2019/05/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシスター・マルレーンさんが現れました。
シスター・マルレーン > 「……見失いましたか。」

思い切りダッシュして追いかけたのだけれど、やはり身軽な相手はどうしても見失う。
だから私は追いかけっこは得意ではないんですってば。

「ふぅ……………。」

汗を拭って、吐息を吐き出し。周囲を改めて見回す。
最近は教会からくる依頼があまり………よろしくない。
今までは人のためになる、あまり他の人がやりたがらない人が舞い込んできたが、最近は内容が変わった。

ブラックリスト………いわゆる細かい賞金首を捕らえる依頼が増えたのだ。
危険度も二倍三倍と増し、ため息も二倍三倍。

シスター・マルレーン > どうせ、冒険者としての活動でも存在感を少しでも増すために、とか、そういうことなんでしょうね、なんて考えながら、薄暗い路地を一人歩いて、周囲を探す。

賞金首と言われる存在は、それだけ周囲への影響力も強いことが多い。
いわゆる「リーダー」といった存在が多かったりする。

そんな相手を堂々と狙って罪に問おうとするわけだから、当然風当たりは強い。
情報もなかなか教えてもらえず、危険人物として敵視もされる。

ついこの間も、捕まえようとしたところを思い切り切りつけられて、危うく大けがである。

「………ふー、見つからなかった、で帰りましょうかねぇ…」

ため息が自然と出てくる。
元々、そんなに争いが好きというわけではないのだ。……駆り出されるけど。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にラファルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にフォルテさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からフォルテさんが去りました。
ラファル > 冒険者としては最低ランクの幼女は、ランク的に危険な依頼は受けさせてもらえない。
 依頼のこと自体は知っていたけれど、残念ながら君には任せられないな、という一言ではじかれて。
 ちょっといじけて、知り合いのマスカレードという酒場でやけ食いヤケのみした帰りである。
 貧民地区を幼女が一人歩けばどうなるかは、察してあまりあることであるのだろう。
 それを気にした様子もないしょうじょは、てぽてぽてぽてぽ、気軽に歩いていたのだった。

「およ?」

 そして、視線の先に一人の特徴的な女性を見つけた。
 ノーシス教の服装をしている身長の高い女性。
 ギルドではシスターの通り名を持っている人だが、その実本当にシスターなのである彼女。

「やー!どしたのー?」

 ぺてぺてぺて、幼女はにこやかに駆け寄っていく。
 同じく冒険者ではあるけれどそれなりに知名度のある彼女、全然知名度の無い幼女。
 幼女は幼女らしい気軽さで声をかけるのだった。

シスター・マルレーン > 「………ええ、今は賞金首を探し……げほ、えほ、んっ!」

咳ばらいをしてなんとかかんとかごまかそうとするシスター。
そりゃまあ、声をかけてきたのがとても幼い雰囲気を身に纏った少女であるのだから、仕方のないこと。
どちらにしろ、あまり今は口にするべきではなかった、と反省しつつ、……目的がスライドする。

「……え、えーっと。 どうしたの、こんなところで。
 おうちに帰る途中だったりする?」

なんて、膝を折り曲げて視線を合わせて、にっこりと微笑みかける。
周囲に気を張りながらも、表情はゆるやか。
先ほどまで賞金首を追いかけていたのだから、一刻も早くこの少女を連れ出さないと、と、彼女の目的が固まっていく。

ラファル > 「賞金首……あー。あの、ギルドの依頼だねッ!」

 誤魔化そうなんて、1光年早い。幼女の耳は頗る良いのです。
 ごはんですよ、の声は5キロ先からでも聞き分けます。
 シスターが自分の目の前に座り、視線を合わせてくれるのでにへ、と笑ってみせる。

「んーと。
 目的もなくブラブラしてたの!
 ウロウロしてると面白いことあると思って。
 おねーさんのおてつだいする?」

 ほら、と冒険者ギルドのギルド証を出す幼女。
 一応本物である、でも、しかし、冒険者のランクは最低ランクのものである。
 クラスにはストライダー……隠密と書かれている。
 目はキラキラしてて、面白そう、手伝いたい、とオーラが溢れている。

シスター・マルレーン > 「……ギルドと、教会の依頼なんです。」

とほほ、と肩を落として、少女にもしっかりと説明を。
ごまかすだけでは問題は解決しないので、ちゃんと説明もするのです。
相手の笑顔に、こちらも少しだけ微笑みを合わせるように。

「………とはいえ、つい先ほど見失ってしまったので。
 今日は帰ろうかな、と思っていたんですよ?

