2019/05/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏路地」にフィルさんが現れました。
フィル > 日も落ち切り、昼間の暖かさを拭い去る様に、涼しい夜風が吹き抜けはじめる深夜。
酒場等、夜が本番の場所を除いては、平民地区の大通りですら人気が消えていく時間である。
そんな時間の貧民地区の路地裏とくれば、静けさはより顕著な物となり。
逆に人気が下手にある方が、身の危険を感じると言っても過言ではないだろう。
人通りの多い場所であっても、安全度合という面で見れば、他の地区より圧倒的に保証がなされていないのだから。

「地図だと…こっちだったはずなんだけど…」

時折響く遠くからの喧騒に、ビクリとその度に身を震わせ。
当たりの人気が無いことを、視線を揺らめかせて確認すれば深呼吸。
そんなおっかなびっくりした様子を見せながら、静まり返った路地裏を歩いていく少年。
手に持った地図を、月明かりを頼りに確かめながら、また少し頼りない足取りで歩を進めていくが。
あまり来ない方向への配達を頼まれた結果、地図を確認しながらも迷ってしまい、奥へと入り込んでしまったようであり。
たまにあるお店も怪しい物ばかり、土地勘もなく、場所が場所ということもあれば、どうしてもビクビクとしてしまっているようである。

フィル > 「荷物も妙に厳重だし…」

そもそも、届けろと言われただけで荷物の中身をちゃんと知らされてはいないのである。
もっとも、店主からの届け物の中身を細かく説明されることの方が少ないのだが。
それでも両手で軽くもてるサイズの小さめの箱でありながら、妙に厳重に封をされているその荷物。
ポーチには少々押し込んでも入りきるサイズではなく。
小脇に抱える様にして持っていたそれを、一度目の前に持ってくるようにして、改めて見ながらそんなことをポツリと少年は零し。

「無理にたどり着くより…いったん戻ったほうがいいのかな」

進むも迷子、ひくも迷子。
帰るにしても既に帰り道をちゃんと戻れるか、といった問題があり。
危ないお店に踏み込まずとも客引き、それどころか襲われて奪われるようなことが合っても色々と厄介なものである。
改めて、一つため息を零しながらもフードを目深に被り直し。
荷物である小箱を、もう一度小脇に抱える様にしながら、コツコツと路地裏へに足音を響かせながら、再び進み始めていく。
歩いて揺れる度に、カタカタと響く音は小箱からのようであり。
中身もそこまで大きくない様子がうかがえるが。

フィル > 「確か…こっちの方に…」

帰り道を探すか、目的地を探すか。
どちらにするかも迷いながら進むこと暫く。
地図の目印になりそうな曲がり角を見つけ、進んでいけばようやく見えてくるのは見たことのある通りへの道。
大きな物音がしたり、風で転がった空き瓶の音にすら、ビクリを身を震わせて、ビクビクと辺りをうかがっていた少年である。
目的地ではないものの、初めに迷い込んだ通路のきっかけとも言える道が目に入れば、僅かに表情は明るくなり。

「一旦、もどろっかな」

少し足早に、来るときに見た道へと踏み出す少年。
地図はあるものの、再びちゃんとした道に出れたとはいえ、届けに行くことができるかどうかといえば、迷うのだろう。
開封もしていなければなくしてもいないのである。
また後日、事情を話せば配達するだけで済む可能性も高い店主であり。
少し考えるようにしながらも、完全に当たりの様子を伺うように耳を澄ませるのはやめることはなく。
このまま一端帰路につくか、地図を見直して進み直すか少し考えているようだが。
暫く考えたあとで帰路へとついていったか―

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏路地」からフィルさんが去りました。