2018/08/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にルナドールさんが現れました。
■ルナドール > 何かの生き物の声が聞こえたのをきっかけに、人形は夜更けに目を覚ます。
目覚めて暫くはふらついてしまうのもいつものこと、拙い足取りで声の出所を探れば、
己が厄介になっている家の軒先で、か細く鳴く小さな黒猫に気づく。
「え、と………たし、か、……ねこ、さ、ん………」
己の新しい『あるじさま』を思い起こさせる、黒い三角耳と尻尾を持つ生き物。
外が物騒である、ということを思い出すより先に、衝動的に飛び出していた。
震えながらにいにいと鳴いている黒猫を、そっと抱き上げて懐に包み。
目の前でぴるる、と揺れた猫の耳に、そっと頬を擦り寄せる。
「こん、ばん、は……はじめ、まして、ねこ、さん」
空腹なのか、或いは他の理由があるのか。
子猫が鳴く理由が分からない人形は、ただ、あたたかい『キモチイイ』を、
子猫に分け与えようとしていた。
■ルナドール > あたたかい、のは、キモチイイことだ。
そう思って抱きかかえているのに、猫の方がずっと、人形より温かい。
ほんの少し、困惑げに眉根を寄せて―――――
「ね、こさん……どう、して、こんなに、あたたかい、の……?」
返答は、にあああ、というか細い声であった。
小さな命を扱いかねて、けれど捨て置くことも出来ない。
そっと抱きかかえた猫と共に、家の中へ入って行く。
―――――其れ以上のことをするのは、今の人形には難しかったけれど。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からルナドールさんが去りました。