2020/09/18 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にイズミさんが現れました。
■イズミ > 王都 貧民地区 酒場─
二階が宿になっている、余所者とゴロツキのたまり場。
基本的に、現状に不満を保たず、むしろ貧民地区が心地よいと感じる無頼漢でコロニーが形成されている。
しかし、ここから這い上がり、平民地区の宿へと拠点を移すべく頑張っているものもいる。
東国からやってきた忍びもその一人。
とはいえ、必死になってあがいている風でもない。
鍵がかからない部屋が嫌。
共用の水回りが嫌。
清潔感のないベッドが嫌。
漂ってくる匂いが嫌。
そういった理由から「はやいとここんなところ出ていきたい」のであって、向上心があるわけではなかった。
今日も今日とて「うまい儲け話」でもないものかと、木の根っこの前でうさぎが転げるのを待つ体で、酒場の隅っこに腰を下ろしていた。
■イズミ > うまい儲け話とは。
勿論ボロい仕事があればそれが一番。
そんな事今まで一度もないので、現実的な路線だと
賭け事(で勝つ)。
盗み。
あたりになる。
そんな意味では、この酒場。
頭の宜しくない下層の民で溢れているのだから、「カモにできそうなお馬鹿さん」を探すには困らず。それなりに適していると言える。
問題は「カモるのに良さそうなお金持ち」はいないと言う所。
そう、金貨一杯の袋を持って、こんなところに酒を飲みに来るバカはいないのである。
「やっすいレートで、数日分のお部屋代を稼ぐくらいか…」
ため息と共につぶやきを零す。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアードラさんが現れました。
■アードラ > 其処に。
この場には似つかわしくない、身なりの良い男が現れる。
酒場に踏み入ると、賑わしさが僅かに翳り、目をつけられないようにあえて気にしない…
そんな空気が湧き上がるのも無理からぬ、異質な男。
男は視線をぬるりと店内に巡らせた。
そして隅の女を視界に留めると。
店主と一言、二言と話を交わすと。
「似つかわしくない姿も見えたものだな」
女の近くに寄ってきて、開口一番。
抑えながらによく通る楽師のような声で語りかける。
「待ち人か?」
この酒場にあって女に興味を持つのは、少なくとも自然な成り行き。
■イズミ > 「おっ」
と、口に出した程度には異質な客の姿が目に入る。
きれいな顔をしていて。
大柄で。
身なりが悪くない。
なんでこんなところに?と思いつつ、それとなく気配を追っていた。
視線は向けていない。これぞ忍びの術。
彼は店内を一望し、店の主人に話しかけ、そしてどうしてかこちらに来た。
そして語りかけてくる。
ヤバイ感じにカリスマ性のある声で、例えば戦場などで彼が恫喝すれば敵は怯え、鼓舞すれば味方が沸き立つ、そんな声質。
つまり、女なら10人中9人が悦んで媚を売りにいくタイプのモテメンであった。
だからこそ!
