2019/02/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にノアさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からノアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にノアさんが現れました。
ノア > 「 ………ん、 おかわり。」

日付が変わり、 次第に歓楽街も静まり始める頃 ───
とある安酒場のカウンター席、 スツールに脚を組んで座る一人の酔っ払い。
とろんと目を細め、 頬もほんのり紅潮させ、 もう一杯寄越せと店主に強請る。

店主は溜め息混じりに、 女のグラスへ酒を注ぎ。
女は其れを受け取ると、 こくこく 喉に流し込んでゆく。
特にヤケ酒をするような事があった訳ではない。ただ…
帰っても寒くて退屈で、 何となく、 今夜はまだ帰りたくないだけ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカーレルさんが現れました。
カーレル > 日暮れまで眠っていたせいか勤労意欲に目覚めたわけではないが顔見知りの所を何箇所か回った
しかし、都合よく仕事の話があるわけはなく、街角に立つ娼婦のお姉さま方の愚痴を聞いたり、
露天商の老人から息子夫婦の愚痴を聞かされたり、銭にならないことばかりで時が過ぎた
それでも、顔を繋いでおく、というのは悪いことではないと割り切った
決して酔えはしないが帰る前に一杯飲んで身体を温めよう、そんなつもりで酒場に入れば、
カウンターに同業者の姿を見つけてしまい、なんとも言えぬ気分になる
言ってしまえば商売敵。目の敵にしているというわけでもないけれども…
見つけて挨拶もしない、というのもなんだか自分が一方的に意識しているような、と思えば渋々声を掛けることにした

「こんな所で女一人とは如何にも背中が煤けて見えるなア…」

スツールを1つ開けて腰を下ろせば酒場で一番度数の高い酒を頼む
なんせ酔えないのだ、せめて身体だけは温めたい

ノア > カウンターに片肘つき、 グラスの中 揺れる葡萄酒を ぼんやり見詰めていたけれど…

「 ……… っ、 」

聞き覚えのある声に ぴたりと動きを止め、 グラスを置いた。
相変わらずの第一声に くすりと肩を揺らしつつ、 視線を横へ向ければ

「 わー 久しぶり、 生きてたの ?
  てっきり 女に刺し殺されでもしたかと。」

なんて 女好きな貴方に皮肉を返し、 にこり 態とらしい笑みを浮かべて見せた。
実際に、 会うのは随分久しく。街中で姿を見掛けたりはしていたけれど…
ほんの少し、 久方ぶりの戯れに、 言い返してみたかっただけ。

「 相変わらず、 随分強いのね。」

ちら と貴方の頼んだ酒を見て、 乾杯がてら軽くグラスを掲げてから 葡萄酒をまた一口。

カーレル > 声をかけるやいなやぴたり、と彼女の動きが止まる
恨まれる覚えはないが途端に頬を叩かれたりする可能性がゼロとは言い切れないので一応、逃げられる距離を取る
こういう仕事をしているとどこで恨みを買っているかなんて判ったもんではない
過去が過去なだけに自分の場合余計にである

「女に殺されるなら本望。
 女を殺すより余程、気が楽なもんさ」

態とらしく笑みを浮かべる表情がちらりと見えて安堵した
流石にまだ、同業に恨みを買うほどの事はしでかしていないらしい
心の内を露程も見せず、皮肉に笑って返せば店主の差し出した酒を受け取る
無色透明。パッと見はただの水のようだが、火を近づければ燃えるような…そんな酒である

「ん…ああ、冷えるからな
 どうせ、いくら飲んでも酔えない性質だ。水も酒も大差ない」

彼女がグラスを掲げるに合わせて此方も軽くグラスを持ち上げる
酒を一口すれば喉を焼くような感触が残り、腹に酒が滑っていくが酔うことはない

「……で、どうよ最近。笑っちゃうくらい儲けてたりするか?」

どうでも良い世間話を振ってみる
どうでも良い話題ではあるけれど何か有益な話が出るかも知れない
なんて事を少しは考えたが、まあ世間話の延長みたいなものだ

ノア > ぺらぺらと悪態こそ吐くものの、 其の口調は酔いのせいもあってか
普段より緩やかに 間延びしているかもしれない。
そんな自覚はないままに、 小さな笑みを溢して

「 へぇ、 カッコつけちゃってー 」

と、 ニヤリ目を細めて見せた。
同業であっても女の場合、 荒事や力仕事を請け負わない分、 貴方と仕事が被る事は殆ど無い。
故に、 恨みなんて微塵も抱いていないけれど…
皮肉の一つも言ってやりたくなるのは、 出逢った事から "何となく" だ。

