2018/11/19 のログ
■竜胆 > 「迷子は………フィリアの方ではなくて?
大丈夫ですわ、フィリアの歩いた後を辿れば良いだけですから。」
土下座を敢行し始める彼女に、軽く言って見せよう。
母の良い人をあまりいじめるのは良くないだろう、任侠小説であれば、山か海かだけど。
この国であれば十中八九、泡風呂……娼館ではないだろうかとか考える。
言わないけれど。
「ええ、竜はすごい存在ですわ、伊達に食物連鎖の頂点ではないのです。」
ふふーん。胸を張ります。
素直な感動の言葉には、ちゃんと答えるお年頃、ドラゴン褒められて気分いいのか尻尾が、ぴこぴこ振られている。
そして、座ったままの相手を見て。
「流石に、そろそろ土下座は良いですわ?」
赦してますから、と、少女は笑いかける。
いつまでも土下座したままというのはこちらとしても本意ではない。
「とんでもなくはないでしょう?
大事なのは、フィリアがどうなりたいか、かと。
それを認める認めないは、また別の話でしょう。
リス母様と、そういう関係になりたいのか、なりたくないのか。
関係なんて、シンプルなものでしょう?
その人と、愛し合いたいか、一緒にいたいか。」
畏れることはないと思うのだ。
人間には柵とかあるけれど、竜にはないからの言葉である。
嫌なら嫌でいいし、なりたいならなればいい、それぐらいである。
■アシュリー > 「わ、わたくしは後は帰るだけですから迷子ではありませんわ!
平民地区まで出れば後の道はわかりますし! こう見えても騎士ですのよ、パトロールで土地勘はありますわ!」
ふんすと鼻息荒く自慢げに。
しかし、此処であったのも何かの縁。リスのもとに無事返すことが騎士としての務めでもあろう。
「そういうことならばわたくしも一緒に行きますわ。もしかしたら見れば道を思い出すかもしれませんし!」
何より強そうなドラゴン少女といえど、婦女子を一人で行かせたとなれば騎士の名折れ。
任せなさいまし、と胸をぽよんと叩いて頼もしいドヤ顔。
まあ、食物連鎖の頂点たるドラゴンにとって騎士もならずものも変わらぬ有象無象だろう。
居ても居なくても変わらないなら、別についていったって構わないはず。
――いまさら一人の帰り道が怖くなったとかでは断じてありませんわ!!!!
「は、はひ。それじゃあお言葉に甘えまして」
さんざん地べたに正座したまま強がった後で、すっくと立ち上がり膝に付いた埃を払う。
竜胆さんの笑顔に、にこりと瀟洒な笑顔で応じて何事もなかったように振る舞って。
「どうなりたいか……」
どうなりたいのだろう。
お兄様は帰ってこないし、きっとわたくしは家を継ぐだろう。
そうなれば、家を遺すために誰かと結婚して――
となると、今のところは政略結婚が有力だ。父の派閥の貴族子息の誰かを婿に取って、という。
――うーん、なんだか実感が湧きませんわ。
「…………でも、リスのことは一回きりですけれど、好きか嫌いかで言えば大好きですのよねえ」
その「好き」がどこまで深い想いなのかは自分でも定かではないけれど。
どこか人とは一線を画している竜胆さんなら、なにかいい助言でもくださるかしら。
■竜胆 > 「自分の歩いた道を覚えてなくて、どうやって、知った道に出るんですの?
え……?騎士……?パトロール……えっ?」
騎士があの速度の土下座……土下座自体は問題はないと思うけどだったらもう少し気骨があってもいいような気がしてならない。
ちょっと脅したら即土下座で騎士は大丈夫なのか不安がむくむぱぁーんと爆発レベル。
ぽよんと揺れる乳房、すごく気分いいぐらいに決まったという雰囲気のドヤ顔。
――――ま、いっか、一人よりは誰かと喋ってる方が楽しいし。
少女は、彼女の思惑通りか、同行を拒否することはしないことにした。
立ち上がる様子を眺めて、ウンウンと頷く。
「ええ、どうしたいのか、どうなりたいのか。
まずはそこを決めてからだと思いますわ?
