2018/03/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏路地」にルーシェさんが現れました。
■ルーシェ > 崩れかけの様な木造の建物が密集する貧民地区。
大通りには娼婦宿や、酒場、いかがわしい物を売買する店から奴隷を取り扱うところまであり、正にこの国の汚濁の滞留地点といった様な場所。
普段なら絶対近寄らないような場所だが、これだけ人の欲望が渦巻くと魔族の国と瘴気を繋いで通話するには絶好のポイントでもある。
砦でのひと仕事を終え、暫くは人里の美味しいものに舌鼓をウトウトしていたところに、魔族の国からの使者が訪れたのだ。
……といっても、鴉の一羽だけだが。
鴉に掛けれた術越しに、会話をすべく路地裏へと入り、人がすれ違うぐらいは出来る狭さの奥地へ。
ホコリまみれの木箱を軽く払うと、そこに腰を下ろしながら会話を始めたのは30分程前のことだった。
「だ~か~ら~っ、私は攻め込んだりする気ないの。一応ほら、お仕事だから防衛はするけど、砦の事だって本来管轄外なんだからね?」
鴉から浮かぶ紫色のモヤに向かって話しかけているが、魔術の心得がない者がみたなら、鴉に話しかけるおかしな娘に見えるだろう。
モヤの向こうに繋がっているのは、魔族の国でも好戦派の魔族の一派。
改めて砦を奪還する作戦への動向を願われたのだが、紙袋を抱えたままイヤイヤと緩く頭を振っている。
「攻め込みたいんだったら、人殺す気満々の吸血鬼さんとか、淫魔さんとか色々いるでしょ? そっちにお願いしてよね、私は戦いたくないんだから」
わかったねと言いたげに語尾を荒げながら念押しするも、モヤの向こうでは納得行かぬように言葉がどもっていく。
小さく溜息を溢しながら指先に魔力を灯すと、ぱちんと音を立てて弾き、弾ける魔力の余波で術を吹き飛ばしてしまう。
通信を強制的に終了させると、帰っていいよというように鴉を追い払うように手を振り、すんなりと飛び去る姿を見上げ……小さく溜息を零しながら、壁に寄りかかった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 裏路地」にレヴィアさんが現れました。
■レヴィア > 本格的に煮詰まってきた執筆中の小説。
生活費を稼ぐ為に書いているパトロンつきのタイトルで、ぐだぐだ煮詰まってるのはその小説の大事な部分ではないけども、大事な部分ではないのだけどパトロンに好評の俗に言う濡れ場シーンとか、その手の場面。
当初は官能小説の心算は無かったのだがパトロンが書けと書け!と言うのだから、生活費を盾に取られると悲しいかハイとイエスしか返事が出来ず、今もその題材とネタを集めに普段なら立ち入らぬ地区のそれも裏路地と言うあまり好ましくない場所へと足を踏み込んだ。
今宵は最初から小細工などせず、あまり好ましくない視線を全身に浴びながらも威風堂々と漆黒のドレスの裾をひるがえし、靴の踵を大いに鳴らしながら歩く歩く……。
人の欲望渦巻く領域は正直嫌いである。
浅ましさ、嫉妬、性欲に暴力に怠惰に諦めに苦痛に諸々。
ダメなのだ人間は大好きだけど、この手の感情を浴びてしまうと……狂いたくなる。
どす黒く甘い甘い感情の蜜が垂れ流しになる空間は病的に白い肌にヒリヒリとクるモノがある、嫌いじゃない、寧ろ好き、矢張り嫌いじゃない好き過ぎて困るのだ。
あわよくば屋敷に一人ぐらい貧民地区の娘でも誘って気まぐれに美味しく育てようか?それとも美味しそうな蕾を喰い散らかそうか?どうしよう、どうしよう、どうしよう……?
真紅の双眸は吸血鬼の性とも言える狂気の片鱗を宿し、白い頬に薄紅を散らし――唇は恍惚の笑みを浮べ、より深く闇を覗こうと着用していた銀縁の眼鏡を指先で摘み、外して裸眼になると同時に眼鏡を握り締め、クシャと潰すと眼鏡だった物は金属の塊となり、塊は瞳と同じ色の真紅の蝶となり羽ばたいて夜の闇に消える。
――…其処までして、美味しそうなの喰い散らかす気満載で足を進めていけば、壁に寄りかかっているのは娼婦だろうか?
