2020/12/20 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエインセルさんが現れました。
■エインセル > 冬の夜。ひっそり静かな貧民地区の公園に、焚き火の灯りが一つ。
近場の廃材を集めてきたのだろう即席の竈に、同じく廃材の薪を焚べて。
ぱちぱちと鳴る音を前に、少女はぽつんと一人、今日も同じく野宿をしていた。
竈の上に乗せているのは、鉄の小鍋。中身は水と干し肉ときのこの類だ。
くつくつ、くつくつ。粗末ながらスープをこしらえようとしているらしい。
「……はふ、冬の野宿にも慣れてきたかも」
存外に野宿が快適だったから、宿も取らずに節約生活。
毛皮のシュラフに包まって、時折鍋を掻き回す。ちょっと日常よりのキャンプみたいな気分。
などとのんきな考えを転がしながら、煮立った鍋を火から遠ざけ、味見を一口。
今日のは丁度良い味だった。干し肉をケチらなかったからだろう。
不便なのは湯浴みが出来ないことくらい。お湯を沸かして、体を拭くのが関の山。
九頭竜山脈で迷った時に見つけた温泉は気持ちよかったし、偶には湯船に浸かりたいなぁ。
高級宿の温泉か、或いは公衆の浴場か。先立つものが溜まったら、覗くつもりで今日は我慢だ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 貧民地区の公園、その静寂を打ち破る存在。
それが現れたのは、そう経たぬ後の話である。
最初に聞こえたのは、遠方から聞こえていた叫び声の一つ。
それが徐々に、明らかに公園へと近付いてくるのだ。
「ぉぉぉぉおおおおおおぉっ!?」
そして、その声がはっきりと、間近まで近付いた、その瞬間。
どおおおぉんっ!と、派手な轟音が、まさに公園のど真ん中で引き起こされた。
…ただ、そんな轟音とは裏腹に、周囲に衝撃が走る事はない。
僅かな振動と、空気の乱れだけを残し…
そこに、人影が一つ。
異国風の着物と、狐の耳と複数の尾を持つ少女。
ぜぇ、ぜぇ、と息を乱しているも、すーはー、とすぐに深呼吸をして整え、ぎんっ!と飛んで来た方向を睨み付ける。
「おのれ、なぁずぅなぁあああぁっ!」
周囲に誰が居て、どんな反応を見せているのか。
そんな事、構う様子もなく、だむだむっ、とその場で地団太を踏んでいた。
■エインセル > もうすぐスープも完成かな、と最後の微調整。
塩と胡椒で味を整えて、ぐるぐると匙で二回し。
ちょっぴり舐めて納得できたら、鍋を火から外して近場に手繰る。
皿を無駄に汚すのもよろしくないから、と最近は鍋から直食いだ。
竈と同じ様に廃材で拵えた鍋置き場に熱々の鍋を置いて、準備完了。
「それでは、いただきまー……す?」
遠くから何かが聞こえてきた気がする。
それは獣の鳴き声か、或いは人の叫び声か。
なんだろうと首を傾げていると、音の源は徐々に近づいてくる。
そう、落ちてくる、というのが妥当だろうか。そんな雰囲気だ。
真上を見上げる。特になにもない。それなら大丈夫か、と気を取り直して――。
「……いや、やっぱり気になるって」
――その間もより大きくなる声。それは結構な速度で近づいて。
少女が方向を見切るよりも前に、公園の真ん中に何かが着弾した。
あの辺りは枯れた噴水がなかったっけ、とか思う間もなく朦々と立つ土煙。
対する少女は、せっかくの食物を無駄にせぬよう、鍋に蓋を押し付けてガード。
だが、音の割に衝撃は小さく、鍋は小さく揺れるだけだった。
そうして少しの後、土煙が晴れると、そこには異国風の装いを纏った女性が居た。
耳に尻尾。同じくミレー族だろうか。それにしては、風変わりな気がするが。
何やら、今の事態の元凶らしき存在の名を叫びながら、地団駄を踏む彼女。
そんな彼女をぼんやり見ながら、少女は鍋の蓋を取り、匙で汁を掬った。美味しい。
■タマモ > 「………はっ!?」
地団太を踏んでいたのだが、その動きも、すぐに止まる。
珍しく、疲れる前に、戻ってこれたらしい。
ぽんぽん、と埃を払うように叩き、ぐるりと周囲へと視線を巡らせた。
落下時点では、気付く余裕もなかったが、どうやら公園らしい。
すぐ側にある枯れた噴水、いくつものベンチと、遠目に見える公衆トイレらしきもの。
後、何か焚き火が見える…焚き火?