柵も何もかも、必要なもの、必要ではないものを秤にかけていけばいいのですわ。
それのなかに、お母様に対する好きがどの程度のものか。
それを位置づければいいのではないでしょうか。」
生まれてからひきこもり、本だのなんだの魔術だのを勉強しまくっている。
一応知識だけは多いはずである。
「あとは、何度も会うというのも。
時間がなければ手紙というのもあるのでしょう?意思疎通の手段として。」
そう、言いながら、少女は歩き始める。
立ったままでは冷えるだろうし、魔導書を買うという目的もあるのだし、と。
■アシュリー > 「へ、平民地区にさえ出れば知った道ですから! 方角さえ合っていればいつかたどり着くのですわ!!」
胡乱げな眼差しにムッとして言い返す。
ムッとしてこそいるものの、狼狽えている方が強いのだが。
「騎士ですわ。こう見えても王国軍第十二師団所属のれっきとした騎士でしてよ!」
信じられないのも無理はありませんわね、なんたってわたくし、男所帯に咲く一輪の――
いや正確には二輪目の花。騎士たる無骨者の印象とは違って優雅で瀟洒な婦女に見えますし!
と見当違いの方向にドヤ顔を披露。
「では行きましょう竜胆さん、道すがらお話を聞かせてくださいな。
お家のこととか、ドラゴンのこととか」
立ち直りの早い上機嫌ぶりで、来た道を先導するようにゆっくり歩む。
「どうしたいのか……リスとは仲良くしたいですわ。どうなりたいのか、はわかりません。
家のこともありますし。必要なものと不要なもの……この国を良くするためには、実家の後ろ盾は絶対に必要ですし……
それに跡継ぎが居ませんから、家を切ることは出来ませんもの……」
うんうんと唸る。生来の「捨てられない気質」故に、あれも要るこれも要る、と自分からしがらみに全身でダイブしていく有様。
「そうですわね……リスのお店宛に送ってもいいのかしら、お手紙って。
流石にお仕事のご迷惑ですわよねえ。お家の方がいいのかしら」
悶々としながらも、少しずつ光明を見出していく。
やっぱりドラゴンのかたって智慧があって頼りになるんだなあ、なんて。
「――ところで竜胆さんは、どんな魔導書をお探しでしたの?」
頭がぐるぐるし始めたので、気分転換にそんなことも尋ねてみたり。
■竜胆 > 「道がわからない時点で迷子といっていいと思いますわ。
方角通りにまっすぐ行けないのが、この貧民地区だと思いますの。」
ムッとしている相手、あそういう時は強気になれるんですのね、となんか感心してみる。
本人は気が付いていないのだろう、だからこそ強く有れるのだ。
「身なりから、高貴なお家とは思っておりましたが、騎士様なのですね。
第十二師団……。」
王国は騎士団がたくさんあるから把握が難しい、気が付けば何時の間にかあったり、とか、そんなところもあるぐらいだ。
姉が誘われて、蹴ったのは第何師団だっただろうか、とか。
ドヤ顔をしている彼女を置いて思考を這わせた。
「はい。
お話は構いませんが、フィリアはうちの家の何がお聞きになりたく?