この闇の坩堝のような下層に合わぬ空気を漂わせる花を見つけ、まず最初に頂いてしまおうと、恍惚の笑みのまま壁に寄りかかる少女に声をかける。
「……こんばんはフロイライン。此処はとても危険な場所よ?ふらふらしていると危険な蜘蛛の巣につかまってしまうわ?」
と、なるべく声を抑えて抑えて囁くように言葉を紡ぐ事で、言葉の裏に潜む毒牙を隠す……。
そして距離は後1mもない、互いが視認出来る距離で有り、その距離は吸血鬼にとって逃がさない絶対の間合いでもあった。
■ルーシェ > これだから魔族の国の同族とはウマが合わない。
人は殺す、皆殺しにするか自分達の食料だと宣うのが多い。
別段殺しも、人を食らうことも否定しないが、そればかりなのが飽き飽きする。
殺してくらい続ければ、餌を失うのは自分達だというのも分かっていないのがまた滑稽だと、珍しく重たいことを考えてしまう。
嫌なことを考えてしまったと深い溜め息を零すものの、大事に抱えていた紙袋を見やれば、満面の微笑みへと変わっていった。
中には王都で流行りのお店で買ったドーナッツが詰まっており、チョコレートを掛けた贅沢な一品を取り出すと、瞳を輝かせながら齧り付く。
カリッとしたチョコの食感と甘味から、しっとりとした小麦の生地の食感へと繋がり、じんわりと甘味が口いっぱいに広がる。
幸せ、その一文字を顔に浮かべながらもふもふと齧っていくと、掛けられた声に気付き、そちらへと振り返った。
「……へひぃははん、ほのはいはふりはね?」
頬袋いっぱいにひまわりの種を詰め込んだハムスターのように、頬を膨らませながら喋っているが音が出ない。
久しぶりだねと呼びかけたが、その言葉は伝わるかどうか。
キョトンとしたまま彼女をみやっていたが、この間よりも闇の気配が濃く感じていく。
何かあったのやら、そう思いつつも、ちょっとまってと言いたげに掌を向けて制すると、膝の上の紙袋にドーナッツを戻す。
代わりに手にしたのは瓶詰めされた紅茶。
コルク栓を器用にも片手で弾くように引き抜けば、それをぐっと煽って口の中の小麦を一気に喉の奥へと押し流していった。
■レヴィア > ――…長年の執筆作業と暗がりでの生活が吸血鬼に唯一と言っていい弱点を与えた、それは視力の減退である。
それなのに銀縁眼鏡を外してしまったから大変、遠目から見たら相手は雰囲気しか掴めないし、顔は見ても判らない、特に吸血鬼の血が疼いた後では余計他者の判別などつかないのだけど、声を聞けば誰かくらいは判別が付くもので……。
おかしい、遠目から見たときは麗しき花だった筈なのに視線の先には1匹のハムスター……頬を膨らませて食料を咀嚼するハムスター……あれー……?
