2019/11/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエリさんが現れました。
■エリ > 朽ちかけた屋根をひょいひょいと渡り、移動するピンク髪のサキュバス少女。
正体を隠すために羽根などを引っ込める日もあるのだが、今夜はそのまま、いかにも魔族。
お気に入りの人間宅から数日ぶりに自宅に戻る途中で、満腹ルンルンと急いでいたのだけれど、ふと見た路地に。
「あれ?」
気になるもの。
正確には行き倒れた男なのだが、酔っぱらいでないことはすぐわかった。
なぜなら同種の気配が色濃く残っており、どうやら精力を吸われすぎたようだと。
ふむぅんと考えること数秒。すぐに男の元へ駆け寄り、様子を見てみる。
精を搾り尽くされてはいるけれど、よっぽど気持ち良かったのか半笑いの男。
だが回復までにはかなり時間がかかるだろうし、下手をすれば寿命ごと吸い取られていた。
「呑気だなぁ。迷うけど……人間の被害は最小限にしたいから、ちょっと分けてあげるね」
少女の体から陽光の様に温かな光が漏れ、掌を男の心臓に当てると、それがとくとくと脈動する様に注がれていく。
他者の精力を奪うことが出来る彼女だが、分け与える能力も持ち合わせていた。
魔族にしては善行――と言って良いのだろうか。
奪っているようにも見えてしまって、誤解を生む危険性はあるけれど。
■エリ > 男の肌が生気を取り戻し、手足が動いた。
それを合図にサキュバス少女は立ち上がり、蝙蝠の羽を広げる。
元気になる様を観察していては面倒になりそうだったため。
「お大事に」
そう言い残して、夜空へと消えた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエリさんが去りました。