あと、ドラゴンといっても、知っているのと知らないのがいますし。」
先導する相手、まずは最初の角を曲がるのでしたか。
彼女の匂いをたどりながら間違っていないことを確認しつつ付いていく。
「では、最初の方は。
仲良くしたいなら、仲良くすればいいと思いますの。
どうなりたいか、はゆっくり考えればいいのですわ。
家……権力的なものでしょうか。確かに、国を良くするにはあると便利ですわね。権力とは……砂上の楼閣にも見えますが。
後継に関しては、問題はないと思いますけれど?……お母様と『仲良く』したフィリアの方が、わかると思いますが。
別に、家を切り捨てるという考えをしなくてもいいのではないでしょう?」
柵は人には大事らしい、特に彼女にとっては。
それなら、それを尊重をしていいのであろう、身動きができないと錯覚しないように言えばいいだけだと。
「ええ、忙しいからか、手紙は逆に喜びますわ。
借金の督促状を出すとき以外はだいたい楽しそうです。
ラブレターだと仕事中に読んで活力にするわ、とかいうレベルですし。」
仕事中にラブレター読んでにへにへ笑うんですよあのひと、と軽くため息をこぼして。
「―――魔導書は、基本的に戦闘に使えるようなもの、ですわ。
典礼の補助に使うようなものが一番望ましいです。
他には魔法の指南書的なものでも嬉しいですわね、独学ではやはり限界ありますから。」
振られた話。
彼女も手にしているのだからそういう話はできるのだろうと。
家にある分は読み切ってしまいましたし、と。
■アシュリー > 「こ、この話はおしまいですわ!!」
改めてお前は迷子だよ、と突きつけられると泣きそうになる。
いい歳をした騎士が迷子とは、情けない……師団長閣下や両親に知れればそれこそ穴掘って埋まるレベルの恥かもしれない。
「うふふ、悪い貴族や悪い商人を取り締まる師団なのですわ。
この国にあって正義為す騎士団ですから、わたくしが籍を置くのにこれ以上無いのですわ!!」
ふっふーん、と。
竜胆さんが別のことを考えているなど露知らず、自慢げに胸を張って歩く。
商人の娘に商人を取り締まる役目だとバラす迂闊を晒しているが、そこはそれ。
「そうですわねえ……竜胆さんから見た家族の皆様について、とか。
ドラゴンに関しては竜胆さんについて、といったほうがいいかしら。
やっぱりどこかおとぎ話の存在のようで、実感が湧きませんもの」
おぼろげな記憶を頼りに、もと来た道を逆走する。
ここの角はこっちだったかしら、いやこっち……と無駄にフラフラして、逆に竜胆さんに引っ張られていく始末。
「そう、ですわねぇ。今度お手紙でもしたためて見ましょうかしら。
お友達が増えること自体は、きっと家のものも喜ぶでしょうし」
正義を掲げて悪を糾弾するロンディニアの家は周囲の貴族のウケが悪い。
ついでに同じ派閥から見れば、未来旗印なのに弱く、そのくせあちらこちら突っ込んでいくフィリアは頭痛の種。
というわけで友達の少ないお嬢さんは、同性の知人を連れて帰るだけでもきっとたいそう喜ばれるであろう。
「なんなら竜胆さんが遊びにいらしてもいいですし……」
どうかしら、と振り向きざまに首をかしげて。
そのまま踵を石に引っ掛けて尻もちをつく。
「いたたた……そうなのですわ。この国を平民にも住みよい国にするために、家格は重要ですの。
……………………えっと、まあ、ええ。ええ……それはそうかも知れませんけれど。
貴族にはいろいろあるのですわ、ええいろいろ!」
そうなったとして、そうなれば家は――というかロンディニア閥の貴族は、フィリアの子の父親をなんとしても引きずり込むだろう。
国家を貴族の悪政暴虐から解放する、という大義を掲げている以上、その旗印たるロンディニアの令嬢が不義の子を持ったなど絶対に許さないはずだ。
となれば、いろいろな策を講じて婿にしようと企むはず。
まあ、皆様正義を重んじる方々なのでよほどの手段には出ないだろうけれど……
「まあ、可愛らしい。いっぱいお手紙送ってさしあげませんと。
恋文は書いたことありませんから、書き方を学ばないといけませんわねえ……
ふんふん、戦闘用。竜胆さん戦場に出られますの?」
意外、と目を丸くして。
それからにこりと笑む。
「指南書であればわたくしの蔵書にありますわ。
今度平民や貧民の子に学を修めさせる学校を開こうと思っていますの。
そこで興味と才のある子には基礎を修めてもらって、それから魔法学院に進学してもらったり……
竜胆さんがご興味あるなら、放課後にでも読みにいらして?」
楽しげに未来予想図を描きながら。
基礎より上となると、農地改善の魔法であったり、雨乞いの儀式手法であったり、土木関係の魔法だったり。
そういう、民の生活環境を改善する系の魔法ばかりになるが、初歩的な部分であれば協力はできるだろう。
■竜胆 > 「…………」
終わりですわ、とぶった切られた話題に、少女はニヤニヤと笑ってみせる。
にまにまにまにまにま、いたずらっ子な笑みで、アシュリーを見つめて見せるのです、ええ何も言いませんよ?
