2019/02/14 のログ
リリー > 踊り子に劣情を向けている一人がここに。

(うっわぁ、踊り子よ。 なんてセクシーなの。)

グラスを持つ手も止まり、時が止まったかのごとく固まっていた女。
そして女は、踊り子の女性に見惚れたまま店主とのやりとりに耳を傾けていた。

踊りが見れると期待していた女であったが、店主とのやりとりはどうやら女の望む方向へと行かなかった様子。

断片的に聞こえた内容から察するに金の問題らしい。

酒が入っていたことで気が大きくなっている女は、他の客を押しのけると
店主と踊り子の間に割って入る。

「ねえマスター。 私が彼女の分出したらここで踊らせてもらえる?」

女は白衣の裾を弄ると、重そうな革袋をカウンターの上に載せる。
その音は誰が聴いても中にゴルドが詰まっていると察するであろう音で。

ティエラ > 「あら、ダメよ。」

 脇からの声、お金を出せば踊ってもらえるかという交渉に対して、女は言葉を放つのだ。
 マスターは注文を受けて、混じりけのない、この店では高い部類の―――平民地区でならば、普通の酒として出される酒を注いでいる。
 そのグラスを手にしながら、脇から入ってきた、新たな女性――この周囲では見たことのない彼女に笑ってみせる。

「だって、お酒飲んでしまうんだもの。
 酔って、覚束無い踊りを見せるのは、プロとして恥ずかしいわ。
 だから、今お金を積まれても、私は踊らないわ。
 見たかったら、また別の機会に、お願いね?」

 蒼く彩られた唇はフェイスヴェールに隠されているが、別に不快を思ったわけではない。
 むしろ、そうまでして踊りを見てみたいという、思いには好感を持てる。
 が、プロとして最低限、踊るなら最高の状態で、と思っている。
 酒を飲めば、必ずどこかで酒の影響が出てくるものだ、だから、酒を飲んだら踊ることはしない。
 マスターの物欲しそうな視線に対しても、ジロリ、と睨めつけて黙らせる。

リリー > 「あら、そう…。」

女は踊り子の笑みにどっきりとしていたが、次いで紡がれた言葉には残念そうに指を口元に置いていた。

「プロがそういうのなら仕方ないわね。
哀しいけど、このお金はひっこめるわ。
ごめんなさいね、マスター。」

女は肩を落としながらも金の入った袋を裾の中へと戻しこむ。
そして、女とは違う理由で悲しそうな顔のマスターにも軽く頭を下げてから、己のグラスを空にして。

「それじゃ、お邪魔にならない範囲で相席させて頂いていいかしら。
私はリリー。 最近この街に来た錬金術師なの。

そうね、お近づきの印に何か食べる?
マスター、私にはロゼを頂戴。」

内心図々しいかなと思うも、折角美人と会えたのだからと女は意気揚々と酒の誘いを。

そして、綺麗な女性に眼のない女はせめて何かしら喜んでもらおうとしている。
とりあえずとして、先ほどまで飲んでいたオッサンくさい酒から可愛らしいロゼに切りかえることにした。

ティエラ > 「本当に、折角のご好意に、ごめんなさいね。」

 残念そうな声に、女はそれでも苦い笑いをこぼし、謝罪をしつつも、それは曲げないのだ。
 お金をもらって踊るからには、貰うに値する踊りを見せなければならないのだ。
 それが、プロの矜持というやつだ、と女は思っている。
 それが一般的でないとしても、自己満足と言われたとしても、だ。

「ふふ、綺麗な女性の相席は大歓迎、よ。
 ほら、女が一人で飲んでいると……下心満載の男が寄ってくるものだし?

 私は……ティエラよ、見ての通り、踊り娘をしてるの。
 私も最近ではないけれど、流浪の民なのよ。

 うーん……お近づきの印、というなら。
 お任せするわ、好き嫌いはないし」

 二人なら、声をかけてくる率が激減するもの、なんて、軽い冗談をこぼし、ウインクを一つ。
 邪魔なんて言わないわ、とも続ける。
 お誘いには、楽しげに笑って、しかし、おごりに関しては彼女の想いに任せることにする。

