2019/01/09 のログ
リタ > そういえば貰い物のクッキーがあった、といそいそ用意し始める店員。
店で一番高い小皿に2枚のクッキーを置き、黒糖の入った小瓶に耳かき程の匙を添える。
後は湯煎が終わるのを待つばかり、オリジナルの鼻歌もサビの部分に突入。

そこで店の扉が開いた。店員ちょっとビックリ。慌てて鼻歌を止め、接客向けの声色を作る。

「ゴホン、え、ええ。やってますよ。どうぞ。お好きなトコへ。」

客を見れば…魔女だ。まごうことなき魔女である。
そんな客と目の前の完成間近のホットビールを交互に見ながら、

「今日のお勧めはポトフ。ベーコン、自家製のが入ってます。
お酒は…ホットビール以外が良いと思いますよ?うん。」

とお客様に声をかけた。

エリーナ > (ゴキゲンだ。えらくゴキゲンなお姉さんだな)

寒い中無言というのも気が滅入るだろう。うん。歌はいい。別に怪しんだりはしません、よ?

「ありがとう」

そう返しながら、魔女らしさの半分以上を保有する帽子を取り。コート掛けにちょんとひっかける。
銀髪をさらり揺らせながら、カウンターへ。

お姉さんの目の前にはホットビール。うん。まあ。十中八九自分のものだろう。うん。
ああうん。ホットビール以外をオススメされた。
私はそこまで意地悪じゃないからな。当然別のものを頼むとも。うん。ほんとうだぞ?

「そうかぁ……ベーコン…………いいなあベーコン。
じゃあ、ベーコンと……そうだな。何かピーティーなウイスキーをショットで」

ビールは取らないよ。という笑顔をむけて。

リタ > 彼女がビールへ目が向かった瞬間、哀愁漂う別れのテーマが店員の頭に流れた。
カウンターへ向かってくる彼女の鮮やかな銀髪が一層、何故だか悲壮感を漂わせるよう。
そんな中、彼女の注文を耳にする。

「…ウイスキー?は、はい喜んで!」

いつもの店員なら、ベーコンは炒める?何か添える?と聞く所なのだが、
そんな事は耳に入っては居なかった。――いや、それは流石に不味い。
向けられた笑顔にホットビールを避けて注文して頂けた事を察した店員は
最大限のサービスをしようと心に決めた。
魔女が天使に見えているのは世の中広しと言えどもこの店員だけであろう。

「え、えっと。ベーコン、炒めるだけでいいです?」

ウイスキーとショットグラスを準備しながらの彼女に向けられる言葉。
視線が合えば店員ははたと気づく。この魔女さん、見たことある、と。
ああそうだ、あそこの工房に居た人だ、何度か見たから間違いない。

「お客さん、あそこの工房の人ですよね。今日はお仕事、終わりですか?お疲れ様です。」

最大限の微笑みを返しながら、彼女の前にウイスキーの瓶とショットグラスを置いた。

エリーナ > クスリと笑む。おもちゃを取り上げられそうな仔犬のように思えて。
かっこいい見た目だけれど、可愛らしいじゃないか。

こじんまりとした店だから、続いているのなら、なにか良さがあるだろう。
そんな風に飲み屋をふらりと散歩するのは楽しい。
黒尽くめの服装なので奇異の目で見られてしまうのは仕方ない。
だって私魔女だし。

店員さん……マスター、かな?違うかな?まあいいか。聞けば。

「ああ、炒めるだけでいいよ。どんなか楽しみだ」

自分が天使と見られているとは露知らず、カウンターに両肘を着いて、ゆったり。
自家製。楽しみだな。自分で作らないから、その味に思いを馳せる事ができる。

「うん?ああ、知っててくれたんだな。うん、彼処の魔女さ。 うん。今日はもう全部おしまい。ありがとう。えーと、マスター、でいいのかな?」

彼女がどっちなのか最後に訪ねながら。
今日は風邪薬の精製もおわって、趣味の抽出も終わった。
微笑みどうしで、カウンターに酒類がおかれるゆったりとした時間。

リタ > 炒めるだけで良い、その言葉を聞いた店員は、小さく頷くと早速フライパンを温め始めた。
紐で縛られた大きなベーコンを少々厚め(サービス)に切り、
下ごしらえ済みの大豆(サービス)、刻まれた青菜(サービス)と共にフライパンへと投入される。

