2020/08/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 【待ち合わせ待機中です】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にヴェルソートさんが現れました。
セイン=ディバン > 「……だぁぁぁぁぁ、疲れたー!」

日も沈んだ貧民地区の酒場。
男はそう叫びながら入店し、適当な席へと座る。
一度大きくため息を吐き、ぐぐっ、と仰け反るようにして伸び。
そうして、男は給仕の娘に向かって手を挙げ。

「とりあえず、黒麦酒!」

そう注文し、首をゴキゴキと鳴らす。
本日も冒険者道は地味の道。
素材集めに小物モンスター討伐。
稼ぐに追いつく貧乏はないらしいが、中年には堪える毎日、というやつである。

ヴェルソート > 「はっは、お疲れ様だねぇ、旦那?」

貧民地区の酒場、勝手知ったるたまり場に連れ添ってやってきた男の声に、苦笑いしながらねぎらう声を返して隣に座る小柄な男。
片腕が無いその男も、なんだかんだで片腕をグリグリと回すようにこわばった体を解しながら。

「あ、俺は果実水、なければミルクで。」
喉に負担のかかるアルコールを避けるように注文を付け足しながら、背もたれにゆるりと体を預ける。

「そういやお前さん、割と頻繁に手入れしてるわりに、あの銃ってやつあんまり使わねぇよな。」
大群や大物相手には容赦なく使っている印象はあるが、小物だと、ナイフとかで戦ってるイメージがある。
今日のモンスター討伐も大体は小物で、ほとんどナイフや通常の武器で仕留めていた印象が強くて、ふと問いかけた。

セイン=ディバン > 「実際、この歳になるとキツいよなぁ……」

相手からの声に、はぁぁぁ、とため息を吐きつつ。
自身の老いについて落ち込む男。
まだまだ現役! といいたいところだが。
能力はとっくにピークを過ぎ去っているのだ。

「ま、お互いアテに関しては適当に注文、でいいな?」

そういいつつちゃっかりと干し肉を頼む男。
どうやら、完全に飲む気満々らしい。

「あ~……ぶっちゃけると、弾丸の経費が痛い。
 あとは、イザ、って時のために。
 ダガーやナイフの使い方だけは、常々体にしみこませておかないとな」

刃は折れる曲がる。弾は尽きる。銃自体は不発を引き起こすかもしれない。
だからこそ、男は一種類の武器だけで戦うことはせず。
常に、数種類の武器を使用することにしている。

「まぁ、そういう意味じゃあ。
 もっぱら切り札は自作の爆弾ってことになるけれども」

やれやれだ、とでも言いたそうに。男は肩をすくめる。
男が自分で(適当に)調合し、製作する爆弾。
男はそれを【物質転送】の呪文で【相手の体内】に転送し、爆破するというのを切り札としていた。
単独での竜種討伐などは、それがあったからこそ成し遂げられたようなものだ。

ヴェルソート > 「ん~、まあ俺は…基本後ろで歌ってるだけだから、別になぁ。
 でもまぁ、キツいキツい言うけど、そつなくこなしてんじゃねぇか。仕事も、アッチも。」

実際はまあ、索敵したりとか色々しているけども、基本は歌による支援だ。
歌声が届く範囲全てが己の領域だと自負している男の呪歌は、歌う以上隠れて支援ができない、ということを覗いては割と万能である。
そして彼は彼で、文句を言いつつもきっちりと仕事はこなしている。
そしてちょっとした揶揄代わりの言葉を投げては…ふと思い出したように。

「はいはい。…そういや武器で思い出したけど、平民地区の鍛冶屋にミスリルが入荷したらしいぞ。」
今なら金出せばミスリルの武器がーって、戦士連中が先日騒いでたのを思い出して、話題にポンと投げ放ち、自分はいつもどおり、揚げじゃがをもしゃりと。

「あー、矢と違って使いまわし難しいんだっけ?
 また、財布に悪い武器だねぇ…俺は蹴る方が得意だけどなぁ。」
実はナイフより、体術の方が得意な男。歌っている間無防備なままでは居られないのだ、ある程度…脚で近づいてきた相手を片付ける技術は、必須である。
なんせ、歌い手の両手は基本、楽器を持っているものだ。

