2019/09/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区の安酒場」にシロナさんが現れました。
シロナ > マグメールと言うのは解りやすい、その地区毎の特色があり、その特色がはっきりと出てくるのである。
 貧民地区、酒場と言うと盛り場と言うのがとてもよく似合う場所で、荒くれ者が多く存在している。
 モヒカン頭で、盗賊していてもおかしくは無いだろうというような男や、化粧で自分の顔を隠しているケバイおばちゃんなど、そういったのが屯しているのだ。
 そんな酒場に、とことこ、と気軽く入ってくるのは、育ちのよさそうな服装を身に纏った少女である。
 じろり、と視線が集まるのを機にすることなく、わぁ、と目を輝かせるのだ。

「やっぱ、平民地区や富裕地区よりも、筋肉の比率多いね!」

 第一声から、何だこいつは、と言う空気が酒場に流れる。
 少女はそんな視線を気にすることなく、とことこ、と酒場の席を探すのだ。
 むろん、一番筋肉が見える場所がいいなーと探しているのである。
 他の人の視線を気にする様子は一切、無い。

シロナ > 「んーー………。」

 右に左に、少女は歩いていく。自覚があるのか、無自覚なのか、少女の肌から零れる匂いはフェロモンであり、男や女を誘惑する匂い。
 冒険者などであれば抵抗もできるだろうが、こんなところで酒を飲んで管を巻いている程度の存在には抵抗することはかなわないだろう。
 少女は店の中をとことことこ、と歩いていくので、それが酒の匂いに混じり店中にまき散らされていくのだ。

「ここ、かな!」

 そして、選んだのは一か所、酒場の中央部の円形のテーブルであり、そこから店中を見回せるのだ。
 筋肉が見放題なのである、うんうん、と嬉しそうに少女はうなずいて。
 魅了されたのだろうか、ほんのりと頬を赤らめながら注文を取りに来るウエイトレスに、ミルクを注文する。
 満足そうに、男や女の筋肉を眺め始めるのだった。

シロナ > ミルクが届けば少女はそれをコクコクと飲む、それを止める者はいなくて、少女に因縁をつけるような奴らもいない。
 酒と、少女のフェロモンの所為で魅了されてしまって居るのだろう、だから、少女は思う存分に男たち、女たちの腹筋とか腕の筋肉とかを眺めていた。

 が――――。

「飽きた。
 やっぱり、筋肉は動いてなんぼかぁ……。」

 どこかしょんぼりした口調で零すのだ。
 戦士ギルドとかの訓練所での筋肉とか、そっちの方がいいなぁ、と。
 後、自分も訓練できてお得感とか、小さく呟くのだ。
 そして、ミルクの代金を支払い。
 少しだけとぼとぼと、家に帰るのだった―――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区の安酒場」からシロナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > ここは王都マグメール、貧民地区のどこか。
…うん、どこか、場所がどの辺り、なんて分かる訳がない。
今日は屋根伝いでない、適当な路地を選び、歩いていたから。

人通りのありそうな場所、なさそうな場所、関係無し。
気の向くまま、風の向くまま、少女はのんびりと歩いている。
まぁ、そんな日もある、と言う事で。
今日は、捕獲を狙う冒険者も会う事はない、平和なものだ。

「とは言え…」

ぽつりと、少女は言葉を零す。
その後に続くだろう言葉は、大体予想も付くだろう。
適当に歩く足は、人通りもそう無い路地に向いている。
くぁ…歩きながらの欠伸、視線は、適当に周囲に向けられていた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 貧民地区を巡回する男。
巡回、と言っても別段、見回りだなんだという話でもない。
要するに、散歩、なのである。
目的もない、散歩、なのであった。

「……あれぇ?」

そんな男が、人影を見つけ、声を上げる。
通り過ぎそうになったのを、ととと、と戻り。

「……あれ、タマモ様?
 お久しぶりですぅ」

相手の姿を認め、挨拶。
男にとって、尊敬の対象。
知人にして、超越者級の強者。
そんな少女に、しっかりと頭を下げての挨拶であった。

タマモ > こう、一瞬、男の横を通り過ぎた。
知人が横を通り過ぎたのに、見過ごす。
多分、周りに意識を飛ばしていたからだろう。

男の声に、ぴくん、と耳が揺れる、隠していて見えないが。

「………んぁ?」

間の抜けた声と共に、くるん、と首が声の方向へ向けられた。
その姿が目に入れば…少し、ほんの少し、何やら考え込む仕草。
そして、ぽんっ、と手を打って。
………その理由は、ご想像にお任せしよう。

「お、おぉ…久しいのぅ、元気そうで何よりじゃ」

しゅた、と手を挙げ、そんな言葉を。
色々と安定した誤魔化し文句、便利なものである。
きっと、こちらも隠れてはいるが、尻尾が見えていたら、あらぬ方向に揺れていた事だろう。

