2020/04/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
■セイン=ディバン > 「……参ったな」
貧民地区の路地裏から通りへと出てきた男は。
頭を掻きながら弱ったような表情であった。
「情報屋に聞いてもダメってか……」
男はとある情報を求めていたが。
その情報はまったく入手できずにいた。
男が懇意にしている情報屋ですらその情報は持っておらず。
いよいよ男は、お手上げ、という様子で。
「……こうなったら、とにかく片っ端から当たるしかねぇのかな」
う~ん、と首を傾げる男。
とりあえずは、と。ある種平常運転、酒場に向かう。
やはり情報と言えば、酒場だ、というところか。
■セイン=ディバン > 「マスター、麦酒くれ」
酒場に入り、カウンター席について注文する男。
ため息を吐き、天井を見る。
「ん~……」
あまり悩んでも仕方ない。
情報収集に関しては、日々少しずつやるしかないか。
男はそう考えつつ、酒で喉を潤す。
「くぅっ、これに限る」
口に広がる苦味に男は唸り、一気に酒を飲み干していく。
店内にいる同業者たちに挨拶しつつ、男は気持ちを切り替えていく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にヴェルソートさんが現れました。
■ヴェルソート > 「ごきげんようマスター、蜂蜜酒おくれ。」
チリンとドアに付けられた鈴を鳴らしながら入ってくるのは小柄な男。クァ…と欠伸混じりに入りながらカウンター席に腰掛けて…ふと数席離れた先客に気づく。
「おや、セイン君。…ごきげんよう?」
ひらりと、親しくなった冒険者の顔にひらひらと隻腕が手を振り。すっと無口なマスターが差し出した蜂蜜酒を受け取ってクピリと一口煽り。
「ん、はぁっ……ふぅ。あー…何か摘みも頼もうかなぁ、セイン君。何か食べたいものあるかい?」
奢るぜ?なんて、声をかけてみようか。
■セイン=ディバン > 「……ん、ヴェルさんか」
声をかけられ、相手のほうを見ながら。
男は、軽く片手を挙げて挨拶をする。
「ん~、メシは今求めてないんだよなぁ。
小腹がすいたら、ってことで。
今はいいや」
相手の奢るという言葉に、男は微笑みながら、手を振り。
代わりに、マスターに酒を追加注文。
「……あぁ、そうだ。
ヴェルさん。ちょっと聞きたいことあるんだけどいいかな」
そういえば、と。男は少し背筋を伸ばし。
相手に向かって、情報収集を開始しようとする。
自分とはまた職業の違う相手だ。
自身の持たぬ情報を持っているかもしれない、と考えたのである。
■ヴェルソート > 「そっか。マスター、ミックスナッツ。」
と、ミードを揺らしながら頼めば、すぐにやってくるミックスナッツ、とりあえずピーナッツをつまんでポリポリと咀嚼し酒の肴に。
「おう、貴方の金糸雀ヴェルさんですよ?…なんてな。」
冗談めかして小柄な男が片手を広げてクスクスと笑いつつ、まあすぐにその手はナッツをつまむ作業に戻るのだけど。
「…ん?俺に?…まあいいけど、どうかしたのかい?」
