2018/05/09 のログ
■セイン=ディバン > 「男って基本アホなんだよ。意味の無い見栄や、メンツに縛られてるんさ。
ありゃ。こりゃあ一本取られたな。でも……。
オレのさっきの言葉は、世辞じゃあねぇんだけどね」
苦笑する男。そもそも男と言う生物は変なこだわりを持ったりする傾向が強い。
そして、それはこの男も例外ではないのだ。
相手の言葉には、やられた、とばかりに仰け反りつつ。
しかして、相手への言葉は本心だったと言う。
「そうかね。この間なんて、めっちゃくちゃからかわれて大変だったんだ。
アイツ、人の純粋な男心弄びやがってさ……。
そう言ってもらえると、まぁ。嬉しくないわけは無いんだけど」
相手に言葉に、そんな物かね、と首傾げつつも。
ビールのビンを薦められれば、男は首を振り、カウンター席から立ち上がる。
「いや、今日のところはもう上がるよ。
リタちゃんと話も出来たし、目的は達成したしね。
しかし残念。良い仲の男性がいるなら、リタちゃんには手はだせないかな?」
くすくすと笑いつつ、男は転送呪文で金貨の入った袋を呼び出し、カウンターに置く。
ずしり、と重いそれは、明らかに料金としては多いだろうが。
「それじゃ、ご馳走様。酒も料理も美味しかったよ。
あぁ、釣りはいらないから。じゃ、またね」
相手に手を振りつつ店を後にする男。足取りは若干ふらついているが、まだ意識はしっかりしているようで。
そうして、店を出れば一度看板を見上げ、その店名の由来について思いを馳せたりしたんだとか……。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。
■リタ > 「…じゃ私も前言撤回。私もお世辞じゃないですよ~。」
突き抜けた拘りは鬱陶しいものだが、拘りを持たない男性よりも持つ男性の方が魅力的。
彼の拘りは店員にとって魅力的に映ったのだろう、終始笑顔だった。
「あ~…そゆ所も含めて、魅力的なんだろうなって今、思いました。
なんていうか…すっごくキュート。」
酒を断り、立ち上がる彼に名残惜しそうな視線を向けると、その元には大きな袋が。
ああ、これってあの人が言ってたアレのアレだ…そう察する店員。
「ん、ありがとうございました、お気をつけて。また来て下さいね。」
店員は店の外まで出て、彼を送った。
店に戻った店員の後ろに残されている、扉に掛かったプレートは閉店のまま。
店員は残った酒とつまみを胃袋の中に片付けながら、明日のメニューを考える時間に入っていった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からリタさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > 貧民地区のとある酒場。
その扉が内側から勢いよく開け放たれ、大男に襟首をひっつかまれた少年が蹴り出される。
口の端からは血を流し、アザなんかもできたりしていて。
どしゃーっと、派手な音を立てて転がりよたよたと立ち上がる。
「てめっ!てめぇら!!ふざけんなこら!!タイマンで来やがれバカヤロー!!」
酒場に向かって大声で怒鳴る。
まぁ、見ての通り喧嘩して、ボコボコにされたというわけだ。
原因は簡単。客の一人がフードくらい取れよと手を伸ばしてきたのでその手を払った。
それだけだ。
あとはなし崩し的に寄ってたかって袋叩きにされて店を追い出された。
というわけだ。
「くそがっ!てめーら…顔覚えたからな!!」
店の中から笑い声が響く。悔しさと怒りで口角が引きつる。
やってられるか。肩を怒らせてその場を立ち去ろうとするも、膝がカクンと落ちた。
ふらふらと立ち上がりその場から歩き出す。
■ブレイド > 結果的に無銭飲食できたのはいいが、殴られたり蹴られたり
散々だ。
フードは死守したものの口の中や身体のそこらじゅうが痛い。
一対一ならそれなりにやれるつもりではいたが
囲まれてしまったら中途半端な身軽さなど意味はない。
少年も何発か食らわせてやったのだが、自重の軽さが悔やまれる。
先程の大男はびくともしなかった。
あの場で剣を抜かなかった自分を、よく我慢したと心の中で褒めるも