「あー、あのなんか…たまにせこせこ細々やってるやつか、俺はそっちは全然だからなぁ…。」
たまにドカァンてやってるよな確かに、とうなずきつつ…酒を飲む相手を頬杖をついて眺めて。意外と器用なんだよなコイツ…なんて失礼な事を考えていた。

セイン=ディバン > 「どうだかなぁ……。
 正直なところ、割とギリギリだぜ?」

再度ため息吐きつつ、男は苦笑してみせる。
事実、男の依頼達成率はかなり高い。
だが、全盛期に比べれば、無茶は出来なくなっているし。
なによりも、すぐに息が切れてしまう、という部分は絶対なのだ。

「ん、マジか。
 その手の話、久しぶりだなぁ……。
 ちょっと今度漁ってみるかなぁ」

ミスリル、と聞けば。男が興味深い、という表情になる。
ミスリル。魔法の銀。その名を知らぬ冒険者など、そうそういないだろう。
男自身、ミスリルの装備の一つも欲しいと思っていたところなので。
その噂話は、渡りに船、というものであった。

「あぁ。一度発射しちまえば、再利用は難しいな。
 オレも蹴るほうが得意だけども、だ。
 ……そういえば、その手の楽器とかってのは、やっぱり店で買うのか?」

そこで、男は相手の職業に関した質問をしてみる。
そも考えてみれば、吟遊詩人や楽師たちについて。
男は、あまり物を知らなかった。
楽器の調達法や、その職業になるための手段などなど……。

「師匠に叩き込まれたんでな。
 最低限、一人でも罠の解除、鍵の解錠、マッピング、鑑定はできるようになれ、ってな」

その壮絶な特訓の日々を思い出したのか。
男の表情が青ざめるが。すぐに男は、それを忘れたい、とばかりに。
酒を、ぐぐっ、と一気に飲む。

ヴェルソート > 「まあ、スタミナは若いもんと比べるとどうしてもなぁ、たまに化け物みたいな体力あるお偉方とかも居るけど。
 ……でも、オレとヤってる時は随分余裕あるじゃねぇかよ。」
苦笑する彼に肩を竦めて軽口を返しながらも、彼の言葉には一理あるのだ。
まあ、息切れなにそれおいしいの、という肉体派なお年寄りは一定数居るのがこの業界の怖いところだが。

「おう、まあ俺も噂を小耳に挟んだだけだから、裏までは取ってねぇけどな。」
まあ、手入れついでに寄れば良いんじゃねぇか?と返すのは、武器というものをあまり持ち歩かないせいか。
銀の特性を持つ魔力を帯びた丈夫な金属。大体は細工物などに重宝されるが、武具としても高い評価を得るそれは、確かに冒険者なら一度は欲しいものだろう。

「ん?あー…俺が昔持ってた竪琴は、師匠からの選別だったな。
 まあ、基本は楽器屋とか…あと、魔法の楽器とかなら、マジックアイテムを取り扱ってるとこにあったりもするな。
 こういう呪歌の効力は、楽器の質や腕前にも左右されるし。
 楽器は楽器で高いんだぜ?ものによっては、武具みたいに屋敷一軒立つようなものもあるし。」
まあ、そういう意味では、振るだけで七色の音色を発生させる自分の指揮棒も、割と高いものではあるのだが…音を出せるだけ、という意味では、マジックアイテムとしての価値はさしてない。

「俺の場合は逆だなぁ。『ディーヴァは汚れてはいけません。』が信条の先生だったから。」
まあ、その教えは儚く破れてしまったけれども…と、苦笑いして。

セイン=ディバン > 「いるいる。騎士団の団長とかな。
 あと、富裕地区の鍛冶屋のとある主人なんて。
 オレより歳いくらかイってるのに、すっげぇ筋肉なのな」

たまに武器の手入れ用品を買いに行く富裕地区の鍛冶屋。
そこの主人は、年齢こそずいぶんなものなのに、元気溌剌のマッチョボディである。
多分、この男が真正面から戦った場合、まぁ負けるであろう。

「じゃあ、足使って調べまわるしかねぇなぁ。
 なんだかんだ、人気あるしな……」

ミスリル装備は、金に余裕のある冒険者なら一度は入手を目指すものである。
耐久値も高いし、何より質がいい。
問題は、ちょっと、と言えないくらいにお値段がするところ。
とはいえ、男の財布事情なら、買えないことも無い。