「あ、やっぱり。こんな時間まで大変ですね。こんな所ですけど疲れを癒して貰えると嬉しいです。」

話を続けながら振られるフライパンから、香ばしい香りが乗った煙が立ち始めた。
こっそりと湯煎の終えたホットビールを脇に置くと、

「ん?そうですね、雇われだけど私一人だけだから店長みたいなものなんだけど…ちょっと恥ずかしいかな。
私、リタって言います。今後とも御贔屓に。
――はい、完成。もう一回、お疲れ様でした」

フライパンから炒め終わったベーコンを手際よく皿に盛り、彼女の前におきつつの返答。

エリーナ > おや。おや、おや。ふふ、結構食事のサービスが良いというか。
疲れた身に酒と肉と野菜は、万全もいいところだ。疲れが吹き飛びそうだ。

「いやいや、好きでやってることだから、言い方は悪いけど全部趣味みたいなもんさ
そいつで誰かの役に立てればいい。 はじめてだけど、いい店かもね、ここは」

香ばしい香りに目を細めながら、彼女の言葉にもっと目を細める。にっと笑顔。
食べ物飲み物だけじゃなくて、優しい言葉はもっと染み渡る。

「なるほどねえ、オーナーは別にいるんだ。 はは。マスターは慣れないかあ。
じゃあ、リタさん。私はエリーナ。うちの薬も、よろしくね。

ああ。ありがとう。ふふ。 お疲れ様。乾杯」

鮮やかに色づいた燻製と野菜たち。いい香りだ。
そして、ショットグラスをそっと掲げて。今日の一日の労に、乾杯。

リタ > 使い終わったフライパンを洗いながら、彼女の言葉に耳を傾ける。視線こそ合わせていないがそこは接客業、しっかりと対応。

「趣味でも他人の役に立ってるなら、それは凄い事ですよ。――いい店かも、じゃなくていい店、ですよ。なんて。
…実際安酒、安飯がウリなんですけどね。」

そんな軽口を叩きながらも彼女が笑顔を向けてくれればこちらも微笑み、

「はい、エリーナさん、ね?薬かぁ…この頃眠れないから、今度お願いしようかな…お安くして頂けます?」

なんて冗談交じりの言葉を返す。
流石にお客様の前で飲むわけにはいかなかったのか、彼女の乾杯には笑顔で乾杯を返すのみだった。
ホットビールがどんどん冷めていくわけなのだが、目の前のお客様の方が大事。さようならまいはにー。

エリーナ > 「そうだねえー。人の役に立てる趣味でよかったよ。この時期、風邪患者が多いしね。
ふふ、そこは自信をもって言わないとだね。
ひととき羽根を休めて、落ち着ける。いい店の条件はそれだと私は思うから、値段は関係ないさ」

軽口に少年のような笑顔で返す。本当に、何の理由でも、自分の店を選んでくれる人がいるのだから
安らいでくれればいいと、そう、薬屋(表向き)は思う。

「ああ。魔女のエリーナだ。ふむ。寝付きを良くする薬ならちゃんとあるよ。
ふふ。趣味の材料に、御髪をを一本もらえれば、一か月分半額だ」

御髪が欲しいのは本当だけど、女性相手にこういうと「凄くいかがわしいことをされそう」と思われるだろうから
ここは冗談めかしておく。
……なんていうか。うん。立地も立地だっていうのに、うん。本当にいい店だな。
バーの看板だけあって、初めての客を相手にカウンター越しに呑まない。
この誇りがちゃんとあるのは、うん。いいお店だ。

リタ > 「そうそう、風邪、流行ってますよね。お客さんでも結構来るんですよね。家で寝てなさいって追い返しますけど。
…この辺りは休めた羽を毟り取る店、結構多いですからね。お気をつけて。エリーナさん、お綺麗だから尚更。」

確かに彼女の言う通り、金には換えられない何かがあるのは間違いが無い。
店員がサービスをしまくってしまったのは、彼女にその何かがあったからなのだから。

「やっぱりあるんですね。このご時勢、眠れない人、多そうだし――か、髪?私の?趣味の材料?」

妄想開始。店員の妄想では如何わしいを通り越してしまっているのだが、
半額、それも一ヶ月。髪の毛で一ヶ月の安眠を安く手に入れられる。ちょっと本気で悩む店員。

「えーっと…どんな趣味なんだか聞きたくなるんですけど…食べるとか?」

きっと美味しくないです。どんな調理をしても無理です。
並べられたグラスを磨きながら、もう一度「食べるとか?」と繰り返す。
その表情はちょっと悪戯げな笑顔だった。

エリーナ > 「アルコールで『ある程度』暖かくは有りだけど、寝るのが一番だからなあー……
そうだねえ、世知辛い世の中だ。ありがとう。ま、私は魔女だから魔法で消えちゃうんだけどな」