ポリポリ、ナッツを咀嚼する合間に聞こえた言葉、なにやら真剣に聞きたいことがあるらしい様子に、ゴクリとナッツを飲み込み、口の中に蜂蜜酒を一口含んで流そうか。
そうすれば、彼に体を向けるように姿勢を変えて、聞く姿勢を取ろう。ふぅ…と酒気と熱の籠もった吐息を小さく漏らしながら。
■セイン=ディバン > 「あんまり歌の仕事お願いしたことないけどね」
おや、ずいぶんと上機嫌? と。
相手の言葉に男は苦笑をするのであるが。
「いや……ヴェルさんさ。
魔王ベルフェゴールって、最近出会ったとか。
どこそこにいた、とか。そういう噂を聞いたとかない?」
相手に聞くことに関して、魔王の名を出すことになるので。
男は、若干声を小さくし。そう率直にたずねる。
その名は……男の妻の名前であった。
■ヴェルソート > 「ん~、なんかセイン君と会うとテンション上がってる気はするな。歌の調子良くなるから良いんだけど。」
苦笑する彼にケラリと笑い、まあ酒のせいもあるかもなぁ、なんて蜂蜜酒を少し飲んだだけの割には、朱の差す頬に…が…んん、と首をかしげる。
「ベルフェゴール…えー、あー…知らねぇなぁ。
いや、一応名前は知ってるぜ?有名所だから…ただ、最近見かけたとかは全然。」
どうした急に、そんな有名所の魔王の名前なんて出して、と首を傾げよう。流石に彼の妻だとは知りもしない。
でもまぁ…
「セイン君が知りたいっていうなら、意識して情報集めてみてもいいけど?」
必要かい?と首を傾げよう。まあこれくらいをする義理は十分あるのだから。
■セイン=ディバン > 「そうですかい。ま、そう言われて悪い気はしないんだけど」
ふぅん、と笑いつつ。男は酒を呷っていく。
男のほうは、まだまだ酔いは回っておらず。
「そっか……。
いや……その、ちょっとね」
相手が情報を持っていないと知れば、少し落ち込んだ様子になる男。
「実は……その、オレの、妻、なんだけど。
風の噂に、行方不明になったって聞いてね……。
まぁ、もしも情報を仕入れたら、教えてくれるってくらいでいいよ」
はぁ、とため息を吐きつつも、男は相手に頭を下げる男。
だが、そこでパッ、と顔を上げると。
「まぁ、とりあえず飲もう」
などと。気を紛らわすように言うのだった。
■ヴェルソート > 「ふふっ、そりゃあよかった。アンタと居ると口も酒も回っちまうな、全く…。」
クスクスと愉しげに笑みを零しながら、まるでもうほろ酔いになったかのように。
まあ、もともと酒に強い質ではないのだけど。
「おぉ…おぉ?…あんた所帯持ちだったのか。しかも超玉の輿…!」
流石にそれはびっくりして目を見開き、一瞬酔いが飛んでいった。
でも、それって公言したら闇から狙われる奴では…と寒気もちょっと。
「あらら…なるほど。まあ小耳に挟んだら教えようかね。
っていうか…『命令』しても良いんだぜ?」
頭を下げる彼に、クスリと笑って…小さく囁く言葉、彼なら意味が伝わるだろうか。
まあ、彼がパッと雰囲気を切り替えるならそれに乗って。
「うっし、じゃあまあ、今日はおじさんがおごってやろう。」
傷心に金出させるほどひどくないおじさんだからな!と既にほろ酔い気分でケラケラ笑いながら。
■セイン=ディバン > 「いっつもじゃないのか?
