2018/01/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアラミルさんが現れました。
■アラミル > ぎぃ、と…貧民地区らしい、あまり整備されていない酒場の扉が開く
そうしてまた誰か、客らしい人物が入ってきたようで
こ、こ、と品のいいヒールの音が床を伝い…それが影響したかのように、酒場に喧騒とは違うどよめきが広まっていく
(おい、なんだあれ…)
(貴族だろ?…なんでんなとこに…自分の家で呑みやがれ)
(べっぴんじゃねぇか?見たところ護衛もいねえぞ…)
驚愕、妬み、欲望…それらが言葉となって酒場を埋めていき
しかし、現れた当の本人…腰まで届く銀髪と、正に貴族のような出で立ちで豊満な肢体を包んだ女性は…
怯えることもまるでなく、自分の家のようにかつかつ、と歩を進めていき、カウンターの空いている席へと
その途中…
「……?」
不意に、火酒を煽る男に向けられる視線。どこか不思議そうな、そんな顔をしてから…
「………。」
気のせいか、という表情を浮かべそのまま困惑する厳めしいマスターの待つカウンターへと
適当な…そこそこに強い酒を注文し、ふぅ、とまるで品定めをするように辺りに軽く視線をやっていて
幸運にも、2回の内どちらか…女の視線に応えていれば、どこかで会ったような、なんてナンパ的な思考と引っかかりを、女の容姿に覚えるだろうか
■セイン=ディバン > 「……うん?」
背後で扉の開く音。そして、ヒールの音に、どよめく声。
喧騒の中とはいえ、異質な音は男にとって聞き分けるのに難しいことなど無い。
ちら、と背後に視線を流せば、そこには美しい女性がいた。
銀の輝く髪。豊満にして艶やかな肉体。
自信満々、淀みなく歩くその姿たるや。貴族の持つそれに他ならぬか、と。
貴族があまり好きではない男は。その仕草に、うへぇ、と首をすくめて視線を外そうとするものの。
「……?」
視線が、交錯した。見ていたのがバレるか、マズいな、と。
慌てて視線を外した男だが。何か、初対面のハズの相手に対して。
懐かしさか、奇妙な情を感じてしまい。
「……マスター。適当に軽食を。オレの分と……。
こちらの美人さんの分」
視線を周囲に向ける女性。その姿の美しさに、惹かれ……いや。
感じた奇妙な感覚の正体を掴もうと考え。男は、女性の隣の席へと移動しつつ、マスターにそう注文する。
そのまま、笑顔で相手にグラスを傾けて見せ。
「やぁ、お嬢ちゃん。……キミみたいな美人さんが一人でこんな店に来るのは、危なっかしいとしか言えないな。
……オレはセイン。セイン=ディバン。冒険者だ。……良ければ、一晩の護衛としてオレを雇わないかい?」
あくまでも、ナンパではないですよ、と主張するようにそう提案しつつ。男はにこやかに笑うが。
奇妙な感覚は、デジャブというべきか。この女性を、どこかで見ているような気がするのだ。
■アラミル > 視線を回すのをやめ…マスターから酒が出され、グラスを弄んでいたところに、男から声がかかる
一口もまだ飲んでいないグラスをからん、と揺らし、ゆっくりと相手の方へと視線を移す
「……。ああ……」
軽食を頼んだ後、名を告げた相手
男が思う普通の相手なら、驚いた後、いいところの令嬢なら礼儀上名前を名乗り
護衛の依頼を断ったり、実は護衛はいるの、なんて言ったりするのかもしれないが
女性の行動は、恐らく男の予想を裏切るもので
にこり、と笑ったのだ。安心するような、無邪気な笑顔で
それは、考えていたことがその通りだった時の子供そのもので
「くす…。確かに、危ないし…。お金もあるから…雇っても、いいけど。『また』、私を気絶させる、つもり…?」
くすくす、と笑ってから、ぼそぼそ、とした声で返答する
その声音にはからかうような、面白いものを見つけた、という感情が乗り
「……久しぶり…?セイン…。前は、…この姿、じゃなかった、け…?
