2018/09/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にキサラさんが現れました。
■キサラ > 裏路地。勢いよく駆け抜けていく。
少し開けた場所に井戸を見つけ、立ち止まる。
「お。ついてんじゃん!」とふさふさと尻尾を振りながら呟き、駆けよっていく。
■キサラ > 「水、水っと」
縄を慣れた様子で掴み、井戸へと放り込んだ、が、水音がしない。眉間に皺をよせつつ、井戸をのぞき込む
「……あれ…?あ」
間抜けな声をあげたが、ビシャーン…と反響音が聞こえ満足げに尻尾を揺らし
「へへっ……」
勢いよく水を汲み上げ
■キサラ > 「うん、しょっ…とっ!?」
距離をつかみ損ね、滑車に当たる水桶。盛大に零れる水を頭から被ってしまった。
「……あー…」
やってしまった。耳をへたれさせながら犬のように身体
を震わせ、拭くもの、拭くものと鞄をあさり始めた
■キサラ > しゃがみこみ、鞄を漁るも大きな商家の宴の席への仕事帰りでは拭くものなんて持ち合わせていなかった…。
「参ったな…」
頭をわしわしと乱雑に掻きつつ、マントを脱いでマントでごしごしと頭を拭きだす。暗闇にうごめく布の塊。
■キサラ > 「うぇー…気持ちワリィ…」
テンションが下がりきったまま布の中から顔を出し、一番濡れてしまった頭を振る。普段はふわふわとした毛質は癖毛が強くでてしまう。髪に指通しし、月の光に翳して確認。
「全然拭けてねぇ…。走れば乾くの早くなるかな」
ぽつり呟き尻尾を一振り。そのまま再び走り出す。その姿はすぐに裏路地の闇へと飲まれていき…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からキサラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 雨音響く貧民地区。
少年は一人、雨の中を歩いていた。
傘は持っていないが、厚手のフード付きマントがその役割を担っている。
太陽が隠れてくれるのはありがたいのだが、雨に打たれるのも少しばかり違和感。
おそらくは吸血鬼に血を吸われたことが原因だろうが…難儀なものだ。
かと言って雨宿りできそうな軒先も見当たらない。
「しょーがねーか…」
建物の密集する路地裏へと身体をすべり込ませれば少しはマシだろう。
雨であれば、やんちゃをしている輩もそうはいないだろうし。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」に羽流禍さんが現れました。
■羽流禍 > 雨の降りしきる貧民地区。
しんみりと耳の奥底まで染み込むような雨音が重く響く中、
からころと乾いた足音を響かせながら、前方より歩み寄る女が一人。
「失礼しますぅ。そこの方、ここは何処でしょうかぁ?
どうも、ここは富裕地区には見えないのですよねぇ……」
ゆっくりとした、少し訛った音――東国の訛りであろうか――で女は目の前の少年に問いかけた。
か細い声であったがしかし、不思議と雨の中でもその声ははっきりと届くことだろう。
■ブレイド > さぁっと雨音の響く路地。
貧民地区のそこはお世辞にも綺麗とは言えない。
雨の中に交じる乾いた足音に顔を上げれば
そこにはこのような場所にはまるであわない雅な風情の女性がいた。
「富裕地区?何いってんだ…ここは貧民地区。
しかも路地裏で、あぶねーとこだ。
あんたみたいな人がうろついてたら、襲われちまうぞ?」
やや癖のある喋り方。おっとりとした、ゆっくりとした…どこか色気を感じさせる声。
だが、その内容は少しばかりズレている。
富裕地区といえばここから最も離れている。性質的にも距離的も。
方向音痴なのだろうか
「あんた、この街にくわしくねーのか?旅行者かなんかか?」
■羽流禍 > 「あぁ、やっぱり……。またやってしまったようですねぇ……。
困ったことに……うち、昔から方向音痴でしてねぇ……」
柳眉を下げて困ったように袖を口元にやれば、くすりと漏れ聞こえるのは
妖しくも柔らかな音であった。
「詳しくないもなにも、つい先日この国へ来たばかりの身ですわぁ。
旅行者……ま、そんなところですねぇ」
女は傘を手にしている。その傘を、辺りへ飛沫が飛び散らない程度に
器用にくるくると回し続けている。
そして女の目の前にはマントがあるとはいえ、傘も持たずに雨に打たれている少年が一人。
「……よかったら、傘、入りますぅ?」
女は続けて何か言おうとした様子であったが、眼の前の少年の様子を改めて見やれば一旦その口を閉じ、小首を傾げながらそう問うた。
■ブレイド > 「この辺はあぶねぇから…さっさと平民地区に行ったほうがイイぜ?
何なら送っていってもいいけど、てか、迷子になってんならもうちょっと困れって」
困ったとは言うものの、声色や仕草は余裕そのものに見える。
やや呆れるものの、それすらも楽しんでいる様子。
「旅行者ね。気をつけろよ?