オレ以外にも言ってるとか」
相手が笑うのに合わせ、男も笑う。
なんだかんだ、男も一人酒よりは馴染みの人間がいたほうが楽しいわけで。
「別にそんなんじゃないよ。
ただまぁ、凄い人ではあったけど」
玉の輿とか知らないっす、と言いながら肩を竦める男。
「あぁ、よろしく頼む。
オレも情報は集めるつもりだからさ」
あの人がそう簡単にいなくなったりする訳無い。
そう思いつつも、若干の不安はある。
しかして、男は相手の言葉に首を振り。
「そういう、命令とか。あんまりしたくないんだよ。
あと、奢ってもらわなくても結構。
お互い対等でいるべき、だろ?」
もちろん、相手が物凄く稼いでたり儲けたりしてるなら、それに乗っかることもあるのだが。
男は、貸し借りを作りたくない、と言いつつ。酒のお代わりを更に注文。
「あぁ、そういえば。もう一人。
人を探してるんだが。また聞いてもいいかな?」
そこで、もう一人の探し人についても情報収集を、と。
男は、更に相手に質問を重ねようとする。
■ヴェルソート > 「言えるような相手がポンポン居りゃ良いんだがねぇ。」
ククッ、と自嘲めいて笑えば、クイ…と傾けた蜂蜜酒のグラスはもう空っぽで…おや、と眉根を寄せ。
「なくなっちまった…マスター、おかわりー。」
気分が良いのか、大抵一杯で止める男がおかわり求めながらポリポリとナッツをまたかじり、届けばクピリとすぐに己の胃の腑に傾けて。
「ん~?ははっ、まあそりゃそうだろうなぁ。まあ俺が知ってる名前とセインの奥さんが同名の別人って可能性もまあ、無くはないけど…。」
魔王として名を馳せる人物ならそんなことはないだろう、と思いつつも…まあ、情報は集めてみようかなと思考の片隅。
「そうかぁ?…誰かに従うってのも悪くはねぇけどな。
…自分で判断する、って疲れるし、怖ぇからな。」
ぽつ、と零すように一人ごち、まあ今はそんな雰囲気でもないのだからさらっと流すことにしよう。
「ん…もうひとり?別に良いけど…誰だい?」
まあ、己が知っているとは限らないけど、聞くだけならタダだ。
尋ねられれば、小柄な、どこか愛嬌のある男は首を傾げて聞き返すだろう。
■セイン=ディバン > 「おいおい、それもそれでマズいんじゃないか?」
口説くのに本気になってしまうと、あとあと問題になる。
そういうこともあるよなぁ、と。男は笑いつつも自分自身にも言い聞かせる。
「そりゃそうだ。
実際、同じ名前の人物って結構いるし」
冒険者をやっていて、色んな国に行くと。
それこそ、性別問わず同じ名前の人物に出会うこともある。
なので、その可能性はゼロではなく。
「冗談。オレだったらゴメンだね。
自由でありたいから冒険者やってるんだし」
気持ちはわかるけどなー、と。
男はそう言いつつ、麦酒を飲む。今日はずいぶんと早いペースだ。
「誰、って言われるとまぁ困るんだけど。
実は、名前をド忘れしちまってるのさ。
……俺の師匠というか先生というか……。
冒険者として、俺を鍛え上げてくれた人なんだけどな」
ソコのところが問題なんだ、と。
男は頭を掻きつつ、重いため息を吐く。
なにせ、その師匠というのは。男が駆け出し冒険者だったころの知り合い。
実に20年以上前の知り合いなのであり、当時やさぐれていた男は。
相手の名前もろくに覚えようとしなかったのである。
■ヴェルソート > 「ん~…どうだろうなぁ。」
マズいも何も、前提として奴隷と主人とか、娼婦と客などの関係があって、それを超えて…となるとあまり居なかったような気もして。
「まあ、同じ名前の魔王が二人、なんてめったに無いと思うけどな。」
魔王、という肩書があるだけで大分相手が限定されるのだ。もちろん同名の町娘、とかだったらそれは十分ありえるだろうけど…そもそも。
「魔王探すなら魔族の国のが良い気もするけどな…。
ギルドも十分縛りあると思うけど…まあ、他よりは緩いわなぁ。」
本当に自由を目指すならそれこそ旅人だろうが…あれは縛りなさすぎて恩恵も何もありゃしないので、まあ確かに冒険者、というのは自由度と秩序の恩恵の落とし所なのかもしれない。
そして、探し人の内容聞くと…流石に目が点になった。