「騎士団は基本どれも正義を謳っておりますわね。
悪い貴族に商人ですか……こういうところに見せ構える闇商人とかまさに、というところですわね。」
思考は這わせていても、耳はちゃんと聞いております。
役割をばらされても、なるほどなーとばかり、だって。後暗い所なんぞ何もないし。
「まず、リス母様は……色狂い?商売が上手くてお金があるからタチ悪いですわ。
アッシェ母様は……何でもできますわ、出来ないことを探すほうが難しいぐらいの人ですわね。
竜雪お姉様は……若くして竜神の一柱に加えられる程の素晴らしいお姉様ですわ。その分、劣等感が半端ないですの。双子なのにここまで違うというと。
妹のラファルは、動物並みの野生ですわね、基本家にいませんし、いつでもどっかで空飛んでるのでしょうね。
わたくし……ですか、母が人間なので、正確には人竜……ドラゴンハーフというのが正しいでしょう。
本来の竜と比べて、力は、弱いですわ、下等竜にすら勝てません。
人と比べるなら、上位に食い込めますが、その程度でしかないですわ。
魔力はほかのドラゴンよりはありますが……ドラゴンの価値観では認められないのですわ。
あと、こっちですわ。」
逆走しそうな度に、こっちです、こっちです、と引き戻すのが面倒になる。
なので、彼女の手を握って、竜胆が誘導開始する羽目に。
「ええ、どうぞ良しなに。
友人でも、リスも喜ぶと思いますわ。」
ちなみに、リスは貴族に対しては、結構いろいろ手広く金を貸していたりする。
商会の中には、金貸しもしているのだ。
頭の上がらない貴族がいるのかもしれない、これがどう転ぶだろう。
リス自身は、商売だからと、権力とか、そういった話はしていないけれど。
「うーん、遊びに行くのは……そうですわね。
気が向いたら、行かせてもらいますわ?
――――大丈夫ですの?」
なんせ、超引き篭もり竜である、巣穴という名の部屋から出てくること自体が珍しいのだ。
最近は、家の中が騒がしいのでちょくちょく出かけているだけで。
本当に気が向かなければ遊びにはいかないだろう。
石に蹴躓いて転ぶ姿を眺めてから、引き起こそう。
「面倒なのね、貴族って生物―イキカタ―は。」
リスの一族の中で一番ドラゴンに寄った思考をするのがこの娘で。
貴族の色々というところを、その一言で切り捨てる。
そして、婿にと考えるが、リスは少女であり、人をやめた存在……竜である。
金は唸るほどある、というよりも、この国の様々なところに支店を持つ商人である。
貴族や国と癒着なく、関係を持たずにそこまで育っている商会であるゆえに、目をつけられたらどうなるのであろう。
そして、武力で言えば、ドラゴン一匹でも軍が動くレベルであろうが。
それが、少女を含めて、最低5体、他にも眷属として沢山。
物理的金銭的に、かなりの勢力であろう。
ただ、リスを含めた全員が政にはさほどの興味なく、商売に目を向けているのだが。
「ふふ、伝えておいてあげますわ。
――竜ですもの、力は欲しますわ?」
自分に筋力がないから、別のところで求める。
それが、目の前の少女と同じく、魔術であったというところである。
「指南書……そうですわね。
興味ありますわ、お伺いしたくなってきました。」
魔導の指南書、基本的にそれは公開されるものではない。
それがあるというのであれば、魔法を学ぶ少女の目が輝くのだ。
テストケースにするにはちょっと勉強しすぎているだろうが、足を向ける理由にはなるだろう。
「と、近くなってきましたわね。」
くん、と鼻を鳴らして一件の店に視線を向ける。
彼女が入っていた店であろう、が、みえてくる。
■アシュリー > 「なんですのその笑顔は。もーっ」
ぷーっと膨れ面で、黙して笑う竜胆さんに抗議。
なにか言われるより心にぐさりと来るのだ、こういうの。
いいもんいいもん、わたくし迷子じゃないもん、と強がって意地の悪い笑顔を務めてスルーして。
「その中でも腐敗ゼロが自慢でしてよ!」
真っ先に腐りそうな柔らかな新入りが胸を張る。
そして言われてみれば、欲しかった魔導書を手に入れるためとは言え(たぶん)無認可の店で買物してしまったのはどうなのかと不安に。