カラッと笑顔。魔法を駆使できるのか、本当に魔女的な怪しい術でもあるのやら。
まあ、そこは師匠に感謝ということだ。
この店が気温ではなく暖かく感じるのは、きっとリタさんの心があるからだ。嬉しいことだ。本当に。

「あるとも。戦も多い時代だからね。戦場から帰ってきて眠れなくなってる人ってのは多いんだ。
酒がぶ飲みして寝たつもりになってるのは体に悪いから、作った。
そうとも。趣味。  …………趣味」

あ。やっぱりひっかかった。これはやっぱり引っかかるな!
男だと毟ってよこすんだが女性はやっぱハードル高いな!
なお半額の安眠薬、1つ10ゴルド也。あんまりこの辺は利益取らないのだ。

「あっはっは。食べない食べない。髪は消化できないしなあ。
んーと、私は錬金術みたいなことしていろんなものを作ってるんだけどさ。
簡単に言えばものを組み合わせて別のもの作ってるんだ。
人が関わるものだと、色んな思いとかが浮かびでて混ざる。
この人は、何を浮かびださせてくれるんだろうなって。人間観察みたいな趣味さ」

すごいの見れたらもっとサービスするよ?なんて、こっちも悪戯げに。
悪戯げな笑顔で、にしし、と笑って。二人共悪戯げな楽しげな。

リタ > 場所が場所であるが故、年齢が近しい同性が店を訪れる事は稀。
店員は日頃エロおっさん…もとい素敵なおじ様相手が多いため、日頃の鬱憤とばかりに口が回っていた。
だから彼女の笑顔には終始笑顔。

「あ、成程消える事ができるんですね。それならこんな所でも安心して飲めますね。
これは常連さんになってくれる事を期待。」

店員はウイスキーの瓶をを注ごうと手に取った。
普段は絶対にしない酌をしようとしたのは、色々な商売的な打算もあるが、
こういう人が常連だと楽しいだろうな、という心情が強かった。

「いろんなものを作る、ですか…私の髪からどんなのが浮かび出てくるんだろ…
ん、そう言われると好奇心を擽られますね。でも変な事が知られちゃうと思うとソレはソレで困るな…
ちなみに例えば…どんなことが浮かび出てくるんです?」

彼女の弁では、髪の毛からある程度のプライパシーを覗かれる様なニュアンスだ。
裏の仕事を持っている店員は、流石にそれを知られてはマズいと思った様子。
しかしながら安い薬も魅力。
まるで葛藤を表に出すように、自分の髪の毛を指に巻いたり、扱いたりして弄んでいた。

エリーナ > 静かに静かに飲む酒も旨いが、年の近い同性とおしゃべりしながらの酒も旨い。
かっこいい美人だし、言うことなし。ベーコンもいい出来だ。
これは……通うかもしれないなあ。

「ああ。色々と師匠から仕込まれたからね。ぶん殴っても強いけど、それじゃ禍根が残るしね。
ふふ。もう結構惚れちゃってるかもだよ」

グラスに琥珀が満ちていく。
つまり楽しさが満ちていく。嬉しいことだ。
こういう場所が増えていく。街で生きる醍醐味の一つ。

「ん。あー。大丈夫だよ。記憶とかが覗かれるとかじゃないんだ。
多くの人は色だね。歌劇なんかに携わったひとは花のような色と形。
戦士として生きた人は鋼色と鋭さ。
平々凡々な人は、水を思わせる不定形。
過去がダイレクトに見えたりとかそういうのは一切ないよ」

この街、このご時世。スネに傷がまったくないなんて大人はそうはいない。
だから、その傷を見て笑いたいなんて趣味の悪いことはしない。

「ま、いい場所といい時間を過ごせてるんだ。そういうの抜きでも、一週間分ただでいいけどね」

リタ > 「ぶん殴る…お師匠様、結構バイオレンス?なんて。
アハハ、どんどん惚れちゃって下さい。こんなボロで隙間風たっぷりのお店で良ければ。」

社交辞令よりも冗談が勝ってきている、そんな感じになりつつある店員。
しかしながらグラスに入った酒の量、皿に残った料理の量はしっかりと目に入れるのはやっぱり性なのだろう。

「成程、抽象的なんですね。私はどんな色と形なんだろう…
ね、ね、どんなのが出ると思います?私から。想像してみて下さいよ。」

ちょっと髪の毛をあげてもいいかな、なんて考えてしまう程知的好奇心を搔き立てられる店員。
そこに彼女の止めの言葉が。

「え、タダ?一週間?それは流石に悪いですよ…んー、どうしようかな…髪の毛…一本で良いんです?」

あ、揺らいだ。

エリーナ > 「『色々できないと楽しくないぞ』って口癖だったからなあー。
おやおやおやー?いいのかなリタさん。私は気の多い女だけど惚れたら気軽に来ちゃうんだぞ?」

