるけど。
景色とかが見えないから、やはり危険だと思い、やめておく。

「……って! 本当にこのまま~!?
 ふざっけんなー! 早くおろせー!」

さすがに、怒りが湧いてきた。
なんで自分がこんな目に、というところから。
思いっきり叫んで、その怒りを発散しようとしてみる。

ビョルン > もちろん自分のためのホットミルクである。
湯気立つマグカップを手にまた足音かろく階段を下りれば地下室に続く戸を開く。

マグカップを手に、一旦は相手の背後から緊縛した手先の無事を確認する。
目立った鬱血がなければ相手を見上げる位置へと座り、カップを傾ける。
温かい牛乳が胃の腑に落ち込めばホッコリと吐息を上げて。

「なあなあ」

と、気安げに話しかけるのだった。

アイリース > 「はぁ……はぁ……」

吊られたまま叫んでいたら、すごい疲れた。
なので、息を切らしつつ、しょんぼり大人しくしておく。
状態が状態なので、いつもより疲れるのが早い気がする。

「……なあなあと違いますよ!」

そうして、相手が戻ってきた気配を感じ。
なんか凄い気楽に声をかけられたので。
おもいっきり叫び返す。
その勢いで、ふらふらっ、と体勢が崩れそうになったので。
ととと、と片足でジャンプを繰り返す。

ビョルン > 「お股おっ広げて何を吠えるのさ」

吊られているのは流石に辛いと見えて、満足そうにくつりと笑んで混ぜ返す。

「なぁに? お怒り?」

まだまだ活きがいい。
温かい牛乳で体を温めながら弱るのを待とうか。

アイリース > 「吠えるでしょうよ!」

のんきしている声の相手にさらに吠えてみるが。
どうにも、相手にはまったく効かないらしく。
耳に相手の笑いが飛び込んでくる。

「お怒りですよ! そりゃそうでしょう!?」

さらに、相手がバカにするように声をかけるので叫ぶ。
だが、こうして吊られて、さらに暴れれば当然疲れる。
そもそも、私は持久力があるほうではないので。
いよいよ、足が震え始めたりする。

ビョルン > 「はぁ、そう……」

姿勢が崩れ、持ち直そうとするたびに上半身へ掛けた縄が強く食い込み胸郭を締め付けるだろう。

「そうなのかー……」

ホットミルクを飲み終えればマグをコトリと床へ置く。
気力だけは優れたものだ、そこが性質のわるいことに。
そう分析して女を見上げること暫し。

アイリース > 「アタタタタ……」

次第に、体を支える力がなくなってくる。
そうなってくると、体は縄に支えられることになり。
痛みが襲い掛かってくる。

「うぅ……はぁ……」

そもそも、人間、ずっと同じ姿勢を取り続けるのはかなり負担が大きいので。
いよいよ、息が乱れてしまう。
こうして疲労しているのを見て、相手は楽しんでいるのだろうか。
そう考えると、また怒りが湧き上がるが。
さすがに、感情だけではどうにも状況は打破できず。
汗が浮かぶのが、いやに癇に障る。

