2018/12/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエミリーさんが現れました。
■エミリー > ゴロゴロと音を立てながら車椅子が進んでいく
人が少なく静かで過ごしやすい場所
しかし今は久しぶりに何かの呻き声が聞こえてくる
「なーに―……?わんちゃん…?」
車椅子の振動を揺り籠に眠ろうとしていたのに唸り声なんて聞けば眠れるわけがない
好奇心半分で声の主を探しゴロゴロと車椅子は進む
黒い鎧がそれを押しながら
「んー……じさつ?」
そうして見つけた少女を見れば第一声にそんな事を呟く
人がこんな時期に薄布しか身に着けず凍えている
放っておいたら朝には凍死体の出来上がり
「しんじゃうよー…?」
のんびりとした口調のまま声をかける
こんな光景を見た後に放っておいたら気持ちよく眠れそうにない
■ナータ > 少女に果たして救いの手は差し伸べられるだろうか。
今の少女ならばきっと悪魔にでも魂を売り渡すだろう。
賑わいから離れた場所というのはつまり人通りも少ない。
そんな場所で寒さをしのいだ少女は運が悪い―――ついさっきまでは。
「あう、あううう、う、うう、さむ、い、助け……」
ゴロゴロとした音は他者の往来を告げるそれ。
少女は回らぬ口で懸命に助けを呼んでいた。
「ちが、ちが、う、行くとこ、なく、て……」
状況に相応しくないのんびりとした声の主、その女性に。
その優し気な垂れた目とぷくりとした唇。
見捨てないで欲しい、見捨てないで!
そんな必死さはガチガチと先ほど以上に鳴る奥歯の音で表現しているか。
「しん、じゃう、助け、て、なんでも、する、から……」
茶色の瞳は打ち捨てられた子猫のように悲しげでありながら
幼い顔立ちは泣きだしそうになりながら、何でもするから、と救いを求めていた。
■エミリー > 「そっかー…迷子かぁ…」
さて困った、と考える
放っておいてと言われればはーいと返事をして立ち去ればそれでよかった
しかし今なお泣きそうな上に瀕死な少女はここで見捨てれば身体の前に心が折れてそのままだろう
「じゃ、こっちおいでー…」
全身鎧が少女を抱え上げ車椅子に腰かけるエミリーの上へ
ダボッたいローブのまま抱きしめれば少しは風を防げるだろう
「おへやに、れっつごー……!」
ビッ、と全身鎧にむけて指示を出す
このまま外でこうしているよりどこか建物の中に入った方が良い
よく使う宿屋に向けて車椅子が進んでいく
「ねちゃだめだよー…?
わたし、回復まほうつかえないからねー…」
眠ったらそのまま目を覚まさない
そんな事にならない様少女に声をかけ続ける
宿に着けばすぐに部屋のベッドで毛布に包みお湯の用意を頼むだろう
■ナータ > 「ふえっ……?!ひあ、う……?」
少女の必死の訴えが通じたか、相手は助けてくれるのかもしれない。
たとえ相手が悪人でもあくまでも、このまま凍え死ぬよりはマシ。
少女はそう思ったろう。
黒甲冑の全身鎧が、少女を抱えると驚いた声を上げたが。
今まで包まっていた布が地面に落ちる。
少女にとっては大事な防寒具であったが、相手の上―――車椅子に腰掛けた太腿の上辺り―――に乗せられると、布を拾い上げることもかなわずに。
「お、お、おへや……建物の中、は、はいれ、る……?」
直接風が肌に触れることはなくなり、確認するように行き先を尋ねて。
そんな中全身鎧は車椅子を押し、勝手知ったるかのように路地を進んでいった。
「ね、ね、ねむいけど……も、もうちょっと……」
それでもまだ寒いだろう、がくがくと首を縦に振り必死に寒さに抗いながら、漸く、建物―――宿屋らしき場所へと運ばれて。
「はふ、はふ、はふ……うう、温かいよぉ……」
そして用意された毛布に包まり、暖められた部屋の中で今にも泣きそうな顔を見せた。
今度は、安堵から。
■エミリー > 「入れるよー…たすけるからねぇ……」
背中をさすりながらそう言い聞かせる
希望を見出せば人はもうひと頑張りできるもの
思っていた通り少女は宿まで起きたまま辿り着き…
「温めのお湯だよー…熱いとお肌がたいへんだからねー」
車椅子から降りて木桶に杖からお湯を注ぐ
湯気が出るほど温かくはないが今はその方が良いだろう
少しずつ体温を戻さなければ
「それで…貴女はどこからきたの?
