2018/05/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシチューさんが現れました。
シチュー > 時刻は夕暮れ。薄暗い貧民地区の奥。蜘蛛の巣じみた細い裏路地の密集している区域。野良犬の濁った呼気や酔っぱらいのうめき声ばかり響く場所に、たったったったっ、と急ぐ足音がする。

「はあっ、はあっ、はあっ……、はぁっ……。
ふう……。もう……、追いかけてこないかな……?
はぁー……、おっかない人たちだったー……。」

息せききって、小道を下ってきたのはミレー族のメイド奴隷。振り返ってケモミミ澄ませ、自分以外の足音が止まった事を確かめると大きく肩を揺らす。……お使いの帰りで柄の悪いグループに絡まれ慌てて逃げてきたのだ。

「お屋敷に戻らなきゃ。――っ!?
……ここもあんまり柄が良くないから、早く抜けないと……」

――不意に、ガラスが割れる音や喘ぎ声がどこかから響いて身をすくませる。何が起きても大声あげても、衛視の背中に届きそうにもないこの場所から平民地区目指して、おっかなびっくり歩みを進め。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 夕暮れの貧民地区。
ゴロツキやら人買いやら女衒やら。
このあたりは特に治安が悪い。強姦現場に出くわすなんて言うのもよくある話。
貧民地区の中でも最低の部類のとおりなのだが、今となっては勝手知ったる何とやらだ。
自分のような冒険者に襲いかかってくるようなゴロツキもいないし。
得物をちらつかせていればまぁまぁ安全。だが、こんなところを丸腰の女が通ればあっという間に食い物だろう。

かと言って、警戒を怠っていては隙をつかれる。無論最低限、気を張って歩いてはいるのだが…
そんなおり、耳に届く小さな足音。

「またか…」

ゴロツキが女でも追い回しているのか?まったく飽きもせずよくやるものだ。
ヒョイッと通りから顔を出し、様子をうかがってみる。

シチュー > 再び、どこかから甲高い女の子の声。「たすけ……っ!」たすけて、と言い終えようとして誰かに口を塞がれたのは容易に想像がつくよな気配がする。ケモミミの右側だけその方向へふいっと向けて、あとは振り返らず足を止めず。足音は早足から小走りに。裏路地に小さく響く靴音の感覚が狭まっていく。

気が焦ったのだろう、前進を続けるミレー族のメイド奴隷は前をよく向いていなかった。

そこは黒髪金眼、自分と同族の冒険者の少年が顔を出した場所。大きく目を丸めて裏返った声を上げ。

「っ……わあぁ!」

彼がとっさに顔をひっこめなければ、そのままおでこをぶつけて、地面に尻もちでもつきそうな勢いで前のめりになる。

ブレイド > 「ったく…」

甲高い悲鳴が聞こえる。聞こえてしまったなら仕方ない。
一応あたりを探してみるかめんどくせーと思いながらも声のした方に目を向ける。
が、そこで見たのは自分に迫ってくる黒髪の…なんだ?なにか。
悲鳴とともに突っ込んでくるそれ。普段ならばとっさにかわすこともできたが…
遠くに聞こえた悲鳴に気を取られてたせいか、不意打ち気味な突進に対応できなかった。

ガツン!!と、硬いものどうしがぶつかる音。

「ぐ、お!?」

くらっとめまい、激しい痛み、何もかもがよくわからないまま尻餅をつく。

シチュー > 目の前に迫った彼の幼さ残る顔立ち。
フードの奥のあるだろうケモミミは見えなかったから、自分と同年代の少年……かどうか判断できる瀬戸際で彼とぶつかり。
自分が尻餅をつく勢いだったそれを彼のほうへとぶつけてしまったらしい。自分もまた、貧民区の路地の上で派手に尻餅をつく。

「あいたた……。
……ご、ごめん……。前をよく見て無くって……。」

痛みで足をパタパタさせつつ、手先でおでこに触れながら涙目になって謝り。

ブレイド > 「ぐおぉぉ……」

しばらくうずくまって、痛みに呻いていた。
まったく覚悟できていないところでの激痛。さすがにすぐに大丈夫と立ち直れない。

「っー…あ、いや…いい……気にすんな」

相手の謝罪を手で制しながらゆっくりと立ち上がる。
改めて相手の格好を見れば…なんだこいつ。
思わず目を丸くしてしまった。
こんなところをそんな格好でうろつくとか正気の沙汰じゃない。