「へぇ、そうなのか。
 ……やっぱあれなのか? 学院みたいなところで学んでからなるのが正攻法?
 それとも、師匠を見つけて弟子入りするのが王道?」

男自身、冒険者になるのは自力でなったのだが。
その後は師匠という存在に(無理やり)弟子にされ。
そこから、ようやっと独り立ちしたので。
歌を武器にする職業の皆さんも、色々苦労してるんだな、というのが。
素直な感想であった。

「その辺は仕事、っていうか。
 職業次第だよなぁ。
 ウチの師匠は『何はなくとも生き残れ』の人だったし」

ぐびぐびっ、と酒を飲み干し。男は微妙な笑顔になる。
一応、師匠を尊敬はしているようだが。
その表情には、明らかに恐れが浮かんでいる。

ヴェルソート > 「あー……富裕地区の鍛冶屋の旦那か…凄いよなぁ、足腰。」
ふと、遠い目をしてボソリとつぶやく男は多分、彼とは別のナニかを思い出している可能性があるが、まあそこはそれ。

「まあ、ダマスカスとどっちが良いかは賛否両論だけどなぁ。ダマスカスの方は壊れねぇのがウリになるし、ミスリルのが切れ味とかは良くなるっていうし。」
実は、自分も持っていたのだ。むかーしむかしにミスリルの道具…魔族に捕まった時に没収されたので今はどこにいったかすらわからないが。

「貴族なら学校、平民なら師匠か独学…じゃねぇか?
 学校ってやっぱ金かかるもんだし。どっちが王道…ってわけでもねぇ気はする。
 魔術もそうだろ?学校で学ぶ奴と、市井の魔術師がやってる私塾に通ったりするのと。」
両方の道があり、どっちも利点と不利点があるだけで、どちらが王道というわけではない、とまあ自分の見解を口にするが。
確実にその道を学びたいなら、やはり学校だろうか…という気にはなる。弟子入りだと、覚える知識が偏ったりすることもままあるので。

「いや、俺も屋外の…いわばレンジャー的な技術はある程度抑えてるぞ?ただほら…盗賊系の技術は汚れ仕事だから駄目、みたいな感じだった。別に見下してるわけじゃねぇけどな、歌姫としての矜持的な意味で。
 まあ、その弟子の俺は汚れ仕事まっしぐらなんだけども。」
今の状態知られたら殺されるかなぁ、とか…こちらはこちらで引きつった苦笑いを浮かべて…ぐい、と果実水を飲み干した。

「そういえば、今日の依頼人。支払いはまあまあだったな、エロかったけど。」
多分自分の呪いのせいだろうが…自分に向いた視線が割とがっつり舐め回すようなそれだったなぁ、なぞと…ぽつり。

セイン=ディバン > 「あの人、ずっと若いまんまに見えるわぁ……」

男の記憶の中では、4~50代に見えて以来、ずっと見た目が変わっていないような気がする。
まぁ、少なくとも。元気であるのはいいことである。多分。

「その辺はもう本当に好みだな。
 重さとかもあるし……」

個人的には軽いほうが好みだ、と言いつつ。
干し肉をガジガジとかじる男。
そのあたりの装備については。おそらく、冒険者一人ひとりにこだわりがあるだろう。

「ふぅん。なるほどねぇ……。
 まぁ、結局のところそうだよなぁ。
 ……なんか最近、貧民地区で冒険者になるための学校、モドキ?
 みたいなのがオープンしたらしいけど。
 あれ、どう考えても詐欺だよなぁ」

学校、というものについて、語る男。
結局のところ、ある程度学んだら実践が一番なのではないか、と思っているらしい。

「そういうことか。
 まぁでも、そういうんも大事だろ。
 住み分けっつーかさ」

職業ごとの意識の差、というのは間違いなくある。
なので、それを差別的発言とは受け取らない男。
職業、業種ごとに。そういった意識の差はありつづけるのだろうなぁ、などと思いつつ。
ちゃっかり酒をお代わり。

「支払いがいいのは大事だよな。
 でもまぁ、冒険者に依頼出して、実はそれがムチャクチャな難易度で?
 ヘトヘトボロボロになった女冒険者を犯す、とか。
 そういう悪徳依頼人もいるからなぁ」

