2020/07/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にキャルさんが現れました。
■キャル > 「……さてさて。今日はどうしよっかなぁ?」
貧民地区の通りで、一人の少女が首をかしげている。
……この少女。とある悪の組織の幹部なのだが。
今日はどこで、どんな活動をしようか、と考え中。
「最近、噂話の食いつきもイマイチだしなぁ」
主にこの少女が担当しているのは、噂をばら撒き。
組織の大きな悪事から目をそらさせたりするという役目。
だが、噂は所詮噂。あまり噂ばかり広めていても。
いずれ効果がなくなるのである。
「……う~ん。キャルちゃん困っちゃう」
わざとらしい物言いをしつつ、少女はどうしたものか、と思案を続ける。
ゆらゆらと上半身を揺らしながら。
とりあえず、適当な店舗の壁に背を預けたり。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にダミアンさんが現れました。
■ダミアン > 「あれ、キャルさん?」
お店から出た所で、桃色の髪の女性。
人目につく艶やかな色の髪と、整った顔立ちは見覚えがあります。
僕は丁度用事を終えた所でしたので、彼女の元へと近づきます。
「こんはんば、キャルさん。
今日も耳寄りな情報を持ってきたのですか?」
キャルさんのお話は大変面白かったです。
僕はお菓子を待っている子供のような瞳で彼女を見ていたことでしょう。
■キャル > 「……ん? たしか……」
声をかけられ、振り向けば。
どこかで見たような少年の姿。
少女は、う~ん、と首をかしげ。
「あぁ、ダミアンくんだ!
やぁやぁ、久しぶり~」
はっ、と思い出し。
少女は、近づいてくる相手に、笑顔を向け、ぴーす、などとポーズを取ってみせる。
「う~ん、それがねぇ。
ちょっと、スランプ、じゃないや。
ちょっと、情報の仕入れがね……」
スランプ、と言い掛けて、訂正する少女。
そう。少女の話す噂は、ほとんどが創作話。
いわゆる、ウソ、なのである。
とはいえ、さすがにそれを公言する気にもならないので。
適当に言いつつ、相手に向かい笑顔を見せる少女。
「そういうダミアンくんは、こんな場所で何してたの?」
根掘り葉掘りされても困るので、話をそらす少女。
ウインクをしてみたりするが、逆に怪しいかもしれない。
■ダミアン > 「はい、ダミアンと言います。
お久しぶりです!」
キャルさんに僕は腰から頭を下げて挨拶します。キャルさんは都会らしい洗練された方で、仕草の一つ一つが可愛らしいです。
今日は僕の方も少し気持ちに余裕があるのか、ぴーすをお返ししました。
「仕入れが良くないんですか。」
僕は首を捻りました。確かに、噂はどこかから仕入れてくるのでしょう。
仕入れ方法に興味はありますが、恐らく教えてくれないような気がします。
「僕ですか? お店の仕事で荷物運びをしていました。
ここのお店に運んだので、今日はもう非番なんですけど。
キャルさんはお暇ですか? 良かったら、お茶でもどうですか。」
キャルさんは神出鬼没で普段はどこに居るのかも分かりません。
なので今日の僕は少しだけ勇気を出してみました。
■キャル > 「う~ん。キミ、元気だねぇ。
まぁ、元気なのはいいことだけど」
はきはきとした相手の返事に、少女は苦笑する。
仮にも、自分は悪の組織の人間。
そういった、明るい挨拶をされる人間ではないのだが、と。
内心思う。
「まぁ、そんなところ。
でもねぇ、噂なんて、無いときはとことん無いから」
あはは、と笑ってごまかす少女。
作り話だって無限には作れない。
正直、スランプなのである。
「へぇ、そうなんだ。お仕事とはマジメだねぇ。
……うん。まぁ、いいよ。
アタシも暇してたわけだし」
その代わり、奢ってよ? などと言いつつ。
少女は、相手の誘いに載ることにした。
ムリに噂をひねり出してもろくな事にはならない。
だったら、今日はオフでいいかな、という判断であった。
■ダミアン > 「キャルさんに久々に会えましたから!」
僕は今日一日、舞い上がってしまうことでしょう。
なにせあのキャルさんと一緒なんです。
何をしても楽しいに決まっています。
「そうなんですか?
