2018/02/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」にエイブラさんが現れました。
エイブラ > 「やれやれ、困ったものですね。
このようなところに貴族が来るものではないですよ?
しかも、権力に物を言わせてこの地区の人達に無体を働く
のは宜しくないですね。
だから、そんな目に合ってしまうのですよ?」

(白い手袋をした手を軽く叩いて埃を落とす仕草をし、乱れ
てはいないもののなんとなくで執事服の襟元を正して。
周辺には腕や足が曲がってはいけない方向に曲がった余り
柄の宜しくない男達が呻き声を上げて倒れている。
それらには興味のない様子で、目の前で倒れて呻いている醜
く肥え太った、質の良い衣装をまとった自称貴族を下らないも
のを見る目で見おろして)

「まぁ、私も余り人様のことは言えた義理ではないですが。
もしかしたら、ある意味では同族嫌悪なのかも知れませんね?
同族、同属…さて、どちらが正しかったでしょうか」

(同族だと同じ一族、これと同じと言うのはいただけない話。
では同属なら、似た者同士的な意味ならまだましでしょうかと。
かくいう自分も、余り宜しい目的で来ている訳ではないのだか
ら説教めいたことを言うのも筋違いだろうか)

エイブラ > 「しかし、どうしましょうか。
見ていてイラっとしたので片付けてしまいましたが、良く
考えると官憲に突き出しても権力で逃げてしまうでしょうし。
このまま放置…しましょうか。因果応報、自業自得な目に遭う
と思いますが」

(運ぶのも面倒ですしね、と思いながら貴族らしき男の身体を
うつ伏せにして、頸動脈を気絶するまで抑えて。
転がっている他の柄の男達にも同じ処置をしてから立ち上がる)

「こうしておけば気兼ねなくこちらに住んでる皆さんで山分け
出来るでしょう。
わざわざ身ぐるみ剥ぐほど私は困ってませんしね」

(後の処理はこの場所の住民に任せることにし、男達の行い
を鑑みれば生きて朝日は拝めまい、そう考えながら狭い路地
を歩き始める)

エイブラ > (狭い路地を歩けば直ぐに表通りに出てしまう。
少しは光が差し込んでくる表通りを歩き、どこか適当な
ところで食事を取ろうと店を探し始める。
もう頭の中からは自分が気絶させた男達のことなど抜けおちて
おり。後日、路地で全裸で顔の潰れた、身元不明の死体が見つ
かったという話を聞いても、そんなこともあるんですね、と呟
く程度であった)

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/路地裏」からエイブラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区・酒場」にブレイドさんが現れました。
ブレイド > 「…」

行きつけの酒場、カウンターに座る少年はうつむきがちに果実酒を煽っていた。
店に来てから、もう何杯目となるか…それほど時間は経っていないがペースはそれなり。
顔も赤みがさしているし、悪い目つきもいつも異常に座っている。
空になったグラスを置けば、店主におかわりを告げる。
店主は果実酒のボトルを置いていき、再び仕事へと戻っていく。

「くそ……」

先日、路地裏で話した少女のことを思い出してしまう。
この街に、この国に踏みつけにされていた、それでも気丈に振る舞っていた少女を。
何もできなかった。
手を引くこともできなかった。
結局、自分に累が及ぶのが怖くて、逃げ出すしかなかったことを。

ブレイド > 心を殺し、自身の愛するものを守ったのだと、誇れと、そういわれた。
だが、それでも…
思わず顔をしかめる。

「は、ぁ……」

グラスに注いだ果実酒を、一気に飲み干し大きなため息。
結局、冒険者では、ミレー族では、何もできない。
無力だった。
あの誇り高い少女は、強く優しい少女は、おそらくはあのあとに散々蹂躙されたのだろう。
胸が張り裂けそうなほどの憤り。
悔しさ。
だが、それでもそれを叫んだとしても自分は何もできないのだ。

ブレイド > 本当ならば、グラスを床に叩きつけてやりたいほどに怒りが渦巻いているのだが
物に当たったところで何の意味もないのだ。
心が落ち着くまで、飲み続けるしか無い。
この怒りも、情けなさも、悔しさも、苛立ちも。
溶けてしまうまで呑もう。

「く、そが……」

もう一杯。
一気に飲み下す。

ブレイド > もちろん、呑んだくれたところで何が変わるだけでもない。
慰めになるわけでもない。
状況が好転なんてしないのはわかっている。
わかっているが……

「ん、う……」

クラリと視界がゆがむ。
だが、もう一杯。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区・酒場」にエンジェルさんが現れました。
エンジェル > 「おい、もうやめとけ。
 飲み過ぎだ、馬鹿。」

少年の背後から呆れたような声が聞こえる。
振り向けばそこには可愛らしいもこもこの猫耳コートに身を包み、両手をポケットに入れた眼鏡を掛けた少女の姿。
様子がおかしいとマスターが出した使いの話を聞いて仕事を抜けてきたのだ。

「もうやめとけ。」

再度半眼を向けて告げながら少年の手からグラスを取り上げた。

ブレイド > 「ん、ぐ…エンジェル、か…」

取り上げられたグラスを追うこともせず
エンジェルに顔を向けることもできず、うなだれる。
少女の姿を笑うこともなく、一つ息をつく。

「わり…」

エンジェル > 「マスター、いつもの。あと、コイツに水な。」

少年の隣へと腰掛け、注文を掛ける。
そのまま少年のほうへは視線を向けず、すぐに出されたグラスを受け取り一口ちびりと舐める。
少年の目の前にも同じように水が注がれたグラスが置かれる。

「何があった?
 本妻とケンカか?」

ぶっきらぼうに問いかける。
少女がここにいるということは店を抜けてきたということであり、店の損害額は平民がどうにか出来る額ではないはずだ。
それに何より……裸の上にコートだけを羽織って飛び出して来たのだから、内心どれだけ心配していたのかわかるというものだろう。
だが、そんな態度は少しも出さず、めんどくせぇ、そんな空気を醸し出す。

ブレイド > 「ん、わりぃな…」

置かれたグラスを手に取り、水を一気に飲み干す。
いつも以上に悪い目つきのまま、酒気を吐き出す。
時間は…エンジェルの仕事が終わるような時間だったか?
いや、この店がまだ開いているのだからそれはない。

「なんも、なんもねぇ。
それより、お前仕事中だろ?
わざわざ、すまねぇ」

何もない。この国ではいつものことだし、何もできなかったからこそなのだ。
力なく笑うと、エンジェルに頭を下げる。