2020/06/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にラエルノアさんが現れました。
ラエルノア > 今宵の「仕事」は娼館ではなく、どこぞの貴族の宴の酌婦だった。
勿論客が望めば夜を共にもする類の。
それにも関わらずこんな夜更けに貧民地区の薄暗い道を辿っている理由など知れている。
自分を朝まで引き止める金持ちがつかなかったからだ。

「まぁその分ラクではあるけど」

宴が終わりに近付くタイミングでそれとなく抜け出した。
金蔓が掴めないなら早々に引き上げるに限る。
自分が籍を置いている店へと帰ってもいいが、溜息と共に足を止めた。

「やめておこうか。少し疲れてるし今日はもうお終いっ」

吐き出すように独り言ちて、自分の部屋のある区画の方へと踵を返した。
多少勢いが過ぎた所為で、振り返り様、危うく其処に居た誰かにぶつかりそうになってしまったが。

「きゃっ!? あらあら、ごめんなさい? 考え事をしていたものだから不注意だったわ」

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にハレスさんが現れました。
ハレス > 「おっと、いや…こっちこそ悪かった」

彼女がぶつかりそうになった相手。
素人が見ただけでもわかるような歴戦の戦士を思わせる逞しい肉体の男性は、ぶつかりかけた女性に対しみてくれの強面な印象とは裏腹に物腰は柔らかく。
むしろぶつかっていれば彼女の方だけがケガをしていたかもしれない…そんな体格だ。

「…お嬢ちゃん、良いところの娼婦か? 稼ぎの良い時間帯だと思うが…」

彼女の姿を見て、男の視線は当然ながらその全身をめぐる。
暑い時期にあるとはいえ中々に刺激的な装いと、ぶつかりかけた相手に対する丁寧な振舞いから考えれば、高級店の娼婦だろうか…という予想はつく。
そんな女性が稼ぎ時でもあるこんな時間帯に、人通りも少なく、大した客など取れないであろうこんな道を歩いていることについては考えは及ばない。

最もそれはこの男も等しく。
この近辺に住んでいる『上客』への出張施術の帰りな男。
もし彼女がこの男の施術を利用したことがあるのであれば、顔見知りということになるかもしれないが。

ラエルノア > 「……あらいやね。そんな風に見えるかしら?
正式な夜会に行くにはドレスコードを守らないといけないでしょう?」

相手を軽くのみ見遣る。
…そう見せかけての一瞥で素性を窺うのはこの生業の者ならではのことだろう。
向けられた問いに邪気のない笑みと共に、夜会帰りであるが故のイブニングドレスだと言い張る。
そもそもが嘘ではないのだから言葉も表情も真っ直ぐで、恥じることなく。
ただ、相手の問いに肯定も否定もしていないだけのことだ。

「面白味のない夜会だったからもう帰るところよ。
そういうあなたは、…春も花もひさぐ風には見えないわねーぇ?」

若年故に体力には然程に問題はない。
それが彼を知らぬ一番の理由なのだろう。