確かに、僕の方でも新しい話は今の所ないですね。」
と、言ってはみたものの。
僕みたいにツテもない人間に周ってくる噂なんて大抵が最後の方です。
嗅覚の鋭い人なら手じまいする段階じゃないでしょうか。
「わかりました。その代わり、僕のお小遣いの範囲なのであまり高いお店には行けないんですが。
どこか行きたい所とかありますか? 僕は飲めないですけど、お酒を飲む店も知ってますよ。」
僕は瞳を輝かせ、キャルさんに近づきます。
キャルさんとおでかけなんて本当に嬉しいです。
■キャル > 「……あぁ、うん。そっかそっか……」
まさしく、目もくらむほどのまっすぐな言葉と笑顔。
正直、少女には直視できぬほどのもの。
なので、少女はかすかに視線をそらし。
「でっしょ~? まぁ、そういうときもあるよね」
少女自身、でっち上げの噂以外にも、本当の噂を仕入れていたりもする。
だが、それもあまり最近は面白い話がないので。
こういうときには、でっち上げも効果は半減、なのである。
「ん~? まぁ、そうねぇ。
どうせなら、流行ってない店がいいかな。
アタシ、あんまり混んでるお店って好きじゃないのよ」
お店選びは、相手に任せる少女。
こういうとき、相手のエスコート力を測るのは少女の趣味である。
いわゆる、度量を見せてみろ、ということであり。
他人をからかうのが好きな少女にとっては、とっても楽しいひと時なのだ。
■ダミアン > 「……?」
あれ、視線が逸れてしまいました。
何か不味いことをしてしまったのでしょうか?
気になりますが、これ以上尋ねるのも野暮な気がしますので口を閉じます。
「そうですね…決して街が平和ってわけでもないんですが。」
大きな変化がないと言うことは、結局良いことも起きてないと言うことです。
相変わらず街の外は物騒で、街の中でも場所によっては恐ろしいことが起きているようです。
僕はそういったエリアには近づかないので分からないのですが。
「流行ってないお店ですか……。
それなら、僕の馴染みの店でいいですか?」
僕はキャルさんの手を取り、近くのお店へと案内します。
そこは一軒の冒険者宿で、1階が酒場スペースなのですが。
最近、他所の酒場を使う人が多いとかで比較的空いているんです。
それでも手ごろなお値段でお酒も食事も楽しめるので僕のお気に入りです。
「何にしますか? 流石に、平民地区で出てくるようなお洒落なケーキなんかはないですけど。
食事ならちゃんととれますよ。」
僕とキャルさんは奥のテーブル席を使わせてもらうことになりました。
簡単にですが間仕切が設置されているのでそんなに人目を気にしなくてすみます。
■キャル > 「うん。みたいだね。
なんだか、この街が全体的にざわついてるのは。
アタシも感じてるよ」
相手の言葉に、うなずいてちょっと深刻そうに言う少女。
そのざわつきの渦中に自身が居るというのに。
なかなかの白々しさであった。
「うん。任せるよ~。
どんな店につれてってくれるの?」
お店の選択は、完全に相手に任せる少女。
そうして連れて行かれたのは、冒険者の宿というお店。
酒場のスペースとなっている1階を眺めながら。
少女は、席に着き、ほほぅ、と声を漏らす。
「ん~……そうだなぁ。
とりあえず、軽くつまめるものがいいかな」
そこまでガッツリと食事、という気分でもない少女。
食事のメニューも相手任せにしつつ。
相手のことをじぃ、とまっすぐ見つめ。
柔らかな笑みを浮かべてみせる。
■ダミアン > 「やっぱり、キャルさんも思いますか。
僕で良かったらお守りしますね!」
僕は自分の興奮のあまり、とんでもないことを口走ってしまいました。
キャルさんが護身術などを覚えているのかはわかりませんが、僕などが守れるものなのでしょうか。
「えっと、ここは冒険者が使う宿なんですけど。
一階が酒場スペースですし、お部屋も空いてる時なら冒険者でなくても使えるんです。
ちなみに僕もここで冒険者登録しているんですよ。」
僕は席に案内しながら、少し得意げな表情を浮かべていたことでしょう。
「わかりました。 燻製の盛り合わせでいいですか?
お酒は白でいいですか。」
メニューを見ることなく、僕は店員さんに注文をします。
すぐにサーモン、牛肉などの燻製とチーズの盛り合わせがやってきます。
次にお酒の入ったグラスが二人分。
こちらは白のスパークリングワインと呼ばれるタイプです。
既にシュワシュワと泡が出ており、甘い香りが漂います。
「えっと、どうしました?」
料理が運ばれている間、僕はキャルさんの笑みが気になります。
心臓を昂らせながら、取りつかれたように見返してしまいました。
■キャル > 「おぉ、頼もしいねぇ。
だったら、ここは一つ、お言葉に甘えちゃおうかなぁ」
守る、という言葉に、少女は笑顔でそう言い。
相手の傍へと近づく。
相手を、男として頼ろう、という目論見。
「へ~。そうなんだ。
……なんだかんだで、初めて来たかも。
こうなってるんだねぇ」
冒険者とは縁遠い生活をしている少女。
興味深そうに相手の言葉を聞き。
興味深そうに、店内をきょろきょろと見る。
「おぉ、いいねぇ。
……わりと、エスコート慣れてる?」
相手の注文に、少女はうんうん、とうなずく物の。
届いた料理などに、少し驚く。
なんとも、いいチョイスであった。
正直、ちょっとうれしい誤算だ。
「ん~? ……んふふ。いやぁ、ね?