やっぱりタコ殴りにされたことはムカつくし悔しい。
もうあの店には行かないと決めるが、正しく負け犬思考で少し泣きたくなった。
■ブレイド > 「くっそ、思いっきり殴りやがって……」
殴られた頬がヒリヒリする。
きっと腫れているだろうなとは思うが、幸い歯は無事のようだ。
舌で確認した。血の味はするが。
よったよったと頼りない足取り。
とりあえずどこかに座りたい。
だが、この状態ではどこの店にも入れてくれない可能性が高い。
まったく踏んだり蹴ったりだ…されたほうだが。
■ブレイド > 路地裏にいけば、弱者にたかる便所バエ共が寄ってくるだろう。
さすがにそれは嫌だなと思うが…まぁ、貧民地区だとどこも同じか。
とりあえず人目のつかない路地でベタッと腰を下ろす。
「あー…くそ……情けねー…」
ゴロツキ共にすら勝てないなんて…
今になって悔しさがこみ上げてくる。
さすがに泣きはしない。泣きはしないが…
■ブレイド > 壁にもたれかかり、地面を叩く。
八つ当たりにも程があるが、苛立ちを吐き出さなきゃやってられない。
かと言って叫ぶわけにも行かず…
ああ、情けない。
こんな自分も腹が立つ。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にエウロペさんが現れました。
■エウロペ > 今日は富裕地区のとある貴族の依頼でちょっとした仕事…エウロペならできる仕事を終えた帰り。
のはずであるが自宅のある平民地区を通り過ぎ、こうして貧民地区まで足を運んでいた。
それほど高価な召し物は着ていないシンプルなローブ姿ではあるが、やはりこの場所ともなれば彼女の存在は妙に浮いてしまっている。
道を歩く度に彼女のローブの中の豊満な二つの山がたゆんたゆんと揺れ動くのだから、周囲からじろじろと見られるのも仕方が無い。
彼女はまったく気にしていなかったりするのだが。
「…あら……ブレイド?」
ふとエウロペの足が路地の片隅で地べたに座る小柄な人物の前で止まる。
ローブを被っているため顔はよく見えないながらも、なんとなく見知ったその見た目や、人物の醸し出す雰囲気に知り合いの少年ではないかと声をかけ、膝を曲げて顔を覗き込むようにする。
■ブレイド > 「うぐ…」
嫌な場面を見られてしまった。
よりによって知り合いに。
思わずエウロペから顔を背けてしまう。
なんだか、母親に喧嘩に負けたところを見られたような気分になる。
逃げ出したいが、立ち上がるのも億劫だ。
■エウロペ > 「……」
顔を背けられた以上、それより覗き込んだりしないものの、彼の様子を見る限りあまり良いことがあったとは思えない。
何より、気まずい、聞かれたくない、見られたくないという雰囲気がビシバシと伝わってきて、さすがのエウロペもちょっと考えてしまう。
ほのかに感じる血の匂いから、彼は怪我を負っているのは間違いない…何も言わないということは、それほど重症ではないのだろうか。
「怪我は早めに手当てしないと酷くなるわ。
何があったのかわからないけれど、先に手当てだけしましょう?」
ブレイドの前でしゃがみこめば、それこそ母親のように優しく声を掛けていく。
傷を放置すれば化膿したりなど、余計に悪化したりもする。
こんなことで重症化してしまえば、余計恥ずかしいだろうと。
■ブレイド > 「む、う……いいって…こんなの大した事ねーし…」
少し拗ねたような言葉。
重傷ではないし、命に別状はない。
かといって、かすり傷とも言えない。
優しい言葉をかけられると、余計になにか…溢れそうになってしまう。
顔を背けたままであれば、それこそ怪我したようにはあまり見えないだろうが…。
■エウロペ > 「そう?でも私っておせっかいだから
歩けないのなら、抱っこしてあげましょうか?」
会ってしまったのだから、ほうっておけるはずもなく。
彼の頭をローブの上からぽんぽんと優しく撫でようと手を伸ばしていく。
ばつの悪そうな彼の様子を見れば、何かプライドが傷つくことでもあったのだろうと思う。
抱っこというのも別の意味でプライドを刺激しそうな提案でもあるが。
「あんまりこの辺りで長居するのもね…」
