2019/11/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアミスタさんが現れました。
■アミスタ > 貧民地区の路地裏。あと少しすれば雪も降り始めそうな、野宿には適さぬ寒い夜。
浮浪者もこの季節には、雨風を凌げるような、もっと暖かい場所へと身を移す。
だからこの夜、路地に立っていたのはこの少女だけだった。
身につけたもので装備と呼べるのは、銃の形をした魔道具ばかり。
他は鎧や小手の類いなど無く、その少女は平凡な市民のような格好で立っている。
「……寒、い……はぁー……」
両手に息を当て、擦りあわせて温める。
その手首に、服装に比べていやに目立つ、赤い花を象った腕輪を見るだろう。
この路地近辺を取り仕切る顔役が、街頭に立つ娼婦に貸し与える──身分証のようなものだ。
──冒険者という身分ではある。だが、その稼ぎだけで食い繋ごうとすると、どうしても難しい時期がある。
〝同業者〟と食い合わないよう少女が選んだ〝待機場所〟が、この路地だった。
■アミスタ > かじかむ手を温めながら、路地の中の範囲で少し歩く。
動いていれば寒さは紛れるし、余計なことを考えずとも済む。
余計なこと──自由に憧れて冒険者となった筈がなぜ娼婦の紛いごとをしているのか、などだ。
「……でも……宿代、も……あるし……」
金が無いから。それに尽きる。
安宿で一晩を過ごす程度の金はあるが、三日を過ごす程は無い。その程度の貧困だ。
日々寒さの増す夜と比べたら、多少の矜持など毛布一枚ほどの価値も無い。
今宵の身分を示す腕輪が見えやすいよう、服の袖を手首からずらして、少女は歩いている。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にグスタフさんが現れました。
■グスタフ > 貧民地区をぶらりと歩いていた男、寒空の下で凍えそうな姿の女を見咎める。
声を掛ける前に、その袖を見て、彼女を胸に招くように誘った。
「暖かいところへ行こうか、お嬢さん」
■アミスタ > ──呼び寄せられた少女は、ひとまずそれに応じる。
その先にいかなる交渉が行われるかで、少女の命運も変わるのだろう。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアミスタさんが去りました。
ご案内:「路地裏」にリヒトさんが現れました。
■リヒト > 「なんともツイてない日だなあ……と。」
独り言を零す男が狭い道を大股に進む。ツイていない、そんな言葉の理由は仕事の失敗。
荒事や大きな面倒にはならない仕事柄であるが、その代わりに支払うべき物は支払わなければならない。
つまりこの男は現在なんとも懐が軽く、女を抱くにも酒を飲むにも苦労する状態なのであった。
溜息、壁に寄りかかるように背を預け、懐から煙草取り出し咥える。
小さな火が先端に灯れば、ゆったりと長い呼吸で煙愉しみ、僅かな慰みを得る。
都合良い獲物でも現れないか、とそんな打算があるのか、その瞳が時折路地の入り口や奥の方伺っていた。
■リヒト > 「賭場でも荒らすか……毛皮にされるオチか、まあ。阿保らしい。」
気を紛らわせるため、近くに人がいないのを良い事に自問自答めいた言葉が続く。
能力使えばあくどく稼ぐ事も容易だろうが、それが原因で厄介を招いても詰まらない。
最早頼る後ろ盾も無い身、それなりに慎ましく、平穏に暮らしている狼であった。
半分ほどに減ってしまった煙草を捨てて、次の一本を手に取り、また赤色を移す。
舌打ちが小さく響いたのは、気を紛らわせる嗜好品すらもう残りが無いのだと確認したから。
■リヒト > 「は……余計に冷えただけだな。」
結局懐潤わせてくれるようなカモも現れず、欲をぶつける獲物も見えず。
煙草もとうに吸いきって燃えカスめいた短いゴミだけが地面に残った。
夜風がローブの隙間から己を舐めていく冷たさに身震いを一度して、軽く反動付けて壁から身を起こす。
後はそのまま、闇に紛れるように路地の奥へと消えていって。
ご案内:「路地裏」からリヒトさんが去りました。