2018/04/11 のログ
エズラ > その後も、タイミング良く出されるつまみ類、今では滅多にお目にかかることのできなくなったヴィンテージ・ボトルなど――
異様なまでに行き届いた店内の照明、雑貨、カウンターの素材等――
どれも男好みの隠れ家的な様相。
静かに酒を楽しみつつ、再訪を誓うのであった――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区 酒場」からエズラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカサンドラさんが現れました。
カサンドラ >  
「ふう…敵わないですわ。こうまで治安が悪いだなんて…」

半ば転びそうになりながらも逃げ去る男の背を眺めて溜息一つ

自分が貴族の家に仕えるまで…まぁ、幼少の頃こそは平民の町に住んでいたのだが、
此処はなんというかそれ以上にひどい町であった

「(思えば子供の頃、危険だから近づくなと曾祖母様に言われてましたっけ)」

こうやって王国軍の騎士となり、警邏の任務で訪れることがなければ訪れることはなかったかもしれない

「…さて、あちらにはお店などもあるみたいですけど…」

なぜか向こう側は、示された警邏のルートから外れている
そういうところこそ、何かしらの病巣がある場所だと思うのだが

「(…ま、王国貴族サマ達が何かしら噛んでいるお店なのでしょうね)」

やれやれ、と小さく肩をあげて、帯剣の位置を正しつつ在るきはじめる
あくまでも示されたルートしかゆくつもりはない
妙な正義感などはこの国では大火傷の元である

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にガマグルマさんが現れました。
カサンドラ >  
歩いているとやがて取ってつけたような、みすぼらしい門に突き当たる

足を止め支給された地図と照らし合わせる
なるほど、この先は街道へと出るようだった

地図に書き込まれた順路を守るよう方向を転換する

そちらにも小さいながらお店などが見受けられた
しかしながら日陰にあるこちらの店は巡回ルートの対象となっている

「(儲かっているお店は、所謂袖の下で見逃してもらっている…というヤツなのでしょうね)」

ちらりと先程通った道を見れば大きな馬車が車輪を鳴らしてゆっくりと走っていた
どこぞの貴族様の利用するお店なのだろうことがありありとわかる
当然、そういったルートからはごろつきなども消えてゆくのだろう

「……やれやれ、順路をまわり終わるまでにあと何人に絡まれますかしら……」

ガマグルマ > 貧民地区その物にはそれほどの価値の有る物は無い。
物体として価値のある物は無くとも、形の無い価値ある物に繋がる道筋があるのがこの地区だった。
……もっとも、住人の大半がボロ布を基にした寒さをとりあえずしのぐだけの服装が多い中、今の自分の服装は嫌でも目立つ姿ではあった。

丁度というべきか偶然というべきか。少女騎士が歩く警戒ルート上にあった日陰の店の1軒から出てくるのは己の姿――とともに。
見るからに屈強そうな、冒険者崩れ――山賊とも呼べばしっくりくるのかもしれない。そんな身形の複数の男たちに追い立てられるようにして、道路に転がり出てくる。

「た、たたたた助けてくれぇええええええ!」

全くもって情けない悲鳴ではあるが、外に転がり出てくるなり響くのは助けを求める悲鳴。
とてもではないが友好的でもなく、己と、屈強そうな男たちは対立……というか。正直、脅され集られているかのような匂いは濃く漂うか。
――そのまま放置しておけば、多分少女騎士の『面倒な』お仕事は増える事も無いだろう。

助けを求めた男が、自分と同じ様にこの貧民地区には不似合いな格好をした騎士の姿を認めると――助けを請うように、腕を伸ばしながら再度声を張り上げた。
「き、騎士様ぁぁぁぁあああ!助けてください!」

カサンドラ >  
「……えぇー…」

店から転がり出てきた男、何やらトラブルだろう
明らかに此方に助けを求めてきている

「(…はーぁ、飛んだ災難ですわ)」

この男を助けたところで何か得られるものがあるだろうか…
貧民地区で人助けをしました、など報告をしても大した功績にもなりはしない

──かといって見捨ててしまえばそれは不名誉として残ることになろう
特に、自分の風貌は比較的目立つものだ。噂など広まるのはあっという間である

「そこな方々。事情は存じませんけど助けを求められた以上放っておくわけに参りませんわ。
 とりあえずお話などお聞かせ願えたらと思うのですけれど」

長剣の柄に一応片手を添えつつ、可能な限りゆったりと、彼らに言葉を投げかけた

ガマグルマ > 『なんだコラァ!すっこんでろチビっこぉ!!!』
『ガキが一人歩きたぁ随分平和な世の中じゃねぇか!』

等等。少女の小柄な体躯から、最初はそういった声が並ぶだろう。
それなりに鍛えられている蛮族の様な外観の通りに、野太く、低く、威圧するかのような声音。だが、小柄な少女は軽装であり――軽装という事は少女の他者からの目を惹くだろう要素のひとつである、豊かな二つの果実を目にすれば――男達はいい得物を見つけたとばかりに少女の方に刃物を。鈍器をちらつかせながら無用心に近寄ってくるだろう。