愛想よく笑わないのがイズミという孤高の忍び(あまのじゃく)。
ちらりと彼を一瞥。
「こんな酒場に似つかわしくないのはそっちも同じでしょ。探し人?」
そんなお返事をする。
■アードラ > 「…………………」
質問に質問で返されると。
男は眉間に僅かに皺を寄せた。
腹芸を主とする型ではなく、武芸者の立ち居振る舞い。
「ひと仕事を終えて、酒を飲みに来ただけだ。
手近な店が此処だった。この界隈ではまだ良い店構えをしている。
………借り切るほどの店ではない、が。悪くない酒はある」
鼻を鳴らして踵を返さなかったのは。
少なくとも女個人に興味があるということだ。
こんな店で佳人を侍らせられるとなれば安酒でも旨くなる。
店主から受け取った、店からすればそれなりの格式の酒を、
高くなさそうなグラスに注ぐ。互いの分を。
「待ち人はいない」
問いかけの返答を短く告げて、グラスを煽る。
「お前は? 待っているのは人ではないな。食い扶持か何かか」
待ち人ならまず男を退かそうとする筈だ。
■イズミ > こちらの情報は意図的に伏せていた。
勿論「恋人をまってるんですぅ」的な見栄があって「いいえ。独り身です」みたいなお返事をしたくなかったというのもほんのすこーしだけある。
酒場の主人がそれなりの酒を持ってきて、2人分のグラスとともに置いていく。
なるほど、主人に話しかけたのは「あそこのテーブルに2人分もってきてくれ」的なアレか。
それを好意というのかはわからないけど、彼はこちらに興味をもっているようだ。
ちょっとドキっとするけれど、いくらイケメンだからってコロッと引っかかるような安い女ではない。と気合をいれなおす孤高の忍び。
「良い儲け話がないかなーって待ってただけ」
お酒のお礼に、一応ちゃんとした回答はする。
そしてグラスを口元に運ぶ。
悪くない味がする。
これは、彼を相手に賭け事しちゃうべきか。
お金も持ってそうだし、意外にもイノシシタイプぽい。
じろじろと彼を観察する。
「それで、キミ(年上でプライド高そうで根は真面目そうな彼をあえてキミと呼ぶ!)はどうしてこのテーブルに?」
■アードラ > 女の意図通りに、謎には興味を持っている。
それでも返ってきた言葉にはやや驚きの色を見せてから、
周囲を見回して再び女に視線が戻ってくる。
「此処でか…?」
羽振りの良い者を期待するには些か穴蔵であると言わざるを得ない場所に、
男が最初に言った似つかわしくない…存在が腰を下ろしている事実に面食らう。
賭け事をするにも種銭を盗んでくる者さえ居そうな場所。
「ああ、此処で酒の伴とするならお前だろうと思っただけだ」
佳い酒を飲みに来たら佳い女が居たのだから声をかけるのは当たり前だと。
美醜を解する価値観はあった。
「有り体に言えばお前に興味があった。
儲ける宛ても知らないわけではないが、如何する?」
酒の奢りは心付け、というわけでもなかったが、惜しくはないと考える。
そして男は、仕事帰り。懐は暖まっている。
■イズミ > 積極的なイケメンが「お前に興味がある…(フッ)」←イメージ。 みたいな事言いながら隣りにいる。
心拍数が上がってくる。
冷静に。
冷静に。
そもそも酒場の中には若い女が数えるほどしか居ない。
つまりはそーゆーこと。
現時点では「女なら誰でも良かった」「酒を飲むなら女を脇においておいたほうが上手い」的なスケベセリフと変わらない!
100歩譲っても、「今この酒場にいる女(若干名)の中でお前が一番まともだった」とか言われてるのに等しい。
そう考えるとなんかイラっとしなくもない。
ふーっと息をして気を静める。
そっちがその気ならこっちだって!
大やけどさせてやる!