乾杯の仕草を交わし、 互いに酒を口にする。
続く貴方の言葉には、 グラスの縁を指先で拭いながら ゆるりと首を横に振って

「 ん、 現在休業中。ほら、 しんどい依頼とか あたし無理だし。
  そっちはどう ? バリバリ稼いじゃってたり ? 」

と、 勤労意欲の低さを漏らした。
一方 "本業" では、 其れなりに稼いでいるものの… まぁ、 口にはせずに。

カーレル > 緩やかな口調は彼女が幾らか酔っていると思わせるには十分であった
それでも、悪態を吐くのは生来のものであるらしい。逞しいことだ、と口にはしないが笑ってしまう

「惚れてくれるな?
 引く手数多で2本じゃ手が足りない程だからな」

冗談っぽく返してはふふん、と態とらしく鼻を鳴らす
グラスの酒を半分ほど飲み干した所で、懐から煙草を取り出し一本咥え火をつける
彼女の言葉を聞けば、ちらり、と彼女の二の腕あたりを見ては確かに、と妙に納得したような表情であった

「どうかな…食って寝て遊ぶに困らない程度?
 儲け話があるんなら教えてほしい、ってくらいなもんかね?」

細々した仕事も請け負っているから、食うには困ってはいない
危ない橋も渡ることはあるが、そう言う仕事を持ってくるのは大抵、太い客であるから
危ないとは言ってもある意味、顧客を信頼している
……まあ、時々、ヒヤリとする場面が無いではないのだけれど

「休業して食っていけんなら羨ましいわなあ…
 あ、あれだろ?スケベな爺さんのパトロンでも見つけたか…」

良いね、美人は得だ。そう続ければ可笑しそうに笑い声を零して

ノア > 「 えー、 ほれちゃいそー。」

態とらしい棒読みの返答。酔ってはいても、 可愛いげの無さは健在。
ただ、 そんなやり取りの最中も表情は随分と愉しげで。
一人退屈だった時間に貴方という話し相手が出来た事を、 内心喜んでいたり。

「 大人な男性は魅力的だけど、 おじーちゃんは無理ー 」

はは と笑い飛ばしつつパトロンを否定し、 ワイングラスを空にする。
んん… と、 何かを考えているように 僅かに唇尖らせて。
貴方の整った顔を ジィ、 と無遠慮に見詰めれば

「 儲け話ねぇ………

  そっちこそ、 熟れた身体を持て余したご婦人に飼われてみたらー ?
  ほら、 カーレル "顔は" 良いんだし、 "顔は" ♡ 」

本気で儲け話の情報を提供する… 訳はなく。
やたらと一部を強調しつつ、 にっこりと提案してみたり。

カーレル > 「そうだろうとも、そうだろうともさ」

冗談の応酬。カウンターの向こうで呆れ顔を浮かべる店主の顔が見えた気がするが気にするでもなく
酒精が入っているせいか、あまり硬い話にならず此方としても気が楽であった

「金持ちの爺さんなんて話聞いたりするだけで満足して金払ったりするんじゃないか?
 何にしろ、休業してても食っていけるんなら羨ましいよ」

自分でそう口にして知己の貴族の顔が何人か思い浮かぶ
誰も彼もアッチは役に立ちそうにないが、目の前の彼女であれば簡単にデレデレして金を払いそうな気がする
お歴々が本当に役立たずなのか知る由もないが…

何なら眼の前の彼女を斡旋して一儲け出来ないか、なんてあくどい事をぼんやりと考えていれば、
ジッ、と彼女が此方を見つめるから見透かされたのかと思い、ヒヤリとしたが彼女の言葉を聞けば
内心、胸をなでおろし

「……無いわけじゃないんだよなあ、その手の話
 ただ、どう考えても割に合わないからな…気は使うし、私生活には口出しされる
 …人に仕えるってのは、どうも…」

誰かに仕えていた経験でもあるかのような口ぶりで渋い顔をしてみせれば、
気が緩んでいると思ったかハッとした様子で彼女に腕を伸ばして額の辺りをピンと弾こうとし

「あと、『顔だけ』は…ってのは余計だ」

不満げにしつつも気分を害した様子はなく、どこか楽しげに付け加えて

ノア > 貴方の整った顔立ちを、 ジィと琥珀色が見詰める。
所謂 "甘いマスク" とはまた違い、 少々鋭い目元が与える印象は 何処かヤンチャそうで、
さらりと冗句を言える話術も また、 異性にモテるポイントなのだろう。
"引く手数多" と冗談を言っていたけれど… あながち 冗談でもないだろうと、
一人納得したように 其の容姿を眺めていたが

