2018/04/18 のログ
リタ > 暇になった店員は手持ち無沙汰を解消するために、小麦粉と卵を混ぜ合わせて簡単な生地を作り始めた。
練られたそれは型に入れられ、オーブンへと放り込まれる。
―数分後、少しばかり色のついた生地を取り出し、串で数箇所穴を開けると再度オーブンへ突っ込んだ。
その間に余ったソーセージ、余って腸に詰められ損ねたミンチを
ザワークラウト、茸、細かく刻んだじゃがいもと共に炒め始める。
オーブンから少し固めに焼きあがった生地に炒めた具材を乗せ…いざ味見。

「…まあまあ…かな。も少し硬くても良いかも。」

次に作る時はああしてこうして…そんな独り言を呟きながら、まかないは店員の胃の中へ。

リタ > さて、お腹を満たした店員は減ったザワークラウトを補充するためにキャベツの繊切りに取り掛かる。
しかし大量の野菜を刻む単純作業はやはり飽きが来るもので…
店員はキャベツの葉を一枚もぎ取ると、そこに二つの穴を開けてお面を作り、それを顔の前へと運ぶ。

「……キャベツの魔物だぞーがおー」

――うん。暇なんだね。
店員は自らの行いに少々羞恥を覚えると、何事もなくそのお面を刻んでいく。
「うわーやられたー」なんて小声が出ていたのは秘密だ。

リタ > しかしどうにも暇を持て余している店員は、新たなキャベツの葉を一枚もぎ取った。

「フフ、それは我々の中では最弱…」

キャベツの葉は目の部分を刳り貫かれ、ご丁寧にも今度は小さなツノがある様子。
食べ物で遊んじゃいけません。歳を考えなさい。
…と、そこに扉が開く事を伝えるベルが鳴った。新たなお客様のご来店。
哀れ第二、第三のキャベツ魔人は出番の無いまま刻まれていく。

「…いらっしゃい。」

店員はその音に反応すると、微笑みながらも包丁を止める事無くそう口にする。
当たり前の様にカウンター席に足を運び、座るその客はどうやら常連の様子。
キャベツを刻む手を止め、水と手拭を客に渡した。そしてそのまま酒棚へ向かい、白ワインを手に取る。
このお客さんはお魚が好きで、飲み物はいつも白ワインなのだ。

「――何にします?今日は鱒がオススメ。」

ワインを持ったままその客に笑顔を向ける。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からリタさんが去りました。
ご案内:「酒場/貧民地区」にフォーコさんが現れました。
フォーコ > どちらかと言うと小汚い酒場で酒を飲んでいた。
二人用のテーブル席に座り、酒やつまみを楽しんでいる。

店は結構な賑わいを見せており、酔った客は騒がしい声をあげていた。
しかし、誰も彼も私の近くに寄ってくることは無い。

私は度数の強い酒を飲み、肉や魚を食べていた。

「ふぅ…。」

店に気を使い、目立たない席にしたのは正解であっただろう。

ご案内:「酒場/貧民地区」に竜胆さんが現れました。
竜胆 > とても、そこは治安の悪い場所である、そんな中に年頃の少女が一人歩けば獲物と見られても間違いはないだろう。
 そんな、柄も場所も悪いその酒場の中に、東洋の服装を身に纏う赤毛の少女が扉を開けてはいる。
 酔客の視線が集中して、それを気にした様子もなく少女はクン、と鼻を鳴らす。
 柔らかな笑みを浮かべた、真紅の髪の少女は、目的の人間を見つけたのか、店の中を優雅に、しかし一直線に迷いなく進んでいく。
 衣擦れの音とともに、下品な野次を掛けられながら、隅の方の席まで進んでいく。

「こちら、宜しいでしょうか?」

 彼女にとっては、馴染みの深い顔であろう、一匹の竜が対面の席に立ち、相席を求める。

フォーコ > 「ああ、構わないよ。」

対面の席に立つ少女に私は笑みを向ける。
少々呑み過ぎているので、顔は赤くなっているし、息も多少酒臭いだろうが。

私は彼女の顔を見て、すぐに大体のことを察した。

彼女がどうやってこの席にやってきたのか。
そして、初対面なのにどことなく見たことのある気がするわけも。

「君は妹さんの方かな?
わざわざ出向いてくれてありがとう。」

私は彼女に席に座る様に促し、店員を呼んだ。

「こういう店に来るのは初めてか?
飲みたい物があればなんでも言ってくれて構わない。」

竜胆 > 「それでは、失礼いたします。」

 楚々とした動きで少女は彼女に対してお辞儀を。
 酒の匂いに関しては、慣れ親しんでいる匂いでもあるので特に気にすることもなく、にこやかな顔は崩れることもない。
 椅子を引き、腰を下ろしてしまえば、笑みを浮かべながら彼女の顔を見る。
 酒に酔ってはいるが、溺れているというレベルではなさそうだ。
 会話もまだ可能なのだろうと判断をした。

