2018/11/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 情報屋【雷鳴堂】」にクゥエル=エクレールさんが現れました。
■クゥエル=エクレール > 「さて、今日のお客さんは来るのか、それとも来ないのか。」
すっかり宵も深くなり遠くからは酒場街の喧騒が微かに聞こえてくる。特殊な魔術により通常の人は辿り着けないこの店で来るか分からない客を静かに待つ。
勿論、客なんて来ない方がいいのだ。それは悩みを抱えた者がいない証、助けを求める者がいない証だ。
「それでも、こんなご時世だから。やっぱり居るんだろうな。虐げられる弱者も、悪意に泣く種族も。」
■クゥエル=エクレール > 「結局、この文献もハズレ臭いんだけどな。」
ただ待つというのも少々手持ち無沙汰だからと本棚から引きずり出した文献を整理していく。古代の伝承、過去の古地図、遺跡の調査結果、眉唾な噂に至るまでを丁寧に纏めあげ、照らし合わせる。矛盾点を弾き出し自身の考察や経験を元にパズルのピースを作り上げ、1つずつ噛み合わせていく。
「やっぱり帝国の古地図と擦り合わせると国境線に違和感があるな、単なる認識の違いか。それとも表に出てない情報があるのか?」
何度も繰り返して、アプローチを変えて、行き着く果てを模索しても一向に答えの出ない問。そもそもずれているのは王国か帝国か、それすらも未だに曖昧なままだ。
「俺も王家や直轄貴族に睨まれてから結構経つし、あまり大っぴらには動けないんだよなぁ。まさか王城に忍び込むわけにもいかねぇし。」
既に彼の手配書の額は異常な程に跳ね上がり、中々身動きがとれない状況だった。
「隠蔽してるこの店だって正直嗅ぎ付けられる可能性も0とは言い切れんし、やっぱり名前偽ってフィールドワークするしかないのか?」
答えるもののいない問に辟易しながら煙草に火を点ける。
■クゥエル=エクレール > 「悩んでるよりも適当に変なドア開けちまった方が早い...か?暫くは王都からは離れる必要もありそうだが、行くとしたら...。」
教会の総本山神聖都市、奴隷市場の一大マーケット。一度帝国まで足を伸ばして洗い直すか、宛もなくミレーの里を探す手も無い訳じゃない。徒労におわる可能性も否めないが何か情報を引っ掛ける可能性も無い訳じゃない。
「だけどこの店を長く空けるのもおっかないしな。転移魔法でも覚えるか?」
選択肢は掃いて捨てるほどあるのだが、どれを取ってもリスクの方が高いのもまた悩みの種ではある。
いつしか来るか来ないかの客を待つ事よりも自分の行動方針を固めることに比重が寄っているダメ店主なのだった。
■クゥエル=エクレール > カタンとドアの方から物音。何かが投函された音だろうか?
「はてさて、依頼か脅迫状か殺害予告かなっと。」
この店を訪ねる者は少ないが手紙を投函する術を持つものは更に少ない。おどけて見せるが実際には害意のある者の仕業ではないだろう。
「おっと、この筆跡は。」
見覚えのある筆跡に浮かぶ顔。どうやら面倒な頼まれごとらしい。
「まぁ、金払いは良いし知らん仲でもない、ちょっと助けてやるか。」
店周囲の安全を確認して外套を羽織る。此度は少し長旅になるだろう。
「ま、行ってくるわ。」
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 情報屋【雷鳴堂】」からクゥエル=エクレールさんが去りました。