依頼主が良い人ばかりではない、というのは。
ある意味で、冒険者の常識であった。

ヴェルソート > 「髪はねぇけどな。っつぅか、多分お前さんも50過ぎたら似たような評価もらいそうな気がするけどなぁ。」
ハゲなのか、スキンヘッドなのかは知らないが。色黒スキンヘッドというある意味鍛冶屋としてはテンプレートなナリをしている。
そしてそういう彼も…多分50~60代くらいまでは似たような事を言われそうな気がひしひしとする。
単なる想像ではあるけども。

「軽さなら…オリハルコンがすげぇ軽いって効いたことあるけど。まあ聴いただけで見たことねぇけどな。」
そのへんの魔法金属になると、そもそもみかけることすらマレである。
むしろお目にかかりたくはあるけども。歌のネタになるだろうから。

「…え、何だそれ俺初めて聞いたわ。
 なんだ、冒険者崩れの奴らが月謝取ってやってる感じか?
 ……ちゃんと教えてるならそれはそれで良いことだろうけど、やっぱ詐欺臭ぇなぁ。」
貧民地区だと特に…と勘ぐってしまうのは一緒だったらしい。
最近、ひょんなことから面倒を見ることになった奴隷の彼と一緒に覗きにいくのも良いかもしれない。
ちゃんと授業してるなら、通わせても良いや、的な。

「まあ、それこそ一人でなんでも出来たら、パーティ組む意味ねぇからなぁ。
 いや、意味はあるか。人間、手足は二本ずつしかねぇんだし。」
できる、とやれる、は違うのだと、思い知ってる二人である。
世知辛ぇなぁ、なんて呟きながら、今度はミルクを頼んで。

「まあな、ケチケチされるとやる気なくすし。
 あぁ、居るよなぁ…女の冒険者ってそれだけでリスク跳ね上がる気はする。
 ……女だけだと思ってたんだけどなぁ。」
彼も知ったる自分の呪いで、割とそういう目に合う男は…そっと、ため息を漏らしたとか。

セイン=ディバン > 「あれは、ハゲてんのかねぇ。剃ってんのかねぇ。
 さすがに本人には聞けねぇよな~。
 いやいや、そこまで生きてるかね、俺は」

冒険者なんて、本当にいつ死んでもおかしくない。
なので、長生きできればそれはもう、儲けものである。
……ぜひとも、長生きはしたいものなのだが。

「オレも、現物は見たことないな。
 と、言われている物質で作った装備、ってのは何度か見たことあるが。
 多分偽物じゃねぇかと思うし」

以前に商人がそう謳っていたのを遠目に見たことのある男。
だが、それは明らかにオーラを感じなかった。
男の宝物鑑定スキルは、それを偽物だと判断したのだが。
実際はどうだったのやら、である。

「多分な。それか……。
 冒険者未満のチンピラが、ってところだろ」

この国では、冒険者を目指す者は多い。
……というのも、夢を見ているか、それしか食う道が無いのか。
その差はわからないが。まぁ、ラクに稼ぐために冒険者を目指す人間は多いのだ。

「ま、その辺も踏まえて師匠はオレにいろんなことが出来るようになれ、と言ったわけだ」

いつも仲間が集まるとは限らないし、クエストの途中で離脱の可能性もある。
だからこそ出来るだけソロでの活動になれておけ、と。
そういう意図あっての言葉であろう、と男は解釈している。

「かといって、払いが良すぎるのも怖いよな。
 何が起こるかわかったもんじゃねぇし。
 ……でも、それを言うのなら。
 ミレー、って種族だと種族レベルで危険性上がらねぇ?」

話はついで、冒険者の、っていうか。
この国での危険性についてにシフトしていく。
男の脳裏に浮かぶのは、自分のところでメイド業をがんばる二人組の姿だ。

ヴェルソート > 「どうだろうなぁ…両方ってこともあるし。
 お前さんは、明日をも知れないとかいいつつしぶとく生き残ると思うけどなぁ。悪運と生命力だけはトップクラスだろうお前さん。」
あと性欲、と付け足すように揶揄するのは、いつもの仕返しのつもりか、クツクツと喉を鳴らして笑い。

「あー、それはあるよなぁ。俺もたいてい偽物しか見たことないけど…むしろ、存在するのか怪しい金属だもんなぁ。
 オリハルコン、アダマンタイト辺りは。」
本物があったらむしろ拝んでみたい切実に…歌にするから。

