2019/10/29 のログ
■レクス > 時間は夜中、空っぽの空に月が病んだように浮かぶ時刻。
照らし出されるのは貧民地区の路地。
こんな時間ともなれば、人気はあまりない。
少なくとも、真っ当な者ならば出歩きたいとも思わない時間で、場所だ。
「ぁ―――………」
そこに、吐息が零れ落ちる。
元は何の店だったのか、あるいは民家だったのかもわからない建物。
いや、建物というよりは、廃材が集まったそれに近い軒下。
そこにうずくまる様に腰を下ろす影があった。
土埃で元の色がわからなくなりそうな位に汚れたフード付きのマント。
それに身を包んで、丸くなるように座り込んでいた。
杖のように抱きかかえた剣――抜くことのできないそれを剣と呼ぶのなら、だ。
鞘を雁字搦めにして、左手首に伸びた鎖が、じゃらり、と微かに風に揺れて鳴った。
■レクス > 地面に突き立つような鞘の切っ先。
それを見つめる薄紫色の眼差しは、ただ、曖昧な色合いを湛えている。
何かを見ているようで、何も見ていないような瞳。
薄く膜が張ったように見えるその瞳孔は、完全に開ききっている。
まるで、少し路地を入ればそこらに転がっている死体のように。
「…………ァ―――……」
けれど、そうでない証拠に、呼吸が零れる。
乗った声音には、きっと、何の意味もないだろう。
微かに開いた唇からも、貌からも何も読み取ることができない。
まるで、削ぎ落されたような何もない顔。
似付かわしい――とそう表現できるかも知れない。
この、何もない。何からも見捨てられたような路地裏には。
■レクス > ずる――り――。
足が、不器用に地面を擦る。軋むような音を立てて、身体が立ち上がる。
何のきっかけもない。ただ、風に塵が運ばれるように散文的に。
ぱらぱらと、肩の辺りから土埃が零れ落ちる。
こうしてみれば、鍛えられた体躯は決して浮浪者のそれではない。
仮令、服装がそれとそう変わらなくても。
ただ、まるで長年を経て風化し切った大木のように、決定的に大事な何かが欠けているだけ。
そんな印象を見る者がいれば抱いたかも知れない。
今は、月明かりだけが、その歩く姿を見つめていた。
何処へ行くのか、何処か行くべき場所があるのか――ゆっくり、その足は路地の向こうへ歩いていって。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からレクスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にクウさんが現れました。
■クウ > 貧民地区にある酒場の並ぶ通りの一角。
店に所属しない娼婦たちが立って客を探す場所が見える位置で静かに佇む少女。
自分自身は娼婦ではなくその護衛としてこの場にいるのだが何度か声をかけられては追い払うを繰り返して。
「……私は今日は違う……あっちいって…」
そして今もある意味顔なじみと言える住人を追い払っては一息吐き。
何人かは客を見つけて少なくなった娼婦の一団を眺めて護衛の仕事を続ける。
■クウ > 「…だからちが……あ、コラ……」
何度目か、娼婦の数が減ってくれば声をかけてくる男の数も増え始め。
もう追い払う事がメインとなり始めてしまう。
いい加減どうにかしようと考えたが僅かに遅く、追い払った男たちが集団を組みやってきたと思えば掴まってしまう。
まさかと思い抵抗をするが複数の男の力にかなうはずもなく連れていかれてしまい……
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からクウさんが去りました。