 じゃあ、……私と帰りながら、怪しい人がいたら教えてもらってもいいですか?」

なんて、手を差し出して。
お手伝いを断るのではなく、自然に帰りながら手伝ってもらう、大人な対応。

ラファル > 「うん、掲示板に張り出してあったよね!賞金首。」

 しかし、依頼を受けられないので、どんな依頼なのか、というのは知らなかった。
 倒すのか、捕縛なのか、それともまた別の依頼なのか。
 そっか、ギルドと教会の合同だったんだねー、と感心して。
 それなら確かにメンツもあるし低ランクは弾かれてしまうのも仕方があるまい。

「そなの?追いかけっことか、得意だよ?

 それと……この地域にいる人の大半が怪しい人になるよ?」

 差し出された手をきゅ、と握る小さな手。
 大人な対応してくれる彼女に、そんな大雑把な感じでいいの?
 と、子供ながらの感覚の返答。
 貧民地区にいる存在は、脛に傷を持つか純粋に貧困か、のどちらかなのだし。

シスター・マルレーン > ぐぬ。
完璧に的を得た言葉に、思わず言葉に詰まるシスター。
この少女、………ちゃんと冒険者であるのは伊達ではないらしい。

「……そ、そういえばそうでした、ね。
 割とざっくり言いますね。

 ………では、対象の特徴を言いますから、それを覚えてくださいね。
 それに当てはまる相手を見つけたら、ぎゅ、っと手を強く握ってください。
 確保は私がしますからね。」

そっと囁きながら、相手は黒いあごひげを持つ、レザーアーマーの盗賊であると伝える。
私と同じくらいの身長で、ひょろりとしたシルエットであることも。

ラファル > 見た目に惑わされると痛い目を見るのです、痛い目見せる系幼女。
 こんななりで舐めてかかってひどい目にあった人は数しれず、なのです。たぶんきっとめいびー。

「だって、ちゃんと言うべき時に言わないといけないよって、おしえてもらったもの!

 あいっ!
 ぎゅって、にぎればいいんだね!」

 教えてくれるというシスターに、幼女は目を瞬かせる。
 きらきらきら、と楽しげな目の光、視線。
 そして、こしょこしょ、と教えてくれる特徴。
 うん、おぼえたよ。と合図の代わりに、きゅ、と握ってみせる。

「ね、おねーさん。
 ボク、ラファルって言うんだ。ラファル・トゥルネソル。
 おねーさんのお名前は?」

 そう、普通に問いかけながら、それとは別に少女の声が小さく問いかける。それは、彼女の耳だけに届く風の精霊を使った魔法の声である。
 その賞金首は、どっちの方向に逃げたの?と。
 逃げた方向がわかれば、注意を向けるべき方向もわかるだろうから、と。

シスター・マルレーン > 「そう、ぎゅ、って握ればいいの。」

可愛い。握り返してくる小さな手を包みながら、大事に守ろうという気持ちになる。
賞金首などは二の次、三の次。
とりあえずこの子を安全に帰すことに、意識がぐいっと向けられる。

「私は……シスター・マルレーン。 マリー、でいいからね。
 ラファルは今日は何処に泊まるの?」

なんて、小さく尋ねながら歩き出そうとする。
それは奇しくも風の精霊の声とは、真逆。
まあ、そりゃあ、ね。

明らかに帰ろうとする足取りで………ただ、風の精霊は更に奥を示してくる。

ラファル > 「あいっ!判った!」

 返事は元気に、にぱっと笑顔。
 ちゃんとしっかり握って、彼女の歩く動きに合わせてちょこちょこ歩こうとするのだ。

「シスター、マリー。
 うん、おぼえた、よ!