地面に転がって助けを求めた男はと言えば、助けを求めるお願いが聞き届けられた事を把握した後は、マントで自分の身体を多い隠す様にしながら、なにやら身振り手振りで少女へとお礼のつもりなのか。
身体言語で必死に礼を伝えようとしていた。
「さ、最初は取引だといわれてこの店を指定されたんだ!そうしたら事前の相場の数十倍の値段を吹っかけられて、身包みはがされかけてるんだ!」

さて。ここで少女が察しが良ければ一つの違和感を持てるか。
助けを求めた自分は、少女を一目で騎士だと看破した。或いは知っていた。
だが、屈強そうな蛮族もどきの男たちは、少女を騎士だとは思っていない。この差は、少女に違和感として残るかも知れない。

尚。普通の感覚で言えばこんな治安の悪い場所にホイホイと無防備に一人で馬鹿正直に脚を踏み入れるような男は、貴族としての地位は無い事。護衛を雇う金銭に不足している事は情報として場に出されている。
ついでにいえば、それにも拘らず服装だけは何故か上等な富裕地区でもそれなりの価格で取引されそうな服装という、違和感のカタマリのような男が己である。

カサンドラ >  
「チビ……」

イラッときたがそこは冷静を保つ

「(……なぁんだか、引っかかるお方ですこと……とはいえ──)」

かたや経緯を説明する、助けを乞う男
かたやまるで話すら聞くつもりがなさそうな者達

「…これは判断の天秤にかけるまでもありませんわねぇ……」

多少引っかかりを感じつつも、剣を抜かない理由にはならなかった

すらりと腰元から長剣を抜き、正眼に構える

「一応断っておきますけれど、わたくし王国軍第七師団の騎士でしてよ。
 悪漢相手に加減せよとは申し使っていないものですので、お覚悟を。
 …貴方は知っていたようですけれど」

付け加えた言葉は、男…ガマグルマへと視線を送って

ガマグルマ > 他にも、品の無さが言葉に、語彙に溢れたような雑言は並ぶだろう。
賞金首、と言うわけではないが叩けば埃しか出てこないような男達。
途中から、子供を見る目から、一人の女を見る目に変わり、しかもそれが粗野な性格と合わさるのだから少女に与える不満感はさらに割り増しされるか。

『ハッハッハ!おいおいお嬢チャン嘘をつくならもちっとマシな嘘をつきな。』
『第7師団といやぁ最前線送りで有名な師団だぜ?騎士っていや俺達がビビるとでも思ったのかぁ?』

抜かれた剣を見た男達の気配に不穏な物は混じる。敵意を向けてこそいるが、それでも少女の見た目もあり、騎士だという言葉を笑い飛ばすような、ある意味でシアワセ思考をした彼らはカモがネギどころか黄金を背負って飛び込んできたと勘違いしているらしい。

太い腕が、棍棒が少女に向かう。太い腕は、いやらしい事でもたくらんでいるのだろう。二つの目立つ果実へと狙いを定めるようにして伸ばされ――棍棒は意識を刈り取る目的なのか、横薙ぎに軽いスィングと風を切る音と共に少女のこめかみへと。
残る2人はニヤニヤと笑みを浮かべ、少女が捕まる未来でも予想しているのか、動こうともしない。

――ついでにいえば、男たちの動きは洗練されたような物でもなく、バランスの悪い筋肉の付き方もある。脚払い一発でも軽く地面に倒れこむだろうし、並以上の傭兵や騎士であれば簡単に動きを見切れるだろう程度の物だ。所詮、冒険者にさえなれず傭兵にすらなれないどこにでもいるごろつき程度の力量。

「……詳しい話は後でしますので!助けてくれたらそれはもう!」

思わず騎士様呼ばわりした事について触れられると、むしろ不思議そうな表情を浮かべている。このあたりは、持っている情報量の差とでも言うべきなのか、どうなのか。


数秒、時間が経過する。
地面に倒れているのは、賊の男達なのか、或いは少女騎士なのか。

カサンドラ >  
「………はぁー…」

まるで話をまともに聞かない男達、大きな溜息が出る。兎にも角にも面倒だという視線を送り…

───次の瞬間には、その小さな身体が跳ねていた
いつ振るったかもわからぬ剣閃と共に少女が跳ね踊れば、男の振るった棍棒は根本からすっぱりと斬り落とされ、
少女に向けて手を伸ばしていた男はその顎に脚甲による蹴りを叩き込まれ一瞬で意識を刈り取られていた