竜胆さんにこのことはくれぐれも内密に、と青い顔で口止めをお願いして。
「うふふ、リスらしいですわね。立派な商会の店長さんでしょう? 優秀なのですわね。
……へぇ、完璧なお母様ですのね…………うん? うん、お母様、うん……? まあいいですわ。
素敵なお姉さまですのね。わかりますわ、私もお兄様にはてんで勝てなくて……
上が立派だと下は悔しいのですわよね、頑張ってもさすがあのお兄さんの妹、とか言われますし。
それを差し引いても憧れちゃうのですけど…………
妹さんは、えっ、それでいいんですの? どっかで飛んでるって……」
いろいろとぶっ飛んだ一家に常識を覆された気分になりながら、うんうんと楽しげに頷き、手を引かれて書店を目指す。
「その程度と言っても、まだ若くてそれでしょう? 研鑽を積んで知恵と技術を身に着け、身体を鍛えればきっと認められますわ。
それに何も、腕っぷしでドラゴンに認められなくても、お母様……あ、リスの方ですわね、の跡を継ぐとか」
思うところをぽつぽつ呟き、是非皆さんで遊びにいらしてくださいなと微笑む。
蔵書量だけはちょっとした自慢だし、一日中図書室で各々好きな本を読んで過ごすのも楽しそうだ。
すっ転んだお尻をぱんぱんと叩いて、竜胆さんにありがとうございますわと頭を下げる。
「面倒かもしれませんが、責務とそれに見合った信頼、そして対価を頂くのですもの。
貴族たる在り方を保つべし、というのは矜持で義務なのですわ」
腐りかけの王国でも少数派の、貴族たるを全うする貴族の一門。
その次期当主として、最低限度必要な誇りは持っている。
それを為すために必要な力が、政治力であり、民の支持基盤。
武門に生まれて武力に欠ける少女には、それをどうにか身につけることでしか生き残る目は無いだろう。
そして、手っ取り早くそれを身につけるために、魔術はいろいろと便利が利くのだ。
「あら、もうすぐですの? あ、確かに此処通ったかもしれませんわ。
確かそこの建物の隙間の奥の……」
あった、魔導書を買った店。
店主はさっき出ていってもう戻ってきたフィリアを見て、返品はお断りだよ、と嫌そうな顔をするが。
■竜胆 > 「可愛らしいですわねぇ?と」
にまにまにまにまにまにまにま。
ふくれっ面な顔は年寄りも幼く見えるのです、ええ、とても可愛らしい。
「そういうところが多くあればいいですわね?」
腐敗ゼロ、それがどういう意味かまでは、突っ込まないことにする。
ただ、この国が傾きかけているというのは知っているから、彼女のような所が増えるのはいいことなのだろうと思う。
口止めに対しては、仕方ありませんわねぇ?と軽く。
「リスは、同性愛者ですもの。
伴侶もまた、女ですし、そうなれば、もう片方も母となりますわ。
出来て当然、なんでできないの、と言われてしまいますわ。
本当にプレッシャーなのです、完璧な姉を持つと……。
フィリアの言うこと、わかりますわ。
あの子もまた、ドラゴンなのですわ、見ればわかると思います。
ドラゴンなんて、そんなものですの。」
そう言いながら、ドラゴンというのは基本自由に生きてますわ、群れるときは群れますがと。
風の竜だけに、落ち着きが無さ過ぎるんですわ、と。
「だと良いのですが、ドラゴンは基本腕力ですし。
あと、商売は無理ですわ?あんなに寛容になれませんわ。」
商売の才能はともかく、短期で直ぐに物理的に行動するのだ。
流石に、接客商売はできないだろう。
それぐらいは自分でもわかる。
「そういう考え方は、嫌いではないですわ。
誇りを持つことは、いいことです。
わたくしも、ドラゴンであること、これは誇りに思っていますから。
ええ、フィリアの臭いが残っているから、この道であっていますわ。」
ふふ、と笑ってから、匂いを確認しつつ指し示す店を眺めて。
嫌そうな顔をしている店主を見て、ああと軽くつぶやく。
「大丈夫ですわ、私が教えてもらったのです。」
店主に声をかけて、彼女と一緒に店に入り。
雑談をしながら、いくつか魔導書を買い求め、家に戻っていくのだろう。