…あなたも、変わってる、けど…匂いが、一緒だった、から…わかったよ…」
ふに、とカウンターで胸を潰させながら少し首を傾げつつよくわからないことを言う
敢えて名前を言わない辺り、相手を困惑させる気が満々だが、さて男の反応はどうなるか
■セイン=ディバン > 周りの客たち。好奇の視線、あるいは、欲情、妬み。そういった視線を、男は懐からリボルバーを取り出し、ゆらゆらと見せ付けることで黙らせる。
「……ん?」
相手の仕草。落ち着いていて、しかも、男を拒絶しない。
普通なら、いきなりの声かけに、迷惑そうな顔をするか、あるいは誘いに乗るのが普通。
だというのに、相手は笑い。男を見る。揺らすグラス。実に絵になるイイ女っぷりというやつだった。
「……んっ!? また、って……。
オレぁそうそう女を気絶なんてさせたりしないぞ?」
相手の指摘に、男が目を白黒させる。笑いながらの声。楽しそうだった。
どうにも。この女性は、明らかに男を知っているようであり。
「……久し、ぶり? うん、待て待て。ちょっと待った。
キミみたいな美人、一度見たら忘れないはずだ。知り合いなら尚更だぜ。
……あぁ、でも。その喋り方……。どこかで……?
って、わっほぉぉぉ……」
いよいよ知人であることを明らかにした女性。男は必死に記憶の中を探るが。やはり、目の前の女性に一致する相手は記憶に無い。
微かに、似たような相手の記憶は見つけ出すが。困惑しっぱなしの男。
しかし、カウンターで潰れるふくよかな胸には、視線が釘付けになってしまう。
どうにも、この男の女好きは、死んでも治らないであろう病気の様だった。
■アラミル > 襲われればそれはそれで彼女にとっては美味しいのだが、余計ないざこざを否定する彼女にとっては、相手の行動はありがたいものであり…
背中でざわめきを威嚇する姿には目を細めて喜び
「やっぱり、わからない、か…。当たり前、だけどね…」
洗練された、男を誘う仕草
とある場所で仕込まれたものだが、すっかり板についていて
わずかに、だが…椅子を動かさない程度に男に身を寄せるのも忘れない
「でも、悲しい…。あんなにいっぱい、小さい私のここ、に注いだのに…」
小さい私、などと言いつつ、グラスを持っていない手で胎の辺りを擦っていて
明らかにからかっている様子で泣き真似なんてしてみせる
「……姿が変わっても、中身は変わらないんだ…。そういえばあの時も…私の誘いに乗った、よね…
ああ、でも…犯してくれたのは、私のせい、かな…?」
潰れた胸元を凝視する相手の視線。大抵の…男慣れしていない女性なら非難の視線を浴びせたりするところだが、むしろ見せつけるようにそのままで
くすくすとまた笑い…丁度、マスターが軽食…芋の塊に干し肉を散らしたものを持ってきて
それに視線をやりつつぼそ、と
「……もやもやしてたら、きもちわるい…?
………アラミル、だよ……改めて、久しぶり、だね…」
飽きやすい子供のように、悩んでる相手をひとしきり眺めた後
あっさりと、名前を告げる。その名前が相手に届くかはわからないが…
■セイン=ディバン > 少なくとも、長い年月冒険者をやってきた男だ。実力はそれなり。
酒場で飲んだくれているチンピラ・ゴロツキ程度は相手にならない訳で。
男の振る舞いに、一瞬で静寂の訪れる酒場内。
「やっぱり、って。判っててからかうような物言いをしてるな?」
男は苦笑しながら言うものの、脳内は最大速度で推理と考察をぶん回す。
だが、やはり答えが出ない。これだけの美人、忘れるなんて本当にありえないのに、と。悩む男。
「って、おおおおおおおおおおおおいっっっ!?
何言ってくれてるのかなキミ!?」
身を寄せられれば悪い気はしなかったが。いきなりの大胆発言に、男は大声で叫ぶ。
ただでさえ、まだ若い、女性と少女の中間ほどの歳の相手なのに。
更に若い頃に抱いた、などといわれては男も混乱するしかない。
その言葉に、周りの客は。
(またか……)
(セインの女好きは知ってたが。ガキも相手するとはな)
(死ね。セイン死ね)
小声での罵倒に、ぎろっ、と客を睨むセインだったが。
「……中身? あぁそうだ。姿ってさっきも言ったな。
ってことは、オレが呪われている時に出会ってる訳だ……」
相手の言葉に、男はヒントを得て、更に思考を回す。
呪われている時期に出会い、抱いた女性。……まだまだ情報は足りない。
そこで、届いた軽食に、男は手を伸ばし、もっきゅもっきゅ。
「……は? …………え?
