2021/01/03 のログ
セイン=ディバン > 「……いや、そうだな。
 確かに、人によっちゃあ、幾つになっても生涯現役。
 ロートル扱いするな、って言うかもな。
 ま、上手く泳げるようになりたいのなら。
 また言ってくれりゃあ教えるよ」

少なくとも、そんな上手な泳ぎを求められる仕事も。
そうそうないだろうしな、と。男はそう考える。

「なぁに、携帯調理道具を使って。
 炒めたりすりゃあ、見た目も気にならなくなるさ。
 いや、そういうわけでもないんだがな……。
 なんか、寒さはダメなんだよ」

暑さはある程度耐えられるんだがな、と言いつつ。
男は、首を竦めて見せる。
男自身、寒さに弱い理由には思い当たる節もないのだが。

「それはそれ。これはこれ。
 むしろ、そっちのほうがこの歳になるとラクだ。
 それはいいな。
 少なくとも、引退後の安定した収入を持ってると、人生ラクだぞ?」

ある程度の歳になると、甘酸っぱい会話のほうが、ドストレートなエロトークよりキツかったりするのだ、といいつつ。
男も、将来の職業について考える。
が、これといって思いつきはしないのであった。

「そうかぁ? オレは、良く食う女の子は好きだけどな?
 ……まぁ、なんだな。
 お前さんがそう言うならいいが。
 ただまぁ、アレだ。経験少ない男の子とかだと。
 今のでころっと参っちまう可能性があるから。
 振る舞いには気をつけたほうがいいぞ?」

数度咳払いしつつ、男はそんなことをいい。
エールを飲み干していく。
どうにも、照れが残っているのか。
顔の赤さは、かなりのものだ。

ティアフェル > 「人それぞれよね。セインさんの場合はそうなんだねえ。
 飄々としてる癖にちょっと照れ屋なんて、カワイイこと。
 あ、それは嬉しいな。――じゃあ温かくなってからかしら?
 寒いからお外出たくないもんねぇ~?」

 泳ぎの指導を受けられると聞いて、ぱ、と明るい表情をしたが、寒がりな相手を真冬に泳ぎに連れ出せないなあと察して最後はからかうように口ずさみ。

「無理無理無理無理。炒めたぐらいじゃヴィジュアルは残ってんじゃん。
 絶対食べれない絶対無理。ってか虫食う女ってどうなの? 男ウケしなさそうなこと山のごとしなんだけど。
 はあ、冒険者でそんな極端に寒がりな人初めて見たよ。
 じゃあ冬ごもりでもしてるの? この時期」

 特に理由もなく寒さが苦手らしい。人は見かけによらないなあとしみじみ痛感し。
 春が待ち遠しい限りだろうと察した。

「……それはそれって……どないやねん……分からんわあ。
 間接キスの方がどう考えてもローハードル……。
 うん、前衛職にも憬れるけど、やっぱり安定の回復屋もいい、と最近ようやく実感するようになりました」

 大人に、なったかなあ……。などと思わないでもないが、それにしても甘酸っぱさと下ネタなら下ネタのがやっぱりヤバイとしか思えない。
 良く分からん、と不思議そうに首を捻っていた。

「そ? じゃ、食ーべよ。ここのお料理おいしいね。ヤキトリも最高だし。食べ過ぎちゃいそう。
 え。そんなもん? 
 間接キスごときでころっと来るってことは元々発情しまくってるってことでしょ。
 何しても堕ちそうだよねえ」

 経験値少ない男の子ねえ……故郷を出てからはあんまり見かけないな、そんな種族。と認識して、気を付けるように云われて、面倒だなあ男子、と後頭部を掻いた。

「…………。」

 ごはん食べながらも未だに顔が赤いもので、彼が酔ってきてるのか照れが残っているのか判断できず。首を捻りつつも少しいたずら心が擡げて来て。
 その場で軽く腰を上げて身体を伸ばすようにそちらへ近づけると、徐に、頬に唇を寄せ、極軽く触れさせた。
 こうしたら、顔色はどのような変化を及ぼすのでしょうという。科学実験だ。いやそんな科学ないが。

セイン=ディバン > 「身の丈と領分を心得てる、と言ってほしいね。
 あぁ、そうだなぁ。
 いや、でも。水遊場なら、暖かい、温水で遊べるらしいからな」

それこそが、あの場所の人気の秘訣だ、と。
知っているからこそ、男は、そう提案してみるが。

「いや、そうでもないぞ?
 小さい芋虫系なら、こう。スナックのように……。
 いや、そりゃあ平時に町の中で虫食ってたらアウトだろうけどな?
 基本的には、家に篭るが。
 仕事がありゃあ、ちょっとした暖房を懐に持って出かける」

