2020/07/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にピングさんが現れました。
ピング > 「うひっひ、良いモンが手に入ったなぁこりゃあ…!」

機嫌の良さそうな足取りで、夕暮れの道を歩くとある雑貨屋の店主。
その手には小瓶が握られており、時折それを見てはにんまりと表情を緩めていた。
狙っていた媚薬を手に入れる事が出来てご満悦、な帰り道。

そんなタイミングで、ふと通りかかった公園にて、視線の先で野犬に襲われている――様に見えてしまった――相手の姿が目に留まり。
第一印象とは厄介なもので、怯えてしり込みしているように見えてしまったものだから、ほぼ無意識の内に手の中に握っていた小瓶を、投げつけてしまった。

「―――――あぁぁぁ…!!???」

肉弾戦で颯爽と助けられる程の運動能力は無く。
故に手ごろなものを投げつけた次第。結果、瓶は野良犬の体に当たってその中身をぶちまけた。
ほぼ同時に、やっちまった!と言わんばかりの悔恨の声も響いたが。

犬には刺激が強かったのだろう。ギャンッ、と鳴き声を上げて逃げていくのが目に入ったが、それよりもショックの方がでかい。
実際に襲われていた訳でもないかもしれないのだから、事実によっては一層落ち込みが増すやもしれず。

ミンティ > 急に大きな音を聞いて驚いたけれど、正体を知れば恐れるものではない。この公園ではよく野良犬を見かけていて、明るい時間ならば子どもたちと追いかけっこをして遊んでいる様子を見る事もあったから、襲いかかってくるほど狂暴な犬ではないとも知っている。
それでも高鳴った胸の鼓動はなかなか静まらないけれど、深呼吸をして落ち着きを取り戻そうとした直後だった。
今度は野良犬の吠え声とも思えない大声が聞こえて、もう一度、その場で跳び上がってしまった。

「あっ……」

野良犬めがけて瓶が投げつけられる様子を見て、目を丸くする。あわてて駆け寄ろうとしたものの、逃げる犬の足に追いつけるほど運動が得意でもない。すこし離れたところで停止して、威嚇するような鳴き声を発してから草むらに消える様子を見るに、取り返しのつかない怪我をしているようにも思えない。
ほっと胸を撫で下ろして、それからようやく、瓶を投げた男性の方に目を向ける。状況から判断して、自分を助けようとしてくれたのだと、なんとなく察せて、気まずそうに眉を垂れつつも、行儀よくお辞儀をして。

「あ、あの……、ええと…、あ、ありがとう…ございます…」

ピング > 野犬ではなく、野良犬。
ちょいと吠えられて絡まれた程度であったことは、まだ知らぬ事。
犬に取り返しのつかないケガでもさせていたら相手の心証が更に微妙なものになっていたかもしれないのは幸いだったかもしれないが。
それにしたって、現時点では察せられる事ではない。

「……あ、あぁ。いやぁ、うん。無事なら良かったよお嬢ちゃん。
 はぁぁ………何でこれを投げちまうかなぁオイラぁ……。」

がっくりと項垂れて、もの惜しげに野良犬が逃げた方へと視線を向け。
失ったものは戻らないのだから、見ていても仕方ないのだけれども。
気を取り直すように頭を振ると、改めて相手に視線を戻してその様子を確かめた。

「怪我ぁ、ないようだな。それなら何よりだぁよ。あれくらいの、あれっくらいの物、惜しくは…!
 …あー。嬢ちゃん、まだ夕暮れだからって女一人で歩いてちゃあ危ねぇぞ。誰ぞ連れはいねぇのかい?」

言葉の節々に、やってしまった、という悔恨がにじみ出る小者感。
それを誤魔化す様に話題を変えると、相手の現状を確かめるような質問を向けて。

ミンティ > 瓶の中身だったらしいものが、公園の地面に広がっている。固形のものだったら拾い集める事もできたのかもしれないけれど、どうやらそれも難しそう。見るからに落胆した男性の様子を見ると、申し訳なく思えてきてしまう。いろいろと勘違いが重なった結果だと推察できるからこそ、気まずそうに目を泳がせる。

「…あ、はい。わたしは…、…あの子は、いえ、…ええと、本当に、助かりました…」

そんなに危険な野良犬ではなかったと言いかけて、あわてて口を噤む。高価なものなのかは判断がつかないけれど、この男性にとっては、ひどく落ちこんでしまうほどの品物だったのだろう。
スカートのポケットから財布を取り出して、両手でぎゅっと握りしめて。

「はい。おかげさまで、…このとおり、どこも怪我はしていません。
 あの、…その、この瓶の中身…、わたしの手持ちで足りるかはわかりませんが…よければ…」

ただ吠えられただけだから、服が汚れるような事にすらなっていない。それがまた気まずさを大きくするけれど、引け目を感じているだけでも仕方がない。せめて自分が代金を立て替えられないかと、おそるおそる申し出て。

ピング > それはとても高価だったし、そして使い道も決めていた。
それ故に落胆の態度を隠せなかったのは幸か不幸か微妙な所だ。
実際、何の危険も無かったのだと知る事になったらその場で頽れるに違いないが。
相手の心情的に非常に微妙な態度であることには気づかぬまま、弁償へと話題が進むと、む、と口を引き締め。

「そりゃあ有難ぇけども…あぁ、何にせよこんなとこで話す事じゃあねぇな。
 財布も危ねぇからしまっときな。
 何だかお前さん危なっかしい所もあるから、送っちゃるよ。こっから近ぇのかい?
 ちっとかかる様ならオイラの店も平民地区入ったところにあるから、そっちでも良いが。」

酷く人の好い相手の申し出に心が揺らぎ、けれども何にせよ、貧民街の夕暮れ時に財布をむき出しにしてする話では無い。
物のついでだと相手を送り届けることを申し出て――距離がある様なら自らの店に先に立ち寄り話を詰めようかと考えての発言。

ミンティ > 地面に転がった瓶が気になってしまって、普段から苦手な会話はますますしどろもどろになっていた。なんとか身振りで連れがいない事を伝えようとしながら、手持ちのお金はいくらあっただろうか確認しようと、財布を開こうとして。

「……あ、…そ、そうですね。…すみません……不用心で。
 ええと…、はい。では…お邪魔させていただけたら、…お願いします……」

指摘されて、あわてて財布をポケットに戻す。自分の所持金がならず者に奪われるだけならばまだしも、彼にまで被害を広げるような事があってはならない。反省して、肩を落とす。
こちらがうまく話題を振れない代わりに、男性に話を進めてもらって、お金の話をするためにもついてきてもらった方がいいだろうと判断する。こくこくと頷くと、彼が歩き出すのを待ってから、自分もその後ろに続こうとして…。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からピングさんが去りました。