2020/04/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「ふぅん」

貧民地区、冒険者の宿兼酒場。
その店で、男はクエストボードに目を通していた。
男が特に興味を持ったのは、真新しい依頼。
盗賊団『血の旅団』の討伐依頼である。

「アスピダか……。足を運んでみるのもいいかもな」

なにせ、緊急の依頼というのは報酬もいい。
リスクはあるかもしれないが、そのリターンは正直魅力であった。

「問題は、血の旅団が結構やっかいな組織ってことだよな」

男の知る限りでは、そこいらの盗賊団とはレベルが違うという噂。
準備もせずに向かっては、痛い目を見るどころではすまないかもしれない。
とりあえず、男は酒を飲みつつ、さてどうしたものかね、などと考える。
相も変わらず。冷えた麦酒というのは、極上の美味さがあり。
男は、喉を鳴らしてそのアルコールを胃に流し込むのであった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にビョルンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「……う~ん」

麦酒を飲み干した男は、少し首を傾げる。
ぶる、と身体を震わせる様子。
どうやら、少し身体を冷やしたようである。

「マスター、火酒」

ならば、と。男は強い酒を頼む。
寒いときは強い酒に限る、ということらしく。

「……ん~……。装備を整えないとなぁ」

いざ依頼を受けるなら、準備はしないといけない。
男は、必要な装備について考えつつ。
届いた火酒をちびちびと呷りはじめる。

ビョルン > 「今日の所は帰んな。
 遊ぶんならもっと綺麗に遊ぶが良いよ、兄さん」

本来ならば冒険者を客層とした店舗や組織には不介入としているが、今日は冒険者の宿の前に質の悪いよっ払いが出たと報せに来た住民が居たためにその酔っぱらいを諭して家に戻したところである。
酔っ払いは冒険者宿の客ではなかったようだが、とりあえず宿前の治安について店主と話すべく酒場の扉を潜る。

店内見渡せば、身内以外では己の知る唯一の冒険者の姿があった。
店主と短く会話してその席へと近づこうか。

セイン=ディバン > 「こうなってくると、何か摘むものが欲しくなるな……」

次第に腹の奥に暖かさを感じながら。
男は、うむむ、とメニューを見ていたが。

「……おや、これはこれは」

近づいてくる気配に気づき、ちら、と視線を向ける男。
そこに居たのは、以前出会った若者であり。

「血盟家の方がこんな店に、とは。
 いよいよ冒険者の宿を経営し始めるとか?」

恐らくそれはないだろうな、と思いつつ。
軽口として、そんなことを尋ねる男。

ビョルン > 「ご一緒して構いませんか」

いつかの夜に会ったのと変わらぬ格好で今日は護衛をつけていたが、さもボディーガードらしく振舞う強面の男たちは視線で去らせた。
テーブルを挟んで相手の斜向かいの席に掛けながら告げられた言葉には緩く首を振る。

「冒険者をシノギにしたり、自ら冒険に乗り出すようであっては任侠稼業もお仕舞でしょう」

店員が通りかかればジョッキ1杯の牛乳と、薄焼き卵のオムライスを注文する。

「全くもって、無害な社会科見学を──と」

そうして酒場を注視するでもなく全体の雰囲気を読むようにぐるうりと眺めて。

セイン=ディバン > 「もちろん。拒む理由は無いですから」

相手の言葉に、男はゆったりと頷き。
護衛の去る姿を見ながら、火酒を味わう。

「違いない。血盟家はシノギを大事にする……。
 自分たちの管轄以外のシノギに、ヘタに手を出さない。
 噂は本当のようだ」

男の知る限り。相手の所属している血盟家という組織は。
名前こそ穏やかではないものの、実に古風な組織と聞き及んでいる。
男が言うなら、身の丈にあった経営方針、というところか。

「社会科見学、ですか……。
 何か学べそうですか?」

火酒を空ければ、酒のお代わりを頼む男。
目の前の若者の注文に、少し微笑み。
酒はまだ飲めないのだろうか、と思いつつ。
オムライス。おいしそうだなぁ、などと考える。

ビョルン > 「ご寛大な言葉、痛み入る」

礼をする調子で頷く。
それから男の言葉には、ふと息ついて。

「古くからの協定のある分野もありますから。
 それに……冒険者と、傭兵はすぐに掌を返す──とか」

前かがみ気味に顔を寄せて低い声でぽそり。
収入の為にフリーランスに動く業種の人間は、監視することもつかず離れずの距離を保つことも困難だ。
恐らく、己の組織と冒険者たちが没交渉であるのはこういった理由もあるからではなかろうか。

「──ですが、見て見たところここでは私が持つ長物の武器も目立つことはなさそうです。
 ……それから、あちこちで共通の話題が出ているようだ。討伐? 何をです?」

牛乳もオムライスもメニューを見ずに頼んだゆえに、正規メニューとして存在しているかは怪しい。
けれど、材料が特殊ではないためかすぐに仕上がってくるのは鶏肉の細切れの混ざったケチャップライスを硬めの薄焼き卵で巻いた、素朴な品とビアジョッキに満たされた牛乳だ。
ぴったり指先まで手を合わせて食前の挨拶呟いてからスプーンを取る。