元から住人だったわけでもなさそうだし…」
貧民地区の住人はこの時期に備えをしていなければそのまま死につながるというのは嫌でも理解している
なのに先ほどまで少女はボロを纏っていただけだし食料の類も無かった
今となってはそのボロまで置いてきたので何も無しだ
「奴隷なの?それとも王都のそとから?」
暖かい部屋のお陰で自身も頭が回りだした
口調も先程までの能天気なものと違いどこか柔らかく感じられるだろう
■ナータ > 「あり、がと……あり、がと……」
宿に付くまでの道すがら、相手にしがみつくようにして何度も礼を言いながら運ばれ。
若しかしたら相手も決して体温は高くないのかもしれないが、吹きっさらしに比べれば天地の差。
少女は意識を失うことなく辿り着いた。
「ありがとう……ええっと、あ、名前は、ナータって言うの。
住んでたのは北の方の……言っても分からないかも。シェンヤンに近い村なんだ」
温めのお湯に体は徐々に温まり、寒さに硬直した体が、表情が少しずつ和らいでいく。
凍え震えてなければ、まだ幼さあどけなさを色濃く残した様子だった。
「奴隷じゃないよ。でも、似たようなもの、かなぁ?ええっと……お姉さん……ミレー族は、分かるよね?」
名乗ったはいいが相手の名を聞いていないことを思い出し、とりあえずそう呼んで。
命を助けてもらった相手。ならば素直に言った方がいいかもしれない。自分がここに、貧民地区にいた理由を。
「……ミレー族みたいになりたい。ううん、ミレー族より、もっと、もっと……」
少女はどこかうっとりと夢見るかのように、禁忌されてもおかしくない種族に憧れるような言葉を発した。
■エミリー > 「ナータちゃん、ね。
私はエミリー。魔法使いだよ。
…シェンヤンは知ってるけど村までは知らないかな。」
そこまで詳しくないし遠出した事も無い
聞いても確かに知らないと答える事になるだろう
「分かるよ。ミレー族の子達って可愛いよねぇ、特にあの耳♪
……奴隷とにたようなもの?」
ミレーの子供達の事を思い出す
が、奴隷に似たものと聞けば首を傾げた
同時に少女の目をしっかりと見てしまう
「ミレー族……ねぇ、もっと…何?」
その先の言葉を促す
少女の瞳に宿る色はどこかおかしい
好奇心がちくちくと刺激される
■ナータ > 「エミリーさん、ね。やっぱり魔法使いさんなんだ。あの鎧さんも魔法を使ったの?」
名と身分を伝えられて。
杖から湯を出し、全身鎧を使役する。
成程、魔法使いであることは本当なのだろう、と。
「あ、エミリーさんも、ミレー族のこと嫌じゃないんだ。私の村もね、シェンヤンに近いから、ミレー族とか嫌じゃなくて……」
「あのね、小さい頃、親に連れられてこの街に来たことがあるの。その時、見たんだ……性奴隷になってるミレー族のこと。私より小さな子から大人まで、何人も。それで……。ねえ、エミリーさん。笑ったりしない?変だって思われるのは仕方ないかもしれないけど……」
その光景を思い出すように目を細めた後、また相手に視線を戻して。
「いいなあって。私もああなりたいなって、思ったの。そうだって気づいたのは後になってからだけど。ううん、本当はね、あの性奴隷のミレー族より、もっと気持ちい存在になりたいなって思ったの。生まれた頃からそうやって育てられて……」
そう言うと、一度言葉を切って相手の反応を伺おうとして。
「でも私はそう育てられてないから。だからね、頭の中までトロトロにしてもらって、自分が誰だかも分からないくらいにされて、死ぬまで気持ちよくなって狂い続ける、生きた玩具にして欲しいって思って、この街に来たの。私ね、男の子嫌いだから、女の人に。そうやって死ぬまで気持ちよくなり続けるのを見てもらって、褒めてもらって、可愛がってもらって。そんなこと、できるわけない、なれるわけないかもしれないけど、村にいても何も変わらないから。だから、この街に来たの」
少女は続きを一気に告げた。
そのやや早口の言葉は、興奮も混じっていたか。
魔法使いを見つめる瞳はどこか潤んでいた。
■エミリー > 「そうだよ。でもゴーさんはちゃんと自分で考えてるからね?」
部屋の隅で立ち尽くす全身鎧に手を振る
静止したまま何の反応もないので置物と割り切るのは難しくないだろう
「変だって思わないよ。この世界は何でも有りだもの♪」
だから話して?と促す
続いて聞いた話は…少し驚いたが少女が思うほどおかしな話でもない
幼い内に性奴隷を見て影響を受けた、それだけだ
「良いんじゃない?
