2020/04/01 のログ
キリエ >  まるで自分のもののように勝手に料理をつまみ始める女。遠慮など知らぬとポイポイ摘んでは口に放り込む。
 教会関係者という推測はあっているが、まさか聖職者だとは思うまい。

「褒めてもなンもでねぇぞ。男みてぇな声とか言われてるんだが」

 いい声。皮肉と受け取ったのか、女は相変わらずの不機嫌顔を崩さずに煙草を燻らせていた。
 はんはん、と相槌を打ちつつ相手の言葉に耳を傾けていて。

「蒸留酒が精々かねぇ。水ばっか混ぜてる馬の小便みたいなやつなら腐るほどあるぜ。
 あぁ、まじいまじい」

 などといいながら、これまた勝手に酒をカップに汲んで一口飲み始める。誰の酒、誰の料理なのかは気にする素振りさえない。

ブレイド > つまむどころかそのまま彼女のものであったかのように料理を食べる女。
厚かましいと言うかなんというか。
聖職者…には残念ながら見えない。どちらかと言えばこのあたりに住んでるといったほうが信用できそうだ。

「はっ、男の声だろうが女の声だろうが、いいもんはいいだろうが。
それに、なんつーか…女でああ言う声出せるってのはなんかかっこいいんじゃねーか?」

女にモテそうだ。と冗談めかして。

「ま、所詮貧民地区だしな。
上等な酒飲みたきゃ富裕地区あたりにでも行くぜ。
でもあの辺りは、クソみてーな連中がいるんでな。好きになれねぇ」

確かに混ぜものが多いのは事実。
だが、それでも、気安さと酒の質の両方で、この店はバランスが良かった。

キリエ > 「あの肥えた連中がいるあたりは歩いてるだけで胸糞悪くなるからいかねぇが、ま、こっちの連中のほうが幾分かはマシってもんだな」

 富裕地区。雲の上の地区などと言われるそこについて女は不機嫌顔をさらに険しくして言葉を紡いだ。
 カップに注いだ酒を飲み干すと、いくらか赤くなった顔を隠すように腕枕の上に顎を置いた。

「あぁ、まじいまじい。まあ酒なんざ酔えれば同じだ。飲めりゃそれでいい。
 キリエ。オレの名前だ。あんたは?」

 唐突に、女は名乗りを上げた。
 煙草の灰を空いた皿にとんとんと叩いて落としながら。

ブレイド > どうやらあそこが気に食わないのは彼女も同じらしい。
もっともこのあたりであの地区が好きなやつなどいないだろうが。
不機嫌そうな女の表情と声に、喉をクックっと鳴らして笑ってしまう。
教会関係者とはとても思えない言いぐさだ。

「違いねぇ。まぁ、こっちのゴロツキもうぜぇっちゃうぜぇがちょっと見せつけてやりゃ退くだけカワイイってもんだ」

暴力で解決できてるうちはまだまし。
あっちの肥えた貴族商人聖職者どもはそうもいかない。
だからこそ腹が立つのだが…

「ブレイド…もう一本くれ。いや、こいつのぶんもだから二本」

彼女に名を告げつつ、なくなった酒のボトルを二本追加する。
一人で飲むものを二人で飲んだのだから、なくなるのも早い。

キリエ > 「お、わかってるじゃねぇか。あんだよ、なに見てんだ」

 酒の追加を注文する相手を見れば、不機嫌顔が若干はマシになる。
 酒を持ってきたウェイターがじろじろと見てきたので、ガンを飛ばして剣呑な声を上げて追い払った。

「しかしあの親父、土下座までしてオレに歌わせようってんだから変わってやがる。あそこにいるやつな。
 あぁ、そうだ、ブレイド。アンタも一曲歌ってこいよ」

 女は、バックルームの扉からこちらを伺っている禿頭の親父を煙草で指し示した。
 そして、まったくの唐突に相手に話題を振る。飛び入り参加は確かに認められるだろうが、果たして盛り上げられるかは別問題であるというのに。

ブレイド > 酒で機嫌を良くするとは現金な女だ。
ここまで正直に顔に感情が出るタイプだと生きづらそうにも思えるが。

「まずくても酔えるもんでいいってならな。気には召さねぇだろうが…」

頼んだ酒は結構強い蒸留酒。
自分は果実酒だが、酔うことを目的として飲むのならばこちらのほうがいいだろう。
だが、続く言葉にはこちらが眉を寄せることになる。

「はっ、まぁこの酒場のウリだからな。必死にもなるだろ。
男が歌ってもあの通り…
って、オレがぁ?馬鹿言うなよ。アンタみてーにカミサマから才能貰ったわけでもねーんだからよ
客が消えちまったらあの禿頭にどやされるぜ」

キリエの提案は笑い飛ばす。というか、そんなに歌が得意というわけでもないのだ。
そもそも普段は種族を隠しているのだから、余り人前で目立つマネはしたくない。

キリエ > 「そうか、ま、期待なんざしてねーよ。笑いは取れるだろうがな。
 さてと、そろそろオレはお暇させてもらうぞ」

 煙草が切れてしまった。最後の最後、限界まで吸い、名残惜しそうに皿に押し付けて鎮火する。
 黒衣を着ていても、赤いドレスをすべて隠せるわけではない。徐々にだが周囲の客が気がつき始めていて、好奇の視線を送ってきている。
 女としては居心地の悪いことこの上ない状況であった。

「それじゃ踊りはどうだ。カワイイ顔してるからウケるかもしれねぇぞっと。
 じゃあな。会いたくなったら、それか悪魔にでも取り付かれたらこの辺をうろついてみろ。仕事なら受け付けてやる。特別価格でな」

 言うなり立ち上がると、ひらりと手を振って、髪の毛を揺らしながら歩き去っていく。

「あぁ!? もう一曲だふざけんなぶっ殺すぞ!」

 禿げ頭の男がペコペコ頭を下げつつお願いをしてきたので、それに対して憤怒しながら奥に引っ込んでいく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からキリエさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にボブさんが現れました。
ボブ > (貧民地区にある知る人ぞ知る料理の腕前がいい頑固親爺が営んでいる酒場である程度飲んだ男。
ちょっと酔い覚ましに夜道を散歩する為に一旦会計を支払い)

「親父っさん、ちょっと酔いを覚まして、腹に少し空間が空いたらまた戻ってくるからまた腕を振るってくれよ」

(『美味い物を頼むよ』などと言えば『不味いもんなんて作った憶えはねぇっ!!』と親爺さんに雷を落とされるのを
よぉーく分かっている男は『腕を振るう』といったセリフを残して夜道へと出て行けば)

「ふぅ~~~、いい感じの涼しい風だ。散歩するにはいい夜更けといった所か」

(美味い料理と酒を腹七分程度収めた男は気分良く夜道をふらりとで歩いていく。
軽く散歩して腹の具合を三分から四分くらいに減らす算段のつもりであって)