セイン=ディバン > 「いや、そもそもこういった店では。
 混んでれば相席もザラですし」

丁寧な言葉の相手に、男は苦笑を返す。
なんというか、真面目だなぁ、と思いつつ。

「なるほど。
 ……クハハハハハハッ! まぁ、確かに。
 金次第じゃぁいくらでも裏切るのがその二者ですから?」

相手の言葉に、男は呵呵大笑する。
ひぃひぃと涙目になりながら笑い、バシバシと膝を叩く姿は。
まぁ、中年オヤジ特有の姿かもしれない。

「まぁ、そうですね。
 ……あれですよ、あれ」

冒険者の宿というのは、当然冒険者が多い。
なので、多少奇抜な装備や服装でも、目立つことはまず無いのだ。
男は、笑いつつクエストボードを指差してみせる。
そこにあったのは、先ほどまで男も見ていた。
血の旅団の討伐依頼で。

「なんでも、有名な盗賊団の討伐依頼らしいですよ。
 ……一応。オレも一枚噛もうか噛むまいか。悩み中ってやつで」

相手のオムライスを見てガマンできなくなったか。
男はマスターに、何か腹にたまるものを、と注文しつつ。
新たな麦酒を、ぐっびぐっびと飲む。

ビョルン > 「然様で、」

声音は柔和なれど平坦に、短く返事を返す。
そうして己の言葉がこれほどまでに刺さったかとは、意外で爆笑している様子には一瞬だけ目を丸めるがすぐに元に戻る。

「戦争──内部抗争のことです、には決して外の人間は雇いません。
 雇われ人は、旨い稼ぎ口を失わないように戦争を長引かせる方へ立ち回りますから。
 用兵法もまた、同じなのでしょう」

相手がクエストボードを指差せば、失礼、と断って立ち上がりそこへ見に行く。
魔法材料集めや探し物といった小口の物よりは目立つように啓示されている討伐依頼を通り一遍読んで、再び席へ着く。

「成程ね──冒険者、騎士団への討伐令ならば私個人では全く関われません。場所も遠い。
 ですが、ニュースソースとして持ち帰ることはできそうだ」

相手が麦酒に喉を鳴らすならば、己は牛乳を。
オムライスはもりもりとテーブルマナー良く食べ進める。

セイン=ディバン > 「まぁ、なんですな。
 貴方は、もう少し砕けた様子を見せたほうがいいかとは思いますが」

冒険者の宿の別名があるとすれば……。
ゴロツキのたまり場、が一番近いかもしれない。
そんな中では、相手のような丁寧な物腰というのは、逆に浮いているとも言えた。

「なるほどね……。
 だけど、その場合。自分の腹の中に蟲がいたら?
 ……俺は組織のことはよくわかりませんが。
 内通、間者はよくあること、と聞いてますが」

そもそも組織勤めがいやで冒険者を選んだ節もある男。
外の人間はなるほど確かに信用はできないだろうが。
中の人間も、ある種そうなのではないか、という疑問から質問をしている。

「依頼を受けた冒険者たちへの支援くらいはできるかもですがね。
 後は……なんだったかなぁ……。
 ダイラスの方もにわかに活気付いてる、と聞いたような……」

この相手に話して、喜んでもらえるような話はあったかなぁ、と。
首を傾げる男の目の前に、料理が運ばれてくる。
男の好物の一つ。タルキィ鳥のフライである。
これがまた、麦酒にはよく合うもので。
男は、熱々のフライをかじっては。酒で喉を潤していく。

ビョルン > 「どのように」

生まれつきネクタイを締めていたと言っても納得されるだろうか。
王侯とは遠く、冒険者からもまた遠くある身なれば相応に大人しく言いがかりを受けぬようこの場に居るつもりなれど、浮くなとはなかなか無理な注文で半分諦めたように息つく。

「則ち、謀反あれば──ですか。
 対処もありますが、”企業秘密”とだけ」

口の前に指を立てて「秘密」とだけ繰り返す。
何といっても、目の前の男は冒険者であるが故だった。

「──降って湧いた特需、ではありますが。
 ですが、厄介事の方が多そうだ。
 ダイラス、ですと……ああ、そのようですね──其れも又、宜しくはないようだ」

ダイラスには一種の『停滞』を暫く続けていて欲しかった。
細く吐息をついて、米の一粒やケチャップの一滴も残さずオムライスを食べきる。

「ダイラスの土地柄、見逃されそうではあるが確実な変化があったと聞いています。
 今は、人に探らせているところですが──無責任に楽しんでみるのも、悪くはないかもしれませんよ。冒険者ならばね」

そうしてジョッキの牛乳に喉を鳴らして。

セイン=ディバン > 「……えっと。
 地金を晒せというか……その。
 貴方は、プライベートでもそういうしゃべり方なので?」

まずはそのしゃべり方だよなぁ、と思いつつ。
あるいは、この若者なら一事が万事こういうしゃべり方でもおかしくないかな、とも思う男。

「……ははは、そりゃあそうですな」

おいそれと口にはできまい、と理解し。
男は、笑みを浮かべる。やはり、この若者は面白い、と。
見所がある、と思ってしまう。

「この国じゃあ良くある話ですな。
 ダイラスは……遊びには行くんですが」

かの都市の厄介事には関わりたくない、という様子を見せつつ。
男も、フライと酒に舌鼓を打つ。

「お生憎様というやつなのですが。
 私はそこまで腕が立つでもないので。
 ……まぁ、軽く探るくらいはいいかもしれませんが」

空になったジョッキを置き、男は苦笑する。
所詮名ばかりの上位ランク冒険者だ。
本当の超一流の同業者に比べれば、あまりにも弱いので。
無用なトラブルはゴメン、と。
いつも言ってはいるのだが、時にトラブルに身を投じたくなるので。
その辺りこの男は破滅願望があると言ってもいいかもしれない。