ちゃんと、フィリアを家に届けてから――――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/裏路地」から竜胆さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/裏路地」からアシュリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にクウさんが現れました。
■クウ > 貧民地区の路地裏の一つ。
この辺りに住むような住人でもない限り近づかないような道を拙い灯りを片手に歩く。
元はまだ道の判る大きな通りを歩いていたのだが、途中で物取りに会い追いかける間に迷い込んでしまう。
奪われた荷物は取り戻し、予定外に何かを斬るという事はしてしまったがそれは些細な事と歩くのだが…。
「ここ……どこ……?」
同じ道を歩いたかもしれない、知らない道かもしれない。
ただ周囲の光景が変わらずに判断出来ず、時折に空を見上げて月の位置を確認し、多分こっちと平民地区でよく見た月の位置。
そして聞こえる人の声を頼りに暗い路地を手元の灯りで照らして歩いていく…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にイーシャさんが現れました。
■イーシャ > 「やぁやぁお嬢さん、迷子かな?」
ほの暗い小路地をわずかな灯りを頼りに進む少女へ、不意にかかる声。
声の主は彼女の前方どころか背後にもおらず、注意深く声を手繰ればそれが上から掛けられたものだと気づくだろう。
彼女の通る道沿いにある家の屋根、そこから見下ろす人影は月明りの逆光ではっきりとせず、赤い二つの瞳だけが怪しく光っていた…。
「って、クウちゃん?こんなとこで何してんの?」
そんないかにもな登場の仕方をしながら、よくよく自らが見下ろしている少女の顔を改めてみると、赤の瞳がぱちくりと2回ほどまばたき。
彼女の名前を口にした声の主は、すぐさま屋根から飛び降りて。
目の前に着地したその姿は、冒険者ギルドで合同で仕事をこなしたり、はたまたターゲットが競合したために競い合いもした、冒険者仲間のミレーの青年だったか。
■クウ > 「……誰…?」
突然にかけられた声に足を止めて周囲を見回す。
前にも後ろにも人影はなく、気配もしなかっただけに不意な声は警戒をするには十分すぎて。
直ぐに片手を刀に添え、前後に居なければ後はと上を見上げれば屋根の上に人影。
月明かりの逆光のお陰で見えるのは二つの赤い瞳と思われる光だけ。
反射的に刀を抜きかけ……
「……イーシャ…?…それ、私の……いう事…。何、してる?」
もし先ほど斬った物取りの仲間なら先に切り捨てるつもりであったが、名前を呼ばれると動きを止め。
その声もよく聞けば知った声、目の前に飛び降りた姿、青年を見れば知った顔。
冒険者ギルドで時折に仕事を組む事もあればライバルだったこともある相手。
まさかの場所での遭遇に目を丸くして見つめ、何をしているのかときき返す。
■イーシャ > 「んー、個人的な…情報収集?
よその町で悪いことしてた連中が、この辺にたむろしてるみたいでさ、顔でも拝んでおこうと思って」
彼女のそっちこそ何してんのという最もな質問に苦笑いを浮かべ、さてどう答えたものかと少し思案。
隠すことのほどでもないと考えれば、屋根の上にいた理由をぺらぺらと述べる。
そんな悪い連中を監視して何をしようとしていたのか、ろくなことではないだろう。
「てっきりそいつらの仲間の女かなーと思ってさ。
それで、クウちゃんは…迷子?」
どうやら彼女のことをならず者連中の仲間と思い声を掛けたらしい。
もし仲間の女だったなら、ちょーっと絆していろいろ教えてもらおうなんて考えていたが、さすがにそこまでは言わないでおく。
最後に改めて、彼女がここにいる理由を、にっこり笑いながら聞いておこうか。
■クウ > 「……仕事じゃ…ない…?
ん……解らないけど……一人、斬った。あっちに転がってる…」
理由を聞けば仕事でもないのにと不思議そうな表情。
ただ悪い連中と聞けば、今さっき斬ったのがその一人かもとさらりと告げる。
「……仲間なら…どうしてた…の?
