2019/07/26 のログ
セイン=ディバン > 「そうなぁ。ただまぁ。
 それが商売ってもんだからな」

男はそこで顎をさすり、何かを考える。
例えば、今後この少女が怪我をしたら。魔術で助けてあげてもいいわけだが。
かといって、助けてばかりではこの少女の成長に繋がらないのでは、とも思う。悩ましい。

「それがウリ、みたいな所あるしな。
 いや、すまねぇ。その、色々と感情が混ざっちまって」

食事の邪魔をしてしまったことを、素直に謝罪する男。
お詫びに、とばかりにマスターに注文すれば。
相手の目の前に、可愛らしいデザートが出てくる。
貧民地区の酒場のメニューにしては随分と場違いな。
小さな小さな、チョコレートのケーキだ。

「狼? ……あぁ、そういうことね。
 でもキミ、純粋な狼のミレー、じゃないだろ。
 ちょっと、毛並みっつーか、気色が違うっつーか」

相手の種族についてちょっと触れつつ、男は苦笑をする。
そりゃあ、私も男ですから、という。
決して紳士では無いぞ、という気配をアピール。
逆に言えば、酔わせて騙して喰おう、なんて思ってないよ、という主張でもあるのだが。

「ふぅん……つまりは、あれか。本当に正に職を探してる、と。
 ……なぁロロちゃん。二つほど提案があるんだが。
 一つは、オレの仕事の手伝いをしないか? 依頼のサポートをしてくれれば、報酬はしっかり払うぞ?
 もちろん専属契約でなくてもいいし。んで、もう一つの提案は……。
 金に困ってるなら、キミにお金を払ってもいい。とりあえず、当面を凌げる程度の額を。
 とはいえ……金を貰うには代価が必要だけど」

相手が果実酒を飲むのを見つつ、何かを考えていた男は、そう提案する。
一つ目は、単純に荒事で生活をしている先輩としての、援助の申し出。
二つ目は……相手が聡いなら、意味はすぐに分かるだろう。

ロロ > 勿論。必要経費なら ね。仕方ないって諦めるケド。
それ以外じゃぁ節約しなくっちゃ。 …贅沢するツモリは無いけど。

(つまり、先の怪我というのが。仕事上等ではない、と。
だからますます、浪費したくないのだろう。
…思い出すと、尚更腹が立った、と言わんばかり。
丸焼きチキンや骨付き羊肉へと、しゃにむに突き立て切り裂くフォークとナイフは。少々八つ当たりめいて。
お陰で摂食作業はスピードアップ、且つヒートアップ。
どんどこ口の中胃の中へと肉を消し去っていく辺りだけは。きちんと肉食狼めいて。)

もぅ。…流石に、物理的にツバ付けられたら、どうしようかと。
…そんなおかしな事。言ったつもり無いんだ けど。

(ざっくり食肉終えた所で。再度、男の方へ向き直れば。
差し出されたのは、話題に上げていたグラスではなく。随分小洒落たチョコレートケーキ。
未だに少々、唇を尖らせているものの。スツール越しに、ゆらゆらと尻尾が揺れて。
いっそ顔より余程解り易く。感情の触れ幅を表していた。)

ん。妖怪・送り狼。 アレって元々、そういう意味なんだ…よね。
……良く分かるな ぁ…もしかして。セインって。アレか、犬とか飼ってる?

(それが本物の犬か…同じく犬科のミレー族等か、は。どちらでも同じだろう。
毛並みで判断出来るというのなら。
取り分け否定するでもないので、つまりは肯定。序でに犬に言及するので。大凡、それで分かるだろうと。
どうでも良い民俗学的雑談知識をくっちゃべる癖、肝心な所ははぐらかす辺り。
アピールしない事が逆に、彼に対するアピールだった。…雑種の血について、あまり言ってくれるなと。)

失職しちゃったばっかりで さ。蓄えも、そう保つモンじゃない し。
…手伝い。…手伝い、ね。――そりゃぁ。金払いが有るなら、ヤブサカじゃない よ。
タイミングが合えば、それも良いんじゃあない かな。