「 ………… っ、 た !! 」

伸ばされた指先に ピンと額弾かれ、 小さな声を漏らす。
ちなみに… 大して痛くはないけれど、 リアクションは少々大袈裟に。

「 お話相手なら、 前によく呼んでくれた人が居たんだけどねー
  ………うん、 お亡くなりに。」

其の手の楽な依頼を 女が逃す筈がなく、 実際常連が居たのだけれど…
数年前、 天に召されてしまったと苦笑い。

そうして、 グラス片手に他愛もないお喋りを ───

画家の卵に依頼され絵画のモデルをした話や、
男の見栄とやらの為に舞踏会の相手役を演じた話、
時には 浮気調査なんかも請け負い、 依頼主には「 浮気の事実は無い 」と報告、
調査対象の旦那様には「 黙っていてあげる 」と囁いて…

「 アレは おいしかったなー ふふ、 2倍♡ 」

双方から報酬を受け取った事もあった、 などという話も。
いつの間にか頼んでいたお代わりも、 グラスは空となり…

「 ………ふ、 ぁ… 呑んだー…… 」

漸く、 少々呑み過ぎてしまったと自覚する。瞼が重く、 長い睫毛を揺らし

「 カー レル、 は…… ? まだ 呑んでる のー ? 」

代金をカウンターの上に置くと、 頼りない足取りで立ち上がり。
真っ白なロングケープ羽織れば、 ゆるりと 首を傾げ訊ねた。

カーレル > 「口は災いの元…というらしい。勉強になったろ?」

彼女のリアクションに笑いながら手を引っ込める
対して力も入れていないから、ぺち、と言う程度であとすら残ることはない
それにも関わらず大袈裟に反応を返す彼女はやはり酔っているのだと思う

「ノア嬢とのおしゃべりがあの世への道行きの思い出か…」

それも悪くはないかもしれん、と彼女の苦笑いに合わせてこちらも肩を竦めてみせる
と言っても、酒の席。酔いはせずとも暗くなろう筈もなく…彼女の話に耳を傾ける
盃を重ねてもちっとも酔うことは出来ないが彼女に合わせてこちらも話を重ねた

行方不明の冒険者を探しに行った話やら、酒場でウェイターの代行をした話やら…
彼女に負けず劣らずバラエティ豊かな話であった。失敗談も織り交ぜ話を続けていくうちに良い時間
彼女が帰る気配を見せれば自分もグラスに残った酒を飲み干して代金を支払う

「ノアが帰るなら俺も帰るさ
 酒は十分飲んだし、ひとり酒するほど酒が好きなわけでもないからな」

身体は十分にポカポカとしているし、酔えもしないのに1人盃を重ねるのも趣味ではない
彼女の頼りない足取りに笑いつつ、さっ、と立ち上がれば店の外へ
笑いつつも癖なのか何なのか彼女が体勢を崩そうものならすぐに腕を出せる程度の距離感で

ノア > 互いに本来、 依頼内容を話すのは良くないのだけれど…
同業者だし、 酒の席だし、 何より、 貴方は口外などしないだろう と。
商売敵でありながら、 根拠のない信頼を抱いていたから。
他に客も居ない安酒場で、 貴方と二人、 久しぶりのお喋りを楽しんで

「 ……ん、 じゃあ 帰ろー 」

店主に ひらりと手を振って、 ふらりふらりと 貴方に続き店を出た。
貴方の保つ距離感や、 無意識な気遣いに、 酔っ払いは気付かない。
何となく居心地の良さを感じつつ、 千鳥足で歩き出した。

「 さむ、 っ… 雪でも降りだしそう。」

帰り道が分かれるまで、 他愛もない会話を交わしながら ───

カーレル > なるべく当たり障りのない話をしたが彼女も同じ事だと思う
彼女も同業者であるから弁えているだろうし、口の軽い人物であればこれまで生き残れていないはずである
代金を支払えばようやく店を閉められる、という顔の店主に幾らか酒代を余分に渡しておいた
甲斐性なしの癖にこういう所に気が利くのが長く仕事を続けていられる秘訣であった
…なお、当人は気がついていないのだが

「おう、帰ってベッドに潜り込むことにするさ」

歩き始めた彼女が千鳥足のものだから何時もこんなになるまで飲んでいるのか?と疑問に思う
その反面、嫌なことがあれば酔えるのは少し羨ましくもあった

「そりゃあ、その格好じゃ寒かろうよ…」

冷たい夜気にコートをしっかりと着込む
彼女にコートをそっと掛けてやるような事をしない辺りがダメなところなのかも知れない
別れ道まで彼女と同道すれば、おやすみ、なんて軽く挨拶を交わして家路につくのだった

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からノアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からカーレルさんが去りました。