…………あっ……アラミル!? って、えぇぇ!?
だってお前、あんなにちっちゃかったのに!?」
ぽん、と名乗られれば。数瞬の間。そして、またもや大絶叫。
一気に思考が結びつき、当時の姿を思い出すが。
どう考えても、成長が早すぎる。いや、確かに。成長したのならばこれだけの美人になるだろうという点に関しては、疑う余地もないのだが。
■アラミル > 静寂の後、もうあの客の事は忘れよう、とまた様々な世間話で酒場が賑わうまで時間はかからず
「…当たり前…。こんなに、面白いこと、ない、から…」
悩む相手を観察し続け、綺麗な笑顔を浮かべ続ける
むしろ悩んでいた方がいいのではないか、と思わせるような笑みを
「……あらあら…。お忘れになりました…?ふふ…あんなに熱い夜だったのに…」
突然、淑女のような滑らかな言葉になりながら
声自体は小さなものだったが聞き耳を立てていた一部の野次馬には十分だったらしく
余計な反感をかったらしいが…まあ、先ほども威嚇だけで黙らせていたし、大丈夫だろう、と笑う
「…なんとなく、知ってるような気がしただけ、だけど
名前を聞いたら、やっぱり、って思った……」
すぐにぼそぼそとした調子に戻り。彼女にとってその邂逅は嬉しいものだったらしく
恨みやそれに準ずる感情は表情、声からは全く感じられず
男の真似をして、ゆっくりと軽食を口に運びながら…
「屈強な冒険者さまがそんなに声を荒げるものではありませんよ…?ふふ…
……。色々、あって、自分のことを知って、成長、した…
………びっくり、した?セインは、どっちが、よかった…?」
柔らかに口元を拭い
大絶叫する相手に笑いをこらえきれず、手を口に当て
簡潔に、自分の姿の理由を告げて。いたずらっ子が親に言うように感想を聞いてみて
さらり、と銀髪を揺らしてからそっと手を重ね、上目遣いに
■セイン=ディバン > こういった酒場にもルールはある。無闇に暴れぬこと。賭け事は熱くなりすぎない程度に。
そして……女性に声をかけた相手がいれば、横から掻っ攫うような真似はしないこと。
「ふん。いい趣味してるな、キミは」
愉快そうに言う相手の言葉に、男は困ったように眉を歪ませる。
思い出せないのは、美人に対する失礼だ、とでも言うかのように。
必死に思い出そうとしている。その様子は見ていて面白いものだろうか。
「ま、待った! 過去のオレには身に覚えあるんだろうが!
今のオレはキミを思い出せていないんだから、混乱させないでくれ!」
まるで謎掛けの答えを催促されている気分になり、男は頭を抱える。
相手の一言一言に、脳をかき回されてしまい、まっとうに考えることすら難しくなっていく。
「……そういえば。久しぶり、とも言ってたな。
……んむむ~?」
名前を聞いたら思い出してくれたのか、と。男も内心嬉しく思い。
しかし、申し訳ないことに答えは結局出せずにいた。
相手の見た目の特徴から、ある程度は絞り込めていたのだが。
……答えは、男の予想を大きく裏切るものだった。
「ん、んむっ……それは、確かに。騒がしくして悪かった。
……ほぉ、っほほ~……。そう、なのか。……うん。あまり追求はしないでおこう」
自分のことを知って成長。なんじゃそりゃ、と男は思うが。元よりミステリアスな少女だったから、何か秘密があるんだろうな、と。そう納得するに留めた。
そのまま、手を重ねられれば、男は快活に笑いながら。
「びっくり? したに決まってるだろ。何せ……こんな美人になったんだから。
……どっちが、だって? 愚問だな。
どっちのアラミルも、違った魅力があって好きだぜ」
そう言って、男は相手の手を軽く握り返しながら。
いきなり、相手の唇を奪い、軽く舌を口内で躍らせてから離れる。
そのキスの光景に、酒場内の怒気が膨れ上がったような気もするが。
■アラミル > そのルールを守っている分、この酒場はよい場所ともいえる
男が先に声をかけたのは幸運だったが
「…最近、よく、いわれる…」
まだ笑みを浮かべながら…
特に怒りもせず、その面白い様子を見つめていて
「あは…。おもしろいね…
前は、いっぱい愛してくれただけだった、けど…」
頭を抱える相手に笑い声は抑えきれず
相手の思考を乱しながら笑い続ける
「うん。久しぶり、だよ……。わからなくて、当然だから…きに、しないで…」
自分の見た目が大きく変わったのはわかっているのか、仕方ない、と
そういった言葉の後名前を告げた相手の反応をまた、楽しむ
「冗談…。騒がしくしても、私は気にしない…
……そう。気にしちゃ、だめ…」
全部明かしても特に女にこだわりはなかったが…まあ今はいいだろう、と
先ほどの視線から見ても相手は明らかに…
「…嬉し。…褒められるのは、嬉しい…。
………。ん……
…そう…?……そういって、くれるなら……護衛、お願いしよう、かな…?
