2018/09/08 のログ
ニア > 歩き出すとすっかり夜も更けた路地裏に月明かりが差す。
その光彩はまだ人通りの多い大通りへと彼女を導いていく。
何も考えず、ただ気のままに、その光を辿って歩いていく。

片手に持っていた宝石はショートパンツのポケットにしまい込み、
辺りを見渡しながら、今日は何処で飲み明かそうかと…

ニア > やつれた老人や、ボロを纏った子供達
見るからに胡散臭い品々を売りさばく商人など
この通りは貧民地区でも特に賑わっている場所だ。

そんな通りを一人歩いていればナンパに声を掛けられることもしばしば…
それを軽くあしらいながら、辿り着いた酒場。
首元に巻いたマフラーで口元を隠し、彼女は店の中へと消えていく────

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアリゼさんが現れました。
アリゼ > 夕陽が辺りを照らす中、この場に似つかわしくない一人の女騎士が
鎧の擦れる音を響かせながら貧民街に現れた。

「この特徴に当てはまる人物を見たことは?
 白髪交じりの黒髪、長いひげ、茶色のターバン。金とルビーのネックレス」

そう言って路地裏やバラックに住む住民たちに羊皮紙に書かれた特徴を聞いていくが、住民たちは誰もが首を横に振って知らないと答える。

(解呪に関わる商品を取り扱っている商人が貧民地区にいるとは聞いたが、どうして誰一人答えようとしないのだ?
ここの住民たちとは明らかに違うだろう、一目見れば覚えているはず……)

アリゼは悩みながらも、貧民街を歩き続け、なおも住民たちに聞いていく。
彼女を見る目にどこか怪しい目線が混ざっていることにも気づかないまま……

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にグスタフさんが現れました。
グスタフ > 王都とはいっても、富んでるものもいれば貧しいものもいる。
誰もが立派なわけではない。そんなことはわかっているが。
臭いものには蓋をするのが人間らしい。

この貧民街もそういう蓋を被せられている。
とはいえ、だ。鎧姿でうろつく騎士が日常茶飯事なわけもなく。
その女は目立った。人探ししているのは傍目にもわかる。
職業上声をかけないわけにもいかないか。独りごちて近付くと。

「そんな鎧姿で聞きまわってたら、警戒する、くらいのことはわからんか?」

語り掛けながら、諸手を挙げて戦闘の意思はないことを伝えながら近づく。
騎士の腕章を掲げて。不器用ながら、目配せしながら穏やかな声音で近付く。

「何者かね。さすがにその格好でうろつかれるのは、困るな」

アリゼ > この貧民街において、まともな服装をしているということはここの人間ではない証拠。
それも騎士の腕章を持ったなら尚更というわけだ。
アリゼは多少の警戒心を持ちながら、浅黒く逞しい体格をした男に返答する。

「警戒も何も、私はこの商人に会いたいだけだ。
 だが名乗れと言われれば名乗ろう。私の名前はアリゼ・アルクール。
 生まれはウォールセーズだ」

今はほとんど冒険者として活動しているが、騎士としての誇りを忘れたことはない。
堂々とした名乗りを挙げ、鎧に刻まれた紋章を示してみせる。
ほとんど黒く塗りつぶされているが、交差する二振りの剣が確かにそこには刻まれていた。

グスタフ > 「ウォールセーズ……亡国の民か。なるほど。
 確かに鎧は、そのようだ。それを証としたいが、どうかな。
 その鎧を拾った盗人ではない証明にはならんが……まあ、いい」

彼女の鎧の紋章を近付いてまじまじと見る。
女の声、ただものではないのはわかるが。さて。

「そうだろう。商人たちも商売をしたいだけで、
 鎧の君にうろつかれたくないという話さ。協力してほしいなら
 ……鎧をぬいではどうかね。それとも、無理やりが趣味か?」

実のところ、大した情報じゃあない。グスタフ自身もその商人を知っている。
彼女の聞き込みの仕方がまずかっただけだ。深呼吸をして。こっそりと自分の腕に服薬の針を投入した。

彼は服薬暗殺者である。手の触れられる密着戦にもなれば、鎧姿の女とて勝機はあるだろう。

アリゼ > 鎧を脱ぐことはできない。それを知っていてか知らずか、目の前の男はアリゼに提案してきた。
触手が鎧と肉体の緩衝材になっているため下着すら付けることもできないこの状態では、
ほとんど全裸になれと言っているに等しい。

「……なるほどな、そういうことか。なら人気のないところに来い。
 こっちの路地がいいだろう」

そう言って人気のない路地にグスタフを誘い、奥にまで入ったところでアリゼは突然振り返った。
その両手に握られていたのは鎧と同じく黒く輝く大剣だ。まっすぐ正面に構え、グスタフを睨みつける。

「傭兵崩れの下種か。やはり聞き込みより力づくの方がよかったな。
 お前のような輩に舐められずに済む」

グスタフ > 「そいつはちょっと誤解だが、まあいい。結果変わらんか」

突然振りかえって剣を構える相手にも驚きもせず。
軽口を叩きながら相手が剣を構える間に、身を相手に寄せた。
こちらの拳は届かない。相手の剣は届く。構わず更に半歩寄せる。
剣を振りかぶる余裕はないので、大技は出せないだろう。
回り込むように円を描いて身を女と自分の間隙に潜ませていく。
そして、剣以外に触れられる場所にどこでもいいから触れようとする。

アリゼ > アリゼにとってグスタフの行動は予期しないものだった。
ただの傭兵崩れではない、戦士の動きだ。
大剣を振るう暇もなく、だが距離を詰める隙もない。

そして相手の得物が分からない。アリゼにはこれが一番の恐怖だった。
暗殺者の中には針を隠し持つ者がいると聞くが、もしや彼がそうなのだろうか。
だとすればもう一回距離を取り、詰めてきたところを横薙ぎに叩きつけて黙らせる。

そうしようとアリゼが結論を出した瞬間、鎧の下で触手が蠢いた。
ぞわぞわとアリゼの身体を舐めさすり、ほんの数秒体勢を崩す。

「んぁっ……」

思わず声まで漏れてしまったことに焦るが、この数秒は致命的だった。

グスタフ > 距離を取ろうとする。定石だな。
特に感慨もなく、予想した通りに逃げる相手を追おうとしたが。
その相手が僅か以上に体勢を崩した。何があったかはわからんが。
男の拳も止まらない。

「艶めかしい声出しやがって」

相手の胸元に拳が飛び込む、痛打を与えるためではなく押し倒すように。
相手が踏ん張る足を、男の脚が追いついて刈り取り、地面に押し倒した。

「さて、大人しくしろよ」

男の声は女の耳元で聞こえ、その首筋に瞬く間に数本の毒針が突き刺さった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアリゼさんが去りました。