「……ウン、落ち着いてからでイイカラネ?」
鮮血を求めて乾く薄紅色の唇から紡ぐ言葉の音色はまだ狂気が渦巻いているかブレて歪んで震えて崩れかけた声色になっている、が……掌で制されると思わずそれでも食べたまま言葉を放つ相手に対して気遣う言葉を向けると同時、何となしほほがふにゃと弛んで仕方ないな、見たいに苦いのを噛んだ笑みを浮かべ、制止する顔見知りのその掌に自分の掌を重ねて、シルクの手袋をしたたま、指一本一本を絡めて繋いでしまおうと……
――何ともしまらぬ再会である。
まあそれはそれで悪い気はせず、何とも器用に片手で瓶入りの紅茶の蓋を開ける様を見て、「器用だナァ……。」と、思わず呟くのであった。
■ルーシェ > 黙って微笑んでいれば、いいところのお嬢様のように見えるかも知れないが、食い意地のはった本性が現れると、あっという間にグレードが下がっていく。
御令嬢からお子様に落ちぶれた姿で喋ると、相手の声が前と同じ様な雰囲気に変わっていく。
掛けられた言葉に小さく頷きつつ、片手で紅茶の瓶を手にするも、反対の手に感じる感触になんだろうかと視線を戻す。
絹の心地よい感触と共に絡む彼女の指、じゃれあうような仕草に目を細めているが、未だ顔はハムスター状態である。
「んく……っ…は、ぁ~…あはは、ごめんね。美味しかったからつい……」
口の中をさっぱりと紅茶で押し流すと、酸素を求めて唇が大きく開かれた。
眉尻を下げながら苦笑いを浮かべると、彼女のつぶやきに何故か得意げな笑みに代わりながら目を細めていく。
「美味しいものの為なら器用にもなるよっ」
食べ歩きと歌と楽しいこと、時折海。
ある意味欲望に忠実な魔族らしい一面をみせつつも、木箱の上へ瓶を置き、片手でコルク栓を嵌めていった。
紙袋も木箱の上へ移せば、指を絡めたまま立ち上がり、その姿を軽く見上げながら自らも一歩距離を詰めていく。
「ん~……レヴィアちゃん、したいの抜けてない感じ?」
この間もこちらの気配に促されるがまま血を啜ろうとしていたのもあり、また自分の気配に興奮してしまったのだろうかと思えば、困った様に笑いつつも反対の手も指を絡めようと伸ばしていく。
届いたならそのまま、恋人繋ぎのように掌を重ね合わせ、紫色の瞳が柔らかに微笑みながら真紅を見つめていた。
■レヴィア > 欲望が渦巻く人間の毒を集めた領域に咲く花も好きだけど、口一杯に食べ物をつめて笑むハムスターも嫌いじゃない、んだけど場所が場所……肌に感じるピリピリとした欲望と羨望と諸々に毒された世界でゆるい空気をまとってみせる彼女にどんな顔をしていいかわからない、でも……頬が弛んで笑ってしまってるのは自覚している。
ハムスター、もとい、彼女の指に絡める自分の指、逃がさない、離さない、を指に刻んで絡め合わせて繋がりながら、ハァ……とわざとらしい大げさな溜息を吐いて、一度ゆっくり瞼を閉じてからパっと再び瞼を開くと狂気と吸血鬼の本性を深いところに沈めた彼女にまけない緩い空気を感じさせる好奇心に満ちた瞳へと戻る。
「よく食べてよく遊んでよく寝る子は育つから嫌いじゃないよ?でもどうせ美味しく食べるなら、もう少し明るいところで食べるといいよ……あえて言えば私の膝の上とか、ベッドの上とか……。」
複雑にでも単純に繋がり絡める指と指と手と手。
温かな鎖をつなげたままに彼女が立ち上がり距離を詰めるのを薄い笑みを浮べて待ちわびて、彼女の紅茶の香りのするもう片方の手が伸びてくれば拒絶する理由など何一つ無く、極当たり前のように受け入れて受け止めて、もう片方の手も同じように抱擁の代わりに指を絡めて繋がって、掌と掌を重ねる。
「男として言うなら何時だってルーシェちゃんみたいな美人とならしたいかなーでもレヴィアとして答えればこんなのも悪くないかなってー……でもその困ったように笑う表情はソソるかも?」
と、万年発情期です。と言わんばかりに悪戯めいた言葉を返せばゆっくりと手と手の距離を縮めたように顔と顔の距離を縮める為に自分の方から顔を寄せると、こつんと額と額を重ねて、吐息から見合う距離で紫色の瞳を覗きこむ。