それと共に漂う匂いから、こんな場所で料理でも?そんな感じだ。
「………うん?」
当然、何でこんな場所に、とか気になる訳で。
そんな事をしている、相手の側に歩み寄る。
こんな状況下、大して反応を見せていない事を、気にするべきだろうか?
いやいや、それよりも、そこに居たのが少女である事の方が、己としては気になった。
と言うか、興味が湧いた。
「お晩じゃな、こんな場所で料理か?
…ってか、ここで寝泊りとは、風邪をひきそうじゃが…」
と、そんな問いを向けたのは。
視線の端に、少女のものらしき寝袋が見えたからだ。
よいせ、と了解も取らず、隣に腰掛ける。
■エインセル > 視線の先では、地団駄を踏んでいた彼女が我に返っていた。
ぐるりと辺りを見回す様子を他所に、塩味のスープをちびちび。
煮込み料理には遠く及ばない質素な雰囲気。貧乏飯の典型だ。
もう少しコクが欲しいなぁ、とか思いながら彼女をぽやっと観察していた。
「……ん」
ぱちり、と焚き火が爆ぜる音の中で、彼女と目があった。
少女からすれば、目の前に女性が落ちてこようが、今日の飯の方が大切なのだ。
日頃不運であるからこそ、食いっぱぐれない様に生命維持を最優先。日頃の教訓だ。
他方で、降ってきた彼女はこちらに興味を持った様子。問いには、こくりと頷いて。
「こんばんは。宿無しだから、お夕飯をね。
ちゃんと暖かくすれば大丈夫。ここ数日でコツも掴めた」
隣にやってくる彼女を、少女は特に気にすること無く受け入れる。
公園は自分だけのものではないし、焚き火の熱もあった方が快適だろう。
分けて減るものでなければ、少女は特段気にしないのだ。そう、減らないものは。
■タマモ > この静かな状況から、己が落ち、結構な音が立っただろう。
公園の外ならば、一瞥して、はいお終い、だろうが。
まさに現場である、この場所で…と言うのは、なかなかに胆が据わっているのか。
平然と、日常?を送る少女は、己の問いにさらりと返してくる。
「はて…その格好、えーっと…何じゃったか、魔法使い?とやらじゃろう?
そんな者でも、宿無しなんて居るんじゃな。
妾が知っておる、その手の者達は、宿無しとか無かったからのぅ…」
その答えに、かくん?と首を傾げた。
そう、魔法を使える連中ってのは、大概は住まう場所があったはず。
それが、宿無しで、しかも今の生活に慣れてきたとか、それどうよ?と考えてしまう。
と、ちらりと、少女が拵えただろう鍋を見る。
寒い野外だ、こう暖かな湯気を立てた鍋を見ると、何でも美味しそうに見えるもので。
いやまぁ、別にそこまで腹を空かせている訳ではないが。
■エインセル > 確かに、先程行われた彼女の着地は轟音だった。
だが、自分に気概を加えるものではないと理解出来たら、気にするほどのことでもない。
肝が据わっているのか、或いは無関心なのか。いずれにせよ、動じる気配はない。
「ん、まぁ、一応、冒険者だし、魔法使いではあるかも。
運悪くお財布落としたり、宿が契約の谷間だったりしてね。
夜営とそこまで変わらないから、慣れてみたら案外快適だよ?」
貧民地区の公園跡ともなれば、そもそもの人気が少ない。
お陰で人目を気にせずのんびり過ごせる。それだけでも少女的には十二分。
どうしても個室が欲しい時は、使われなくなって久しい公衆トイレがある。
気分的に日常使いはしたくないが、面倒事から逃げる時用の隠れ場程度には使えるのだ。
総じて評価すると、壁と扉はないけど、生きるには十分、というのが少女的な評価だった。
「……ん、お鍋のスープ。口付けちゃったのでも良いなら、少しだけあげるけど」
鍋を見る彼女には、少し――否、結構悩んでからぽつりと申し出る。
少しでも。そう、少しだ。食い気が旺盛な少女にとっては、結構な譲歩だった。
■タマモ > 胆が据わってるか、無関心なのか。
まぁ、どちらにしても、己から見たら動じてない、となる訳で。
結局のところ、興味を抱いたには変わらない。
のだが、それはそれ、知る由もない事で。
「やはり、そうであったか。
………お、おぉ…なるほど…
しかし、お主としては、ちゃんとしておるに限る訳じゃろう?