「いやお前…そりゃ流石に無理あるだろう。名前も二つ名もわからない相手の情報なんて集めようがねぇって。
…まあ、そもそも俺20年前だとこの国に居なかったからなぁ…悪い、わかんねぇわ。」
20年前なら、魔族の国で奴隷になってた真っ最中じゃなかったっけなぁ、とぼんやり、思い返しながら答えた所で。
「…んぅ。」
ちょっとふらりと…酒が回ったのか少し頭が揺れて。
■セイン=ディバン > 「あんまり気が多いと刺されるぞ?」
そうでなくても、娼婦、男娼は客商売だ。
あまり客を本気にさせすぎてもよくないだろ、と。
「そうな~。あぁでも。
逆にありうるんじゃないか?」
魔王、と言っても。この世界は広い。
それこそ、『別の世界から来た』なんて嘯く存在もいたくらいなのだ。
それも踏まえると、なんでもありだろう、と。
「かもな。まぁ、その内あっちにも行ってみるつもりだけど。
自由の中にも、最低限のルールはある、ってな」
ギルドに登録しておかないと、かなり冒険者ライフがやりづらい時がある。
完全フリーの冒険者は、そもそも仕事を請けるのも大変なのである。
「うっ……それは、わかってるんだけど。
……えっとなぁ。たぶん、年齢は今の俺と変わらないくらい。
んで、女なんだけど……。あぁ、ダメだ。見た目ももう覚えてねぇわ……」
背が高かったような気もするが、自身は当時子供。
何の参考にもなりゃしない、と。男はため息を吐き。
「……ん。大丈夫か?」
相手の様子を見れば、男は心配そうな表情になる。
■ヴェルソート > 「え、アンタが言うのか…? いやまあ、刺されたらその時はその時だろう、守ってくれる奴もいるわけでなし。」
俺より刺されそうな男トップ5くらいに入りそうじゃね?アンタ…と思わず素で返したりもするけども。
「まあ、そこまで考えたらキリねぇだろ。そもそも見かけたって情報が今ないんだから。」
その嘯きを鵜呑みにするなら「別の世界に行った」なんて可能性まで出てくるのだから、とりあえずは希望的観測で集めていかないと、その他の考察は後でもできる。
「まあ、あっちに行くつもりなら声かけろよ。案内くらいならしてやれるさね。」
こそ、と話しかけるように言うのは、奴隷だったのを隠すためか…まあ、向こうに関してはある程度、限定された範囲の地理ならあるので、案内を買って出ても良いだろう。
「……せめて得物とか覚えてねぇのか?珍しい武器ならある程度絞れるだろうけど…。」
流石に、ポツポツともたらされる情報ではどうにもならない。というか、彼が子供の頃に彼と同じ年齢だったなら、もう死んでてもおかしくないのが厄介なところだ。
「ん、あぁ……セイン。……シたい。」
心配そうにこちらを見る彼に、飲み干した蜂蜜酒のグラスをことんと置き……はぁ、と吐息を漏らしながら彼を見る瞳は…完全にスイッチの入ったそれだ…よろりと、彼にもたれかかりながら…甘えるように囁いて。
■セイン=ディバン > 「……」
言い返せなかった。
そもそも、この男は以前それで刺されてるわけなので。
「そうなー。まぁ、気長にいくしかねぇだろう」
こういう時、焦っても仕方ない、と。
男はそう考えている。星の導きがあれば、会うのは困難ではないだろうと。
冒険者たるもの、悲観ばかりしていても仕方ないのである。
「ま、その内な。
あんまり、オレも向こうに頻繁に行きたいわけでもないし」
どうしても。男が穏健派和平派と言っても。
人間の身で魔族の国に出入りしすぎても、目だってしまってしょうがないのだ。
「……剣、だったかなぁ……。
キレイなロングソードだった気がする」
キレイ、というのは。刀身が美しいということではなく。
実に手入れが行き届いている、ということ。
「……ったく。しゃ~ねぇな……」
酔ってんじゃねぇか、と小声で言いつつ。
男は、相手に肩を貸し、二階の部屋へと向かう。
そのまま、相手とどんな夜を過ごしたのかは……。
また、別の話となるわけで。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からヴェルソートさんが去りました。