……ダミアンくん。キミ、副業に興味ない?」
相手の様子を見つつ、笑う少女。
少女は、そこでそう切り出した。
■ダミアン > 「はい、任せて下さい!」
あぁぁぁぁぁぁぁぁ、やってしまいました…。
キャルさんの可愛さに感けて、つい何でも口走ってしまっています。
ああ、でも今日のキャルさんは隣に座ってくれています。
ちょっと位なら、触っても良いのでしょうか。
僕は、キャルさんの腰に手を回そうとしますが、途中で止まってしまいます。
「と言っても上が宿スペースなだけで変わったことなんてないですよ。
あそこのボードに依頼が貼られているくらいでしょうか。
ちなみに今ボードに貼ってあるのはもう数週間も前からあるのばかりです。
モンスターの群れの討伐と、山賊の砦の討伐依頼です。
ここの宿に出入りしている冒険者では多分厳しいと思うんですが。」
店の親父さんがグラスを磨いてるカウンターの前に掲げられている掲示板を指さしました。
「僕じゃなくて、お店の先輩だったりここの宿の冒険者の人たちの受け売りです。」
僕自身は頭の中がいっぱいいっぱいです。
今も次にどうすればいいかずっと考えています。
あ、でも喜んでもらえているようなのでとても嬉しいです。
「副業ですか? 興味ありますけど。」
はたして、どんな副業でしょうか。
僕は再度首を傾げました。
■キャル > 「おぉ、元気だねぇ。
フフッ。ホント、頼もしい限りだよ」
相手の言葉に、更に笑みを強める少女。
よくよく見れば、その笑顔が少し剣呑な様子なのに。
相手は、気づけるだろうか。
「へぇ~、あれがねぇ……。
……なんていうか、ちょっと面白いね」
普段見ない風景に、少女はくすくすと笑いつつ。
相手が手を伸ばしていることを、横目に気づきつつ。
それにかんしては触れないでおく。
「アハッ、素直だねぇ。
でも、そういうことなら、いい先輩に恵まれてるんだ」
正直に告白する相手に、少女は呆れたような様子などは見せない。
そのまま、相手に顔を近づけ。
「……ぶっちゃけるとぉ。
悪の組織のお仕事。手伝わない?」
どこか、小悪魔的な笑みを見せつつ。
少女は、ずい、と相手に更に顔を近づける。
もはや距離は、息がかかるほどの距離だ。
■ダミアン > 「キャルさん?」
なんでしょうか…。可愛いキャルさんから漂う雰囲気が次第に変わってきました。
空模様が変わる気配と言うべきでしょうか…。
そういえば、キャルさんはあの時もいきなり怒り出しまいた。
ちょっと恐ろしいです。
「僕も初めのうちは驚きました。」
僕は結局、キャルさんに触れることが出来ずに腕を引っ込めることになりました。
キャルさんの雰囲気に恐れを抱いたからです。
「はい、皆さんとっても良くしてくれます。」
なんだか、顔が近くなってきてます…。
「悪の組織ですか?」
どうしよう。 こんなパターンは想像してなかったです。
「あの、どんなことをされてる組織何ですか?