知ってる…解ってるなら……聞かない…」
もし自分だと判っていなければ何かしてた?と疑いの目を向け。
もっともいきなり襲われでもしていれば問答無用で刀を振るったのがきっと組んだ経験で分かるはず。
そして顔で告げられた言葉に、解ってるならと顔を赤らめる。
■イーシャ > 「仕事じゃないけど、何がお金になるかわからないから。
にしても、クウちゃんも意外と激しいね、まぁ死んだやつはどうでもいいかな。
情報も揃ったしぼちぼち退散しようとしてたとこだし」
ならず者連中について知っていれば、いざ討伐依頼が出たときにすぐに仕留めにいけるし、連中が強盗でも働こうとしていれば、あえて見逃して討伐時に自分のものに…なんてことも考えている。
当然ながら正しい行いではないが、この青年には善悪など興味はない。
だからか、彼女が人を斬ったと告げても驚きはしない。
「聞きたいの?
女相手の尋問なんて、たいてい想像つくでしょ?
それより、ここから出たいなら一緒に行こうか」
彼女に気づかなければ何をしていたかという疑問に、明確に答えることはしない。
ただ、男が女に対して情報を聞き出すときに使う手法など、ありふれ過ぎたもの。
だがそんな冷酷な話より、楽しい話題のほうがいい、迷子を濁す彼女のように。
というわけで、平民地区はこっちだよとばかりに、彼女が通ってきた道を逆戻りしようか。
■クウ > 「…普通に仕事で……稼げるのに。
人の物盗った……天罰。大事なのだから……。
そう……相変わらず…仕事…早いね」
自分と違って色々と考えてると感心した眼で見詰め。
それならギルドで仕事で受ければいいとは考えるが、どう稼ぐかは自由なので強くは言わず。
斬った事に関しては天罰と一言で切って捨てる。
「……エッチ……イーシャに得しかない。
良いなら……助かる……」
その言葉ではっきりと何をするか判らないほど子供ではない。
貴方に得しかないと呆れた目を向けての一言。
ただ市議と以外で物騒な話をするつもりもなく、話題が変わればすぐに乗り。
そっち?と反対に歩き出す青年を慌てて追いかける。
■イーシャ > 「楽しく稼がなきゃね。
相手斬り伏せるくらい大事なものかぁ…俺も気を付けとこ」
この街の、特に最下層に目を光らせておくと、面白いものがごろごろ見つかる。
もちろん、物事の取捨選択や冷酷な判断が必要になるけれど。
盗みを働いた相手を斬り倒した彼女にも、その素養があるかも。
「そりゃあ交渉じゃなくて尋問だからね、遠慮なくめちゃくちゃに…んんっ。
と、せっかくだし、食べてなきゃメシでも一緒にどう?」
彼女の呆れたような視線も意に返さず、得意げに黒い尻尾を揺らして、彼女の前をスムーズに歩いていく。
ついつい尋問過程について口にしそうになって喉を唸らせれば、話を変えて食事のお誘いにシフト。
どちらにせよ、平民地区の夜の賑わいが聞こえてくるだろう。
■クウ > 「……楽しく?それなら…この前、面白いアルバイト…あった。
誰にでも…大事なもの…あるから…」
楽しいと聞けば、先日に見つけた大道芸のアルバイトが面白そうだったと思い出し。
物取りに取られた物は他人にはしょうもないもの、だけど自分には大事なものだと告げて。
「…やっぱりエッチ。それに……変態……?
