2020/11/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 王都マグメール、貧民地区。
今日、その場所のところどころで、不思議な現象が起こっていた。
主に、人の疎らな場所に、足を踏み入れた者達に。
しかし、それは本人達にしか、知る由はない。
なぜならば…
「………ふむ、これで良し、じゃな。
いやはや、今日は、それなりに見付かって良いものじゃ。
たまには、こう言う日も無くてはのぅ?」
ある裏通り、そんな呟きを洩らす少女。
その足元には、その少女とは別の、もう一人の女性がへたり込んでいた。
その表情は、どこか恍惚としているも、意識はここにあらず、と言った感じだ。
…まぁ、簡単に説明すればこうだ。
いつものように、人気の無い場所を彷徨い、誰か見付け次第に己の領域に閉じ込める。
そこで見せるのは、その者の記憶にある、どこかの光景。
後は、その中でたっぷりと遊んでやる訳だ。
良く知る場所、良く知る相手、そうした状況で遊ぶのは、何とも楽しいものなのだ、色んな意味で。
後は、元に戻して、元の場所に戻す、以上。
元に戻すって、何をしていたんだ?と問われれば。
………うん、口に出して言えない事、とでも言っておこう。
どんな者であろうと、心の奥底には被虐心は存在する。
そう、加虐者であろうとも、その心を持つからこそ、そうした立場となれる。
それが、少女の持論。
だから、少女は遊ぶ相手を選ばない。
好機と見れば、老若男女気にせず、平然と襲い掛かるのだ。
あ、もちろん、襲うと言っても性的な意味で。
もっとも、相手がそうした事を好むのであれば、甚振ってやるが。
「さて、次辺りで、今日は最後じゃろうか。
よし、次に行こう、次に」
ちらり、と今だ茫然自失な女性を見遣るも、とん、と地面を蹴れば、その姿は掻き消える。
今言った、最後とする獲物を探す為に。
移動で伝うのは、屋根の上。
再び、人気の疎らな場所、そこに居るかもしれない獲物を探す為。
■タマモ > とん、とん、とん、といつものように、屋根の上を跳ぶ。
以前あったような、壊れ掛けた場所、そこを踏み抜くなんて失敗はしやしない。
…あれから、もう一度だけやったが、それは秘密だ。
ともあれ、少女はそうして貧民地区の、それなりの区域を見て回る。
普通に通りを巡れば、こうはいかないのだ、やはり屋根の上は早い。
「むむむ…さすがに、こうも暗くなると、警戒もするものか。
まぁ、もう少しだけ探って、無ければ酒場にでも寄って帰るかのぅ」
はふん、軽く溜息を吐き、夜空を見上げる。
ちなみに、今、少女は灯りを灯してはいない。
今日は雲一つない、月明かりで十分見えるのだ。
後、灯りがあったら目立ってしまう、そちらの方が重要か。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にミユさんが現れました。
■ミユ > 「…」
手のひらに淡い魔法の光を灯しながら…貧民街の裏道を足音もなく走るミユ…
裏道を縫って縫って縫って行く先は、貧民街でもかなり外のほう…半部スラム化している地域に近い…
「…ふぅ…」
目的地は近いのか、歩みを緩め…胸元から出した小さな鈴をチリンと鳴らす。
突如ミユの目の前に現れる黒い影…その影は人のようで人でない…影そのものの様にみえたかもしれない。
「ほら、アナタの欲しがってたモノ、持ってきたわ」
…と、ミユはその影にポーチを投げ入れる…黒い影が揺らぎ…暫くの間が空き、ポーチを投げ返してきた…
ミユはそれを受け取ると、先ほどとは違い、何やら「チャリ」とガラスが擦れる様な音が…
「じゃ、またこの月の夜にね…」
とミユはその影に手を降ると、元の道とは違う道をてくてくと…大通りに出る最短ルートを歩いて帰ってゆくか…
■タマモ > ぴくん、屋根の上に居た少女の耳が揺れる。
この付近に立つ音は、そう多くはない。
鋭敏な聴覚を持てばこそ、それに気付いた。
いや、むしろ、足音を立てないように移動をしているからこそ、その違和感に興味を持ってしまうのか。
静かに、その相手の近くである屋根に降り立ち、上から視線を向ければ…
「………ふむ」
なにやら、一人の人影が、裏通りで何かしている。
まぁ、ぶっちゃけ、何してるかまでは分からないが。
とりあえず、何かしてて、それを終えて、その場を離れていく、それだけは分かった。
「ふっ…あの者に、決まりじゃな」
誰か見ている訳でも、聞いている訳でもないが、びしり、その去ろうとする人影を指差し宣言する。
と、次の瞬間、とんっ、と屋根を蹴り…
ふわり、大通りへと行こうとする、その人影の背後に、静かに着地するのだ。
■ミユ > 「~♪」
手の淡い光を灯したまま…ここまで離れればあの場面を見てる者などもういないと安心し、あと10分も歩けば、何時もどおり大通りに出る筈だった…だったが…
「…?」
一瞬だが、なんだかの気配を感じて足を止める…ここで振り向いていればよかったのかもしれないが…ミユはその気配を探る様に目を閉じて探すが、その一瞬の気配はもうどこにもないようで…
「?…まっいっか…」
盗賊時代に培った気配の察知能力は今でも健全である…と思い込んでるミユは、また歩きだそうとし…でもやはり、なんだか背筋に凍るものを感じて振り向いてしまう…
「…??」
なんの気配も感じさせない…手に灯した光は精々足元を照らす程度のものだ…しかし、月明かりにシルエットだけは確認できた…
「あなた…何者!?」
ミユはあらゆる可能性を考えていた、ただの通りすがり?…いや気配を殺して…なんてないし…もしかして、暗殺者…?…可能性はこれくらいしか考えられず…腰のダガーに手をかけるか…
■タマモ > その人影、それが小柄な少女である事は分かっていた。
…まぁ、聞こえていた声と、その手にした灯りで照らす姿、背後に立った時、己と身長が大して変わらないから、と色々とあるのだが。
気配も絶ち、音も立てず背後に回ったはず、なのだが…
どうやら、この少女、勘が鋭いか、それなりに手練なのか。
己の存在に、思いの外すぐに気付いた。
…が、まぁ、少し遅い。
「おぉ…凄い凄い、よぅ気付いたのぅ?
何者か、と問われて、答えようかどうか、迷うところではあるのじゃが…
その前に、やる事をしておかねばな?」
色々と思考を巡らせているだろう、それは当然の事だ。
しかし、そんな少女の様子、それを気にした様子は見せない。
にっこりと笑顔を浮かべれば、ゆらりと伸びる両手が少女を引き寄せ、抱き締める。
それが叶ったのならば、少女の意識が、ほんの一寸だけ途切れ、すぐに戻るだろう。
それは、己の領域に引き込んだ事を示すもの。
己が支配する夢と現実の狭間、夢現の領域への招待である。