2018/08/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にティエンファさんが現れました。
■ティエンファ > 貧民街の中では有数の大通りであるのに、そこには明りが少ない。
人影は多いのに、そこには言葉が少ない。
壁際、扉際に身を添わせているのは様々な人種の娼婦たち。
女だけではなく、男の姿もあるが、その殆どが、道を行く男達の腕を引き、猫なで声で話しかける。
歓楽街、娼館が立ち並ぶ通りに、青年は居た。
「ほいっと
遊ぶには、金と節度が大事だぜェ?」
少年が無造作に大通りに放り捨てたのは、半裸の男。
気絶した男の上に、その男の物だろう衣服と荷物をポンポンと放り投げる。
「無理矢理ってェのは駄目だ 遊びは遊びで楽しくヤらんとな」
■ティエンファ > 物陰から出て来た乞食が、何を言う訳でもなく当然のように、気絶した男から服や荷物を奪っていく。
それを眺める帝国盛装の青年。 黒く長い髪に、濃紺の衣服。 露な腕を彩る刺青。
腕組みして息を吐けば、自分が出てきた扉を振り返る。
「姐さんらは大丈夫かい? うん、そんなら良かった!
財布見てみたんだけどさ、そもそもこいつ姐さんに払えるだけの金もなかったわ 酷ェもんだよ」
娼館の物を話しながらまた振り返れば、すでに荷物も何も剥ぎ取られた男が全裸で横たわってるだけ。
それを眺めて肩を竦めれば、武士の情けだ、と壁際に落ちてた腐りかけた板切れで股間を隠してやった。
「娼館の用心棒ってのはこう、男の情けない所をまざまざと見せつけられるなァ…」
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエルティさんが現れました。
■エルティ > 「本当はあまり着たくないのよね…ここ」
治安が良くない事で有名な貧民地区、その大通りとなれば運が悪ければいきなりさらわれかねない場所。
そんな危険地帯でも安いものを捜せば足を運ぶしかなく溜息一つ。
ただ危険を冒しただけあり必要なものをそろえる事が出来て満足気。
後は帰るだけと帰路についていれば一軒の娼館の前でどこかで見たような姿。
それが誰かと判れば早足に近づいていき、そして。
「久しぶりね…ティエンファ!」
後ろから近づき声をかけるなり…思い切り足を振り上げる。
■ティエンファ > 「まァ、男ってのは大体情けない所があるもんだが、
対価ってのは大事だな、うん さァて、もうひと仕事ー…」
ところで、この青年は武芸者である。
それも、筋金入りの実践者であり、人間魔物関わらず荒くれ相手に立ちまわって来た猛者でもある。
磨き上げて来た武芸は全て相手を制す為の物であり、殺意や害意を向ける者への対処は骨の髄まで染みついている。
何が言いたいかと言えば、殺意の無い相手…とりわけ、
『自分がこの人は自分の身内だ』と思った相手からの一撃には、てんで弱い。
つまり…
「うん? この声は…エルtおごっ!?」
…避けられず、股間を蹴りあげられて地面に顔から突っ伏した。
声も無く悶えて少しして、涙目で体を起こせば、地べたに座ったまま自分を蹴りあげた相手を見上げる。
「え、エルティ…久しぶりじゃん …死ぬかと思った…っ 男として…っ」
■エルティ > 弟のようで可愛い少年、いつの間にか消えてしまったと思えばこうして普通に仕事をしている。
旅に出るにしても一声欲しかったという悲しみは、久しぶりに見れば怒りに変わり。
荷物を抱えたままに殺意はないが怒気はあり、思い切り男の大事なものを蹴り上げれば気分も晴れる。
「私よ、ティエンファ。元気そうで安心したわ」
地面に突っ伏した姿を見下ろすのは限りなく無表情。
悶える姿を見るとやりすぎたかと考えはするが、今は甘やかさないと決めて。
「本当に久しぶり。大丈夫よ、男として死んでも跡継ぎはいるんだから」
身体を起こし座ったままの少年にようやく笑みを向けて。
■ティエンファ > 蹴りあげられた物が身体の中に埋まってる錯覚を覚え、腰の後ろを叩いて誤魔化しながら痛みを克己で抑え込む。
前よりももうちょっと伸びた身長、分厚くなった身体は、会わなかった間にも鍛え続けていたのだろう。
突然の男女の喧嘩と、用心棒として名の売れた青年が小柄な少女の前にへたってる様子に、周りから好奇の視線。
しかし、青年の方はそれどころではなく、無表情なエルティの目を見れば後口と唾を飲み込む。
そして、痛みが引いた後に口に出した言葉は、
「すまん! 一年間以上ほっぽらかした! …って、うん? 後継ぎ?」
目を丸くすれば慌てて立ち上がり、改めてエルティの目を見る。
■エルティ > 腰の後ろを叩く少年を見下ろし、お仕置きを終えた所で改めてみれば違いに気が付く。
最後に見た時よりも体つきは立派になっている姿にいない間も鍛えていたのだと直ぐに判る。
代わりに自分は最後に会ったときと全く身長も変わらず、僅かに薄い膨らみが大きくなった?程度の変化しかなく。
周囲の好奇に満ちた視線、娼館の用心棒に蹴りを入れた少女は視線を集めるには十分で。
「本当よね……一番大変で不安な時にいなかったんだから。……もしかして忘れたの?」
慌てて立ち上がる少年の視界の先にはほっそりとした少女。
また表情が怒っていると判りやすく変化して歩み寄り。