周りを見つつ、彼に少しだけ背を向けて、髪を鋤ながら、やや胸元の襟を乱す。
そして、足を組み、全体的な露出を30%アップ。
そのまま彼に向き直る。
「儲け話?あるの?じゃあ聞かせて」
儲け話。なんだろうか。
今度の仕事で相方を探している…とか。
■アードラ > 実際のところ。
絶対的な価値観を女に見出せというのはこの場所では難しい話ではある。
土竜の群れのなかに花一輪。佳人ではあるとは思うが、此方がどれほどの本気かと言えば。
それこそ酒を奢ってもいい、というくらい以上の信用は買えないし。
男側からも買う気もなかったのだが、興味はたしかにあった。
そして無骨無愛想ながらも顔貌に自負もあり、気障な洒落者たらんとするのは事実であり礼儀だ。
視線は一瞬胸元に、肥沃な下肢に注がれる。
男は所詮男。
「その前に」
問われた言葉の前にとテーブルに手をついて顔を寄せた。
「お前は何が出来る?」
女の得手とすることを聞いておきたかった。
その返答如何でいくらでもレートが釣り上がると言いたげの本気の眼。
仕事の話をするなら男の中で遊びは介在しない。
■イズミ > 「何って…」
改めて言われると返答に迷う。
「なんでもできちゃうし…」
できるできないで言えば、できることは多い方だと自負する。
「あ、でも『今この場で裸になって踊れ』とか『俺のために死んでくれ(フッ』みたいなのは無理」
結構真剣に悩んだ挙げ句、彼を見る。
「順序逆でしょ。キミの持ってるカードを見せなさい。どんな儲け話があって、どんな技能が求められてるのか。それがいくつもあるのなら、その中から私がOKしてもいいものを選びます」
うん。そうあるべき。
残りのお酒をくいっと喉に流して、前傾姿勢となり彼に圧力をかける。
「さ。話しなさい。どんな儲け話があるのかを」
何なら彼の腕を掴んでしまおう。逃さないように。
■アードラ > 目が細まった。
男にとって「なんでも出来る」が若干心に引っかかる類の謳い文句だったのだ。
そう言う奴は信用ならぬとは行かないまでも僅かな用心を覚えて腕を引く。
引いたところで掴まれた。女が片手で掴むには難儀する太さの前腕であるが逃げなかった。
「……………。」
周囲を見渡す。人の目のある場所だからここで話せることしか話せないという意思表示。
「何れも俺の仕事に関わる事だ。同じ依頼主から請けてもらう事になる」
肩を上下させてから声を顰めて話しかける。
「先ずは人探し。一定の区画に居る人間を探し出してもらう。前金と裏が取れれば残り」
「続いては身辺調査。人探しとは別の人間になる。これも同様の支払いになる」
「最後は移動手段の橋渡し。これは成功報酬になる。何れも」
男の口から提示された報酬は破格と言えるものであり、仕事の難度は高い証拠だ。
曰く「なんでもできる」相手には切れる札は切っておく。
圧に屈さずに女の目を覗き込みながら唸る獣のような声で締める。
「此処から抜け出す足がかりにはなるだろうが楽な儲けとは言わない。
依頼主に対して余計な質問をしない事が条件だ。
詳しくは此処では話せん。続きは場所を変えることになる」
掴まれた腕を離すかどうかを聞いた。前金は手元にある。
■イズミ > 仕事の内容は「諜報」の類。
得意分野と言うか、忍びとしての生業だった。
最も、東国のシノビがどんなものか、目の前の男は知らないだろう。
私はシノビです、と行った所で何の証明にもならない。
「キミは知らないでしょうけど、私は遠い東の国でそーゆー仕事を生業にしてた集団にいたの。ま、諜報任務はお手の物ね。その経験から言わせてもらえれば、依頼主がなんでキミにそんな仕事頼んだのか不思議に思うくらいのインテリジェンスなお仕事ね。実際の所キミは戦闘要員で、諜報とか苦手で困ってたんじゃないの?」
私にあえてラッキーね、と一人頷く。
「いいでしょう。場所を変えようじゃないっ。テストでもなんでもしてくれてOK」
彼の腕…なんか改めてみるに獣じみて太いそれを胸に抱き寄せつつ椅子を立つ。
うん、これは間違いなく美味しい儲け話だ。
相手側に追い忍とかいなければ。
■アードラ > 「………………。 そうだ」
男は応えるかどうか迷った間を置いた後に正直に応えた。
明らかに喧嘩を売られているのはわかったが何かの理由で抑えたようだ。
「それは俺に任された仕事ではない。俺が仕事をする為の足回りだ。
担当していた奴が抜けた。死んだわけではないがな。
…そして俺はそういった事には不得手なのも間違いではない。
待ち人はしていないが探し人はしていた。お前がそれであればいいのだがな」
腕に巻き付く感触に、溜め息を一つ吐いてから代価を置く。
「了解した」
女の得意げな言葉には若干驚いたかの様な間を置いてから。
彼女を伴い、酒場を後とする。この宿の部屋には残念ながら清潔感が足りていない。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアードラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からイズミさんが去りました。