 ボク?
 ボクは……っ。」

 帰ろうとする動き。
 しかし、精霊はもう、見つけたらしい、方角を教えてくれるのだ。
 この優しいおねーさんの助けになりたいな、と思ったから。

「あっちの宿だよ!」

 背を向けた―――むろん、盗賊のいる方。奥を指さす。
 少女がこの辺にいると言うのも、説得力となるだろう。

 彼女が、トゥルネソルという家名に覚えがなければ不審に思うことは何もない。

シスター・マルレーン > 「よろしい。」

明るい笑顔にほっとしたように。
そっと手を伸ばして頭を撫でてあげる。どうにも可愛いので、さっきからずっと頭を撫でたかった。

「……そ、っち? ……じゃあ、仕方ないわね。
 ……ええ、でも、安全に気を付けてね?」

一瞬、明らかに動揺ではないが、まさかの奥を指さされたことに言葉が詰まる。
ああ、こんなところに宿をとるなんて、お金でも困っているのかしら、なんていらぬ心配までし始めて。
もちろん、そっちに心配がいっているので、問題なく素直に引きつれて歩き。

ラファル > 「あ……っ。
 えへへ……っ!」

 頭を撫でられるのは好きである、褒められているようで嬉しくなるのだ。
 心がポカポカするので、それを表す様ように、幼女は自分から頭を擦り付けてはにかむのだった。

「だいじょうぶだよ!悪い人、見つけるの得意だから。
 目も、耳も、鼻もいいんだよ!」

 えへんぷい、と無い胸張る幼女。
 幼女のろりーたぼでぃ、胸元を隠すのはベルトだけ、大人だったら危ない危ないな格好なのである。
 ズボンも短パンであり、お金があればもっといい服着てるだろう、的な感じである。
 ちなみに、目も耳も……というのは竜だから、である。
 もともと人ではないのだが、彼女は多分わからないのだろう。

「ね、マリーはなんで、賞金首おってるの?
 孤児院とかが賞金欲しいの?」

 こっち、こっち、と犯人の方に案内するように誘導しながら、隣を歩く女性に視線を向けて問いかける。
 道順を知っているかのように動くその動きは。
 まさかの賞金首の逃走経路の先回りでもあった

シスター・マルレーン > 「………………」

胸がきゅぅん、となる。
元々、教会と孤児院を最終的には自分で持って、などと考える彼女だ。
子供が好き、なのだ。
わしゃわしゃわしゃ、っと抱っこして撫でまわしたい衝動にかられるが、それはそれ、我慢。

我慢できる大人。
頭は撫でるが。

「………そうなのね。 なるほど隠密………。
 私は目は悪くないんだけれど、どうにもそちらは鈍感なのよね。」

微笑みながら、お金が無いのかもしれない、と本格的に心配し始める。
宿が本当にボロかったら、教会へ呼ぼうかしら、なんて考えながら………。竜であることなんて気が付くはずもなく。

「………お金は大事、ではありますからね。
 人を助けるためにも、資金が必要ですから。

 ……あんまりここは話したくなかったんですけどね。あまりに現実的過ぎますし。」

なんて、苦笑を浮かべながら………目の前に賞金首が現れれば、きょとん、として一瞬硬直する。

ラファル > 「えへ、頑張って訓練したんだからっ!
 いろいろ見えるから便利だよっ!」

 お金は、正直興味はあまりないというか、家にいっぱいあるのだ。
 今は財宝を貯めたりとかよりもごはんをおいしく食べたい子供なのである。
 彼女の心配をよそに幼女はするりするすると道を案内していくように先に歩く。

「あは。
 話さないとダメだよ、だって、現実のことだから。
 人の世の中は、お金が多くのことを決めるんだよ。
 おねーさんの言うとおりお金があれば、人を助けられる。