「えー……あー……大丈夫か?」

どこがとは言わない。いろいろと大丈夫か?とききたいところだ。

シチュー > 出会い頭での粗相に恥ずかしそうに身を縮ませながらも立ち上がり。そっと手先で衣服の裾を払う。

「うん、大丈夫。
っても……、怪我の意味で言ったわけじゃなさそうだね。
実はさっき……柄の悪い人たちに追われてここまで逃げてたんだ。逃げたはいいけど……ここも柄が良くなくって。
早く平民区に行こうって急いでたとこだった。ごめんね、痛かったでしょう?」

驚く彼の様子も無理は無いけれど、正気の沙汰じゃないというのはどうにも言い過ぎじゃないだろうか。
自分の事情を話せば、そんな意図せず巻き込んだ彼の具合を心配そうに確かめる。

ブレイド > 「いや、まぁ、追うだろ…そりゃ。そんなカッコじゃ食ってくださいって言ってるようなもんだ。
しっかし逃げ切れてよかったな、さっきの悲鳴の主は……残念だけど今から向かっても間に合わねぇな。
みたところ、どっかのメイドみてーだけど……
この辺は丸腰で女がうろついていいような場所じゃないぜ?」

さっきの悲鳴を思い出せと言わんばかりに渋い顔。
しかもミレー族…耳も隠さず…平民地区ならどこかの金持ちの奴隷だと誰も手を出すことはないだろうが
このあたりはそんなことはお構いなしというやつも多い。

「ま、オレはこう見えても冒険者だし、この程度なら大したことは…コブは出来てるみてーだけどな」

冗談めかしつつも、少女の体を上から下まで。
武器はもってなさそうか…

「で、平民地区まで行くのか?」

シチュー > 「僕は、コンフォート家のメイドだよ。ご主人さまの友達のところへ、物を預けに行く帰りだったんだー。だからこの服だったんだけど……。お兄さんの言う通りだね……。あは……。」

危機管理意識が低いメイド奴隷は、彼の指摘にケモミミを伏せる。ここで出会うのが、彼じゃなくて先の悲鳴を上げさせるような手荒い人だったかもしれない。
ぺたりとミミを伏せて反省する。

「わあ!冒険者!じゃあ、とっても強いんだね!ずっと遠くの国まで旅したりするんだね!
――え!ええ!……、冷やさなきゃ!見せてよ!」

瞳を輝かせた。メイドの身としては冒険者という響きが眩く夢に満ちている様子。冗談はそのまま真に受けて、わたわたと彼の額を探ろうとし。

「うん。……お兄さんはどこへ行くところだったの?」

ブレイド > 「やっぱメイドか…貧民地区にメイド一人で行かせるとか、なってねぇな。
次からは誰か…男一人でも連れてこいよ?でねーと、また同じ…
いや、もっとひでー目にあうかもだぜ?」

今回は逃げ切れたが、次は悲鳴をあげるのは彼女のほうかもしれないのだし。
耳を伏せて反省している彼女、いや、むしろ反省すべきは指示を出したほうなのだが
そこはあえて言わないでおく。メイドの前で主人の至らなさを指摘するのはさすがにまずいと思ったためだ。

「いや、とってもってわけじゃねぇけどな。この辺を適当に歩ける程度には、かな。
つか、オレより自分の心配しろっての。てめーもぶつけたんだろ?頭」

冒険者としてはまぁ、駆け出しから中堅と言ったところで、とても強いとはお世辞にも言えない。
それに、あまり遠出をするような依頼も今は受けていない。
まぁ、夢を壊す必要はないだろうから黙っておく。自分の額を探ろうとするメイドを制しつつ、メイドの額を逆に見てみる。

「ん?オレは適当に…平民地区の大通りかそこらをフラフラしようかってな。
ま、べつにどこに行くってあてはねぇよ」

シチュー > 「ううん、行き先は平民区だったんだ。絡まれて逃げてきたのがこの路地で。……逃げた先が悪かったんだけどね。走るのに夢中になってて。うん……気をつけます」