お代は…」
言葉の途中での接吻に、少し驚いた呼気を漏らしたものの…
迎え入れるように軽く、男の舌と自分の舌を絡ませる
闇討ちしてやろうか、なんて声も聞こえるがもう関係もなく
接吻の後、そっと…今度は椅子ごと近寄り、護衛の依頼を
先ほど、金は持っている、と言っていながらも身体を寄せて胸を腕に当てるその仕草は、明らかに…身体を金の代わりにする、と告げていて
■セイン=ディバン > 店によっては、そういったルールが無いような、無法の店もあるが。
男が好んで行く店は、ある程度ルールのしっかりしている店ばかりで。
「へぇ、誰に言われるのやら」
相変わらずのからかうような仕草に、男は肩をすくめる。
これだけ特徴的なからかい方をする相手なら、覚えていそうなものだが。
「おもしろいのはキミだけだろ。
こっちはキミに失礼じゃないように、必死に思い出そうとしてんのにさ」
わざとらしく、芝居がかったため息を吐きつつそう言う男。
笑い声を洩らす相手に対して、楽しいのならまぁいいけど、なんて囁く。
「そうは言ってもね。美人の顔を忘れないのは俺の数少ない特技なんだ。
それが思い出せない、とあっちゃ女好きの名折れだぜ」
いよいよ自分でも女好きと認めつつ、結局思い出すことはできず。
相手に名乗られて、ようやっと記憶が繋がった訳で。
なるほど、これは思い出せないわけだ、と納得。
「冗談って。まったく、とことん意地が悪いな。
ま、事情があるのはお互い様、だしな」
相手の肉体もそうだし、男の呪いの件もそうだ。
あまり語る必要の無いことは、べらべらと語るべきでもない。
「そうかい? そりゃあ良かった。
んっ……ぷはぁ。なんだか、キスもオトナになったか? アラミル。
お、依頼か? 知人が相手なら、幾らでも引き受けるさ。お安い御用、だ。
……お、っとぉ……。こりゃあ……お仕事以外も頑張らないと、報酬貰いすぎ、かもな?」
明らかに、挨拶以上の意味を持つキス。舌を絡ませ、ゆっくりと唇を離す。
からかうように言いつつ、相手からの報酬の話。その雰囲気を感じ取れば……。
男は、鼻の下を伸ばしつつも、相手の手を取り……。
その後、二人がどんな夜を過ごしたのか。それはまた、別のお話で……。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセイン=ディバンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアラミルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカーレルさんが現れました。
■カーレル > 両前脚に白いブーツを履いたような毛色の黒い猫が小さな声で鳴く声を聞いた気がした
愛猫の鳴き声だと判れば徐ろに眼を開き、次第に意識が痛みを伴って覚醒していった
地面に突っ伏し倒れたまま、動く利き手で持ってして痛む頭に黄金色の髪を掻き分けるようにして
触れてみるがどうやら出血はないようであった。ゆっくりと上半身を起こせば、ぼやけた視界を正すように、
頭を左右に軽く振ってみせ、かしかし、と頭を掻いた
人間離れした巨躯を持つオークか何かと見紛うような酔っぱらいに身体が触れただの、当たっただのと
難癖をつけられて気がつけば散々に殴られて気を失っていた事を思い出す
幸運なことに怪我らしい怪我はなく打撲で済んだようだが、痛いものは痛い
しかし、寒い夜に貧民地区で何時までも倒れていれば、朝には衣服から何まで盗られてしまう事だろう
潰れた商店か何かの軒下へ這うようにして移動していき、腐りかけた家屋の壁に背を保たれれば、