 使い方を間違えなければ、お金は素晴らしいんだ。」

 回り込みに成功し、目的の賞金首が目に入る。
 巻いたと安堵していた賞金首、どうやって先に来たのか分からず無効も硬直している模様。
 ぎゅ、と手を握って離す。

「おねーちゃん!確保!!」

 硬直している彼女、発破をかけるように、声をかける。
 そしてもう一つだけ小細工。

 気を練り、分身を、賞金首の背後の裏路地の死角に作り上げる。
 逃走経路を潰すために。
 そうでなくても、賞金首の逃げ足では、竜の身体能力には、叶うことはないだろう。
 まして、盗賊系上位クラスの技能もちからは。

シスター・マルレーン > むぐ。

「その通りです………。

 そう、ね。 私もしっかりしなきゃ。
 いつか、自分で教会を立てたいって思っているから。
 ちゃんと使えるようにしないといけないものね。」

現実をきっちり見据えて、夢に逃げない。
そんな小さな彼女に、ちょっとだけ身体を小さくする大人。
大人としてちょっと恥ずかしくなる。
………。

「……はっ。 ………見つけましたっ!!
 もう逃げられませんからね!」

握っている手を離せば、その白い手袋が金の光を帯び始める。
狭い路地だ、長い棍を使うよりも、即座に動きを止める方を選び。
相手が逃げようとして、何かに驚いたかのように動きを止め………

「でぇ、りゃぁああっ!!」

どすん、っと、壁をもぶち抜くボディーブローが盗賊の腹に突き刺さり、身体がくの字に折れ曲がったまま1mほど身体が浮いて、その場にべちゃあ、っと倒れる。

ラファル > 彼女が賞金首を殴るさまを見ると同時に幼女は分身を霧散させる。
 これは見せてはいけないものである、忍ぶ為の技術は、影の中であるべきものなのだから。
 彼女が不思議そうに裏路地を見る頃には、何もなくなっている。

「やったね!おねーちゃん!」

 そう、言いながら幼女はとたたた、と駆け寄っていく。
 走りながら手際よく背中のカバンからロープを取り出していき、倒れている盗賊の腕を………。

「にひ。」

 縛ろうとした時に、幼女は良くない笑いをした。
 それはこう、背中にコウモリの翼とか矢印しっぽが出てきそうな、小悪魔みたいな笑い。
 手際よく男の服をハイではいではいで。
 全裸になった男。

 ロープで亀甲縛り。猿轡と目隠しも添えて。

「できたー!」

 これで引きずり回せばもう、男のプライドとか社会的地位とか。
 いろいろ地に落ちること請け合いである。
 盗賊に人権なんて必要ないよね、と言葉では言わずに行動で語る系幼女だった。

「あい。」

 どーぞ、とロープの先を差し出す。

シスター・マルレーン > 「………え、ちょっとちょっと、待って?」

全力で確かに殴りました。ええ、割と動けないくらいにはやりましたとも。
でもでも、その男の人を全裸にして、ロープで縛りあげて、目かくしをして。
ロープのその端を掴めとおっしゃるんでしょうか。

「………あい、じゃなくて。」
じゃなくて。

「………流石に、流石にもうちょっとだけ優しくしましょう。
 罪を憎んでとも言いますし、それに、きっと命まで奪われるような罪でもなかったはずですから。

 ね?」

ね?と微笑みかけながら、脱がした衣服を上からかけて、とりあえず顔だけは隠してあげることにする。
っていうかこんなの引きずり回していたら、風評被害がとんでもないことになる。

「ラファル、貴方の宿はどこかしら?」

その上で、思い出したかのように相手に尋ねて。

ラファル > 「んに?」

 殴って動けなくなって伸びてる賞金首。
 意識が戻ってないのだろうぐったりしているのですが、ロープを目の前にこう、何やら戸惑っている模様。
 待って、というので待つ所存、じー。と金色の目は彼女を見てます。きらきら。

「だって、生きてるよ?いろいろな人に迷惑かけたり殺したりしてるんだし、生きてるだけでも全然いいんじゃないかな?

