2020/01/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 「……」

貧民地区の酒場で、一人の男が、何かを書いていた。
難しい顔をしながら、静かに酒を飲み、そしてまた書く。
男が書いているもの、それは、国内の娼館の紹介記事であった。

『やはり王都の娼館となると、女王の腕亭は外せない。
 会員制ということもあり、入店するにはかなりの資格と運が絡むが。
 そのサービス、所属する嬢のレベルは随一。
 まさしく、最高級娼館の名にふさわしい一店だろう。
 ただやはり、その入店・入会する難易度の高さはビギナー向けとは言いがたい。
 その点を差し引いても、星4評価は堅い。ぜひとも一度は足を運んでみてもらいたい名店だ』

すらすらすらっ、と書いては、また酒を呷る男。
そもそも、男がなんでこんなことをしているのかと言えば。
以前知人と話していた時、娼館の紹介記事などをまとめて本にすれば、小遣いが稼げるのでは? という話題になったため。
本日、少し気が向いたので、酒場にて執筆活動中、という訳だ。

セイン=ディバン > 普段こんな風に物を書いたりすることの少ないこの男。
なぜ今日に限ってこんなことをしているのか、と言うと……。
話は、十五時間ほど前に遡る。

『はぁぁぁぁ!? 緊急討伐依頼ぃぃぃ!?』

朝、ギルドの連絡員に呼び出され、ギルドに向かった男。
いきなり、出現した龍種の討伐を命じられ、不満を口にするものの。
すぐに動ける冒険者もおらず、仕方なしに単独で龍種の討伐に向かうものの。
そもそも、男はココ最近仕事をしっぱなし。疲労もストレスも限界であった。
それゆえに。過去に行った娼館を思い出すという悲しいストレス解消方を実行していたので、ついでに執筆などしてみた、というお話。

「……世界はオレに優しくなぁぁあいっ!」

ぐいぃっ、と酒を飲み干しながら言う男。
周囲の客は、何だアイツ、みたいな目で見てくる。
寒さが体にも心にもずいぶんと染みる夜であった。

セイン=ディバン > ちなみにこの男、単独での龍種討伐はこれで十五匹目。
無事討伐が終わった後のギルドの職員の。

『いやー、さすがですねセインさん!』

の言葉に。顔面に思いっきりドロップキックをかましてのこの一人酒であった。

「大体、龍を狩れる冒険者の数が少ないのが問題だよな~」

ぶつくさ文句をいいつつ、お代わりした酒を呷る男。
さて、次はどの店の紹介記事を書こうか、と。
過去の記憶を掘り起こしていく中。ん、と思い出したことを徒然に記していく。

『筆者は以前、ウサギのミレーの少女を抱く機会があった。
 ミレー族は多種多様な姿をしていたりするのだが。
 やはりメジャー所は犬や猫が多くなるもの。
 しかして、ウサギのミレー。あれはとてもすばらしいものであった。
 美しい白肌。感度も良好であり、またとても奉仕が上手であった。
 もしもウサギのミレーの娼婦に出会ったのなら、一度抱くことをお勧めする。
 この国におけるミレー族の権利問題に関しては非常に難しいものがあり。
 筆者としても、ミレー族に対する扱いなど、人権向上について思うところもあるのであるが。
 やはり一番強く思うところとして、ミレー族を一つの種族として見て。
 無用な暴力などを振るわぬ。そんな共存関係こそ、すばらしいものではないか、と主張するものである』

ふ、と。思い出した先日の体験から、ミレー族の権利・権威向上について記してみたり。

セイン=ディバン > 「……ん、また空か。
 マスター、お代わり」

知らず知らずに進む酒。
男は、更にお代わりを注文しつつ、周囲を見る。
仲間同士で楽しく酒を飲む冒険者達。
何らかの集まりなのか、意見交換をする店主達。
仕事上がりなのか、笑いあう娼婦たち。

「……おしなべて、世は事もなし、かね」

東の国の言葉を口にしながら、ふ、と微笑む男。
何か、世界から自分が弾かれたかのような感覚。
きっと世界は幸せに満ちていて。クソッタレなことなんて、少なくて。
あぁでも、自分はそんな世界には入れないんだろうなぁ、とか。
そう思ってしまうのは、酔っているからなのだろうか。

「ま、ど~でもいいけど」

くいくい酒を飲んでいく男の姿は、もはや完全に酔っ払いの中年親父。

セイン=ディバン > そうして、男は酒を飲み終えると。
書いた文章を懐にしまい、店を後にした……。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。