2020/05/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に涼華さんが現れました。
涼華 > 「……やってくれますねぇ……」

貧民地区に差し掛かる路の手前で、小さく呟いた男。
口の端に微笑湛えつつ、目元も和やかに緩めてはいたが、一寸米神辺りがひくついていた。

店を開くのによい場所は無いか、と土地貸しに相談したのが日中の事。
――まぁ確かに、『出来れば早々に』と、『安ければ猶良し』と条件提示したのは己なのだが。
眼前に広がる光景を見ればそりゃ安いでしょうよ、納得一頻り。
だがこの場に足踏み入れても良いものか。
あからさまに客より盗人の多そうなその雰囲気に、若干躊躇。
そして我知らず、遠くへ行きそうな意識と視線。
あの親父、どうしてくれよう。
そんな愚痴も心中に僅か。

涼華 > ――店に3日程客足が遠のく呪符でも貼ってやろうか。

この事態の元凶たる土地貸しにそんな意趣返しを目論むも。
此処まで足伸ばしたのを徒労にするのも些か躊躇われる。
不図視線を下ろせば、履物の踏むのは塗装の行き届かない砂利道。
……長嘆息と、額にあてた指先。きっと頭痛は気のせいではない。
もう入り口ですら只事ならざる臭気が漂ってくるのに。
どうしたものか、未だに思案顔…それでも、ゆるりと一歩踏み出した。
当人にしてみれば、かなりの勇気を出した一歩。

涼華 > 「……止めときましょう」

勇気の一歩に続く二歩目は、羽よりも軽やかに踵を返した。
此処で店開いても、きっと売り上げる呪符の数より、防衛に使う呪符の方が多いだろうとは心の声。
何となれば一歩目を、差し出した瞬間に程近い場所から穏やかでは無い悲鳴が聞こえたからで。
左様な出迎えに遭っては『取り合えず場所見るだけでも』なんて気持ちも一気に萎えた。
まぁ、そう急いている訳でも無い。他に適切な場所はいくらもあるだろう。緩々探せば良し。
そんな風に気を落ち着け――自分自身に言い訳をしているとも言うのかも知れないが――速やかにその場からの離脱を図る。
砂利を踏む足音は、来た時よりもやや早足にて遠ざかり。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」から涼華さんが去りました。