これさ、と。男が懐から取り出したのは、布に包まれた石。
相手が触れれば、ほんのりと暖かいのが分かるだろう。

「ぶっちゃけりゃあ、口説いた抱いたのほうが、気が楽なんだよ。
 ……この歳になると、本気で好いた惚れた、ってのは。
 こう、気恥ずかしいわけ。
 あぁ。後衛支援職は大事だ。明らかに生存率が変わるし」

一つの視点ではなく。
違う視点からの見方ができるのはいいことだ、と。
男は、相手に優しくほほ笑み。

「あぁ、そうしてくれ。
 いや、逆じゃないか?
 免疫が無いからこそ、そういった所作でころっと、なんじゃ?」

あれ、でも相手の言うことも一理あるのか?
などと。今度は男が首をかしげたり。

「……?
 ……ぬおっ!? な、ななな、なんだなんだ!?」

少しの沈黙の後。
相手が、なにやらイタズラっぽいことをしたので。
慌てて上半身を仰け反らせる男。
相手を見ながら、頬に触れ、何が起きたのか、と混乱している様子。

ティアフェル > 「ええ、ええ、そういうことにしときましょ。
 ――いや、あなたそこまで辿り着くことができないでしょ?
 そこまでの道のりが寒いですよ。凍えて行き倒れないかしら」

 凄い心配の仕方をした。相当寒さに弱いのだと一連の会話から感じて。
 わたしは大丈夫だけど、無理でしょ、温水に浸かる前に凍るでしょ、と難しい顔。

「イヤアァァーやめてぇぇー。そんなスナックあるかァッ。
 食べない、わたしは断固食べないぞーっ。
 ですよねっ、アウトだよね。そこら辺にうぞうぞいる虫見て『あらおいしそう』とか云う女やば過ぎだよね!
 その仕事の時もかなり渋々出るんだろうねぇ。
 あ、じゃあ今日も仕事だったの?」
 
 オフだったら家にいるってことかと認識して。そして、熱を持った石を抱いているのに、そっと触れて。温石?と首を傾げた。
 石を火で熱して使用する昔ながらの温石、それとはまた少し違うようにも思えるが。

「ふーん……まあ男性は性欲処理はしないと身体に悪いものだしねえ。
 わたしはきっと今のセインさんくらいの歳になってもそうじゃない気はするけど。
 女だしね。
 ――うん、昔は敵を倒すのがただ偉いと思ってたけど、それだけとも限らないとは思う」

 経験を多少積んで徐々に理解してきた。
 なんだか優しい笑顔を見ると、今度は何となくこっちが照れくさくなったようではにかんだように笑い。

「まあ……思春期男子と間接キスしたところで、そうそう堕ちる奴も今のところいないけど。
 ……いちお、気を付けるわね」

 そんな会話をのほほんと交わしていたものの。頬に軽くキスをすると、予想外にイイ反応がきたので、思わずにやりとほくそ笑んだ。

「何って……いつもご馳走になってるお礼?」

 とってつけたような理由を告げて、へら、と笑みを投げかけた。楽しい、と完全に相手のリアクションを面白がっていた。

セイン=ディバン > 「ん。そういうことにしておこう。
 む、失礼だな。
 さすがに、そんな簡単には凍えんぞ?」

確かに。まるで小動物のように縮こまることもあるが。
それでも、多少なりとも動ける程度には、根性はあるはず。と。

「食感もスナックっぽいぞ。さくっ、としてて。
 美味しいのになぁ。今度作ってやろうかしら。
 いや~、さすがにそれはまぁ、いないだろ。そんなヤツ。
 まぁな。今日は、ギルドに依頼の確認に行っただけだけど」

訥々と説明しつつ、相手の疑問に、ニヤリ、と笑う。
見た目はただの石。そして温石に見えるが。
これは、男が、購入しておいた『火炎呪文』を込めた炸薬を石にぶつけ。
奥の奥まで熱した温石なのである。と、説明しつつ身振り手振り。

「体に悪いっつーかなんつーか。
 そうなぁ。でも、その辺。
 性別だけじゃなく、個人差もあることかもなぁ。
 ははは、そいつぁ重畳。視野が広がるのは大事なことだ」

パーティを組む場合、どの職業も欠けてはいけない。
それを理解している相手は、なかなかの有望株であろう。

「わからんぞ。この国っつーか、この街っつーかは。
 いろいろなヤツがいるからなぁ」

惚れっぽいやつもいるだろうさ、と。
男はそう言いつつ、ん~、と過去の出会いについて考えたりもするが。

「……あ、あのなぁ。
 オッサンをからかうもんじゃない。
 それこそ、そういうことしてると。
 本気で襲われちまうぞ」

む、と。若干不機嫌そうな表情になる男。
とはいえ、頬の感触は悪い気はしないのか。
さすさすと指で頬を撫でつつ。
相手に、気をつけろ、と念を押しておくのであった。

ティアフェル > 「いや、だってあなた。寒がりの主張が凄いよ。よっぽどだとこっちも思うよ……まあ、半分くらい冗談ですけど」

 半分は本気でもあったということだが。
 何よりそんなに寒がって外に出るのも嫌な人を真冬に水遊場まで誘い辛いのはある。

「ギャアァァー、やだー、いやだーっ。表現生生しいーっ。
 やーめーてーよー! それ完全にただのバツゲームだからね?!
 でも、絶対いないとは云えないでしょ。虫食い女なんて友達にはなれないだろうけど。
 なるほど…一応仕事にかかってるからの外出なのね」