 ロゼの注文を受けるマスターに、いつの間にそんな可愛いのを入れたの?
 なんて、いやみったらしく冗談を。

リリー > 「いえいえいえ。 私の方こそ、突然無粋な事を言ってすいませんでした。」

見目麗しいだけでなく、心まで凛とした女性であった。
割とずぼろな所のある女はその輝かしさに恐縮しきり、手首をモップのようにぶるぶると振っているのであった。

「踊り子さんに綺麗って言われちゃうとちょっと恥ずかしいわ。
それに下心と言う点では私も似たような物だし…。」

女は嘘をつくのが苦手であると言う経験から、素直に心の内を口にしてしまう。
実際、今も青い瞳は褐色の肌を舐めるように見つめているのであった。

「ティエラさんも他所から来られたのね。
ティエラさんみたいに綺麗だったらどこに行ってもひっぱりだこでしょうね♪

それじゃ、ありがたく。
マスター、フルーツの盛り合わせを二人分。 大至急で。」

ウインクが飛ぶと、全身が電気が走る様な刺激を受ける。

女は同席の許可を貰うと、早速マスターに可愛らしい食べ物を注文する。
その際、妙に力が入ってしまうのは綺麗な女性を前にドギマギしている為。

「それじゃ、乾杯。」

二人のやりとりを親しいのだなと、楽しそうに目で追う女。
ロゼの入ったグラスがやってくると、手に持って軽く掲げる。

ティエラ > 「無粋、というわけでもないわ?
 私はとても嬉しかったのだもの、見たことのない私の踊りを期待してくれてる、なんて思ってもらえるんだから。

 自惚れちゃったかしら。」

 恐縮する彼女に楽しげに言葉を紡いで見せるのだ。両手をブルブル降って恐縮する様子に目を細めて、楽しく笑っても見せた。
 そして、自分の手にしたグラス、酒の入ったそれを持ち上げて。

「綺麗、というのはいろいろな種類があるもの。
 貴女は私とは違う色気があるものよ、リリー。
 ふふ、下心?どんな下心、かしら。
 仲良くなって、踊りを見てみたい、とかかしら。
 それとも、周囲の男と同じような………性欲的なほう、かしら?」

 自分の肌を見る、彼女の蒼い瞳を、女の葡萄の色の瞳はじっと見つめるのだ。

「そうかもしれないけれど、私はそういうのが苦手だから。
 踊りたい時に踊るの、だからこそ、こういう所を選ぶのよ。」

 だって、いいところで踊ってお貴族様の目にとまったら、大変だもの。
 と、軽く肩をすくめる女。気乗りしないときは踊りたくない、とプロとしてそれはどうなんだ、と言うボヤキを。
 マスターへの注文、フルーツの盛り合わせ、本当にどこにそんな可愛いのを用意してたのよ。
 準備を始めるマスターへ半眼で睨む。
 ここは、基本男ばかりの、しかも碌でもないやつばかり。
 果物なんて準備するだけ無駄だとばかりに言ってたマスターにへー?と言ってやりたいぐらいで。

「じゃあ、旅の末の出会いに、乾杯。」

 彼女も別のところから来た、と言うので、お互い旅人なのだろうと思いつつ。
 乾杯と言い、ちん、とグラスを鳴らしてみせる。

リリー > 「うん、ティエラさんが喜んでくれたのなら私も嬉しいわ。」

上機嫌な踊り子の様子にふふっと緩い笑みを浮かべる女。
硬くなっていた所も次第に解れ、地の部分が顔を出す。

「私? 私はてんで駄目よ。
色ごとに興味はあるけど、色気は乏しいわ。

そうね、どちらかと言うと後者かしら。
ああ、でも前者も間違いではないわね。
私の為だけに踊ってもらいたいわ。」

紫色の瞳と視線が重なると、女は蠱惑的な笑みを浮かべる。
周囲に聞こえない様に声量は控えている物の、言ってることは至って大胆だ。

「美しい花は目立つところばかり探しても見つからないってことかしら。
だとしたら、今日の私はついているわね。」

権力者ですら見つけることのできない高嶺の花に出会うことができた女はえへへっと子供のように得意げな表情を見せていた。
盛り合わせがテーブルにやってくると、お先にどうぞとばかりにティエラさんの方に差し出して。

「今日のお酒はいつもよりおいしいわ。 ティエラさんが隣に居るからかしら。」

グラスを鳴らし、甘いロゼを口に入れて。
女は座る位置をさりげなく、少しずつ近づける。

ティエラ > 「ふぅん?」

 笑みを浮かべる彼女に対して、楽しげに目を細めて女は笑ってみせる。
 抑え目の声で聞かされる声に対して口の端を釣り上げて笑宇野は、チェシャ猫のような笑みであり。

「あら、あらあら。
 女の人に見えるけれど、違うのかしら?
 それとも、女性に欲情する同性愛者、なのかしら。

 どちらにしろ、貴女のためだけってことは、ベッドの上ということね。」

 彼女の甘い笑みに答えるかのように、女は情欲の篭る声を、その耳元へ。
 それから、マスターの方を見て、そして、彼女の方に視線を向ける。

「――――。」

 周囲の喧騒の中、女は彼女の耳元に何かを囁こう、それは、周囲の酔客の声にかき消されているのであろうが。
 彼女の耳元にだけ、届くはずである。

「さあ?私が美しい花かどうかは、もしかしたら、おぞましい食虫植物かも知れないのよ?」

 得意げな表情に、女はほんとに?と問いかけるように彼女のことを見て、酒を一口。
 そして、葡萄を一粒手に取って、パクリ、と食べるのだ。
 あまいわ、と蒼いルージュに彩られた唇が呼気とともに言葉を吐き出して。