まぁ、確かに、夜営ってのは慣れれば快適やもしれんが…」
少女の言葉に、そう答えながら、ふっ、と遠い目をする。
実のところ、理由は違えど、己も野宿は多いのだ。
そんな会話の中、少女がどう思っているのかは、分かるものではない。
実際問題、こうして目の前のような少女が一人、と言うのは…あれだ、あれ、と思う。
己もまた、それに引っ掛かったやもしれぬ、一人ではあるのだが。
「む…良いのか?…いや、貰って良いのならば、貰ってみたいと言うのが本音じゃがな?
無理でないならば、頂いて良いかのぅ?」
うん、明らかに、悩む様子は見ていて分かった。
それでも、そんな申し出をしてくれる少女に…応える訳にはゆくまいて、と。
気安く肩に腕を回し、身を引き寄せながら、ぽんぽんと肩を叩き。
軽く礼代わりにと、ちゅ、と頬に口付けなんて与えてみよう。
■エインセル > 少女からすれば、周りのものは自分に有益か、無益か、有害かの三種類しかない。
有益ならば厚遇し、無益ならば我関せず、有害ならば隙を見てどうにか逃れる。
これまでもそうしてきたし、これからもそうする。ちなみに、今の彼女は、有益と無益の境だ。
「それはもちろん、壁や屋根があった方が快適。行水も出来れば尚良し。
だけど、そういう生活は先立つものが掛かるから、贅沢ってやつかも」
またどこか、安めの宿を見つけられたら、そこを拠点にするつもり。
とは言え今は年の瀬で、祭りなどもやるだろうから中々に期待薄だった。
それならそれで、野宿の術も場所もある。日々が平穏なら十分なのだ。
「ん、そこまで美味しいものじゃないよ。干し肉ときのこのスープだし。
それでも良いなら、ね。わふ……ん、人肌は温かいから、嫌いじゃない」
ごそごそ。近くの荷袋から普段遣いの食器を取り出すと、スープを注いで差し出す。
具材は肉が二欠けに、きのこが匙で三回掬える程度。かけたのは時間くらいという産物だ。
それなりに味は整えたが、彼女の口に合うかは未知数。少しだけドキドキしてしまう。
彼女の口吻には、少しだけ頬を朱に染めて、そっと体を委ねてみる。温もりが心地よかった。
■タマモ > 少女が己をどう判断してゆくか、それは、これからの行動次第か。
…まぁ、だからと言って、変えはしないが。
さて、少女の言葉を聞けば、思った通りのものであり。
それが聞けて、少し安心した。
それで満足していたら、少々考えてしまう。
「あー…確かに、それはそうじゃな。
出来る事はあるのに、それが伴わぬと言うのは、何とも不運の限りじゃのぅ」
話から、少女がこうなっているのは、単に不幸なのが理由っぽい。
さすがに、運をどうこうなんてのは、出来るものでもないだろう。
あれば、やっているだろうし。
うんうんと頷きながら、そう返す。
「かと言って、不味くもなかろう?