男の人が好きな男も居るし勿論その逆も、そういうお店だって王都には沢山有るしね。」
少女が口にする理想を叶えることはここなら可能かもしれない
少なくとも村を飛び出したのは正解だろう
けれど…そう口にする
「あの場所で見つけたのが、どこかの奴隷商とか変な人だったらその夢はダメになっちゃってたよ?
もし見つけたのが可愛い子が好きなおじさんだったら?」
きっと助けてはもらえただろう
そしてその対価として…と、一旦口を閉じる
「…それにお金も服も食べ物も、貴女には何もないよ?
村から出て来たばっかりの女の子がここでどう暮らすの?」
少女の頬を撫でながら尋ねてみる
同時に少女の目に映るのは夢を馬鹿にせず笑みを浮かべ心配している姿だろう
■ナータ > 「自分で考えて?鎧が……?ふーん……」
手を振る相手に釣られ自分も全身鎧を見る。
微動だにしないそれが自律するとは信じがたいが、相手が嘘を言うとも思えなかったので、そういうものなのだろう、と。
そっち―――魔術の類―――はからっきしであった。
「うん、そういうお店があるのも見たし、私も誰かにって思ったんだ」
お金がなくて行ったりしてないけどね、と付け加えて。
「うーん……わかんない。仕事も見つからないし。でも何とかしなきゃって思ってたから……」
何とかなるよ、と答えるほど少女は楽観的ではなかった。
そして同時に投げやりでもなかった。
もしそうならば、あの場で魔法使いに救いを求めたりはしなかっただろうから。
「それは……」
ツイ、と横を向いた後、俯いて。
「街に来れば何とかなると思って……奴隷商の人に捕まえてもらうことも考えたけど……」
かといって思慮深いわけでもない。結局のところ、行き当たりばったりであり、その結果が凍死寸前、という始末だったのだから。
「ねえ、エミリーさん、人間を生きた玩具にしちゃうような魔法とか、ないの?」
少女は半分興味本位で。半分答えに窮して、心配そうに見つめる相手に首を傾げて尋ねた。
もし疑似的で、一時的あれ、そんな風になれるのならば、と。
■エミリー > 「そう。だからゴーさんは凄いんだよ?」
分かってもらえない気がするがまぁそこは置いておく
ゴーさんがただの鎧等と馬鹿にされなければそれで良いのだ
「そっか…なら、大丈夫かな?」
一応考えてるのかと思ったがすぐに考え直す事になる
奴隷商に捕まえられる事を予定している人は流石に初めて見た
自身の容姿を見ればどうなるかは少し考えれば分かるだろうし買い手が大概男であると考え付きそうだが…
「色々あるよ?
催眠、幻覚、認識阻害。もっと単純なのだと身体を勝手に操るとか…すぐ思いつくのはこんな所かな?」
生きた玩具にするならその辺りだろう
生きたままというのは何かとややこしくなるのですぐに答えられた数は少ない
「あ、奴隷用の魔術とかも有るかな。逆らえない様にする隷属魔術♪」
恐らく少女が知りたいのはそれではないかと口にした
■ナータ > 「ゴーさん?あの鎧?じゃあ、ゴーさんがすごいなら、それを漬かってるエミリーさんもすごいんじゃん!」
若しかしたら初めて見せたかもしれない。
少女らしい笑みで、にっこりと笑いながら純粋に尊敬する言葉を向けた。
少女はもし奴隷商に捕まったとして、その後のことは考えていなかった。
その辺りはいかにも田舎娘、世間知らず、というところかもしれない。
「さいみん、げんかく、にんしきそがい。すごいなぁ……なんとなーくわかるけど、どうなっちゃうのかわかんないや。村には魔法使いなんていなかったし、この街で知り合ってもないし……」
ふんふん、と頷きながら興味深そうに。
その効果内容までは殆ど想像できていなかったが。
「奴隷用の魔術。逆らえないように……あー、あはは。エミリーさん、それは少し違うんだよー?」
そこまで聞くとチッチッチッ、と人差し指を横に振った。
「玩具はね、逆らうことすらできないの。だって、逆らおうとすることが思いつかないんだもん。頭の中空っぽにされて、気持ちいいと嬉しいと幸せ、しか分からなくされたいんだもん。恥ずかしいとも思わないの。だって何をされても、気持ちいいんだもん」
そう、言葉を向けた。
少女自身自覚はしていないが、被虐性の高い陶酔したような表情を浮かべながら。
■エミリー > 「ふっふー♪
そうだよ、結構凄いんだよ?」
と少し自慢げに言ってみる
褒められれば誰だって嬉しいし調子にも乗ってしまう
「そうなんだ?