(誰にしろ、こうやって。切欠を作って貰えるのなら有難い。
何時までもタカる訳にはいかないだろうが、最初の内は、頼れる相手が居るのなら頼りたい。
殆ど二つ返事に肯いてみせようか。
もっとも、肯く仕草は小さく、短い。…まだ、男の言葉には続きが有ったから。)

 ――そりゃ ぁ、そうだ。…タダで貰えるとは思ってない ね。
それもそれで。…有る意味、仕事というか。取引というか。そう考えるなら――――

(内容如何も察しは付くが。それ以上に、条件方面への理解。
ギブとテイクが存在してこそ、契約は成立する。既成事実万々歳。
男がそれを求め、少女にも求める物が有るのなら――)

セイン=ディバン > 「しっかりしてるなぁ。
 オレみたいな冒険者は、ガッと稼いでパーッと使う、見たいな所あるからなぁ」

そういう気構え心構えは大事だ、と。
感心したように頷く男だが。
目の前の少女の食事風景には、ちょっと呆気に取られて、口をポカーン、と開けてしまう。

「いや、悪かったって。
 おかしい、っていうか。キミのその真っ直ぐなところがあまりにも心地よかったから、つい」

すまんすまん、と頭を下げる男だが。
視線が下に向いた瞬間。ゆれる尻尾が見えて。
またまた思わず、くす、と笑みがこぼれてしまう。

「ヨーカイ? あぁ、東の国のモンスターの総称だったか。
 犬のミレーをメイドとして雇ってる。だから、なんとなくだけど違いが分かった」

ヨーカイ? と首をかしげる男。聞き及んだことはあっても、出会ったことは……まぁ、超越者級の化物になら出会ったこともあるか、と。
相手の種族、というか。体について興味は尽きないが。
あまり深く探っても良くないよな、と。理解し、酒を飲むことに集中する。

「そうなのか。そいつぁ辛いな。
 もちろん。金はしっかりかっきり払うさぁ。
 ははは。じゃあ契約は成立だな。んで……」

まず一つ目。仕事としての協力関係については。
じゃあまぁ、タイミングが合ったら、という形で成立と相成った。
しかして、二つ目に関しては……。

「ま、率直に言えば。キミを抱きたい、って話だな。
 詳しい金額とかについては……ゆっくり話そうか」

相手も、忌避するでもないと知れば。
男は笑顔のまま、金額、なんて生々しい話をする。
そうして交渉が済み、互いが納得するのであれば。
男は、すぐにでも行動を開始するであろう……。

ロロ > それこそ。見ず知らず、初対面の相手に。奢ってくれたり とか?
お陰で助かってるけど ね。

(一人で食べて、一人で払って、をしていたら。
コストパフォーマンスの良い店とは言え、純粋に量的問題で。結構な出費となっていただろう。
肉類を平らげ、次いで、魚もしっかり。がりごりと骨まで残さず捕食して。
その癖、デザートへと移行する前には。口内に残る肉の風味と、チョコレートの甘味が混じるのを避けたかったのか。
水を飲み干し、きちんと口元を拭い。そこはかとない乙女心…っぽいナニカが。辛うじて存在するのだと。)

真っ直ぐ?…そ、でもないと思うケド……まぁ良っか。
妖怪。アレだ、今…流行ってるからね。シェンヤンの事とか、色々。

(それを口にした時。何やら釈然としない、といった面持ちになるのだが。
小さな小さな変化は、果たして、男が気付くかどうか。そんなレベル。
何より、切り分けたケーキをぱくつき始めれば。たちまち緩みそうになる口元を、必死に押さえる事となり。
直前まで浮かんでいた代物など、あっさり掻き消えてしまう訳で。)

「犬の、メイド。 …あぁ近い。似たようなカンジ…だったんだ よ。こちとら。
だったんだけど、飼われていた先、潰れちゃって ね。

ま、過日の何チャラより。先の話。未来志向?ってヤツ?
――仕事として、なのは兎も角。…まぁそれこそ さ。ケガしない範囲でなら、大丈夫だ よ…?