ごそごそ、と懐を漁っては紙巻きの煙草に火をつける
南方からの舶来品、普段では決して口に出来ないような代物であるけれど、先日の仕事の報酬であった
「あっ…、痛ぇ…口ン中が切れてる…」
煙草の先に火をつけてふ、と煙を吹き出せばぴりり、と口の中が痛む
舌先で痛みの元を探りもごもご、としてみれば幾つか傷があるようで、血液混じりの唾液を吐きすてれば、
ふう、と煙を吸い込み痛みに強張った身体から力を抜いた
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にミコトさんが現れました。
■ミコト > 「汝、生きておったのか。」
倒れていた男から少し離れた場所に積まれていたゴミの山から静かな声が届く。
声の質からして少女だろう……しばらくゴミを掻き混ぜる音が続いた後、シャン、と涼やかな鈴の音が響く。
そこから現れたのは薄汚れながらも全身余す所なく真っ白な年端もいかない少女。
ゴミの中から現れたと言うのに、凛としたその横顔は猥雑な路地裏から完全に浮いていた。
「煩くしてしまっていたのでな、てっきり死んでおると思うておった。
あれで起きぬとはなかなかの大物よな。」
座り込んだ男の傍へと歩み寄ってくる姿はこの国ではほとんど見掛けない異国の装束に包まれていた。
一歩ごとに赤い履物がカポ、カポ、と独特な音を立て、ツインテールの先端に取り付けられた二つの鈴飾りがシャン、シャン、と軽やかな音を立てる。
伏せ気味の瞳に掛かる睫毛はもちろん、その瞳までもが人非ざる白であった。
そして、衣装の裾から覗く脚、その内股を伝う白濁が少女の身に何が合ったかを如実に語っていた。
■カーレル > 突然の声を初めは風の音か何かだと思っていたから無視を決め込んだ
よもや、殴られすぎて頭の中をやってしまったか、とも一瞬、思ったが、ゴソゴソと聞こえる物音の後に
響く涼やかな…どこか浮世離れして貧民街には似つかわしくない鈴の音にちらり、とゴミの中から
現れた人影に視線を上げる
「…」
大きく煙草の煙を吸い込み、煙草の先の灰を軽く指先で叩いて落とす
異国の装束に、これまたどこか現実離れした彼女の姿。一瞬、実は自分が死んでいてあの世から
何か…そう、死神のようなものが迎えに来たかと思った
ただ、不思議なのはこの国の教義でそんな話は聞いたことはないし、
何より自分はちっとも信心というのを持ち合わせていない
「…悪かったよ、お楽しみ中に死体が傍にあったら気もそぞろだったろ?
…いや、仕事中、というやつか?」
裾から脚を伝う白濁をちらり、と見れば視線をまた彼女から背けて道の方へ向ける
死神でないのであれば、その手合の相手に春を売る浮浪児か何かであろうと思った
この辺りで親無し子が生き抜くのは難しい
運良く奴隷狩りから逃れられたとしても女は見た目が良いのであれば彼女のように体を売る位しか
方法は思い浮かばない
■ミコト > こんな路地裏で倒れていたにも関わらずのんびりと煙草を口にする男の姿もまたあまりにもこの場に似付かわしくないように見えた。
おそらくは相当離れしているのだろう、慌て怯えた所で何も得るものなどないことを知っているのだろう。
「構わぬ、慣れておる。
楽しいと云うのもまた語弊がある。
確かに身体は悦べど、ただそれだけの話よ。
そして、我が役目は他にある。」
狩衣の裾の中がかろうじて見えない程度の距離で立ち止まると人非ざる白銀の瞳でじっと男を見下ろす。
語る口調はひどく静かで落ち着いており、とても陵辱された後のものではない。
「救けを呼ぶ必要はあるか?」
吹き込む冷たい風に煽られツインテールが靡く。
シャン、と涼やかな音が路地裏に響き、白靴下の黒猫が一声鳴いた。