2019/10/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/裏路地」に竜胆さんが現れました。
竜胆 > マグメールの貧民区とは、治安が悪いことで有名である。
 基本的に富裕地区の人間が近寄ることはないと言われているのは、いまこの現状を見れば良く判る事である。
 多数の浮浪者が道端に座り、道端の脇に或る家や壁はロクに手入れもされていないので、汚れ放題。
 そして、金を持っている人間から奪い取ろうとしている悪漢が、多数屯する場所。
 そういったイメージの場所であり、実際イメージとさほど変わりのない場所であろう。

 そんな中を、少女が悠々と歩けるのは、単に彼女がか弱い女の子と言うだけではないからである。
 確かに、その服装は上等の生地で作られたドレスであり、お金持ちであることが直ぐにわかろう。
 楚々とした仕草も、ふわりと香る香水の香りも、この場にそぐわないものである。
 ただし、その背中には竜の翼を持ち、竜の尾がドレスの下から地面をこする。
 半分人で、半分竜―――故に、人竜。
 頭の弱いチンピラでも、竜の眷属と思われる存在に喧嘩を売らないのだろう。
 だからこそ、悠々と、裏路地を歩き、少女は先に進んでいく。

竜胆 > 「確か、この辺りと聞いたのだけれども……と。」

 少女は、蒼の瞳で周囲を見回し、うーん、と唸る。
 貧民地区の路地裏、少女は意図があってやってきた模様で、探している物が有るのだ。
 それは、やはり隠されているのであろう、直ぐに見つけることができていなかった。
 少女が探しているのは、魔道具に関する店である。
 伝手が無いわけではないが、其れは自分の伝手ではないし何よりも。
 公的機関なのである。
 ぶっちゃけて言えば、色々面倒だと思うのだ。
 あれは駄目だこれは駄目だと言われてしまいそうで。

 少女の知識欲、そして、所持する書物にははっきり言って禁呪と言われるものも存在する。
 もともとの入手経路さえ、母の部下のドラゴンたちから、もらったというものなのだ。
 人の法の外で手に入れた物ばかり、それで学習しているので、ばれると面倒。
 だから、少女は一人、こういう所に来て、新しいものを求める積りなのである。

竜胆 > 考えてみれば、こういう所に居るのだから、隠れている物なのだろう。
 少女はうぅん、と小さく唸ることにする。
 禁制のモノが欲しいと言う訳ではないが、そういうものを合う買うならば、それなりの書物も扱っているはずである。
 と言うよりも、魔術師などの性格を考えれば、平民地区や富裕地区のほうは―――たぶん、宮廷魔術師とかそっちの方になるし、そっちの方は、お金に余裕があるから、本などは出すまい。
 そう考えているから、で―――。


「仕方、有りませんわね。」

 軽く息を吐き出し、少女は、蒼の竜眼に力を籠める。
 己の力にアクセスし、竜の力を引き出して見せる。
 自分の身を守るために抑えている力が、解き放たれて、万能感を覚え。
 それとともに、体が軋むのが判る。

「――――っ」

 息を吐き出して、少女は呼吸を整え、琥珀の色に輝く瞳で周囲を見回す。
 竜眼で、魔力の流れを見るために。

竜胆 > 琥珀色の瞳が、裏路地を眺めまわせば、今までと見えるものが変わってくる。
 世界の色彩に、さらなる彩―――魔力とも、マナとも、精霊とも……そういったモノが少女の目に映り、その濃度も見えてくるのである。
 訊いた場所には、そういったモノがなく、もう少し奥だろうか、と考える。

 見つからなければ、見つからないもでいいだろう、その時は、無駄足だと帰るだけである。
 その際に、情報を提供した、情報屋には、相応の痛みを覚えてもらう必要はあるが。
 ふふ、と口元に薄く笑みを浮かべた少女は、路地裏をもう少し奥へと進んでいくのだ。
 それは、自分の実力への大きな自信もあるのだから。

竜胆 > 少女はそのまま、路地裏の道を進んでいく。
 周囲の様子は、特に変わりがなく。魔力の濃度も、人工的に―――魔法を使ったような跡が見受けられない。
 ふむ、と軽く鼻を鳴らして、少女はそのまま奥へと進んでいくのだ。
 新しい魔導書が欲しいと思う。
 が、有れば良いな、と言う程度のものでもあるし、無ければ無いで、良いかな、とか。

 そんな風に考えながら、少女は路地裏の薄闇の中に消えていくのだった―――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/裏路地」から竜胆さんが去りました。