ご飯……?うん、まだだから……付き合う」
得意げに尻尾を揺らして告げる姿にどれだけするのかと完全に呆れがジト目になり。
何処まで飢えているのかと口に仕掛けるがつむぎ、食事の誘いに頷き。
段々と聞こえてくる平民地区の賑わいに戻ってこれたと安堵の息を吐いて。
■イーシャ > 「面白そうなものは、何事も体験しといたほうがいいよ。
冒険者なんていつくたばるかわかんないからさ…なーんてね」
その面白いアルバイトとやらは想像がつかないが、やっておいたほうがいいとアドバイス。
彼女の言う大事なものとやらには興味はないが、青年にはそれだけ大事なものがあっただろうか。
「相変わらずグサグサ刺してくるね…まぁいいけど。
誘っておいてなんだけど、下心あるかもしれないよ?」
物怖じしない彼女らしい言い方は相変わらずで安心する…そこまでケダモノではないと反論したくはなったけど。
食事の誘いに乗ってくれれば、ニッと笑って近場の酒場にでも入っていこうか。
酒だけでなく食事も提供できるこの店は、酒盛りの時間は過ぎて比較的静かな店内になっていた。
■クウ > 「そうだから…明日に……あったらやってみる…つもり。
だから…大事なの……大事にしたい……」
青年のアドバイスにそうすると頷き、興味もあっただけに早速明日と言い切り。
いつ死ぬか判らない仕事なだけに大事なものを今、もしベッドで死ねるなら一緒に埋葬して欲しいだけに大事にするという考えだと告げ。
「私の故郷…そう言うの……よくないから。
お酒…飲まないなら……大丈夫」
貞操概念の違う国の生まれだけにこういう所は言葉がきつい、だけど強制はせずにただ言うだけ。
下心と言われても身持ちが固いのが自分の取り柄、お酒さえなければと言い切る辺り抜けてもいる。
笑い顔に小さく笑みを浮かべて頷き、着いてはいるのは近くの酒場。
お酒ではなくても食事が出来るので、ここなら美味しく食べれそうと笑みを浮かべて。
■イーシャ > 「そんだけ大事なものがあるっていうだけ、羨ましいかもな。
愛着のあるものなんて、俺には想像つかないよ」
早速明日アルバイトに向かうという彼女に、青年は楽し気に微笑む。
ついで彼女のわずかな言葉に感じる重みは、青年にはなかなか理解できないものでもあって、わずかな羨望を感じた。
「前なんかの打ち上げでべろんべろんになってたもんねぇ。
水かミルクにしておこうか」
以前の大規模な仕事における大勢での打ち上げで、彼女が酒を飲んでしまうハプニングがあったと思う。
その時を思えば苦手な酒を控えるのも当然で。
ふたりして店のテーブル席に座れば、早速料理と飲み物を注文しよう。
青年は肉料理を頼んだが、彼女に倣い飲み物は水にしておいた。
■クウ > 「大事なのが……あると、がんばろうって思えるから。
一個ぐらい……何か…探すの……どう?」
もしかすればその最中に見かけられるかもしれないが、それはそれ。
羨ましいと言われると首を傾げ、きっと探せば見つかると言葉にする。
そう言うものは案外気が付かないうちに近くにあるものだと。
「あの時……大変だった……。
そうしてくれると……凄く、助かる」
以前の大勢での打ち上げ、勧められ飲んだお酒いっぱいでダウンしてしまい。
それだけでなく気が付けば参加者の一人にお持ち帰りされたというハプニング。
思い出すだけで恥ずかしく、水かミルクと何度も頷き。
テーブル席に座ればようやく気を抜けて一息吐き。
飲み物は水、料理は青年に倣って少量ながら肉料理を頼むことにして。
お腹も空いていたのでまだかなと待つように足を揺らして。
■イーシャ > 「そうか…うん、でも俺はそういうのはいいかな。
刹那的な生き方してる方が性に合ってるから、変に引っ張られたくない…というか、向いてないと思う」
はっきり言ってこの青年は悪人型だ。
そんなやつが大事なものを、なんていうのはおこがましいし、弱点にもなる。
彼女に言われると魅力的だが、きっと向いてない。
「誰かにお持ち帰りされちゃったって聞いたけど、何事もなかったわけないよね~?」
確かそんなことがと、余計なことを思い出してにやっと笑いながらその時の追求を。
いくら身持ちが硬いとはいえ酔っぱらった状態ではどうなったやら…と下衆な深読みをしてきた。
食事のほうは先に水が来て、そのしばらくあとに料理がテーブルへと運ばれてくる。
寒くなった時期にぴったりの、焼き立ての肉料理は香ばしい香りを漂わせて食欲を刺激する。
■クウ > 「そう……きっと…後悔……する。
刹那……でも……もっと……楽しみたい……って…思える…はず」
いいと言われると残念だと小さく告げて。
しかし、それを求めないのも冒険者であり、自分はむしろ異端なのかもしれな。
最も自分も大事なものは物なのであるが。
「き、聞かないで……欲しい。思い出したく…ない……」
追及をされると顔はますます真っ赤になり。
言えるはずがない、酔っていたとはいえ流されるままに一晩美味しく頂かれたなど…。
先に水が来れば顔を隠す様にグラスを持ち、少しずつ飲んでいき。
その後に料理が来れば顔を綻ばせて早速とフォークを伸ばして一刺し。
そのまま口に運んで幸せそうな顔で食べ始める。