■ルーシェ > 何かそんなに落胆させるような事をしただろうかと、溜息の理由がわからず、先程とは逆の方向に小首をかしげながら見つめる。
別段おかしな事をしたつもりがない自身としては、溜息の理由を開かれた赤色を覗き込み、子供のような視線で問いかける。
「子供じゃないですよーだ。むっ、だってさっきまで魔族の国の脳筋馬鹿達から手をかせって呼び出しされたんだよっ!? 私、人と喧嘩する気ないってあんだけいったのに、砦の防衛したらこれだよ。むかってきて、美味しいものでも食べないとやってられなくなるよ」
ここで食べていたのは、ちゃんと理由があるのだと勢いよく細説していく。
魔王ヴェパールとしての話を耳にしたことがあるなら、彼女が共存派の陣地防衛のみを担う変わり者魔王であることは、知っているかも知れない。
先程までの事を思い出せば、むすっとしながら唇を尖らせ、不機嫌顔のまま指を絡めていった。
「あはっ、磯臭い私に美人なんて言葉、もったいないよ? もっと可愛い吸血鬼さんや淫魔さんにあげなきゃ」
お褒めの言葉に温和な笑みを魅せるものの、少々照れくさいらしくはにかんだ微笑みになってしまう。
額を重ね合えば、軽くぶつかった衝撃でくすんだ水色のくせ毛が揺れ、うっすらと染み込ませたラベンダーの香りが彼女の鼻腔をくすぐっていく。
見つめ合う距離が狭まるも、それならとこちらから顔を近づけていき、唇同士を重ねるような淡くじゃれるような口吻を交わすだろう。
「……私はレヴィアちゃんなら、どっちでもいいよ? したいならしちゃお? 何も気にしないで、気持ちよくエッチしよ…?」
少女の様に愛らしくあり、しかし男性であるという見た目との矛盾。
マイペースに振る舞う自分に美人と言葉を重ねながら求められれば。悪い気はしない。
するなら遠慮なく、照れて隠すのはナシにしてガッツリと。
顔をゆっくりと離していけば、閉ざした紫色が改めて開かれると表情は変わる。
艶ある表情へ目元が変わり、細める速度が緩やかになった。
囁きかけるような淡い声色で彼の言葉に答える合間も、白く甘い匂いに包まれた首筋はよく見えるだろう。
■レヴィア > ――世俗に疎く権力や覇権よりも自分の小説の販売部数の方が気になる自分には判らぬ世界が有るのだろう、脳筋バカだの砦の防衛だの少し違う世界の話しを聞いてもピンっと来るものは無く、でも美味しいものを食べなきゃやってやれないと言うのだけは同意以外の言葉が浮かばないのであって……だから、笑ってしまうのだけど、唇に軽く淡くぬくもりが触れると笑みは薄く淡いものへと変わってしまう。
――…不機嫌そうな表情はちょっと可愛すぎるかもしれない。
表情にも言葉にもそれは出さず何処か小動物のようで何処か花で少女で女で魔王で不思議な彼女の紫色の瞳に真紅の瞳を重ねて弛みっぱなしの頬を少しだけ緩めると、今度は自分から彼女の小さな唇に薄紅色の淡い色合いの唇を重ねてちゅと軽く吸い啄ばんでから唇を離し、ラベンダーの香りと彼女自信の香りを胸いっぱいに堪能しながら、さて愛らしくも艶やかなお誘いに、意地悪したくなって……。
「しよっか?あの夜見かけてから、疼きが止まらなくて……ほら、そうやって美味しそうな首筋を見せて吸血鬼を煽って、ルーシェはましょうのおんなって種族なのかな?でもいいの?こんな場所だと誰かに見られてしまうけど……。」
吸血鬼は気にしない、寧ろ羨望の眼差しはそそるスパイスにしかならない、だけど彼女はルーシェは?と弾む声を堪えながら尋ねて返すと、真紅の瞳には薄らと興奮の輝きが浮かび、重ねて絡め合わせた両手の指は悪戯の為に我先にとロマンの欠片も無くするりと解いて、でも最後だけ両手の人差指が離れる間際だけは名残惜しげに指先から爪先までゆっくりとした速度で離していく……。
「……でも私は美人としかしないし、したくないので、私の言葉を勿体無いなんていわずに受け止めてくれないかなーって……。」
笑う、口元は悪戯な言葉に見合う凄く意地悪そうな笑みを浮べて……言葉の最後に付け加えるのだった。