(以前の負傷が。抱かれる…もとい、犯される、絡みだったのだと。今更に。
それを思い出すと、一瞬臍の代わりに唇を曲げるものの。
当の相手は、男とは別人なのだ。八つ当たりする物ではない、と押し留め。
そういう痛い事、手酷い事、以外ならとだけ釘を刺せば。…普通の仕事も、女や牝としての事も、等しく。
契約として受け止めようか。

一気にグラスの中身を干して。気合いを入れた、と言わんばかり。
其処からの交渉と――引き続きの、取引その物の実践は。
せめて二階にでも場所を変えてから、となったのだろうか…)

セイン=ディバン > 「まぁ、そんな所だな。
 気風の良さは金回りの良さに繋がる、って迷信もあるし」

相手の鋭い指摘に、鼻から息を抜きつつ、肩を竦める男。
目の前で繰り広げられる即興大食い大会。
少女とは思えぬそのスピードには驚愕するものの。
最後に口元を拭う姿は、やはり年相応か、と思う。

「いやぁ、思ったことを口にしちゃうのは、良くも悪くも真っ直ぐだろ。
 あぁ、シェンヤンにもいるっけか……」

くくく、と肩を揺らしながら笑う男であったが。
シェンヤン、と聞いて、少し考え込む。
かの土地にはまだ殆ど行ったこと無いが。
なにやら面白そうだよなぁ、などと、冒険者的思考だ。

「なんだ。クビになったんじゃなくて、雇い主が潰れたのか。
 そいつぁ災難だなぁ。
 ははは、前向きと言いかえることが出来る、切り替え方、ってやつか」

相手の言葉に、男は同情するようなそぶりを見せるが。
少し、声が硬くなったことに気付き、軽口にて雰囲気から逸れようと。
相手が酒を飲み干すと同時に、男は手を差し出し。
まずは、二階へと向かい。そこで、改めて様々なことを話し始めるだろう……。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 とある酒場」からロロさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 とある酒場」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 薄暗いと言っても半端で、人通りも多くもなく少なくもなく。
そんな場所だからか、なぜか貧民地区にあっても暴漢の類が少ない。
獲物にすべき人間がそれほどおらず、それなりに人目につくから…だろうか。
まぁ、彼らの生態などどうでもいいことこの上ない。
それよりもいまは、このじっとりとした暑さだ。
妙に分厚い雲が空にあるせいか、暑さが湿度に乗って身体にまとわりつくようで。

「…一雨来そうだな…」

勘の良いものは、そそくさと雨を凌げそうな店に駆け込んでいるし
あるものはさっさと帰路についている。
さて、自分はどうするか。

ブレイド > 空を見上げてみれば、真っ暗な空。
星も月も見えない。まぁ、曇っているのだから当然だ。
おかげさまでこのあたりの路地も余計に暗い。
ため息一つこぼすと同時に、頬にひとしずく。
ポツリと小さな雨粒が落ちた。ぽつぽつと少しずつその数は増えていく。

「あー、きたか…」

雨脚は控えめだが、いつ激しくなってもおかしくはないか。
さっさとどこかの店にでも逃げ込むべきだろう。
くるりと周囲を見回せば…酒場が一軒。
何度か利用したことのある店だ。問題はなさそうだが…

ブレイド > 傘を忘れることが多かったため、今装備しているフード付きのマントは撥水性も高いものを使っている。
そのまま雨具としても使えるが…別に雨の中を散歩したいという気分でも、今はない。
雨のおかげで暑さも多少は和らぐだろうが、さて。
店の中が雨降る外よりも涼しい可能性は…どんなものだろう。
飲み物に困ることはないだろうが。

「ふーむ…」

散歩という気分でもないが…酒という気分もあまりないという。
悩ましいところだ。
もう少し歩いてもいいかもしれない。
なにか興味を引く店でもあるかもしれない。

ブレイド > 雨粒はそんなに大きくはない。
だが、振り始めた雨は止むなどということはない。
フードを叩く雨音が、ミレーの耳にもよく聞こえる。
暑さは和らぎ、人通りの更に減った通りは歩きやすい。
散歩の気分ではなかった、が…コレならば少しあるくのもいいかも。
多くの酒場は今頃雨宿りの客がごった返している頃だろうし。
道がぬかるまない程度の今ならばあるき続けるのも悪くはないだろう。