説明不足だったけれど、とそう付け加えて。どのみち不注意に踏み込んだ先は彼の諭す通りの場所だ。しゅんと小さくなってうつむく。

「それでも、冒険者なんでしょう!お兄さんは街のヒーローなんでしょう!
――僕の頭なら大丈夫だよ。メイド長に怒られるときよく銀のトレイで叩かれて鍛えられてるからね!」

彼の彼自身の評価とはまた別に、自分から見る彼をそう表現してうきうきと声音弾ませる。
逆に見られるおでこを、前髪脇によせて露わにする。
ちょっと赤くなったぐらい。自慢になってない自慢してからから笑って。

ブレイド > 「ま、平民地区も安全とは言いがてーしな。特に…耳。
隠してねーから絡まれるんじゃねーか?
ミレー族っつーのはどこ行ってもろくな目にあわねーぞ?
いや、まぁ…てめーがわりーってわけでもねぇ、わりーのはこの街なんだし、次からは気をつけな」

いきなり現れてぶつかった男に説教されてるのに
なんと素直なことか。
素直なのはいいが、それこそこんなところでは危ないだろう。

「え?あ?ヒーロー…?なのか?冒険者って…ま、そりゃいいとして…
ちょっと赤くなってるけど大丈夫みてーだな。オレよりも頭はかてーみてーだ。
切れてもいねーし、帰ったら冷やしときな」

妙な期待をされているようで、すこし困る。
自分など、わりと小間使いのような仕事で日銭を得てるような冒険者だと言うのに。
まぁ、実情を知らない子供からすれば、冒険者はあこがれの職業ともいえるのでしかたないが。

「まぁいいや、とにかく平民地区にいくってならついてこいよ。
悲鳴の主にはわりぃが、今更行ったところで手遅れだ。
なら、てめーが次の被害者にならねーようにするほうがいい」

シチュー > 「隠したほうがいいかな……。やっぱり。
……ありがとね、おにーさん。見ず知らずの僕にいろいろ教えてくれて。ほんとなら、放っておいても当たり前なのに。おにーさんは優しいな!
――ミレー族に詳しいんだね。もしかして、おにーさんも……?」

どことも知れぬ奴隷に声をかけるのは、説教なんて事はなかった。それがありがたくて、にこにこ笑って見上げる。
気をつけなと言われて「はーい!」と返事を返して。
長いフード付きマントの後ろに尻尾を持っているのかとちらちら、彼の背後を確かめつつも好奇心で揺れる自分の黒尻尾。

「うん!かっこいい!ここで会えるなんて思わなかった!
……いいの?よかったー!僕、心強いや!
――僕はシチューだよ。素敵なおにーさんは何っていうの?」

彼のような冒険者が居て、腐敗した衛兵たちの力不足を補っているんだろう。尊敬の瞳もキラキラ。
一緒になってくれるという申し出にぱああっと表情が輝いて。先の悲鳴の主に申し訳なさそうな顔で振り返りながらも頷き。彼の名前を求めた。

ブレイド > 「屋敷ならいいかもしれねーけどな。外は思ったほどミレー族に甘くねーからな。
襲われることも多いだろうし、それを見ても見て見ぬふりってことになりがちだ
優しいわけじゃねーよ、まぁ…だいたい想像通りだ。
なんつーか、少しでも話したやつがひでー目に合うのが気分わりーだけだって」

マントを少しまくって尻尾をゆらりと揺らしてからまた隠す。
優しいという評価は照れくさいので否定しておくものの
やはり圧巻が弱者を食い物にしているのは見過ごせないと言うか気分が悪いものだ。
だからこその忠告でもある。

「かっこいいって……頭ぶつけてうずくまって呻いてたのがか?
はは、まぁいいけどよ。とりあえず用事が済んでるなら送ってくし、すんでねーなら、付き合う。
どうせ暇だしな。オレはブレイド…つか、シチューって…うまそうな名前だな」

どうも視線がむず痒い。
そんな尊敬されたりするようなものでもないというのに。

シチュー > 「うん……。平民区からここまで、色んな人とすれ違ったけれど……。ほとんどの人は、そのまま目線反らしてたなー。僕らだって人と変わらないのにね。ミミとシッポあるだけなのにね。
――わああ!やっぱり!
ねえねえ、僕、ミレーの知り合いってほとんど居ないんだ。だから友達になろうよ?いいでしょう?いいでしょう?」