内容によってはその、お受けできかねるのですが。」
■キャル > 「あぁ。ごめん。別に、バカにしてたりするわけではないんだけどね。
ただ、ちょっと。ダミアンくんが張り切ってるのが可愛くて」
少女自身の秘密である、悪党としての雰囲気がにじみ出てしまっていたか。
少女は、小さく咳払いをし、笑顔を作り直す。
むやみやたらに警戒させても、面白くはないのである。
「この国の治安の一部は。
こんな感じで、冒険者の人たちが守ってるんだねぇ」
ふんふん、とうなずきつつ。
相手の手が引っ込むのを見て、また笑いを零してしまう。
「それはいいことだねぇ。
人間関係って、わりと財産だから」
などと、それっぽいことを言いつつ。
顔を近づけていき……。
「……ふふっ。正直言うと、何をしている、ってのは。
ハッキリしていないんだけど。
今は……セックスのときに使うと、気持ちよくなれるお薬を流通させてる感じ?」
そう言って、少女は相手の頬に手を伸ばし、触れる。
そのまま、更に顔を近づけていき。
触れている頬とは逆の頬に口付けをし。
「……もしもアタシたちに協力してくれるなら。
……働きしだいでは、また、いいことしてあげるけど?」
■ダミアン > 「可愛いですか?」
う~~~~ん、喜んでいいのか微妙です。
僕はこう見えても男なので、格好いいとかの方が嬉しいのですが。
カクっと頭が重くなってしまいます。
「そうかも知れませんね。でも、騎士団にはとてもかないませんが。
そうですよね! 僕はキャルさんと出会えたことも嬉しいですよ。」
と、お応えはしましたが。
今の僕は蛇に睨まれた蛙のように固まっていることでしょう。
キャルさんが近すぎるのです。
「…それって、今街で噂の組織じゃないんですか?」
うわわわわっわあ。
頬を触れられました。おまけにキスもされています。
あまりに危ない話なので小声で問いかけたのですが、碌に話をできる状態にならなくなってきました。
「…でも、それって犯罪行為をしているってことですよね?」
キャルさんに触れられたまま、視線を逸らしてしまいます。
本当は今すぐにでもキャルさんを捕まえて引き渡すべきなんだと思うのですが。
僕の中では既にそんなことができそうにない程にキャルさんが大きくなってきていました。
「…仮に協力するとして、具体的にどんなことをやるんですか。」
■キャル > 「うん。可愛い。
……まだ、カッコイイ、ってランクじゃないかなぁ」
くすくすと笑いつつ、相手の顔を覗き込む少女。
小ばかにしているような言葉だが。
少女なりに、褒めているつもり。
「それでも、大事な国防の戦力。でしょ?
あはは、アリガトね。アタシも、ダミアンくんのことは気に入ってるよ?」
どこまでもまっすぐな相手。
少女は、言葉の上ではお礼を言いつつも、かすかに、気配を引く。
「……さぁ? どうでしょう?」
鋭い指摘に、とぼけたような様子で言う少女。
更なる質問には、首を傾げつつ。
料理に口をつけ始め。
「そうとも言える。今はね。
……そうだなぁ。それも、明確にはまだ決めてないんだけれども。
でも、人手は欲しいわけ。わかる?」
あまり好ましい反応ではない相手に。
少女は、体を引き、首をかしげ、どうする? と目で訴える。
そのまま、舌を出し、自身の指をちろちろと舐めて見せ。
■ダミアン > 「そうですか…。」
あれ、僕言ってないはずなのに。
あ、でも僕は日頃から顔に書いてあると言われてしまいます。
キャルさんにもお見通しだったのでしょうか。
「国防…そういわれてしまうと緊張しますね。
でも、この宿に出入りしている方はそこまで考えてないと思いますよ。」
何せ、受ける依頼が小さい物ばかりです。
戦闘すらまともにすることのない安全な依頼の方が多いくらいです。
キャルさんの気配の変化には今の僕の思考状態ではとうてい気づきません。
そもそも普段よりも頭が回っていない事でしょう。
キャルさんは答えをはぐらかします。
はぐらかすと言うことは、やはりそうなのでしょう。
なんてことでしょう!
「…うぅぅ。」
キャルさんが、ここぞとばかりに艶めかしい仕草を僕に見せてきます。
僕はテーブルの下でぎゅっと拳を握りしめました。
「わかりました。キャルさんのお仕事を手伝います。」
…ああ、これで僕も犯罪者の仲間入りでしょうか。
■キャル > 「あはは、落ち込まない落ち込まない」
男の子は、可愛いよりはカッコイイと言われたい。
そういう部分を理解しての言葉ではあるが。
相手にしてみれば、心を読まれたか、と思うのも止むなしであった。
「結果として、国を守っているのは確かでしょ?
ふふっ、自分たちのしていることを自覚している人間のほうが稀有だよ。この国では」
逆に、小さな依頼をこなせるほうが、すごい、という部分もある。
この国の冒険者たちが、一斉に行動した場合。
その戦力は国軍をはるかに上回るだろう。
そう考えるからこそ、少女はこの相手をスカウトしている。
「……アハッ♪ 本当に?
うれしいなぁ。じゃあ、これからもよろしくね、ダミアンくん♪」
相手の返答を聞けば、少女は満面の笑顔になり。
相手の唇を奪い、頭を抱きしめる。
「じゃあ、そうと決まったら。今日はたくさん食べて飲んで。
親睦を深めようか!」
かと思えば、パッ、と離れ、食事に夢中になってみせる。
少女は、そうして。この相手を、仲間に引き入れることに成功したのだった……。
■ダミアン > この後、どうなるかまだわからないまま。
僕は複雑な感情を抱いたままキャルさんとのひと時を過ごすのでした。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からキャルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からダミアンさんが去りました。