2019/01/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 朽ちた教会」にアンジェラさんが現れました。
アンジェラ > ヤルダバオートに存在する地下街について普段から異を唱える女は
地下街に関わる王侯貴族に目を付けられることが避けられず、度々嫌がらせじみたものを受ける。
だが王都へ招集をかけられるのは稀である。

―――此度はその稀な出来事により、数日間王都に滞在している最中。
聖職者の姿は王城、富裕地区、さまざま駆けずり回ることになったが、日が落ちると自ら貧民地区を回っていた。
初日、この廃墟となった教会で親のいない子供たちにささやかな食料を与え、絵本を読み聞かせた。
それが数日も続けば噂が噂を呼ぶようで、人数は増えてきていた。
大人の姿もちらほらと見える。
彼らにも食料と懺悔する場を与え、修道女たちは忙しく動いていた。

「―――――貴方にもお腹の子にも罪はありません。どうか心安らかに」

導師という立場にある女は、懺悔室として用意した小部屋にいた。
仕切りはなく、2つの椅子に座り、お互いの目と目を合わせて話すので、形は整っていないのだが。
暴漢に襲われ、妊娠したと嘆く女性の手を握り、話し終えると扉の外まで歩いて送る。

「……………」

いろいろ思うところがあり物憂げな貌を見せ、教会内を見回す。
自身の住む都市には問題があるが、王都は人が多い分さらに問題が根深い。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 朽ちた教会」にイスクさんが現れました。
イスク > 立ち居振る舞いにも敬意が表れるというのならば。
壊れた信徒用の長椅子から、ちょうど懺悔室――の跡から人が出てきたのを見計らい立ち上がる姿。
典雅な衣装を身に纏った男はというと、懺悔室から出てきたふたり……そのうち聖職者の衣装を纏っていた方認めるや、その周囲を見渡して、また彼女に視線を戻す。

「ここに来れば貧しい者にもお恵みがあると、このあたりの者共が噂していましたよ。
マッチを擦って幻覚でも見たのかと思いましたが、いやはや」

言葉を紡ぐだけで、力ない者を萎縮させる若者の傲岸な振る舞い。
今日その日の糧と心の平穏を求める者たちを極力視界に入れぬようにしながら、高位聖職者の証たる装束と品位を纏う者に歩み寄り、好奇の視線を向ける。

「まさかそれほどの位にある者が、下々の世話をなさっているとは、ね。
奴隷でも見繕っているのかと思いましたが……どうやらその御様子だと本当にこの者たちに救いを与えようとしていらっしゃる。
ああ……君、もう用は済んだんだろ? 僕はそこのお方に用があるんだが」

連れ立って出てきた、自らの心の傷を打ち明けた信徒の女性に対して、さも汚らわしい者を見るかのような表情を向けると、早い話が邪魔だよ、という振る舞いさえしてみせる。
あからさまな暴虐の振る舞いも、しかし。財力と地位を示すかのような装いは、この周囲の者共、まるごと人質に取っているようなものである。

アンジェラ > ここには聖職者である女性数人と、貧しい民しかいない―――はずであった。
彼らの中に混じる気などさらさら見えない、洗練された衣服と外貌、驕傲な態度。
男の視線が注ぐ女の眉が中心に寄せられる。
ここで慈善活動を行っているからといって、貴族の懺悔を拒む訳ではない。
だが、彼の物言いは他の者を貶め、蔑んでいる。

「どうにもならない時はご無理なさらず、マクレラン修道院までいらっしゃって下さい」

塵埃の様に払われ、表情を曇らせる妊娠した女性に対し、聖職者は付け加えた。
子供の相手をしていた修道女が心配そうにこちらへ近付くが、片手でそれを制し。

「ここまでご足労いただいたのです。我々に余程のお話があるのでしょう。
 ――――どうぞ、こちらへ」

柔和に微笑んで見せたが、双眸はしめやかな色合い。
これ以上彼がここにいるのは他の者を怯えさせるだけだと判断し、即席の懺悔室へいざなう。

イスク > 「そちらの子はなかなか良いな。うちに来る気はないか?
 ……出自も知らぬ傷物より、よっぽどいい値打ちがつきそうだ。お恵みもしやすくなるだろう?」

修道女に視線を移してから、去りゆく信徒にわざと聞こえるように歪んだ笑みから下卑た言葉を響かせる。
あえて神経を逆撫でしようと言葉を選んではいるが、居丈高に制しようとしない聖職者の様子にほう、と感嘆。
肩を竦めて、教会のものたちに絡むのをやめると、彼女に続いた。

「心優しいお方だ。私のような俗物を聖域にすがる者たちに近づけておきたくないと見える。
だがあんな言い方をすると、僕がまるで施しに来たように期待させてしまうかもしれませんよ。
まぁ絶対にないとは言いませんがねぇ……?」

寒々しささえある懺悔室には、しかし嫌悪感はない。周囲に人目がなければ、元奴隷の来歴からこういう部屋にも慣れている。
椅子にどかりと腰掛けると、懐から名刺と煙草の包み紙を取り出し、そのうち名刺を彼女に渡した。
そこそこ名の通る商会とその元締めの名前が記されてある。受け取られなければしまい込むだろうが。
さて、と肩越しに入ってきた扉を見遣る。

「さっきの娘。 妊娠ですかな。望んだ相手ではない。ま、この国に限らず良くあることですが。
なんと言って納得させたのです? 僕が来る前は、すこぉし救われたような面持ちだったのですが……」