 んー……。」

 別に殺す気はないよ?という幼女には社会的にという言葉が辞書にはない。
 でも、彼女がダメらしいし、上から服をかけてるのでそれはやりたいようにやらせよう。

「えへv」

 ハートマーク付きで誤魔化す幼女。
 でも、ちゃんと言わないといけないだろうと、考える。

「富裕地区におうちあるの。
 トゥルネソル商会のおうち。」

 じつは、お嬢様でした、まる。

シスター・マルレーン > 「シスターの趣味だと思われるといろいろ後が大変だからぁー……
 私が神聖都市まで呼ばれてめっちゃ怒られることになる未来が容易に想像できるんですー……」

聡明な彼女のことだ、きっとこの本音も理解してくれるだろう。
よよよ。
ただでさえいろいろあって、シスターは淫売だとか言われている状況だ。
あのシスター更に変態だぞ、なんて言われたら立ち直れない。
割と本当に膝から崩れて動けなくなる自信がある。


「……………………」

言葉をかみ砕いて、飲み込んで、なるほど、と。

「……嘘つきー」

おでこをつん、っと突いてやって、ころころと笑って。
その上で、頭をぐりぐりと撫でてあげましょう。

貴方のおかげで捕まえられました、ありがとう、と、感謝を込めて。

ラファル > 「あー。じゃあ、ボクが持ってたほうがいいかもなんだね。
 ……あ、それはそれで。」

 それはそれで問題が出るだろう。
 例えば、シスターが、半裸の幼女に全裸の男を縛らせて連れ歩くプレイをさせるとか。
 彼女の悪評が音速を超えてしまいそうだ、仕方がないので。
 縛るのを解くのは面倒なので、その縄の上から服を着せて。
 さらにその上から普通に縛ることにした。
 これなら、犯人の趣味、に落ち着くだろう。

「にゃー。
 ごめんなさーい。」

 軽くコツンと叩かれて、グリグリされて嬉しそうに。
 でも、ちゃんと言葉だけはごめんなさいを言おう。

「もしよかったら、これからも呼んでね✩
 ボク暇してること多いから!」

 最低ランクの冒険者のできる依頼は多くないし。
 よろしくね、と、右手を上げて。にぱっと明るい笑顔。

シスター・マルレーン > 「………そうですね。
 実力のほどは、少し見せてもらいましたし。」

少しだけ苦笑しながらも、その手をもう一度ぎゅ、っと握って。

「じゃあ、今度こそ一緒に帰りましょう、ラファル。
 困ったら頼らせてもらいますからね。

 逆に、何か困ったことがあれば教会までいらっしゃいな。」

そっとその手を握って包み込みながら、相手を一人前の冒険者と認めることにする。
だから、引っ張るのではなく、隣をゆっくりと、歩幅に合わせて歩いて。


……賞金首? ……下半身は露出してるけど気にしない! 気にしない…!!

ラファル > 「物を探したりとか、こそこそしたりとか、逃げ隠れは得意だよ!」

 ええ、尋常ではないくらいに。
 ギュ、と握ってくれる温かい手を握り返して、少女はにこやかに笑ってみせる。
 姉のような、優しい彼女の脇でとことこ、と。

「あいっ。
 マリーの教会の場所教えてね?
 じゃないと遊びにも行けないし、ね。」

 彼女は、少女の家まで送るだろうからわかるだろうけれど。
 彼女の教会の場所は教えてもらわないとわからないのだ。
 それを問いかけながら、賞金首をずりずり引きずるのだった。

 まずは、ギルドにシスターマルレーンの手柄として賞金首を届けて。
 おうちに送ってもらって、軽くお茶して。

 それで別れるのであろう、そんな、ちょっとドタバタした、一日――――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシスター・マルレーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からラファルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセイン=ディバンさんが現れました。
セイン=ディバン > 貧民地区。その中のとある路地に、一人の男がいた。
その路地は、いわゆる露天商の集まる路地であり。
貧民地区特有の、曰くつきの品が並ぶ。貧民地区の暗部ともいえる場所。
そこで男は、さまざまな物を買っては、転送呪文で家へと商品を送る。