セイン=ディバン > 相手の姿は、男の知るものとは少し違った。
だが、一時期縁を深めた相手である。
例え姿が多少違っても、見間違うはずはなかった。

「ど~も。いつぶりでしたっけねぇ」

相手に笑顔を向ける男。しかし、この男は忘れている。
実はこの相手と最後に出会った時。
男は見事にトラウマを植え付けられるレベルで弄ばれているのである。
その事実は、残念なことに相手の仕掛けにより、男の記憶からは消失してはいるのだが。
記憶は無くとも肉体と心はその事実を覚えているのか。
男は、無意識に相手から微妙に距離を取っていた。

「……また名前忘れてるでしょ。
 セインですよ。セイン=ディバン。
 ベルベルの夫のセインです」

やれやれ、と笑いながら言う男。
そう。この相手が名前を忘れることが多いのは、しっかりと覚えていた。
まぁ、実際人間の名前なんて逐一覚えないよな、と思いつつ。
相手に向かってゆったりと近づき。

「どうしたんですか? 普段なら平民地区にいらっしゃることが多いのに。
 迷子にでもなりましたか」

相手のことを心配し、そう尋ねる男。
といっても、相手はかなりの猛者。
変な輩に襲われても、余裕で撃退できるであろうが。

タマモ > 「うむ…はてさて、どれほど前じゃったか…忘れたが」

とは言え、顔や姿は忘れない。
それに、今の姿で己と確信を抱くのは、それなりに見知った相手。
だからこそ、あれだ、言い難い事もある。
そして、植え付けた事象においては、少女も忘れていた…自分でやっておきながら。
それゆえにか、距離を置く男に首を傾げつつも、視線を彷徨わせ、何やら思い出し続けている。

「………い、いやいや、そんな事はないぞ?
ちゃんと覚えておる、セインじゃ、セイン。
ベルちゃんも、元気そうにしておるか?ん?」

と、男からの先手に、びくーっ、と肩が揺れた。
視線を逸らしたまま、そう返し、ぱたぱたと手を振って。
まぁ、実際の話、覚えないのは人間の名前に限った訳ではないが。

「あー…いや、単に暇潰しじゃ、それ以外の何でもない。
何か、面白い事でもないか、と思うてな?」

やっと近付いてきた男に、特に隠す必要もないからか、さらっと答える。
思う通り、確かに何かある、とかは考え難い。
が、必ずしも、そうなるとは限らないのだが…それは、分からないだろう、うん。

セイン=ディバン > 「いや、ホント。ずいぶんぶりですよねぇ。
 その後はお変わりなく?」

う~ん、と思い出そうとしても、どれほど前に会ったか思い出せない。
なにしろ、この男はわざわざ危険の中に飛び込むタイプの人間だ。
出会いも多いし、大きなトラブルも日常茶飯なのである。

「……まったく。タマモ様に名前を覚えてもらえるのはいつになるのやら。
 どうやら、よっぽど強烈な記憶の残し方をしないとダメみたいですね?
 ……フェゴっちとは別居中です」

やれやれ、やはりか、と思いつつも。
別段、怒ったりはしない。以前もそんなことがあったし。
そこで妻について突かれれば、バツが悪そうな表情になる。

「なるほど。つまり暇してるんですね。
 ……もしよかったら、食事でもどうですか?
 この近くに、美味いメシを出す酒場があるんですよ」

ずばっ、と問う男であるが。男も暇人である。
何か面白いことを、と考えるが。ちょっと思いつかないので。
安直に、食事にお誘いしてみた。

タマモ > 「まぁ、かと言って何年もって訳でもないんじゃ、気にする事もなかろうて?
何か変わりようのある事、あればあるで、楽しそうじゃが…残念ながら、特にこれ、とはないのぅ」

間が長かろうと、今こうして無事に会えている。
少女からすれば、それで十分との考えであった。
言葉を紡ぎながら、ふふんっ、と無駄に胸を張ってみせて。

「そう間も空けねば、忘れる事m…いやいやいや、だから、ちゃんと覚えておったと言うておるじゃろう?
まったく、セインも疑い深いものじゃ…もっと素直になった方が良いぞ?
って、おぉ………細かくは、聞かん方が良いか」

うん、何か言い掛けた。
が、途中で修正し切れていない修正。
腕を組みながら、こう、やれやれ、と言った感じに。
強烈な記憶の残し方…確かに、そうした何かがあれば、覚えていられるかも、しれない?しれなくない?
後の事に関しては、ふむ、と軽く考え、そう答えておいた。

「暇でなければ、こんな場所を歩いておらんしな。

………よし、行くか」

あっさり答えながらも、こう、向ける視線は、お前もだろう?みたいな感じか。
こちらからすれば、考え付かないから、のんびり歩いていた訳で。
相手の誘いを断る理由もないか、そう伝えれば、するりと男の隣へと寄り添う。