2021/01/31 のログ
■トーラス > 「弟達を喰わせるために身を粉にして働いているのか、そいつは立派だが。
だったら、猶更だ。お前が命を落としでもしたら食べ盛りの5人も餓死するぞ。」
稼ぎの殆どと酒代に変えてしまう金銭感覚の己に比べれば真っ当な理由。
それを否定する気はないが、小言めいた一言を口にしてしまうのが、
本人は否定しながらも、その気の強さに何処か危うさを感じてしまうからだろうか。
碌でもない厄介事に巻き込まれるのも一度や二度ではないのではなかろうか、と疑惑を抱くも口にはせず。
「高価な薬を一滴残らず、呑み込ませるために他の手段が思い付かなかった。
くくっ、善意の行動に、殴ったりビンタをするのがあんたの流儀なのか?」
唇の端を、にぃ、と吊り上げて底意地の悪さを思わせる嗤いを滲ませると、
舌の先を唇の隙間から覗かせて、前後に軽く揺らして揶揄して見せる。
『肩叩き拳』なる不穏な誤字の如き誤字ではない謝礼の説明を聞き、
妙に使用を勧める押し売り具合に、眉間に皴を刻み込むと、不意に笑みを浮かべ。
「御礼は有り難く受け取っておくが、折角なので効果的に使わせてもらおう。
そうだなぁ。例えば、水遊場なんかで再会した時に水着でやってもらうとかな」
使用をせがまれると使いたくなる天邪鬼。
呵々、と揶揄と共に笑い飛ばしながら、紙片を折り畳めば、己のポケットへと彼女の目の前で仕舞い込んでしまう。
■ティアフェル > 「ま……別にわたしが稼ぎ頭って訳でもないから、そこまで差し迫ってませんけどね。
――わたしは姉だけど冒険者だもの。危険だからって安全圏にばかりいちゃ、廃業だわ。
それにあなたに関係ないでしょ」
さっきほどまでボコボコにされて路上に転がっていた分際でなんだが。
腰に両手を当てて胸を張るようにして断言。
同じ冒険者なのだから分かるだろうと挑むような視線を向けて。
「嘘つけ。このセクハラッ。
善意を盾にしてセクハラに及んで居直る奴には一発カマすのが流儀ね」
理論武装だとでもいうのか、ああいえばこういう相手に、むっと眉根を寄せて、アホ毛をいらいら揺らしながら。だから一発殴らせろと眼で語る。
それはどっからみてもヒーラーのそれではなかった。
「あ、わたし水遊場には行かないって決めてるから。――それに次に会える保証なんてないじゃない? お互い危険な商売な訳だし?」
稀に行くこともあるが、絶対行かない主義なの、と水遊場に関してはそんな風にしれっと虚言を挺してそれから、ある意味もっともな言葉を重ねた。
実際次の保証などできないのが当たり前の立場だ。仕舞い込んでしまった様子に、それ、持ってたこと忘れて洗濯とかに出しておじゃんになるヤツだなーと読んだ。
■トーラス > 「あぁ、俺とあんたは無関係だ。同じ冒険者だから、そっちのやり口に何かを言う筋合いもない。
あんたが命を粗末にしたって、あんたの命だから構わないしな。
だが、まぁ、これだけは言っておこう」
彼女の発想が自分の知るヒーラーではないと頭の何処かで鳴り響く警鐘を意図的に無視しつつ、
未だ、傍らに存在する彼女の貌を覗き込むように己の顔を近付ける。
緑柱石の瞳を三白眼の黒目が正面から見据えて、挑発的な視線を受け止め。
「次に同じ目に遭ってるのを見掛けた時は、見て見ぬ振りを、――――しない。
もっとディープに舌を突っ込んで忘れられない体験をさせてやるから、
それが嫌ならば精々気を付けるんだな。」
真面目な顔を見せたのも一瞬、即座に皮肉めいた嗤いを浮かべ、セクハラ発言をすると、
相手が調えた髪にピンと伸びるアホ毛を押し付けて掻き乱すようにくしゃりと撫でて。
「なぁに、その主義主張が変わる事もあるだろうし、縁があれば会う事もあるだろう。
大体、ポーションを飲んだとは言っても、傷だらけの奴にマッサージをして欲しいとは思わないしな」
一期一会の邂逅であるならば、それは互いに縁がなかっただけの話。
ポケットの仕舞われた肩叩き拳が使用されるか、ゴミ屑になるかはその縁次第だろう。
そもそも、軽口を叩ける状態ながらも満身創痍の相手に労働を強いる趣味はなく、
「これも一つの縁だからな。宿までは嫌だろうが、大通り位までは送ってやるよ、ティアフェル」
彼女の膝の裏に片手を差し込み、どっこいしょ、という掛け声と共にその身体を横抱きに抱えて立ち上がり、
暴れて抵抗するかも知れない彼女を宥めながら、貧民地区の外に向けて歩き始める。
道中、どさくさに紛れて尻に触れたりのセクハラをするかも知れないが、彼女の望む場所まで送り届ける事だろう――――。
■ティアフェル > 「何よ……」
とやかく云われる筋合いはないのは多分そんなに間違っていないだろうが、云えた立場でもないというのもある。何か溜める間を取ってしかも顔を近づけ、真っ向から見合いながら口を開かれると若干及び腰になりそうになる。
お説教か、と身構えていたが……。
「――それなら今度は躊躇いなく噛み切ってやるから覚悟しておくといーわ」
入れられた瞬間舌を思い切り噛んでやると半眼を向けてはっきり云い切り。
相変わらず生意気な調子は揺るがない。髪を乱すような手に。ぺしぺしと振り払うようにアホ毛が叩いた。――毛に神経が通っている特殊な人種なのか。
「どーかね。――残念、せっかくヒーラーの肩叩き拳というレアアイテムなのになー」
これはきっと配布したところで使われずに忘れ去られて行くパターンだろう。大体その場で使おうなんて人はそもそも稀有なのだが。しょうがなさそうに肩を竦め。
「っは? ちょ、っと……もー……っ……何なのよー……」
送ると云いながら横抱きに軽く持ち上げられて、なんだか問答無用な様子に若干脱力して好きにしてよ……と多少投げ遣りに適当な場所まで送られることとなった。
厚意と云えば厚意なのだろうが、素直にありがとうと云うのが難しい状況であったし、セクハラを受けては彼の両手が塞がっているのをいいことに今度こそビンタの一発をと執念を燃やしたことだろう。右の掌。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からティアフェルさんが去りました。