「……さて、必要なものはこれくらいでいいか」

ある程度の買い物を済ませた男は、掘り出し物がないか探し始める。
生活必需品から、弾薬、ポーションなどのほかにも。
この路地裏にはなかなか面白い物が集まってくることがある。
男は自身の興味を惹く何かがないか、と探し始める。

セイン=ディバン > 路地を歩き、並ぶ店の商品を観察する男。
マジックアイテムや、古書。未鑑定の財宝に、宝箱そのものが売ってたりもするが。
どれも、男の心に訴えかけるものは無い。

「ん~。今日はハズレの日か?」

一般的な商店と違い、露天商の商品は日によって大きく変わってくる。
ほしいものが全く無い日、なんていうのも普通にあるわけで。
男は、更に歩き、商品を確認していくが。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に春芳院さんが現れました。
春芳院 > (から、ん。か、らん────。露店商が立ち並ぶ、其れなりに人影が集う路地に硬質乍も何処か軽い音が響く。下駄で走るというのは幾ら常に履いていたとしても矢張り慣れない。時折、躓きそうに成り乍も路地を駆け抜ける姿は黒一色の着物、翡翠の眸以外の顔を覆う御高祖頭巾は素性を知られぬ為とは言え、些か逆に目立っていたかもしれない。兎に角、追っ手から逃れている最中の身。何処か一時的に身を隠したい所存。左右周りを見渡す余り、前方不注意と相成ってしまい。)

「───あ……っ!」

(目の前の壁──否、人影に思いっきり突進してしまった形と成り。其のぶつかった反動で、後方にへと倒れてしまう。尻餅を付いた体勢で、思わず相手の方を見上げる翡翠は、申し訳無さそうに揺れ。)

セイン=ディバン > 「んがっ」

多くの店を見た結果、今日はめぼしいものは無いな、と判断し。
そろそろ帰るか、と思ったと同時に、背中に衝撃を感じる。
自分に恨みのある人間の襲撃か? と思い振り返れば。
そこには、黒一色に美しい緑。なんとも、厳重に体を隠している人が転んでいて。

「……」

瞬間、男は何かを察知し、相手の手を優しく引き、起こしてあげると。
自身の体と路地の壁に相手を挟む形で立たせつつ、細巻を咥える。
外から見るには、男が何者かを口説いているように見えるか。

「……ヤバ事? 厄介事?
 なんでもいいけど、もしかしたらキミは俺に面白い出来事をもたらしてくれる人?」

相手のことがまったく分からないので、とりあえず自分より背が低いので、年下だろう、と勝手に判断し、そういう口調で話しかける。

「ま、とりあえず……『追われてる』んだろ?
 このまま少し、ここでやり過ごしな」

詳しい話は後でな、と言い。相手にウインクする男。
周囲警戒。この謎の人物を追っている人間がいないか観察する。

春芳院 > (見上げれば黒髪のコート姿の殿方。紅と翡翠が交わる間も無く、手を引かれされるが侭に立たされたなら。驚いた様に眸を見開くも、殿方らしき人影が自分の直ぐ目の前に。背中には硬質な壁の感触が衣類越しに伝わった。此れは、助けようとしてくれているのか。はたまた、何か陰謀に巻き込まれる予兆なのか。真意を探ろうと翡翠が細まる。)

「……面白き事かどうかは存じまへん。けど、此の侭だとおたくは事件に巻き込まれてしまうかもしれへんどす。」

(彼がもたらす言葉に応じるは、忠告。此の様な事を聞いて、面倒事を嫌う者や力無き者は立ち去るに違いない。彼が取り合えず信ずるに値するか、翡翠は見届けようとしていた。然し、事態を察知していた彼から紡がれた言葉とウインクに少し眸を見開く。簡単に見捨てられても可笑しくは無いと考えていたから。小さくこくりと頷き、ちらりと周囲を見渡す翡翠。すれば後方から大柄な男が何かを探しているかの如く、追っかけ乍辺りを見渡していた。自分達の居る道を通り───過ぎて、走り去っていった。)