「ジャンシアヌ・トゥルネソルと言いますわ。
 お姉様やお母様は竜胆と呼びます。
 お姉様が出した要件で何時までもお待たせするのも、失礼でしょうし。
 大変遅くなり申し明けありません。」

 座ったまま、お辞儀を一つ。
 店員を呼ばれて少女は、ちらりと視線を這わす。

「それでは………。
 そうですね、葡萄のジュースを。」

 彼女の好意に甘えることにして、しかして酒は注文することはせずにする。
 酒が飲めないのではなくて、匂いで、自分の所の酒と比べ、飲む気が起きなかっただけであったが。
 注文を終えてすぐに、彼女の方に視線を向ける。

「さて、お姉様を軍にお誘い頂いた件でお伺いさせていただきました。」

 把握しているとは思えども、最終確認のように少女は言葉として紡ぎ上げる。
 にこやかな笑みを浮かべたまま、彼女の顔を見つめる。

フォーコ > 見た目私よりも年下に見える彼女だが、随分と上品な立ち振る舞いをしていた。
表情にも品が良く出ており、私は頭が覚醒し始める。

「やはりトゥルネソルの人だな。
来てくれて嬉しいよ。
本当は私から伺うべきなのにわざわざすまない。」

ジャンシアヌを名乗る少女に私も頭を下げる。

店員がくると、以外にも彼女はジュースのみを頼んでいた。
私も酒を止め、熱い紅茶を頼むことにする。

「君のお姉さんにも言ったように我が師団は常に人材を募集している。
特に君たちのような有能そうな人材をな。
別に戦闘が苦手なら後方業務でもかまわない。
君たちは力も豊富だし、手先も器用そうだ。
…で、君自身はどう思っているんだ?
私や師団のことを。
正直に話してくれて構わない。」

顔は赤いままだが、頭は段々と素面になっていた。
わざわざ出向いてくれたのだ。
彼女と腹を割って話したい所だ。

竜胆 > 「いいえ、基本、私もお姉様も自由に生きていますから。
 捕まえるのは難しいと思いますわ。」

 思うままに気の向くままに、姉に関してはいつもどこかお気に入りの場所で引っ込んでいることが多い。
 一番捕まえやすいのは、店で働いているリスのみだろう。
 連絡を取れば気がついたときに返事が来てるとか怪異の類とも思われても仕方がなかろう。
 出された、葡萄のジュースを一口口にして、唇を湿らせる。

「そうですね。
 率直に申し上げますと、フォーコ・アッサルト様は、将軍の器ではないと思います。
 師団に関しましては、詳しく調べておりませんが。
 軍としては練度の低い規律の低い単なる破落戸の集まりでしかない。
 そう思っております。

 そう思っている理由も、必要ですか?」

 紅茶を頼んで、真剣に聞く姿勢になった相手。
 少女は表情も態度も崩さずに言葉を続けることにする。

フォーコ > 「そのようだな。 先日は君のお母さん? お父さん?と会ったのだが
窓から入ってきてくれたからな。
君たちは本当に神出鬼没だな。」

確かに、私から出向くことは相当難しいかもしれない。
彼女たちは人間とは何から何まで違うなと、つくづく思う。

私の紅茶が運ばれると、ポットからカップに移し、味わっている。

「いや、結構だ。
短期間でよくそこまで調べたな。
確かに君が言うように、私は将軍の器ではないかもしれないな。
元々先代が引退する時に当時私が一番強かったので私が指名されたにすぎないからな。
それに団員達も荒くれが多いのも事実だ。
だがこれでも我が師団は王国の剣となり盾となりよく働いている方だと思うがな。
まあ、上には上があるのも事実だ。
ただ、君たちが入ってくれるのなら私は君たちを命がけで助けるし、必要があるのなら師団の動きも
変えていこうではないか。」

彼女がここまで細かく分析しているともは思わず、私は瞬いていた。

竜胆 > 「アッシェお母様で、大丈夫ですわ。
 あの方も、もう一人も、自分のことは女と認識しておりますから。
 その上で求め合うのですから変態ですね。」

 しれっと、母親の事をディスることを忘れない。
 それと、今はその話題で盛り上がるつもりもないので、言葉はここで終えて、相手の事を見やる。
 ティーポットから紅茶を注ぎ、飲んで酔いを覚ましている模様が見て取れた。

「ええ、軍事機密とかそういうのは無理でしたが。
 貴女の部下である、ナナカマド……ナナにお会いしまして、お聞きさせていただいた所も幾つか。
 随分したわれている様子ですわ、でも、ナナは自分が役に立ててないと嘆いておりました。

 ……話が逸れましたわね。」

 こちらの分析の評価に対し、情報提供者の存在を示し、彼女の悩みを伝えておく。
 これもまた、今回の目的ではないので話を戻すために打ち切った。

「お姉様の入団の件ですが。

 今、お話させていただいて、確信いたしましたが。
 お断りします。

 無論、私も。

 先ず、一番最初に。
 姉の意思ですが、その気があれば私に話を振ることなく首を縦に振りますから。
 私に話を投げた時点で貴女はお姉様に断られているのです。
 自分で断るのが面倒だっただけとも言いますわ。