 そして、この寒空の強い味方。要は魔法の温石というアイテムを所持して外出してきたという説明に、ふんふん肯いて。
 それから、ニヤリと不敵に笑う彼の頭に徐にぽむ、と手を伸ばしてよしよしと撫でにかかる。何故と問われたら、何だか微笑ましいものでつい、としか云えないが。

「抜かないと溜まるということくらいはご存知よ。うちには弟が思春期加えて5人いるもの。リアルに健康上悪いでしょ、放置してるのは。
 まあ、判んない感覚ではあるんだけどねー。
 こうしてひとつひとつ、冒険者は成長していくものですから。わたしも十年もすれば大ベテランよ」

 そしてその頃には引退間近ということにもなるが。うむ、と得心顔で肯いていた。

「あらあら~。そういう惚れっぽい輩を何人コマしてきたのやらね~このお人は」

 まるで実体験のように語られたもので、にやにやしながら肘で突っつくような所作をし、スミに置けないわねえ、と揶揄い気味に。

「はぁーい。気を付けまーす。
 っふふ。いやいや、リアクションが素敵だったもんでついつい
 ごめんってば、怒っちゃヤダー」

 調子に乗って面白がってしまった。悪い癖だとは思うが、ちょっと渋い顔をなってしまったので、顔の前で手を合わせて速やかに謝罪。
 ニイサンすんません、と殊勝なのかおどけているのかだが。一応反省。

セイン=ディバン > 「……仕方ないだろ。
 寒いもんは寒いんだ」

主張しているつもりも無いのだが。
男より寒さに強い人間から見れば、ずいぶんと寒さに弱い、という風に見られてしまうのも仕方ない振る舞いである。

「しかしなぁ。イザって時……。
 何でも食えるようにしておいたほうがいいと思うけれどもなぁ
 ま、どんだけ寒くても。
 仕事しないと食っていけないんでね」

色々と説明する男であったが。
何故か頭を撫でられ。
……ん? と。首をかしげる。
どうにも、なぜ撫でられたかが分からないらしい。

「どっちかっていうと、健康というよりは精神衛生上、だな。
 別段、股間が破裂するでもねぇし。
 ははは、十年どころか。
 冒険者なんて、三年も生き延びればベテランだぞ?」

大抵はその前に死ぬからな、と。
男は冗談なのか本気なのか分からないようなことを言う。

「あいにくと、そういうことはしてねぇつもりだけど。
 ……ま、縁を持って、肌を重ねた相手は結構いるけどな?」

ただ、それが好いた惚れたかどうか、となると。
話は別だ、と。割と真剣に言う男。

「まったく……。
 まぁ、痛い目見ないようにするなら。
 別に構わないけどな……」

結局のところ、本人の心がけ次第だからなぁ、と。
男は、頭を掻きつつ、テーブルに金貨の入った袋を置く。

「それじゃあ、オレはそろそろ家に帰るよ。
 これで代金払っておいてくれ。
 あぁ、余ったら預かっておいてくれると助かる」

そう言って、男は店を後にするのだが。
いつまでも。なにやら、名残惜しい、とでも言うかのように。
頬をなでながら歩いていたんだとか……。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。
ティアフェル >  まさかそんなに寒さに弱いとはなあ。知らなんだわ、と今日初めて知った情報に感心したような気持を抱きつつ。
 虫食の話はもういいよ…と若干げんなりだったが、惚れたはれたなんかよりもよっぽど大人な関係性で生きてきたという話には、ははあ、さすがニイサン…と妙な感心の仕方をして。
 それから会計以上の金貨袋を置いて行かれてさすがに慌てて、がた、と立ち上がると、

「え、ちょ、これ……!
 ……も~……行っちゃったし……金銭管理が杜撰すぎじゃないの、あのセレブめ……。
 すいませーん、お会計おいくらですー?
 ……ほらもう……チップ弾みまくっても大分余るしコレ……どーすんのよー……」

 次に会う時渡すにしても、寒いと篭っちゃってそうそう出没してこないって話じゃないかーと頭を抱えたが。
 しゃあなしに、店員にチップを弾んでおいて、それでも余った分は預かっておく。
 次までには忘れてそうだなあ…と若干嘆息しつつ、食事を終えると、ごちそうさまと声を掛けて帰路についたのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からティアフェルさんが去りました。