ミレー族に対する世間の風当たりにちょっとうつむき加減でミミ伏せって。同族だとわかれば明るい声が弾ける。
そのまま彼のマントの裾に両手をかけてかすかに引っ張るようにしてお強請り。

「冒険者っていうのがかっこいいの!
ありがと!やっぱり優しいね。用事は済んでたから、さっき言ってた平民区の大通りまで一緒にいこー。
ブレイド、よろしく!……あははっ。たまに言われるよ。僕おいしいよー?食べてみる?」

背後に花模様散らすご機嫌な様子で彼を見上げつつ、
後ろ手を組んで彼のまわりをうろうろ、一周する。
名前についてそう言われたら、悪戯っぽい笑顔になり。自分の黒尻尾の先をゆらりと彼の口元まで伸ばしてみせる冗談。

ブレイド > 「あいつらはそうは思ってねーんだ。オレらがそう思っててもな。
だから気をつけろよってことだ。
友達?いいけどよ、オレみてーなのと友だちになってもいいことねーぞ?」

苦笑しつつもマントを引っ張られれば承諾する。
娯楽やら何やらに疎いので面白い話題が提供できるかわからないが。

「そういうもんか?まぁ、いいけどよ。
やさしくねーよ、ふつーだ、ふつー。んじゃ、大通りまでか。とりあえず…。
食べてみるって…そういう冗談はあんまここだとよろしくないぜ?
ほんとに色んな意味で食われちまうぞ?あむ」

なんだかものすごく嬉しそう。
そうよろこばれると、こちらも表情がつい緩んでしまう。
が、悪戯っぽい彼女の笑顔には苦笑を返し、口元まで伸びてきた尻尾の先端を甘く噛む。

シチュー > 「大人の世界って難しいなあ……。今は無理でもさ、人もミレーも仲良くなることってできるかな……?
――いいことあるよ!おにーさんと友達になれるっていうこと!友達ー!ひゃっはー!」

うーむ、と目を伏せて唸って。彼を見上げると、なんだか彼ならやってのけそうな事をそっと尋ねてみせ。
彼の承諾うけたら、ぎぅー!と嬉しそうに彼の背中に両手まわして大はしゃぎ。

「うん。そだね。そこまで出たら、とりあえず安心かな……。
――きゃん!……ほんとに食べられちゃったー!あはは!」

彼の台詞にこくんと頷き。そこまでよろしくねとばかり、ぴたりと肩を寄せ。敏感な尻尾の先端が彼の唇に含まれて小さな甘い悲鳴を上げる。ふるふるっと身震いしながらやや頬を赤らめ。明るい笑い声を弾ませる。

ブレイド > 「わかんねーな。人でもミレーに偏見持ってねーやつもいるってのはわかってるけどよ…
ま、いずれそうなるかもな。てめーが大人になるころにゃ、そうなってりゃいいな。
ってか、騒ぐなって!変なゴロツキが寄ってくるかもしんねーだろ!?ったく…」

人とミレーが仲良くなる。今のこの世では夢物語のような話。
だが、個人であれば実現しているのも事実。ならば、そう遠い未来ではないのかもしれない。
声を上げて喜び、抱きつかれれば照れたように慌てて彼女を制する。少しばかり顔が赤いのは隠せないが。

「甘く噛まれた程度で済んだんだからよかったな。
他のろくでなしだったら、ちっちゃな身体の隅から隅までしゃぶり尽くされてたかもだぜ?
まぁ、大通りまで、とりあえず行くか。道がわかるか?わかんねーなら案内するけどよ」

彼女の尻尾から口を離して、肩を並べたまま歩き出す。
とりあえず、忙しない雰囲気を感じたので手を差し出し。

「はぐれちゃかなわねーからな、手」

シチュー > 「そうなるといいな。……僕のご主人さまは僕のこと、とてもよくしてくれるけど……。他のミレーの子も、そうなってほしいな。おにーさんも僕も、フードでミミ隠さなくていいようにね。
――はーいごめんなさーい。……ふふっ。友達増えちゃったよー、うれしいよー」