この街は…女にゃ優しくねぇからさ。
特に、あんたみたいな美人だと」
雨だったおかげで絡まれなかったと言ってもいいだろう。
街のチンピラ共が放っておくようには見えない。
金銭的にも、性的にも、蟻の群れに放り込まれた砂糖菓子のごとしだ。
「んや、オレは濡れてるからいい。
あんたの服を濡らしちまっても弁償できなさそうだし」
ひらりと手を振り断る。傘に入れば肩を寄せることにはなるだろう。
自分のマントはもう濡れに濡れているのだから、遠慮もする。
■羽流禍 > 「十分困っていますともぉ。
あら、送って行って下さるのですかぁ?
ありがたいですねぇ……この巡り合わせに感謝ですぅ」
両袖を合わせて感謝の合掌をする女は、はっと気づいたように
泣きぼくろのある方の目を閉じて、ウィンクの形をとる。
この国ではこうでしたかねぇ、などと付け加えつつ。
「それで……そのような『女に優しくない街』に居ながら、
女であるうちに優しくして下さった方の……
ありがたいお名前をぜひ聞きたいですねぇ。うちは、羽流禍《ウルカ》と言いますぅ」
ウルカと名乗った女は軽く礼をすると、にこやかに笑う。
敵意を感じさせるような棘など微塵もない柔らかな笑みであったがしかし、妖しげな香りは
依然として残っている。見る者が見れば簡単に溺れてしまうようなその香りを、女は常に纏っているのである。
■ブレイド > 「かまわねーよ。
あとで奴隷市で見たり、身ぐるみ剥がれてそこらに転がされてるのを見るよかいい。
まぁ、そこらのヤロー共には負けねぇってならよけーなお世話かもしれねーけどさ」
見慣れない仕草ををする女性の姿に首を傾げたが
彼女の国の感謝を表すジェスチャーなのだろうか?
あと、ウィンクを向けられたが、頭上に?を浮かべるにとどまる。
「オレも言っちまえば異邦人みたいなもんだしな。
それに…そういうの嫌いなんだ。
弱いやつ食いものにするようなのさ。っと、オレはブレイド、冒険者だ」
にこやかな彼女の名を聞けば、こちらも名乗る。
もちろん香りはこちらの花にも届いていて、少しばかり警戒心が薄くなっている。
自分でもそれには気づかず、ウルカに歩み寄れば
「で、この辺に用事がねーってならすぐにでも案内するけど…」
■羽流禍 > 「奴隷として商品になるのも、身ぐるみを剥がれてしまうのも困りますねぇ。
いえいえ、お気遣いに感謝しますぅ」
少年の反応を見てウィンクは一般的でないことに気がついたか、今度は合掌をするのみであった。
「しかしまぁ……女が出歩けば奴隷にされるとは、治安が悪いのですねぇ。このような地区は特に、かもしれませんが……まれびとの国は理想郷である、と……そう聞いてやって来たのですがねぇ」
少年から視線を外し、雨雲を見上げながらため息を漏らすウルカ。
その目は、ただ悲嘆に暮れているだけでなく、何か強い意志を感じさせるかのような目であった。
「素敵なお考えをお持ちなのですねぇ。良い行いは貴方の人生……その先の先まで良い結果をもたらしてくれるものに違いありませんから、大事にして下さいねぇ、ぶれいどはん?」
合掌しながら最後に彼の名を呼ぶも、やはり訛っているのであった。
ブレイドが歩み寄ってくれば、口の端が緩く上がる。
「そうですねぇ。
それでしたら是非、すぐに案内をお願いしたいですぅ……
ここは危ない所なのでしょう? 厄介な輩が現れて、
ぶれいどはんにこれ以上のご迷惑をおかけするのはうちの
望むところではないですからねぇ」
■ブレイド > 「ま、このへんは…だな。今のところは。
平民地区ならそんなことはあまりねーと思うけど…それでも薄暗い路地ならどうかな。
理想郷なんてなぁとんだデマだよ。腐り果ててんだ。この国は」
たしかに堕落に身を浸し、よくのままに生きる
貴族王族にとっては理想郷かもしれない。
だが、自分のように虐げられる種族もいるし、同じ人間であろうと弱き貧しきといった者にとっては生きづらい国だ。
「素敵ってもんじゃねーよ。甘ったれた考えだってのはわかってらぁ」
訛っている彼女の言葉だが、妙に耳に心地いい。
鈴の音のように澄んでいるというか…
ふわふわとした綿でくすぐられているような。
名前を呼ばれるだけで、少し照れてしまう。
少しだけ視線をそらし、それを悟られぬようにと歩みだす。
「別に。おせっかいついでだ。
チンピラ共はオレだって気に食わねーし…」
どこか甘い響きを持つウルカの声に少し胸を高鳴らせつつ、裏路地の先を歩く。
雨はまだ止まないようだ。