でも村とかならおかしくないか……素質さえあればだれでも使えるんだけどね。」
教わる者が居ないのだろう
素質が有って自力で魔法が使える様になればそれは天才か怪物と呼ばれる存在だ
「それなら…認識阻害と催眠の同時使用かな。
例えば誰かを大好きにさせてそれを不思議とも思わなくさせる。
後は快楽だけ求める様に思考誘導と調教をすれば完璧かな?」
かなり手間がかかるがそういう方法は存在する
魔法の覚えが有るかかなり裕福な者ならそう言った事も可能だろう
その人間の個性をすり潰し自分の望む通りに変える
まさに生きた玩具だ
■ナータ > 「だよね、だよね!私のことも助けてくれたし、若しかしてエミリーさんって、優しくて素敵な大魔法使い様なんじゃ!」
褒められて気をよくしたのか機嫌良さそうな魔法使い。
それがまた嬉しくて、少女らしくきゃっきゃとはしゃぐように誉めたてた。
「ふぅん、でも、私は魔法使いの素質なさそうだし、なくてもいいかなぁ……だって、そんな風なら、私が掛けられたいもん」
極普通に村に生まれ、極普通に村で死ぬ。
庶民の多くはそれが当たり前として生きているのだから。
「ふんふんふんふん。にんしきそがい、とさいみん、かぁ。掛けられたらどうなっちゃうんだろう。ねえねえ、それを使えばこんなこともできるの?例えば、私の頭の中……記憶とかを弄っちゃうの。例えばエミリーさんの玩具として生まれて、そうなるために育てられてきた、とか」
ある意味自虐的、破滅的なのだろう。
そんな突拍子もないことを口にした。
「こういうのもいいなぁ……気持ちよくなりながら今までの私のこと全部忘れさせられて、気持ちいいだけで生きてきたって変えられちゃったり……」
妄想が膨らみ始めたようで。
■エミリー > 「そう!
私は大魔法使い……って言えると良いなぁ。」
色々な魔法使いを見ているせいでハッキリとは言い切れなかった
もっと派手で凄い魔法を使える者を知っているのでそこだけ少し自信なさげ
「できるよ?
でも戻せないよ?」
記憶を壊すなんてある意味で簡単なのだ
問題はそこから戻したり治したりの方
少女の言う内容を実現させるには…
「本当に私の玩具になっちゃうよ?
時間をかけたら何でもかんでも快楽に思っちゃう変態さんの出来上がり。
よっぽど強烈な思いは消えないだろうけどね。」
自殺ともとれる発言をする少女の言葉は実現可能と伝える
ここで無理にでも止めるのが普通の優しい人なのだろう
だから、自分は特に止めない
■ナータ > 「大丈夫だよっ、今でもすっごくすっごく凄いんだから。今はまだ違っても将来大魔法使いさんになるよっ」
少女は他に魔法使いを知らないからかもしれないが
純粋に尊敬した眼差しで見つめて。
「できるの……?本当に?でも、戻せない……?」
そう告げられて、少女は少し俯いて。
「エミリーさん……戻れなくってもいいって言ったら、してくれる、の?エミリーさんの玩具にして欲しいって言ったら、してくれるの?
だって、若しかしたらあのまま死んじゃったかもしれないから。だったら助けてくれたエミリーさんの玩具になるのが私の望みだったんじゃないかなって……」
そこまで言って、少女は判断を委ねた。
■エミリー > 「そうかなぁ……そうだよね!」
何だかんだエミリーもかなり調子に乗りやすいのだ
その気にさせてしまえば都合よく考えてしまう
「うん。そっち系は得意だからね♪」
そろそろ自分も欲しいと思っていたのだ
都合のいい人間が…ゴーさんにはできない事を任せられる存在が
「してあげるよ。
今のナータをすり潰して私の玩具にしてあげる。
でも、私の玩具になった後は…後悔できないからね?」
フワリと少女の頭に手を乗せ……部屋の明かりが消えた
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエミリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からナータさんが去りました。