まるで一瞬の出来事
その刃の走りの鋭さ、身のこなしの軽やかさはふわりと風に踊る少女の衣装や髪の印象も含め、優雅
剣術に疎い者でもその少女、カサンドラに才気と可能性を感じさせる、そんな動きを魅せる

気がつけば虚を突かれた後ろの男達もあっさりと気絶させられていた
自分をチビ呼ばわりした男は2割増、ガキ呼ばわりした男は5割増で叩きのめしたあたり、冷静を保ちつつ怒っていたようであった

「相手の力も見抜けず此の国でゴロツキやってるなんて自殺行為ですわ。どうにかして真っ当に働くことですわね」

音もなく帯剣しつつ、大半意識がないであろう男達にそう言葉を投げかけると、後ろを振り返る

「貴方もほいほい騙されて危険な目に会うようならこの町には来ないことをおすすめしますわよ」

ガマグルマ > 目にも留まらぬとはこの事か。一陣の風が吹き抜ける様に少女が動きを始めれば、離れてみていた筈の自分でも目で追いきれるような速度ではなかった。
気がつけば先ほどまで自分達を脅していた男たちは地面に倒れ。
男たちが地面に倒れる時の音と、斬り飛ばされた棍棒の端が地面に落ちる音どちらが先立ったかすら判別が出来ないほどの電光石火の早業に見えていた。

……なにやらダメージに差が見えるような気がしないでもないがそこは敢えて触れなかった。目の前の少女はどうやら冷静な様でいて、怒ってはいたらしい。とりもなおさず、それは感情や思考を隠す事を苦手とはしていないだろう、という事だけは自分に伝わった。


「いや多分、真っ当に働けなくて中途半端に力だけがあるからゴロツキになったんじゃーないかなー……って騎士様ありがとうございます!もうダメかと思った!」

後ろを振り向く少女には感謝の言葉と共に、土下座でもするかのような格好で拝む自分の姿。まさかこんな貧しい地区にまで正規の騎士が巡回に来るとは思ってもいなかったのだから感謝と、感動の量は随分と大きいようだった。

「いやまぁ、ネタ……情報を仕入れる仕事の為には多少の危険は付き物のつもりだったんだけどなぁ…。今、裏の社会で噂になっている薬の記事を書こうとしていたんだけど……。って、助けられて名前一つ名乗らないのもね。どうも、ガマグルマ――あ、これは本名ね。ジャーナリストとして寄稿している時はアナグマって名乗ってる。助けてくれて有難う、騎士様……っていうか、確か第7師団の新人枠では見込みがあるってことで有名なんだけどねぇ、貴女は。」

そこそこの情報量と、情報を仕入れるルートを保有していることだけは匂わせる言葉。騎士団とも繋がりがある事。それと、少なくとも他にも情報共有の網は持っているだろう事を伺わせる様に――ちらり、とマントの内側から見せたのは、とある有力貴族の家紋が複数。

「とにもかくにも助かりました。……お礼を、と言いたい所ですがその…手持ちがこんな感じで。お金以外で何かのお礼が出来れば良いのですが――」

ささっとマントの中から出されてくるのは皮袋だ。
ちんまい。子供の財布よりは気持ち膨らんでいる程度。つまりそれくらいしか所持金が残っていない事を示している。

カサンドラ >  
「どーせ長生きできない生き方を選ぶくらいなら死ぬ気になれば何かはできますわよ」

やれやれ、と頬にかかった髪を手でなおし、改めて男…ガマグルマへと向き直る

「ああ…情報屋の類でしたのね」

はぁーっと大きな溜息をつく…視線を戻せば名乗りついでの、皮袋

「有名なのでしたら嬉しい限りですけれど、でしたら名乗りは不要ですかしら。
 あと職務ですしお礼は結構でしてよ。働きの対価はお給金で十分ですわ」

皮袋に手の平を向けて、遠慮するという意思を示す

「まぁ、今後はお気をつけてくださいまし。
 危険を承知で行動するのは好きになさると良いですけれど、わたくしの見ていないところで危険な目にあってくださいな」

まるで身も蓋もない
そんな言葉を投げかけつつも、少女の心の中では打算的な思考がぐーるぐる

「(この手合いと仲良くしておくのはアリかもしれませんわね…。入手できる情報は多くて困るってこともありませんもの)」

……しかしこんな場所で危険な目にあっているような男が腕の立つものかどうか
若干悩ましいところであった