彼のフード姿も謎めいて似合っているけれども。じっとその裏にあるだろう彼のミミを見つめて呟き。全く反省している様子もなく謝ってみせ、顔がにまにましてた。

「あは……。身体中おしゃぶりされるの想像したらぞわってなった……。
道はあやふやだから、連れて行ってほしいな。案内よろしく!
――えへー。……ありがと、ブレイド。
ブレイドの手ってあったかいねー」

うっかりそれを思い浮かべては頬の紅色が深くなり。
尻尾の先を戻せばそっと手先で撫でる。
差し出された手を見ると、ふにゃりと子供のような笑顔になって。嬉しそうにその手を握った。
歩きながら、にぎにぎ、にぎにぎ。その手先に柔く力をこめて告げ。

ブレイド > 「良くしてくれてんならよかったな。奴隷って立場じゃなきゃだけど…世間体っつーのもあるしな。
ま、オレはオレでこのカッコも気に入ってるからいいけどな。なんか、かっこいいだろ?」

友達だとはしゃぐ彼女の言葉にちょっと冗談めかして乗ってみる。
笑顔を覗かせる彼女。こんな薄暗い路地だと言うのに眩しいくらいだ。

「そーだろ?
骨までしゃぶられたくなきゃ用心しときな。
ま、道は覚えとけよ?またこんなとこに迷い込んじまって
だーれも助けてくれなかったら…オレがツライからよ。
暖かいか?手…。シチューのほうが暖かそうだろ。名前的にも」

すこし頬を染めた彼女の手。にぎにぎされつつも、体温を感じる。
子供体温とでも言うべきだろうか。温かい。

シチュー > 「うん!かっこいいよ!
裏路地に身を潜める僕らミレーのヒーロー!みたいな!」

僕らのヒーロー応援してる!とばかりに両手広げて。
彼の冗句に弾ける笑顔と身振り、声音が高くなりすぎたら、自分でそれに気づいて慌てて周囲を見回し。ぺろりと赤い舌を突き出して笑った。

「骨までって、それは食べられちゃった後ってこと……!?
うわあああ……。
うん……がんばって覚えるね。
実は僕、こことは少し離れてるけど、貧民区に少しの間暮らしてたことあるんだ。だから、少し覚え直せばいい感じかな。
ツライって……。ふふっ。……、やっぱりブレイドは、良い人だね!」

彼の言葉にぶるぶる、尻尾が毛羽立って震える。
やや青ざめた表情で骨になった自分思い浮かべ。片手で自分の身を抱く。
ふっと微笑むと頬を緩ませたままじっと彼を見上げる。

「あったかいよー。僕の手はブレイドの熱でぽかぽかしてるんだよきっと。それに、ちょっと頼れる感じがする。……やっぱり、剣とかナイフの修行してたりするの?」

にぎにぎ続けながらも、思った事をとりとめなく続けて。
歩幅を彼に合わせて歩き。

ブレイド > 「はは、ヒーローかぁ…そうなれりゃいいんだけどな。
オレはまだまだ弱いし、ビンボーだからよ」

シチューの言葉に笑って応える。
その仕草も愛らしく、主人に愛されていることが伺える。
目の死んだ奴隷たちとは違い、生き生きとした彼女の姿を見ると、なんとなく嬉しくなる。

「まぁ、それだけじゃねぇけどな。
それこそ『お楽しみ』のあとは別の楽しみにつかって
飽きたら売りに出す…くらいのことはあるだろうな。
てめーだって、友達がそういう目にあったらツライだろ?同じだし、ふつーだ」

いい人とか優しいとか言われるのは照れくさい年頃。
悪ぶっているのもなんとなくかっこ悪いかもしれないが…
自分がそんないいものでないことは自分でも知っている。
いいやつだったら、さっきの悲鳴を無視なんてできないだろう。

「んー?まぁ、そりゃな。最低限でも戦えねぇと冒険者なんて名乗れねぇからな。
まだぼちぼち程度の強さだけど、ここいらのチンピラ程度なら負けねーぜ?」

腰のホルダーに収まった二本の剣を見せてにやりと得意げに笑う。
繋ぐ手をゆっくりと揺らしながら路地をゆく