セイン=ディバン > 相手を外から隠すようにしながら、ちゃっかり細巻を味わう男。
煙も、火種も。相手には決して触れぬよう近づかぬよう。
そのままきょろきょろと周囲を確認していた男であったが。

「……事件に? ワオ。そいつぁいいや。
 退屈しのぎには丁度いい。……つっても。
 ここでやりあうのは、ちっとマズいからねぇ。
 ほら、静かにして」

相手の言葉には、にやり、と凶悪な笑顔を見せ。そのまま、相手に静かにするように促していれば。
男と相手の近くを大柄な男が通り過ぎ……。

「……もしかして、あれに追われてた?
 わぁおおっかない。俺、怖くて泣いちゃいそう。
 ……さて、よければ話を聞かせてくれるかな?
 俺ぁ冒険者のセイン=ディバン。もしかしたら、力になれるかもよ?」

大柄な男の姿が見えなくなれば、男は数歩下がり、相手を匿うのをやめる。
まずは話が聞きたいな、と。そう言いつつ、男は自己紹介し、恭しく一礼してみせる。
それは、男の格好もあり、ある程度は、様になっていた。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に春芳院さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に春芳院さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に春芳院さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に春芳院さんが現れました。
春芳院 > (彼が嗜む細巻の煙が、宙にへと舞い上がっていく。事件に巻き込まれる可能性が過多だというのに、怯える所か寧ろ退屈しのぎになると発し、何処か愉快気にしているのに翡翠は眸を細め。此の殿方の仰る様に身を任せようと、唇を結んでは追っ手が通り過ぎるのをやり過ごし。姿な見えなくなれば、ほ、と小さく安堵の息が溢れ。)

「ふふ、面白い方やなぁ。……どうか、話を聞いて下さいまし、セイン様。うちは、珠(たま)と申します。於珠(おたま)と呼ばれる事が多くて。……実は、うちが涙を流すと、其の涙は高価な宝石と成るのです。そんな体質を持ったうちを、宝石商人が付け狙って来はって……。」

(軽く御辞儀を呈し、思い付いた偽名を名乗り。徒然に紡ぐ事情は、真っ赤な嘘。虚偽の事情をでっち上げたのは、彼が如何程の反応を示すかを愉しむが故。本当の事情を話して良いのか、未だ信じる迄及ばない意も有ったか。頭巾の中に隠れる口許が、僅かに緩み。翡翠を細め、紅の眼差しを真っ直ぐに捉えようと。)

セイン=ディバン > なんとか、その場しのぎな匿い方とはいえ。
上手いこと、追っ手から相手を助け出すことに成功した男。
目の前で相手が安堵の息を漏らすのを見て、思わず、微笑んでしまうが。

「ふむ。珠ちゃんね。
 ……なんと。そいつぁ、奇抜な体質だな。
 ……なるほどなぁ。ふ~む……」

相手の名乗りを聞き、体質について知れば驚き。
更には、宝石商人に狙われている、などと聞けばうむむ、と悩むようなそぶりを見せる男だったが。
ぱ、と顔を上げ、相手のことを真っ直ぐに見ると。

「よし分かった。そんな話を聞いて、知らんフリなどできないしな。
 俺でよかったら、力を貸すよ。ただし……」

どん、と胸を叩いて協力する、と言う男。
だが、そのまま、相手をじっと見ると。

「その為には、ウソじゃなく本当のことを聞かせてもらう必要があるけど」

そう最後に付け加え、にや、と笑う男。
ぷかぁ、と煙を吐きつつ。相手の瞳を見つめ返すだろう。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。
春芳院 > 【後日継続にて一旦切り】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」から春芳院さんが去りました。