2020/05/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 朽ちた教会」からラフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 朽ちた教会」からガルディさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカーリーンさんが現れました。
■カーリーン > 夜になれば安い香水を纏う女たちと、荒くれ男たちが目立つ界隈。
この辺りを庭として育った少女でも、無防備にこの界隈を歩けるのは、
今のような昼下がりに限られるようなところ。
シスターに頼まれたお使い物の包みを胸に抱え、足早に孤児院へ戻ろうとしていた、
その足をふと止めてしまったのは、女性の悲鳴が聞こえたからで。
「――――― あ、」
反射的に声のした方へ進路変更し、そっと覗き込んだ裏路地。
遠目にも身なりの良さそうな―――つまりはとても場違いな女性が、
数人の男たちに囲まれているのが目に入った。
王都では、とくにこの辺りでは、珍しくもない光景。
この先に展開されるであろう未来だって、きっと想像通りのはずだ。
けれども、―――でも、でもでも。
ぎゅっと両手を握り込み、眉間に縦皺を寄せてわずかばかり思案。
女性の着ていた上等そうな絹のドレスが、大きく引き裂かれる音を聞いた刹那。
堪え切れずに行動を起こしてしまっていた。
ガラン、ガランガラン―――――!
足許に転がっていた錆びた金属製の何かを、思い切り蹴り飛ばして音を立てる。
男たちの注意を一瞬でも引けるなら、素早く駆け込んで女性の手を掴み、
取り敢えずは全力で駆け出そうとか、そんなつもりで。
■カーリーン > 計画的に、とか、後先考えて、とか、そういう言葉とは無縁の行動。
少女の目論みはそれでも、ある程度は成功と言えるかも知れない。
うまいこと男たちの目を逸らすことは出来たし、飛び込んでいって女性の手を掴むことも出来た。
しかし、走り出してすぐに気づく―――圧倒的に、腕力が足りない。
本当は彼女と共に孤児院まで戻ってしまえたら完璧だったのだが、
小柄な少女の力では、とても、そこまで連れて行けそうもなく。
しかも、獲物を目の前で攫われた男たちの怒声や足音が、
追跡を諦める気配も、無く―――――
仕方無く、朽ちかけた建物の陰に女性を押し込め、
少女は追っ手を撹乱することにした。
わざと目立つように赤毛を翻し、追っ手の目がこちらを捉えると同時に走り出す。
女性、という重石無しの追いかけっことなれば、それなりに勝算はある。
それにしても一体いつまで、逃げ続けていれば良いのだろう、とは思うが。
「しつっ、こい、……もぉ、早く帰んなきゃダメなのにぃ、っ!」
仕事はまだ、いくらでもあるのだ。
こんなところで遊んでいる場合ではない、のだが、少なくとも。
背後から恐ろしげな声を浴びせられているうちは、足を止められるはずもなかった。
■カーリーン > そうして繰り広げられた追いかけっこが、終息を迎えるのはしばらく後のこと。
小柄なぶん身軽な少女の逃げ切り勝ち、であったのは、言うまでも無く―――――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からカーリーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリズさんが現れました。
■リズ > 先日は、この辺りで落し物の回収依頼を請け負った少年は、今日も人けの無い路地裏を歩いていた。
この界隈に特別な思い入れがあるわけではないが、依頼で向かう先が度重なる時もある。
特に貧民街はトラブルも多く、モンスターが出現することさえあるので、あえてそうしようと思えば毎日ここで仕事をするのも可能だ。
■リズ > 今日ギルドで請け負った依頼は、この辺りで空き家を探すこと……だった。
酔狂でもなんでもない。この入り組んだ迷路じみたエリアに空き家があれば、犯罪の温床になりうるし、下手したらモンスターの巣にだってなりかねない。
定期的に空き家を取り壊すのも、立派な治安維持の一環と言えるのだった。
一介の冒険者でしかない少年に熱い理念は共有出来ないものの、誰と争う必要もないこの手の依頼は実にありがたかった。
冒険者側の選択肢が豊富という点では、大都市はやはり優れている──と、つらつら考えながら、辺りに眼を配りながら路地裏を歩く。
■リズ > 一見したところ、どう見ても空き家だろう……という建物があり、玄関扉も開いていたので中を覗き込んでみる。
と──
「何見てんだ、この餓鬼!」という怒鳴り声とともに空の酒瓶が飛んで来たので、慌てて首を引っ込めて回避。
外からごめんなさい、と謝罪の言葉を残して、足早に離れてからほっと胸を撫で下ろす。
こういう事があるから、冒険者ギルドに依頼がまわって来たのだろう……しみじみ思ってしまう。
こんな暗くて迷路みたいな場所でも、意外と人が居るんだなあ、とも。