 第二に。
 ドラゴンとして言うのであれば、実力主義の竜が、会話だけで実力を認めるか?
 お姉様は私よりもドラゴンに寄ってます。力を認めさせる方法なくして、支配下に入るはずもありません。

 第三に。
 人間として考えれば。私たちはこう見えて、人間年齢で一歳を超えていない赤ん坊です。
 親の加護から離れていない存在ですよ?
 親の承諾というものを取ってくださいまし、ちなみに、アッシェお母様に相談した結果、お断りしてくれとのことです。

 あと、軍に関してもいくつかありますが。」

 これ以上は、軍人である彼女に言っても理解しているであろう、だからまだダメ出しできる余地はあると、言いながら口を閉じる。
 にこやかなまま、毒を吐き出し、相手の返答を待つ。

フォーコ > 「それはいいのではないか?
どちらにもお会いしたが素敵なお二人だし、仲は良いのならそれにこしたことはないだろう。」

変態だのなんだのと言われると、私も何も言えない。
これは自身の正直な感想と自己弁護も多少入っている。

「ナナは普段は自身満々に見えて気を使い過ぎる所があるからな。
そんな風にさせてしまっている私も悪いのかもしれないが。」

既にナナに会っているとは知らず、私は茶を飲む手を止めて聴いていた。
後でナナからも話を聞くとしよう。

「…随分と冷たいではないか。
断ると言うのなら私は諦めるとしよう。

しかしなんだ、そんなに弁が立つものを赤ん坊とは言えんだろう。
君たちを一個人として話を持ちかけたのはそれほど悪くないとは思うのだが。」

私は彼女が口を閉じるのを待ってから、カップに口を付ける。

「軍について言いたいことがあるのなら言って帰ったらどうだ?
今更私の心証を気にすることもないだろう。
聴かれれば答えるぞ。」

矢継ぎ早にダメ出しをされてしまった。
確かに今の私では彼女たちに勝つことは難しいだろう。
以前母親と戦った時は傷すらつけることが出来ずに終わっている。

竜胆 > 母親の話に関しては、扇子を開き口元を隠す。
 その話はする気はありませんわとの意思表示、目的ではないのだ。

(自信、満々……?)

 彼女の言葉に、扇子の奥、口の中で軽く呟く。
 はて、彼女はそんな存在だったか。ふわふわとしてて、気を使う臆病な。
 そう、小動物のような印象、仕事場では頑張っているのだろうと考えることにした。
 それに関しては、彼女達の問題なので、問いかけはやめておく。

「あら?
 欠点をお伝えしてるのに冷たいとは酷いですわ。
 口でなんと言おうとも、年齢は年齢です。
 子供が無邪気に冷たいことを言うのと同じです。
 一個人として立つには、経験が足りないのですから。」

 その後、軍についての話題に、さて。とジュースを一口。

「では、折角のご提案ですから。
 一つ、大雑把な命令で良いのは、部隊長までです。
 二つ、軍隊は、強力な平均を求めるので、強いものを引き抜く前に先ず部隊全体の強化をおすすめします。
 三つ、規律とか、軍機、軍隊には大事です。」

 そこまで言ってから、少女は立ち上がる。

「要件は済みました。
 私は、これで失礼いたしましょう。」

 ジュース。御馳走様でした、と少女は深くお辞儀をする。

フォーコ > 「まあ、その通りだな。」

先日の一件より、どちらかと言えばキツイ事を言われることの方が多い。
私は少し疲れていたこともあり彼女に何も言えずにいた。

子供の無邪気な言葉にしては鋭さが尋常ではない気がする。

「折角の忠告だが、それは聴けんな。
うちはそういうことが苦手な連中が集まってできた組織だ。
内部の者が働きかけて変わるのならともかく、
話を袖に振ったものの提案など聴けるわけがないだろう?
私が守るのはあくまで師団のメンバーだ。」

彼女が立ち上がると、自然それを視線で追う。

「ああ、また用があれば呼び出しておくれ。」

私は深々とお辞儀する彼女を見送ることしか出来ず。
ここ連日、色々ありすぎて本当に疲れていた。

竜胆 > 「では、失礼します。」

 言うべきことは言い、意思は伝え相手に伝わった。
 すべての要件が終わったならば、あとは帰るだけである。
 少女は見送る相手に、にこやかにもう一度お辞儀をして入る時と同じように、一直線に出口に向かう。
 途中、血迷った酔客が、相手をしろよ、と言わんばかりに手を掴んできたので、手加減しながら張り倒した。
 流れるような平手で、吹っ飛ぶ男。
 それが倒れる音をBGMに、少女は酒場を後にするのだった―――

ご案内:「酒場/貧民地区」から竜胆さんが去りました。
フォーコ > 疲れた私はもうしばらく茶を楽しんで。
飲み終えると、重い足取りで店を後にする。

ご案内:「酒場/貧民地区」からフォーコさんが去りました。