「それだと、私も嬉しいな。」

 隣に座るりりーに流し目を送って。女もお酒を一口。

リリー > (良いわね、その表情。 凄く良い。)

小悪魔のような悪戯な笑みを見た女は瞳が輝く。
心の中でうきうきと喜んでいるが口には出さないでおいた。
しかし、口元がにまにまと弛んでしまう。

「こう見えても立派な女性よ。
ただ、他の人よりも女性に対する興味が強いだけ。
ま、そういうことになるわ。

…ふふふ。 話が早くて助かるわ。」

同性愛者と断定されてもグラスを掻きまわし、堂々とした仕草の女。
耳元に囁かれた言葉に女は満足そうに呟くとグラスの中身を一口で空にする。

「貴女がどんなお花であっても私にとっては美しい花だし、食べられても本望だわ。」

その場合、己が虫になってしまうのだが美しい女性の前では自分の価値などどうでもよかった。
葡萄を食べる仕草に眼を奪われ、一瞬落としそうになりつつ蜜柑を口に入れる。

口から漏れ出す艶のある吐息に思わず視線を奪われる女。

「こちらこそよ。 今日は楽しい日になるわね。」

グラスが空になったので、マスターに次の酒を注文する。

「ティエラさんもそろそろグラスが空になるころじゃないかしら。」

併せて踊り子のグラスへの追加も注文する。

「綺麗な髪ね。」

酒が来るまで手持ちぶたさになった女。
瞳と同じ葡萄色の踊り子の髪へ触れようと。

ティエラ > 「あら、可愛いごまかし方。
 別に、いいと思うわ、同性愛者だろうが、異性愛者であろうが。」

 やはり、ベッドの上での踊りを所望しているらしいことに、女は楽しげに笑ってみせる。
 女自身も、男よりも女と抱き合うほうが、趣味に合っているのだ。
 というよりも、男性不信からの同性愛というところも大きくある。
 グラスを空にする相手を眺め、チビり、とグラスを傾ける。

「そういうことは、滅多に言わないほうがいいわ。」

 食べられて本望だという相手の言葉に、ちちち、と軽く指を振って。
 もっと、よく知ってからのほうがいいわ、なんて、女は言うのだ。

「大丈夫、よ。
 私はもう、これで。」

 お酒は十分楽しんだ、酔を楽しむよりも雰囲気を楽しむタイプでもある。
 そして、髪の毛に触れようとする相手のてを、するり、と流れるように避けて。

「準備があるから、後で、いらっしゃい。」

 その時に、たっぷり触らせてあげる。
 女は、マスターに鍵を受け取り、階段を上り始める。

 そして、そのまま二階へと――――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区の安酒場」からティエラさんが去りました。
リリー > 「あれ、上手く誤魔化せたはずなのに。
もう、困ったわね。」

どうしても表に出てしまう。
女は苦笑気味に自分の顔をぺたりぺたりと触っていた。

華麗な踊り子は女の手をすり抜けては上の階へと登って行った。

女は暫くの間、残り香を肴に酒を楽しみ、暫くしてから踊り子の後へと続いていく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区の安酒場」からリリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > 時に、他愛も無い悪戯をしたい、そう考える。
いやまぁ、いざ成功したら、それで終わらない場合も多々ある訳だが。

今、少女は王都にある貧民地区、その屋根の上に佇んでいた。
そして、その手に持っているのは釣竿。
こんな場所で釣竿?そう思うが、別に釣りをする訳ではない。
………あぁ、いや、ある意味釣りかもしれない。
その釣竿の先、垂らした糸の先には、ぷるんぷるん揺れる何かが取り付けられている。
別にもったいぶる必要もないか、ただのコンニャクだ。

賢明な…もとい、別に賢明でなくても、目的は気付くだろう。
このコンニャクを、下に歩く誰かに叩き付けようとしているのだ。

タマモ > ちなみに、悪戯成績は一勝一敗。
気が向いてやる悪戯なので、回数自体も少ないが…
半々の成功率と言うのは、何とも微妙なものである。
なので、とりあえず、成功はさせたい。

いや、それ以前に、誰も来なければ成功も何もない。
どうもこう、活動時間がおかしな事になっているのもあって、色んな意味で…あれなのだ。

「むむむ…先日のような失敗はせんが、これはこれで…のぅ?」

屋根の上、釣竿を手にしたまま、はふん、と溜息。

タマモ > さて、その結果はどうなったのか?
それはまた、その時の話にでも。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。