ある程度は、匂いで分かるものじゃからな。
…ふふ、そうかそうか、妾も温いのは好きじゃぞ?」
抱き寄せてはいるも、食器を出し難くならない程度に。
取り出した食器、スープを注がれ差し出されれば、空いた手で受け取って。
すんっ、と匂いを一嗅ぎし、そう伝える。
口を寄せるも、ふー、ふー、と吐息を吹き掛け、熱冷まし…猫舌なのだ、仕方無い。
とりあえず、冷ます間は、この少女の温もりを楽しもう。
満更でも無い様子ならば、ちゅ、ちろ、と口付けを繰り返し、軽く頬を舐めてみせ。
肩を抱く腕をゆっくりと下げながら、背を撫ぜ、腰を撫ぜ…
冷めるまで感触を楽しんだ後、一旦手を離すも、身は寄せたまま、スプーンを手に一口。
「やはり冷えた時は、温かなスープに限る。
なかなかに美味い、うむ」
そして、そう答え、食を進めるのだ。
幸いか己は小食だ、そう量は必要無く満足出来た。
■エインセル > 少女の判断は、話してて楽しければ有益、みたいに大雑把でいい加減な代物だ。
手元の鍋を強奪して全て喰らう、みたいな意地悪でもしない限りは問題ない。
彼女の言葉にはこくと頷いて、鍋のスープをちびちび。熱々だから冷えに効く。
「ん、それに、私は強力な魔法とか、使えないからね。
砦の防衛、みたいなお仕事だとあまり役には立たないんだ」
少女の用いる魔法は、七属性魔法と時の魔法。その内前者は中級止まり。
採取依頼で遭遇した魔物程度なら問題ないが、本気の魔族を相手には出来ない。
また、切り札たる時の魔法は、かなり親しい相手にも容易に晒せない鬼札だ。
結果として、少女の評価はそこそこの冒険者止まり。無難な扱いと言えよう。
そして、何かと不運なものだから、収入は初級冒険者程度まで減る。日々貧乏だ。
「ん、美味しく食べてくれるなら嬉しい。食べるの、好きだから。
――それなら、温まろう。私は、くっつかれるのとか、嫌いじゃないし」
どうしてもひもじい時は、娼婦にもなる身だ。身体接触を気にはしない。
彼女がふぅふぅと冷ましながらスープを飲む様に気を良くしつつ、身を委ねる。
幾つもキスが降り注ぐ頬。ぷにりとした頬が、徐々に色付いて熱を持つ。
抱き寄せた手が背中へ、腰へ。徐々にただのスキンシップから淫らな雰囲気を孕む。
それでも、彼女はなんとなく信じられる気がしたから、逃げることはない。
「ん、お口に合ったなら良かった。分けた甲斐があったというもの。
……君は、女の子でもイケるタイプって感じ?まぁ、私もだけど」
一緒にスープを飲みながら、時折ふるりと身を震わせていた。
受け身気質な少女は、弄ばれながらの食事に少しばかり疼きを抱く。
スープをささっと食べ終えてしまえば、後は彼女の腕の中を楽しむばかりだ。
■タマモ > 会話に関しては、今は何とも言えない。
食事に関しては、何ら問題無さそうだ。
そう考えると、相性的には、そう悪くはないのだろう。
それが分かるのは、もう少し後ではあるが。
己の言葉に頷くのを見れば、何とも複雑なものである。
「よぅ分からんが、魔法の力?なんぞ、使いようじゃろう?
力の強弱よりも、どう力を使うか、が重要じゃ。
それは、魔法に限らず、どんな事でもな。
砦の防衛?それだけが、魔法を使う者の仕事でもなかろ?」
少女だけでない、他にも何人もの魔法の使い手は知っている。
どんな魔法を使うか、までは分からないが。
使える魔法に見合う、そんな仕事は、きっとあるものだろう。
あくまでも、己の考えではあるが、それは伝えておく。
見当違いだったら?まぁ、それはそれだ。
「変に作ったものでなければ、美味しく頂く。
それが、作った相手に対する礼儀じゃ。
もちろん、妾とて、食べるのも好きじゃがな?
ふむふむ…そうか、ならば遠慮は要らんか」
単に、与えられたものだから、と言うのも無い訳ではないが。
どちらかと言えば、美味しいと言える味である、量の割りに少し時間は掛かるも、平らげられるもので。
己のスキンシップに、その意味は察しているような様子でも、逃げるような素振りはない。
…そして、続く言葉に、くすりと笑う。
「馳走になった、次は、妾が馳走するとしよう。
…ん?むしろ、無理な相手の方が少ない方じゃろうな。
こうしておるのは、もちろん、お主が気に入ったからじゃぞ?
良いならば、当然、ありがたく…受け取るが?」
食事の量の差の割りに、食べ終える時間の差がないのは、ちとあれだが。
それはさて置き、腕の中で大人しいままの少女。
その耳元に、唇を寄せ…ふっ、と吐息を吹き掛け、そう問えば。
再び少女へと触れる手は、改めて腰を撫ぜ、お尻を撫ぜと、反応を確かめるように、弄り始める。