手負いの少年と女一人が貧民地区の外、しかも夜中にいつまでも居座るべきではない。
女のほうは魔族なのでなんとかなるかもしれないが、あまり派手なことはしたくはない。
■ブレイド > 「歩けるって!これくらい…へでもねぇ
てか、撫でんなよ…ガキじゃ…ねーんだし……」
そういうものの立てない。
というか、たつことはできるだろうが、ものすごくだるい。
腫れた部分が熱を持ってきたのだろう。
ポンポン撫でられると、思わずエウロペの方に顔を向けてしまう。
それに、言葉もどんどん弱くなる。
ガキじゃねぇ…いや、ガキだからこそ、こうなってしまったのだ。
こんな事も言っているのだ。
ガキだから。
■エウロペ > 「子供じゃないのなら、つべこべ言わないの」
ブレイドの態度にエウロペが顔色を変えることはなく、彼の怪我…頬の腫れや血を拭ったような痕を見ても、笑顔のままなのは圧倒的な年齢差ゆえのもの。
大人として、こんな状態の少年をほうっておけるはずもない。
歩けると豪語する彼であったが、語尾がどんどん弱くなっていく。
そんな彼の身体に両手を伸ばしていけば、そのまま抱き上げようとしてくる。
もちろん、お姫様抱っこスタイルで。
これ以上ムキになるのであれば、強制執行でエウロペの家に連れ帰り手当てを受けさせよう。
例えその結果彼から嫌われたとしても構わないと。
■ブレイド > 「う、ぐ…いいからほっとけ…うわっ!?」
少年だが、男だ。意地がある。
意地があるから意地を張る。
その結果抱き上げられてしまうのだが。
離せと言いたいけど、無言の圧力がかかってくるようで。
というか、抱っこと言ってもこんな抱っこだとは思ってなくて
虚をつかれたというやつだ。
■エウロペ > 「やっぱり軽いわね、羨ましいわ」
お姫様抱っこでブレイドを抱き上げれば、当然ながらローブに包まれたむっちむちの胸やお腹が当たることになる。
この肉体の前では、どんな口うるさい男でも黙ってしまうかも…いろんな意味で。
ほのかに甘いエウロペの匂いはなんとなく気持ちを落ち着かせてくるか。
そんなこんなで比較するのもどうなのかと思うようなことを冗談めかして言いながら、平民地区にあるエウロペの家へと向かい始めた。
■ブレイド > 「ぐー……!」
唸る。唸るにとどまる。文句を言ってもおそらくもっとひどいこと…
恥ずかしい意味でひどいことになるだろう。
むっちりとした身体を感じながら、なにか言いたげな顔。
顔の血行が良くなったせいで、更に熱が上がってくらくらしてしまう。
結局、エウロペの家に連れて行かれてしまうのであった。
■エウロペ > 文句を言えないのか唸るだけのブレイドにくすくす笑いつつ、抱っこされたまま貧民地区を抜けて、平民地区にあるエウロペの家へ。
それほど遠くではなかったが、やはり治安は段違いではある。
エウロペの自宅はブレイドもよく知っているもの、相変わらず小奇麗に片付けられているが生活感はあり、何より部屋に残るエウロペのほのかな匂いがしたりする。
「はい、到着。
それじゃあ手当てするから、服脱ぎなさいね」
家に入るなりブレイドを椅子に座らせて、怪我は恐らく身体全身に負っているのだろうと考え、服を脱ぐように言いつける。
もう家の中なのだ、逃げ場はない。
■ブレイド > 結局連れてこられた家の中。
うつむいて上半身裸になればアザだらけ。
骨は折れていないが、腫れている部分もある。
勲章にもならない未熟の証。
見られて楽しいものじゃない。
言うことは聞くものの無言で下を向いている。
人前だから耐えている…というところもあるが。
■エウロペ > 「…痛かったでしょう…」
まずは上半身を診る。
思っていたよりも酷く、骨折していなくともかなり痛かったはずだ。
その怪我の具合と彼の様子を見て、何があったのかおぼろげながら察することができたかもしれない。
エウロペは手の平を彼のアザのひとつひとつに近づけて、魔力を集中させる。
よくある基本的な回復魔法であるが、魔力が並みの人間と桁違いなため、かなり短時間でアザや腫れがみるみる消えていき、次第に痛みも消えていくだろう。
そんな具合で脚のほうも見ていくことになるが、問題は心の怪我だろうか。