「いや、別にチンピラだろうが崩れだろうが、ちゃんと教えて月謝取ってるなら良いんだよ。
 ちゃんと教えてるなら。」
そうじゃなかったら…まあ、お灸据えに行くのもありかなぁ、と思う次第である。
まあ、聞くと体が燃え上がるように熱くなる……そして実際に燃える歌なぞを3分程フルコーラスで聞いてもらうくらいしかできないが。

「まあ、美味い話しにゃ裏があるってのは気をつけんとなぁ。
 あー…ミレーはなぁ、どうしても…この国じゃあなぁ。」
不憫な話だけど、国単位での扱いが悪すぎる。
なんでここまで敵視されてるのか、が一応知ってはいるが全く共感できない男は、ため息まじりに。
まあ、奴隷云々と話しだすと、自分も同じ穴の狢なのでなんとも言えないのだが…。
空になった揚げじゃがの皿を脇にどけると…くたりと、なんとはなしに突っ伏してだらけ。
「なんか、シモネタ言ってたら催してきた…。」

セイン=ディバン > 「いや~、さすがに面と向かっては聞けねぇよ~。
 ……さて、どうだろうなぁ。
 そういう風に言われてるヤツほど、先に逝った気もするしな」

なんにせよ、油断したりはしないつもりだ、と言いつつ。
男はうむむ、などと首をかしげる。

「まぁなぁ。
 もしも本物が出てきたら、目が飛び出る価格だろうしな」

すくなくとも、簡単に入手できる代物ではない。
だからこそ、見てみたい、とも思うのだが。

「どうだろうな。少なくとも。
 その手のやつらの教えることなんざ、実践で役に立つわけがねぇ」

一流冒険者が教えていても、新人は死ぬときは死ぬ。
結局のところ、大事なのは本人の能力とやる気ではある。
だが、それにかこつけて適当を教えるのは、これはもう詐欺であるからして。

「だな。少なくとも、美味くてタダの話は無い。
 ……どうしてもなぁ……」

なんだか、どんより、といった感じのお話。
少なくとも、男の知る中ではミレーはなかなか扱いが向上していない。
だからこそ、男もいろいろとがんばっているのだが。

「あぁ? おいおい……。
 よし。それじゃあ、酒はこの辺にして。
 ちっと、外でも歩くか」

ついでに宿にでも入るか? などと言いつつ。
会計をする男。その辺の手際はいい。

ヴェルソート > 「まあ聞いてもバカ笑いしながら答えてくれそうだけどなー、ジャンさんなら。
 あぁん?随分弱気な事言うじゃねぇか、全く。」
ただし、馬鹿力で背中を笑いながらひっぱたかれるだろう、あれは痛い…すこぶる痛い。
そして、彼にしては弱気というよりは、悲観的な返答にピシッ、とデコピンの一つでもしてやろうか。
まあ、どうせ死ぬ時は死ぬんだから、笑って死ねりゃそれでいい。

「だろうなぁ、金属自体が貴重な上に、加工にも腕がいるだろうし…あー、こわいこわい。」
どんな値段がするのか、想像するだけで恐ろしい。
でも、見てみたいのは皆同じ。

「案外、教えるのだけはやたら上手い奴が居たりしてな。
 ってのもまぁ、希望的観測だけど。…まあ、気が向いたら見に行ってみるか、その冒険者学校とやら。」
もしも詐欺なら、ギルドに報告すりゃ何らかの行動はあるかもしれない…無ければまあ、自分達で灸をすえてもいいかもしれないが。

「まあ、価値観の相違でそう見えることはあるかもしれねぇが…。
 そうなんだよなぁ…ほんと、世の中めんどくせぇ。」
自分の脳裏に浮かぶのは、狼の奴隷少年。
なんだかんだで縁があって購入してしまった彼は、この先どうなるのか。今は返済のために駆けずり回っているが、少し暗いゆっくりしても良いのに、とは思う。

「ん…そうだな、俺のコップも空になったし。
 散歩でも…ここで一曲披露ってのも悪くねぇけど…あー、宿か…そうだな。」
なんだかんだでくたびれたから、腹が満ちたらベッドに飛び込みたい、という気分はあるかもしれない、それ以上にまぁ…色々と燻るモノはあるけども。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。