「産んでって言って子供仕込んだくせに……」
背を伸ばして耳元に口を近づけ、本当に小さな声で囁いた。
■ティエンファ > あと腰回りが大きくなったな、うんうん、とか自分の顎に手を当てて頷く青年。
エルティの眼孔に居竦められて慌てて背筋を伸ばす。
そんな様子に周りからヤジが飛ぶが、それが聞こえる前に、それどころではなくなって。
「いや、覚えてるけど、え、あ、そうか! 結んでたか!!」
目を丸くすれば、遅れてパーっとっ表情を明るくする。 そんな表情は変わらない。
エルティの脇に手を入れて軽々高々と抱き上げれば、ぐるりと回って。
「そうか、でかしたエルティ! 俺がいない間に頑張ってくれたんだな!!」
息を吐き、エルティの身体を腕の中に納める。
きっと、エルティが思いっきり暴れても離さないだろう。
そして、間近で顔を覗き込めば、改めて謝る。
「有難うエルティ …そして、尚更にすまん、心細くさせた」
■エルティ > 何かを頷いている姿に何かあったのかと一度自分を見下ろすがさっぱりと判らず。
背筋を伸ばす姿に今の怒っているというのを解ってくれている様子ににこりと笑い。
周りのヤジに鋭くなった視線を向けて黙らせる、ある意味少しは怖くなっているかもしれずで。
「それならよかったわ。あの時に当たったみたいよ」
言葉の意味が判ったのか目を丸くして、そして表情が明るくなる事に迷惑がられていないという事が判り安堵して。
その油断の隙に軽い身体は高々と抱き上げられ、何が起きたの?とパに来るままに回されて。
「ちょ、ちょっと声大きいから。ティエンファ、落ち着いて…!」
ここまで喜んでくれたことは本当に嬉しい。
でも別な意味で目立ち始めているので落ち着けようとするが、逆に抱きしめられてしまい。
逃れようと暴れるのだがどうやっても逃げれない体格差に諦めて。
「……いいのよ。私もティエンファが相手だからだし…。またこうして会えただけで嬉しい」
間近で顔を覗き込まれ、頬を赤くしてまた会えたことを素直に喜んで。
■ティエンファ > 一年以上会えていなかった相手の変化にこっそり気付きつつ、一先ずそれはあとの楽しみに回して置く。
そして、少女を腕の中に納めたまま、そうかそうかと何度か頷き、ゆっくりと息を吐いた。
少女が何かを囁いた途端の大喜びや、少女の表情を見た娼婦の何人かが察し、にやにやと笑う。
殆どの見物人は訝しげに首を傾げるばかりだが、青年は気にした様子も無い。
「落ち着いた! だが、落ち着き切らんぜこれは
ああ、エルティ、…俺も、また逢えて嬉しい こんな夜に、ここまで来てくれたエルティが居て良かった」
そう言って微笑めば、変わらぬ子供っぽさと、前よりも大人に近づいた落ち着きが混ざった顔で。
そして、人目もはばからず、少女の唇を軽く奪えば、自分が出てきた娼館に顔を向ける。
扉に寄りかかって煙草を吹かしていた太った男が、ニヒルに笑って追っ払う仕草。
「よし、エルティ、荷物を渡しな 家に行こう、こんな時間だから眠っているだろうが、顔が見たい
折角会えた夜なんだ、一緒に帰って、一緒に顔を見させてくれ」
な、と首を傾げる頃には既に歩き出している。
脚が向く方角はエルティの家の方向。 一年会わないでも、忘れるはずもないのだ。
■エルティ > 自分と少年の変化に周囲は生暖かいような笑みや怪訝な顔をする。
怪訝はまだいいのだが、察した生温かな笑みは正直辛いものがあり。
少しは周囲を気にしてほしいが、こういう事に鈍感なのか気にしないのかは以前のままな少年で。
「それは落ち着いてないっていうの。
今日は偶々よ。探し物で来てなかったら会えなかったのよ。
本当に運が良かったのよ?」
微笑む表情は変わらない子供っぽさ、でもその中に大人になりつつある落ち着きがあり思わず見つめて。
人前というのに唇を奪われた事に真っ赤になり。
少年が娼館に顔を向けていた事を見逃して。
「仕事中なんでしょ?私も合わせてあげたいわよ。
それじゃ……頼むわね?」
少年の勢いに押されるままに荷物を手渡して、歩き出す後を慌てて追いかける。
いつ戻って来てもいいように引っ越さずに待っていた家は以前のまま。
駆け足に追いかけて少年の腕に抱きつけば一緒に家にと向かって歩く。
■ティエンファ > 真っ赤になる少女の表情に、にかっと悪戯小僧の様に笑って。
「こんな時に働いてられるかって! おう、頼まれた!!」
歩き出して少し、後ろから腕に抱き着かれれば、少女と笑いあってその場を後にした…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からティエンファさんが去りました。
■エルティ > 「そういう所は変わらないのね。ちゃんと働かないと駄目よ」
本当にと呆れてしまうが、それも少年らしいと笑ってしまい。
腕に抱きついてそのまま歩いて…。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエルティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエルティさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエルティさんが去りました。