2020/06/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にヒルデさんが現れました。
■ヒルデ > 貧民地区というとスラムのようなイメージを持たれがちだが、娯楽施設の立ち並ぶ、言わば繁華街的なエリアも存在する。
今、少年が練り歩いているエリアがそうだった──
■ヒルデ > 練り歩いている、と言ってもそのルートは一定している。
一軒のパブの周辺だった。
その目的はと言えば……なんのことはない、単なる警備。ギルドで請け負った仕事である。
先日、この辺りで起きた喧嘩騒ぎで人死にが出た。結果、治安回復の名目で、この仕事がギルドに回ってきたのだ。
■ヒルデ > どうせ、一時的に回復した治安もすぐに悪化するのだが、パフォーマンスも街には必要なのだろう。
少年は多少皮肉な思考を巡らせながら、ぐるぐる、ゆっくり、喧嘩騒ぎの現場となった店の周辺を歩く。
一階はパブだが、二階は連れ込み宿という半分娼館じみた店だけあって、出入りする客層はどこか荒んでいる。
店の周囲も、一歩横手の路地に入れば、違法薬物を売買していそうな雰囲気で、
街娼が「ガキはお呼びじゃない」という目で手のひらをしっしっ、と振ってくる始末。
■ヒルデ > 冒険者としては、若い部類なのは間違いないとは思うが、そこまで子供扱いされるほどだろうか?
少年はそこはかとなく不満を覚えながら、サンダルのつま先で地面を軽く蹴る……
やはり、身長のせいか。あと20cmあれば。
そうすれば、先程の街娼も犬でも追い払うようなジェスチャーではなく、値段交渉をしてきたかも知れない。
……さすがに20cmは高望みのし過ぎだろうか、と胸中で唸り。
■ヒルデ > 余計なことを考えながらも、視線は規則的に闇の向こうに注がれる。
人狼の眼は、わずかな星明りさえあれば、人間が昼間に見る景色のように鮮明な視界が確保できる…
一般的な冒険者イメージからすれば地味な仕事でも、仕事は仕事だ。
性格的に、あからさまに手を抜くのはむずかしかった。時には少し手を抜くほうが能率的な場合もある、
とは理解できていても、である。
ここ数時間そうであるように、特別警戒すべきものは見当たらなかった。