ビョルン > 苦しそうな吐息が漏れ聞こえれば、床の上でじわりと足を組み替える。
そうして膝に上に片頬杖つきながら問い掛ける。

「なぁ、お前もいつか俺のこと裏切るの──…?」

今日の夕餉を聞くかのように飾り気なく。
率直に投げかける問いかけに、女はそう返すだろうか。

アイリース > 「……」

相手の声に、思わず黙り込んでしまう。
なんというか、声色は普通に感じたが。
その背後に、変な気配も感じとれたような……。

「……それがお望みなら、そうしますけれどもね」

ふぅ、と大きく息を吐く。
そのまま、なんとか姿勢を整えようとするが……。
もはや、体には力はほとんどのこってなかった。

「忍ですからね。裏切るなんてしませんよ。
 ……主君がとびきりの外道、とかになったら話は別ですけど。
 裏切られたくなかったら、道から外れないでくださいよ?」

長く喋ったから、本当に疲れるが。
一応、しっかりと自分の言葉を伝える。
なんとなくだけど、それが必要な気がしたから。

ビョルン > 相手の返答、最後まで聞いて嘯くには

「とびきりの外道ね──…」

と。
この点に対しては女と己、同じ道に立っているのかは怪しい。
ふぅん、と一声唸ってから。

「じゃあもォひとつ」

相手の姿を正面に見据えながら問い掛ける。

「俺のことどォ思ってンのさ──…?」

アイリース > 「ですね……。
 まぁ、例えばどんな、って言われるとアレですけど……」

外道、っていうと表現が難しいけど。
まぁ要するに。傍にいて、心地よい。
傍にいたい。そう思える相手なら、ということなんだけれども。

「……うっ。
 それ、聞きます……?」

次なる問いには、思わず呻いてしまうが。
私は、一度深呼吸をし。

「……そ、尊敬してますよ。
 忠を尽くすに値している人だと。
 それと……。

 す、好き、ですけど……?」

かぁ、と。赤面するのが自分でもわかる。
だが、誤魔化していい話ではないと思った。
なので、正直に伝える。それしかなかった。

ビョルン > 「聞きますとも」

言葉に詰まる相手を視界に捉えながら、途切れがちの言葉を聞く。

「尊敬と、忠義──ね、

 好きときたか、それはどの位?
 ハンバーグよりも? 酒よりも?
 春の花よりも?」

言葉だけは漠然として捉え難い。
問いを重ねて詰め。

アイリース > 「うっ……ほ、本当に趣味悪いなぁ……」

素直に応えたら、さらに問い詰められた。
ぐぬぬ、と。再度言葉につまりつつも。

「……そ、それはまぁ。
 そういったのも好きですけど。
 ……そ、そういうのではなくって」

要するに、そういうことではなくって。

「あ、愛してるっていうことですよ。
 誰よりも、何よりも」

いざ言葉にすると、死ぬほど恥ずかしかったが。
でも、実際そうなのだから仕方ない。

ビョルン > 「愛」

ほう、と感心した声を上げて返した。

「それ聞いたって俺はまだまだ女遊びするけど。
 ──幻滅する?」

文学の上でしか知らぬそれの、誰より何よりというのはどれほど強いのだろうと。
真顔になりながら問い掛けて、女の顔色の変化に思わず立ち上がる。

アイリース > 「……別にいいですよ」

相手からの真正面な宣言に。
私は、ため息を吐いてそう答える。

「男性はそういうものだって知ってますし。
 それに……それは、そういう人を好きになった、ってことですから」

ある意味では、諦めに近いのかもしれないが。
その辺はもう覚悟は出来ている。
そのまま、相手の立ち上がる気配に、思わず身構えてしまうが。

ビョルン > 「わかった」

そうして女に近付けば、固定した吊り縄を足側から順に解く。
腕と上半身に縄をかけたまま己に凭れ掛けさせるように床へと下ろす。

「ぶら下がりながら青くなったり赤くなったりしたら体に悪い。
 今日はここまでだな」

そうして体を戒めた縄も解いていくだろう。目隠しは最後だ。

アイリース > 「あっ……」

そして、相手によって縄が解かれていく。
ようやっと一息つける、という感じ。
どうにも、体がこわばっている気がする。

「今日は、って。
 またやるつもりですか……?」

思わずそう確認してしまう。
もちろん、相手がそう考えているのなら。
私としては拒めないわけなのだが。

ビョルン > 縄を全て解いて、足枷とアイマスクも外す。
相手の目にはやっとこの部屋の全容が見えようか。

後ろに回して縄をかけていた女の手は片方ずつ両手に持って関節を解すように屈曲進展させては冷えていた手先を擦る。

「まぁ、気が向いたら」

仏頂面でそう答えては一瞬考えるような沈黙を挟み、

「どうだろうね」

と言葉を重ねた。

アイリース > 「あぅっ……」

そうして、いよいよ枷なども外されれば。
私は、思わず声を上げてしまう。
やはり、結構な負担になっていたようで。
ずいぶんと体が軽くなった気がする。

「……まぁ、いいですけど。
 ただ、ホント。
 痛いのは勘弁ですよ……」

少し体をほぐしつつ、相手に向かってそう言っておく。
まぁ、言ったところで。あんまり意味はなさそうだけれども。

ビョルン > 女の腕への通り一遍のケアを終えれば伸ばしっぱなしだっただろう足の関節へ手を伸ばす。
こちらも掌で温めてから屈曲させて可動を確かめて放し。

「お前、体重は何貫ある?」

聞きながらも相手の腕を己の首へ掛けて横抱きに持ち上げようとする。

「おも」

この一言を添えるのは忘れない。

アイリース > 「ひゃんっ」

相手に体をほぐしてもらえば、くすぐったくて声がでた。
……こういうことを自然にやれるのが、憎めない点である。

「そんなの、詳しく調べたことはないですよ」

特に、こっちに来てからは全然調べていない。
まぁ、そこまで重くも無いとは思うのだが……。

「重くないです」

相手がいきなりそんなことを言ったので。
思いっきり不服そうに文句を言っておく。
なんというか、今日は文句を言ってばかりな気もするが。
その原因は相手にあると思うので、気にしない。

ビョルン > そのまま階段を上れば、寝室に伸べられた敷布団の上に相手を横たえるまで抱いていく。
相手を眠らせ、己も一口寝たらごそりと抜けだして地下部屋の後片付けに向かっただろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/女郎屋の地下室」からアイリースさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/女郎屋の地下室」からビョルンさんが去りました。