2020/03/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルナティアさんが現れました。
ルナティア > 「あ、ぁの、はい、次も、よろしくお願い、します………」

頭を下げるサイドテールの金髪少女。深夜の酒場の皿洗いの仕事は成り手も少ない。
薄給ではあるが、それでも何のスキルも無い彼女にとってはありがたい仕事だ。

上手く回らぬ舌を使うでもなければ、頭を回転させ、臨機応変に動く必要も無い。
その小さな体では力も体力も無い。
そんな彼女が出来る仕事は、割と少ないのだ。

とぼとぼと暗い夜道を一人歩く。
犬が吠えるたび、物音がするたび、ビク、っと身体を震わせて。

ルナティア > ウェイトレス衣装のまま歩くのは、彼女の手持ちにあるまともな衣服が少ないから。
明らかにみすぼらしい身なりで歩くのも、明らかにお金を持った風貌で歩くのも危険なのだ。

とはいえ、どちらにしろ目を引くその身体。
小柄なそれとは不釣り合いは大きな乳房。女の匂いが精神よりも肉体に濃い少女。

「……えぇ、と。」

今日泊るのは小さな宿屋。
そこで朝にお手伝いをすることでなんとか寝泊まりを許してもらっている。
1人で生きていくのは辛い街だ。
とはいえ、無条件に優しくされるのは裏がある、それはよく理解している少女。

ルナティア > その実。

彼女は死や絶望をもう何度も味わっている。
その度にそれは"悪夢"として昇華され、彼女はまた健康体として目覚める。
言うなれば、疑似的な不死身。 そんなことは気が付かない彼女は、夢見が悪いだけだと感じながら、今日も日々を過ごす。

ただし、それは彼女の精神の中で"無かったこと"にはならない。

彼女の会話下手とある程度の人間不信の根っこはそこにある。
同時に、精神は臆病な子供のそれではあるが、身体はどうか。

思い出せない悪夢の中で、幾度となく、幾度となく。
その蓄積は確かにその身体の奥にある。

「………まだ、寒いな。」

ぴゅう、と吹く風に、身を小さくするようにして夜道を歩き。

ルナティア > めくるめく甘い官能。
息どころか、拍動が止まるほどの快楽地獄。
遠慮の無い、ストレートな暴力。
そして死。

原色をゴミ箱にただぶちまけたかのような色とりどりの末路全てを辿ってきた少女は、未だに健康で。

「………今日は、ゆっくり寝られる、かな。」

ぽそぽそ、言葉はとてもか細く、風に消える。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルナティアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にビョルンさんが現れました。
ビョルン > 貧民地区。
肩をそびやかして歩くのは既に明かりの灯る店は少ないくらいのうらぶれた通り。

「邪魔ぁ、するぜ──…」

本来なら少し先回りして舎弟が開け、己がくぐるだけのドアはここにはない。
半分露店のような構造の飲み屋も、今日はもう閉店の準備だろうか。

「どうだい、最近の景気は」

そのカウンターへ近づきながら奥の店主へ声をかけた。
きょろりと見渡すが、飲んでいた客はいないようである。
店主は紙幣の束を己へと突き出しざま、近辺の噂話など始める。

紙幣は数えずそのままカバンを持った護衛に渡すのが店への信頼を見せる仕草だ。
無論、金額は後で知れるがこことの付き合いは長い。

ビョルン > 貧民街の酒場はさすがに情報の宝庫と言えた。
小さく相槌を挟んだり、そうして得る情報は。

これから利便性の上がりそうな通りだとか。
どこの誰がギャンブルに興味を持ちそうだ、とか。

(不動産は、博打だよな──…)

それに、誰か既に手掛けようとしていたならば己が後から参入しては角が立つ。
次の幹部会で確認しようと、頭脳へ刻む。

「──いや、酒はいいよ。
 閉店するところだったんだろ、また来る」

メモは取ることなく、店主に軽く挨拶して歩き出す。
アジトへ寄らず、直接塒(ヤサ)へ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からビョルンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルナティアさんが現れました。
ルナティア > 「ふう……ふう………」

1人で酒場のゴミを捨てに行く少女風貌。
料理は一応できるが、酒場で料理担当に出来るほどのものでもないし、何より力が足りないから量が作れない。
給仕は声が小さく、やはり力が足りない。

彼女に出来る仕事は、本当に小さなものばかり。

よいしょ、よいしょとゴミを置けば、ぽんぽんと手を払って。はー、っと手を吐息で温める。