2018/10/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区の安酒場」にティエラさんが現れました。
ティエラ > 貧民地区にある酒場は基本的にいいところとは言えない。
 安く、薄められた酒、それに群がるように来るのは金のない男達でそういうのは基本的に荒くれ者であり、素行がいいわけではない。
 そんな酒場に来るのは一人の踊り娘である。
 なぜ、来るのかといえば……簡単に言えばほかよりも実入りがいいのである。
 こういうところには、基本普通の踊り子は来ないので競争相手が居ない、だからこそ、ここに来るとあらかじめ知れば、女を買う金のない男共は群がってくる。
 そうすると、安酒でも売れるので、その店の収入がよくなり、しっかりと金をもらえる。

 手を出される心配に関しては……皆無である。
 なぜなら、踊る前に香を炊いておく、無論、性欲が減退するものである。
 つまり、女を見に来ても、女を抱く気分にならなくするものである。
 偶に、それを突破するものがいたとしても、手を出したら、周囲の男どもに抜けがけだとリンチに会うのだ。
 こういう酒場に踊りに来るの自体珍しいし、それで来なくなったら彼らの潤いが減るのも確かなので。
 それに、いざという時は女は格闘で伸すこともできる……常連の50%はケリを一度は食らっている。

 ということで、女は何気に安全に仕事に就くことができるのであった。

 今日も、酒場で踊る一日が始まる。

ティエラ > 女は、口元をフェイスヴェールで隠した踊り子の衣装、音楽はない。
 流石にこういうところに吟遊詩人は寄り付かないので、そのへんは諦めている。
 女は腕を上げると、しゃらん、とアクセサリーが涼やかな金属音を響かせる……それが始まりの合図。
 男たちは酒を飲み、笑っている、女の肢体を眺め回すのもいる。
 いつもの視線、粘液じみた男たちの視線を受け止めながら女は、ゆるり、と動き始める。
 それは、移民の民が良く踊るもの、ジプシーダンスとも言う其れで、この国の踊りとは異なるものである。
 ブレスレットを、アンクレットを鳴らしてそれを音楽とし、腰をくねらせ、艶かしく足をさらけ出し、女は踊る。
 くるり、くるりと、回転しながら店の中を踊りながら移動し、男たちの近くを通り過ぎる。
 褐色の肌に僅かににじむ汗の珠を見せながら、手の届くぐらいに近づいて、男の手から逃げるようにくるり、と移動する。
 腰をくねらせ、流し目を送り、女は踊ってみせる。

 男たちの下品な言葉を気にした様子もなく、手を伸ばし、フェイスヴェールの下で甘く笑みを作りあげる。
 男どもの喧騒の中で踊り、女は店の中を眺める。

ティエラ > 「うー……ん……。いないわ……。」

 酒場には、いつもの面々しかいない、興味を引きそうな相手というのは、今回はいなさそうである。
 こういうところにも、偶に凄く素敵な人が来るので、油断はできないのだけれども、今日はいないのだろう。
 残念を胸に、それでも、お金をもらうために女は全力で笑みを作り、踊りを踊る。
 男たちの目を楽しませ、また今後もここに来るように仕向けなければならない。
 酒場を儲けさせなければ、次の依頼はなくなるだろう。
 その場合は別の店に行けばいいだけではあるけれど……。
 しゃらん、シャンシャンと、腕を振るたびにブレスレットが音を鳴らし、足が床を楽器のように鳴らすと同時に、アンクレットが涼やかな音を追加する。
 男たちの腕をかいくぐり、腕を振り、足を上げて情熱的な踊りを女は見せていく。
 しばしの時間が過ぎ去った頃、女は踊りを終了とする。

 最後には軽く一礼し、酒場に用意された部屋へ。
 着替えたり身支度するためにあてがわれた部屋へと移動し、汗をぬぐって酒場に戻る。
 給料を貰えばあとは、酒場の客に戻るのである。

ティエラ > 控え室として借りた部屋で汗をぬぐい、軽く香水を振り直す。
 汗臭さをなくしてから酒場に戻り、店主から今日の分の上がりを貰うことにする。
 お金の入った袋を預かり、そこから数枚取り出して、軽食と酒を注文する。
 常連の客の誘いを断って、軽く食事と酒を堪能する。
 そして、直ぐに席を立ち、軽く全員に挨拶をしてからさることにする。
 毎日来るわけではないが次に来る時を伝えて、女は酒場を去るのであった――――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区の安酒場」からティエラさんが去りました。