ま、たしかに普請はもうちょっとね? なんてケラケラと。
そっと客の全体を視界に入れているような見方は、本当に、いい店員さんだ。
見すぎずちゃんとみる。目がいいことは客商売の才能の一つ。いやあ、いいね、ここ。

「そう。なんとなくその人、なんていうのだね。
うん? ううーーーーん? そうだなあー…………
色は多分、オレンジや薄い赤のような暖色かな。形のイメージは……丸い。視線、というよりまなざしのような。
暖かいまなざし、かな」

そう。この店にきてからずっと温かいし、何かを逃すような、こういう地区にあるような不まじめな取り組みじゃない。
最初から、ゆったり見てくれているから、こうしている。
そういう印象。

「悪いかな?こっちのお商売としては、先行投資ともとれるけどね?
うん、髪の毛一本。それ以上の要求はしないよ」

悪童の笑顔のまま、両手をひらり。
さあ、もうなんにもないぞ?なんて顔である。

リタ > 「大丈夫です、面倒なお客様を優しく追い出す術も心得ておりますので。
エリーナさんは悪酔いしなさそうだし、お尻触ったりしないだろうし、気軽にどうぞ。

彼女のグラスが空になるタイミングでウイスキーの瓶を手に取り、
小首を傾げて注ぎますか?と無言で尋ね…
手持ち無沙汰になれば話を聞きながらグラスを磨き…
刻々と流れる時間に身を委ね、楽しい空気を満喫している店員。

「わ、意外。私自身は寒色で、角張った感じかなって思っていたんですけど。
褒めても何にも出ませんよ?料理とお酒以外。」

なんとなく褒めてくれているような彼女の言葉に少々照れつつも、
手は髪へと進められ。
刹那の顰め面と共に店員の手にはプラチナの毛が一本あった。

「…先行投資の一言に負けました。これでいいです?…あ、食べちゃ駄目ですよ?」

いや、結構揺らいでいたよね?その一言に負けたんじゃないよね?どう見ても言い訳である。
彼女の掌へそれを乗せると、自分の髪の毛がどうなるのか興味津々の顔を浮かべていた。

エリーナ > 「はは。流石バーだ。酔客のあしらい方はお手の物だね
うん?ああ。私は潰れるまでは呑まないな。楽しくないし。
此処が大衆酒場ならお尻は触ってたかもしれない……楽しいし……」

次をどうかの無言の問に、目で頷いて。
うん。「誰か」と呑むのは旨いな。みんなもいいけれど。
久しぶりで、うん、楽しい。嬉しい。

「意外、かねえ。そりゃ顔やスタイルはシャキっとしてるけどさ?
ふふ。じゃあ、また来た時も褒めないとだ」

なんとなくではなく、褒めているのだった。そもそもが、興味を持った人間にしかこの交渉はしない。
簡単に言えば「あなたのことがもっとしりたい」だ。
そのまま言えばひどく安い口説き文句だ。なんて少し微笑む。

「ふふ。ありがとう。うちの薬って基本高くはないから、あんまり痛くないのさ。
だから食べられないんだからー」

笑いながらそっと受け取ると、ポーチからハンカチを取り出して、その中にそっと大事そうにしまおうと……

「……うーん。本当は炉っていうのに入れないとなんだけど
此処でリタさんの持ってる色を出すことだってできるけど……
どうする?」

眼の前のバーテンダーの色が何色なのか――
さあ。貴女は、どう選択する……?

リタ > 「アハハ、触るんです?流石にカウンター越しには触れませんもんね。残念でした。
――あら、また来て頂けるんですね、ありがとうございます。」

店員らしいあしらった言葉を投げかけつつも、笑顔は崩さぬまま。
この笑顔が営業スマイルでない事は声の弾み具合で分かるだろう。

「ん…なんか怖いですね…そうだ、また次回、その結果を教えて頂けますか?
その時に薬、持って来てくれると嬉しいかな?なんて…」

店員は己の髪をハンカチにくるみ、ポーチに収めるのを見つめていた。
自分はどんな色を出すのだろう。どんな形なのだろう。

――楽しい会話は続けられ、夜はどんどん深まっていく。
その夜空は星ひとつない、突き刺すような月明かりのみが照らすものだった。
店員の色、形を現しているかのようなソレ。
工房に戻り、その黒色を目にした彼女は、何を思うのだろうか。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からリタさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエリーナさんが去りました。