2018/10/22 のログ
ご案内:「王都マグメール貧民地区 娼館通り」にロクサーナさんが現れました。
■ロクサーナ > 「―――またのお越しを、お待ちしており、マス」
教えられたとおりの言葉を、指摘されても直す気の無い仏頂面で告げ、
機械的に頭を下げて客人を見送る。
美しくはあるがとうの立った、しかも気の触れた娼婦を買う客など、
どうせロクなものでは無いと知ってはいるが、それにしても。
立ち去る際にちゃっかり、己の尻も撫でていった男の背を、憎々しげに眦を吊り上げて見送る。
娼館通り、と呼ばれる界隈、夜も更ければ歩いているのは性欲の捌け口を求める客ばかり。
うらぶれた建物の軒先には、客引きをする女や、用心棒をつとめる男の姿。
どちらにも見えない貧相な体躯の己が、客の目にどう見えるかは知らず―――
ただ、客が帰った直後の母が待つ部屋には、何と無く戻りたくなくて。
然程良い空気では無いけれど、屋内よりは新鮮な夜風に吹かれつつ、
暫し、通りを行き交う人々の様子を眺めて過ごすことに。
■ロクサーナ > どれだけの時間、そこでぼんやりしていただろう。
背後から掛けられる声、己の名を呼ぶそれに振り返る。
そこに居たのは年嵩の、面倒見の良い娼婦の一人。
言い難そうに声をひそめて、己の母親に与えられた名を口にされて、
ああ、と笑顔を取り繕いながら頷いた。
「ごめん、……今戻るよ。
ママの面倒はボクがみるから、ジャネットはお仕事に戻って」
ついでに、ぽん、と彼女の肩を叩き、建物の中へ戻って行く。
扉を潜る直前、そっと溜め息を吐いてしまったのは―――――仕方の無い反応、だった。
ご案内:「王都マグメール貧民地区 娼館通り」からロクサーナさんが去りました。